「カウント行くぞー!5・4・3・2―――」
一方通行の二車線道路にFCとエボが並ぶ。
REと4G63のレーシング音が入り混じり、深夜のいろは坂に響き渡る。
ゴクン・・・・両者共にギアを1速に入れる。
クラッチを切ってはいるが、ギアを入れたショックで僅かに車体は揺れる。
「1・Go!」
スタートを勤めた清二の手が振り下ろされる。
二台は矢のような勢いでストレートを駆け抜ける。
4駆のトラクションを生かし、エボのスタートダッシュが決まるかと思っていたEmperorを始め走り屋のギャラリーはエボに食らいつく加速を見せるFCに驚愕した。
それはギャラリーだけではなく、須藤も、そして涼介もである。
―――俺のエボのスタートについて来るだとォ!?このFCはタダのFCじゃねえ!―――
サイドバイサイドの状態で二台は第一コーナーに進入。
―――まさかエボのスタートについて行けるとは・・・・林サン貴方の組んだFCは本物だ だが超高速コース向けの足回りが
果たして何処までいろは坂に通用するか―――
暗闇に赤い閃光が走る。
ブレーキランプの流れる軌跡を残しながらFCはエボに頭を抑えられる形で立ち上がる事になった。
―――成る程・・思い切りフロントに荷重をかけてサスをストロークさせるセッティングか 高速セクションではいいが低速
セクションの連続する終盤は厳しそうだ―――
関東屈指の急勾配と言われるいろは坂。
週末ともなればドリフト組がつづら折れとなったヘアピンに大挙するという事実から、ドリフトスポットとしての知名度は抜群である。
そのコースアングルは見る物を圧倒するが、要はジムカーナの延長線上とも言えるであろう。
中禅寺湖に程近い部分は、直線とヘアピンが適度にあり、突っ込み勝負の派手なドリフトスポット。
対し終盤は直線という直線が無く、連続したヘアピンが並ぶ為、切り返しの派手なスポットである。
駆動配分をFR的にした須藤のエボⅢは、突っ込んで良し、回って良し、立ち上がって良しの正にいろは坂スペシャルと言えるだろう。
直線と直線を結ぶヘアピンが点在する最初のセクションを競う二台には今の所目だった差は出ていない。
―――涼介・・俺は赤城でお前に言われたコトを忘れちゃいないぜ お前は公道には公道の走り方があると言った あの時お前が俺に言った公道スペシャルをお前に見せてやる―――
比較的道幅の広い左コーナーを立ち上がるエボⅢ。
FCも道幅をギリギリまで使い、極力スピードを落とさない走りで須藤を追う。
―――この直線区間を終えれば連続ヘアピン区間に入る・・タイヤの温存をしつつペースダウンをしない為には繊細なアクセルワークが要求されるな―――
右ヘアピンが迫る。
ブレーキングポイントまであと何メートルだろうか?明らかに涼介の目には早過ぎるタイミングで先行のエボのテールが赤く光る。
―――見せてやるぜ涼介!これがいろは坂の究極のラインだ!―――
「うわぁぁぁぁぁ!」
「マジかよ!京一さんのエボが・・・・」
「飛んだぁぁぁぁぁぁ!!!」
最終更新:2008年04月03日 21:08