アットウィキロゴ

―秋名湖畔―
ドゥ ドゥ ドゥ

アキオはZのアイドル音に異常がない事を確認した後、湖畔にZを停めた。

「なーにィ、Zォ… まさかオレをココに連れてきたかったワケェ?」

Zは何も答えない。
ステアリング越しに湖を見ると、家族連れやカップルがボートを漕いでいる。

「たまにはレイナを連れてデートにでも来いってか(笑)」

アキオはふとZ31に乗っていた頃の自分を思い出す。
確かにあの頃の自分なら、レイナを連れてデートでもしていただろう。
だが、今は違う。 この悪魔と呼ばれるZを手に入れてからは…
アキオはZを走らせるコトによって知り合った人々を思い浮かべる。
北見サン、高木サン、山本サン、富永サン、レイナ、そして、
ブラックバード…
コイツがいなければブラックバードと走るコトもなかっただろう…

アキオの物憂げな瞳に力強さが増し始める。
しばらくの沈黙の後、物思いから覚めたようにキーを捻る。

カチ ワウウウ――ッ  ク、ク、ク
キュルル ルルルル… ゴッゴッ ゴゴゴッ グオア――オァアアアッ

沈黙を続けていたZが咆哮を取り戻す。
「さあー 行こうかZ… この道の下りは手強そうだッ」


渋川市中心部に入ったアキオは、進行方向上に1軒のガソリンスタンドがある事に気が付いた。
燃料計を見ると、まだ3分の2ほど残っている。Zの燃料タンクはレース用のため、
100リッターは入る。今、入れたとしても30リッターぐらいしか入らないだろう。
アキオは給油のタイミングを遅らせるつもりでいた。

だが、その瞬間、アキオはZがそのスタンドに入るコトを
望んでいるような気がした。
まるで、獲物の存在を教えているかのように…

「OK Z…」
アキオはそのスタンドに向けて静かにステアリングを切りはじめた。

最終更新:2008年03月07日 22:14