リコノミクスとは、
李克強首相の経済政策に、バークレイズ・キャピタルが命名した用語。
中国経済 2014年はここに注目 「リコノミクス」は成功するか?(THE PAGE 2014/01/07)
2013年の中国経済はシャドーバンキング(影の銀行)問題が表面化し、非常に騒がしい1年でした。中国経済は現在、小康状態となっていますが、根本的な問題は何も解決されていません。今年も、中国経済の動向には引き続き強い警戒が必要でしょう。
中国は過去10年間、平均10%超という驚異的な経済成長を続けてきました。GDP成長に占める公共インフラ投資の割合は40%を超えており、これは日本の高度成長期を上回る水準です。中国は、公共事業による官製バブルを10年以上も続けてきたことになります。
シャドーバンキングがバブル崩壊の引き金に?
もっとも、投資対象が、産業育成や生活水準向上に不可欠な橋や道路にとどまっているうちはよかったのですが、最近では地方政府が金融機関から融資を受け、宅地を開発して国民に販売し利益を得るというところまでエスカレートしています。
こうした開発案件には、正規融資以外のルートからの資金も多く流れ込んでおり、このところの不動産価格の下落で資金繰りがつかないケースが増えているといわれます。シャドーバンキング問題が中国バブル崩壊の引き金となるとの懸念はこうした事情からきているわけです。
中国における経済政策の司令塔となっている李克強首相は、リコノミクスと呼ばれる経済政策を打ち出しています。リコノミクスでは、過剰融資の縮小、公共事業の適性化、構造改革という3つが提唱されています。過剰融資を縮小してバブル経済を終わらせるとともに、公共事業に過度に依存した経済からの脱却を図ります。さらに従来型経済からの転換を目的として、国有企業の民営化、金融市場の開放、土地売買の自由化といった、一連の構造改革を実施するという流れになっています。
小泉構造改革と似たリスクも
リコノミクスが成功すれば、中国は途上国から先進国に一歩近づくことになり、新しい成熟した成長プロセスに入ることができます。しかしこれには多くのカベが立ちはだかっています。
リコノミクスは、小泉政権時代の構造改革とよく似た内容ですので、それがもたらす影響も非常によく似ています。バブル崩壊をギリギリで回避している中国経済に対して、構造改革を無理に強制してしまうと、一気に景気が悪化してしまう危険性があります。
(後略)
インタビュー:中国、試される「改革」の本気度=肖敏捷氏(ロイター 2013/12/27)
12月27日、SMBC日興証券・エコノミストの肖敏捷氏は、2014年の中国について、習近平(写真)政権が進めようとする改革の本気度が試される1年になると指摘した。11月撮影(2013年 ロイター/Jason Lee)
[東京 27日 ロイター] -SMBC日興証券・エコノミストの肖敏捷氏は、2014年の中国について、習近平政権が進めようとする改革の本気度が試される1年になると指摘した。規制緩和などは既得権益を奪うことにつながるが、それが政府幹部の権力にも及んだ場合でも、改革を断行することができるかが焦点だと主張した。
一方、経済の持続性を高めることが改革の目的であり、教育などに踏み込んでいることが注目されるとしている。
また、日本が中国との外交を進める上では、中国が意識する米国と日本との関係が重要な要素になるとの見方を示した。
インタビューは26日に実施した。詳細は以下の通り。
──来年の中国はどうなるか。
「習近平政権は、本格的な改革に乗り出すだろう。今年1年で基盤は作った。市場化・自由化が改革のキーワードだ。規制緩和を進め、電子商取引の促進や民間部門への外資の導入を拡大していくのではないか。金利や為替は、完全自由化にはまだ距離がありそうだが、自由化を一段と進めるだろう。貸出金利はすでに自由化しているので、預金金利の自由化に乗り出すとみている」
「足元で起きている短期金利の上昇は、金利自由化の兆候を示すサインだ。中国の金利は国営企業などを守るため、低く抑えられていたが、中央銀行が資金供給量を絞るなどして、金利上昇を促している」
──短期金利引き上げの目的は。
「金利が上昇すれば、倒産する企業も出てくるだろうし、不動産市場にも大きな影響がある。ただ、これをやらないと国営企業や過剰設備などに対する改革は進まない。改革の大きなポイントだ」
「1993年まで中国には、2つの為替レートがあった。公的レートと闇レートだ。結果的に公的レートは切り下げられて闇レートにさや寄せされた。今度も同じことが起きるだろう。今、シャドーバンキングで示されている金利が実勢レートだ」
「闇レートが消えれば、シャドーバンキングも消える。透明性が高まり、民間企業が参入してくるだろう。そうなれば預金獲得競争が起き、預金金利も上昇せざるをえなくなる」
──市場化・自由化を進めるのは何故か。
「政府の方針として経済の方向性をいったん決めると、簡単に変えることができなくなる。過剰設備を抑制しようとして、貸出の量的規制を行えば、全てに影響が及び、経済全体が大きなダメージを受ける可能性がある」
「一方、市場機能に任せ、金利が10%に上昇したとしても、借りたい人は借りる。経済を瞬時に柔軟に調整できる」
──改革とは既得権を奪うことだ。抵抗を押さえて実行できるか。
「市場化、自由化は、マーケットの決定に任せるということだが、それは権力を手放すことにもつながる。それが他人であればいいが、自分が既得権を失うかもしれないという時でも、改革を進めることができるのか。政府の本気度が試されるだろう。総論では市場化、自由化という方向は示されたが、各論はまだだ。改革の具体策をどれだけ出せるかが、本気度を測るメルクマールとなろう」
「改革に向けて、習氏への権力集中が進んでいるようだ。最近、
李克強首相の
リコノミクスという言葉も聞かなくなってきた。共産党内外からの強い抵抗を押さえ、改革を進めるためには二人三脚や集団指導体制よりも1人に権力を集中させた方がいいというとの判断が、働いているのではないか」
【コラム】中国三中全会、韓国企業には最高の機会(中央日報2013/11/29)
共産党第18期中央委員会第三回全体会議(三中全会)を終えた中国の改革への熱望が以前とは全く違うようだ。今回提示されたマスタープランを具体化するために、関係当局者が筆者を訪ねて助言を求めたりもした。では、中国は今後どのように発展していくのだろうか。
中国は改革・開放後、経済成長のために突っ走ってきた。その結果、規模は巨大に成長した。しかし得るものがあれば失うものもある。超高速成長の過程で積もった「後遺症」は、いつのまにか政治・経済・社会・文化の全分野でこれ以上座視できなくなった。国家安全委員会と全面深化改革領導小組などはこうした背景の中で出てきたものでり、これは中国がしばらく「開発独裁」ではなく「改革独裁」を目指すことを予想させる。
では、こうした中国の行方が韓国の経済にもたらす意味は何だろうか。韓国にはまさに機会中の機会だ。まず、中国共産党の執権のためにもその間疎外されてきた内陸および農村をある程度発展させることが避けられない。遅れた地域を都市地域に変えると同時に、そこに雇用を創出することで他郷での生活苦を解消するという「新型都市化戦略」や「地域拠点大規模産業団地造成」は、まさにこれを後押しするものだ。韓国の貨幣で100京ウォン(約10京円)以上の資金が投入されるこうしたリコノミクスの核心経済政策の実践のためには、最先端の技術や製品が必要だ。しかし中国企業はまだこうした技術レベルに到達していないし、中国人もまだ国産品を好まない。まさにこの部分で韓国企業および韓国製品が光を放つ可能性がある
(後略)
関連項目
最終更新:2014年02月01日 20:35