ベラルーシ共和国国家保安機関に関するベラルーシ共和国法
本法は、
ベラルーシ共和国国家保安機関(以下「国家保安機関」という。)の法的基盤、原則、基本任務及び活動方針を規定する。
第1章 総則
第1条 国家保安機関とその使命
国家保安機関は、ベラルーシ共和国国家安全保障システムの構成部分であり、その賦与された権限内において、国内外の脅威からの個人、社会及び国家の安全を保障する。
国家保安機関の活動の指導は、ベラルーシ共和国大統領とベラルーシ共和国大統領が委譲した権限内においてベラルーシ共和国閣僚会議が実施する。
第2条 国家保安機関のシステム
国家保安機関は、以下のものを含む統一中央集権化システムが構成する。
- ベラルーシ共和国国家保安委員会
- 州国家保安委員会局(領域機関)
- ベラルーシ共和国国家保安委員会軍事防諜局
州ベラルーシ共和国国家保安委員会局及びベラルーシ共和国国家保安委員会軍事防諜局は、ベラルーシ共和国国家保安委員会に従属する。
国家保安機関は、その配下に教育施設、保健施設、軍部隊、特殊任務部隊その他の部署を有する。
国家保安機関並びにその従属教育施設、保健組織及び軍部隊は、法人であり、ベラルーシ共和国国章の絵柄の付いた印判、銀行口座を有する。
国家保安機関及びその従属部署においては、政党、政治目的を追及するその他の社会団体の創設及び活動が禁じられる。
第3条 ベラルーシ共和国国家保安委員会
ベラルーシ共和国国家保安委員会は、その管轄内においてベラルーシ共和国の国家安全保障分野における国家政策を行い、その権限内において個人、社会及び国家の安全保障分野における規制及び統制を実施し、同分野における他の共和国国家統制機関の活動を調整し、並びに国家保安機関の活動の基本方針及び任務を直接実現する共和国国家統制機関である。
ベラルーシ共和国国家保安委員会は、ベラルーシ共和国大統領が任免するベラルーシ共和国国家保安委員会議長が指揮する。
第4条 国家保安機関の活動の法的基盤
国家保安機関は、その活動において、
ベラルーシ共和国憲法、本法及びベラルーシ共和国のその他の法令により指導される。
国家保安機関の活動はまた、ベラルーシ共和国の国際条約に従っても実施される。
第5条 国家保安機関の活動の原則
国家保安機関の活動は、以下の原則で実施される。
- 適法性
- 個人の権利と自由の尊重及び遵守
- 人道主義
- 国家保安機関システムの統一及びその統制の中央集権化
- 活動の公然及び非公然の方法及び手段の組合せ
- 政党その他の社会団体の活動からの独立
第6条 自然人及び法人の権利と法的利益の遵守
国家保安機関の活動においては、ベラルーシ共和国法により規定された場合を除き、個人の権利と自由の制限は許されない。
国家保安機関又はその責任者によりその権利と自由が侵害されたとみなす者は、上級の国家保安機関、検察庁又は裁判所にその行為を不服申立する権利を有する。
法人及び自然人は、国家保安機関からその権利と自由の制限に関する説明を受ける権利を有する。
国家保安機関の活動過程において得られた私生活に関する情報は、ベラルーシ共和国の法令により規定された場合を除き、自然人の書面による同意なくして、国家保安機関により報道されることはない。
国家保安機関職員が個人の法的権利と自由を侵害した場合、しかるべき国家保安機関の指導者は、これら権利と自由の擁護及び回復、与えられた損害の賠償及び有責者のベラルーシ共和国の法令により定められた責任の追及に関する措置を採択する義務を有する。
第7条 国家保安機関に関する情報の保護
国家保安機関の軍務(業務)に採用され, 並びに国家保安機関の活動において国家秘密を構成する情報を閲覧するベラルーシ共和国市民は、ベラルーシ共和国の法令に別の秩序が規定されていない限り、当該情報の閲覧手続を受ける。
国家保安機関の活動において国家秘密を構成する情報を閲覧したベラルーシ共和国市民は、その流布の場合、ベラルーシ共和国の法令により規定された責任を負う。
国家保安機関の常備要員、その秘密協力者、並びに対外諜報、防諜、及び捜査活動の実施の組織、戦術、方法及び手段に関する保護される情報を含む文書及び資料は、ベラルーシ共和国国家保安委員会の公文書庫の保管の対象となる。
歴史的及び科学的価値を提供する国家保安機関の公文書資料は、ベラルーシ共和国の法令により定められた秩序において、秘密解除され、ベラルーシ共和国国家公文書庫の保管に移管される。
第2章 国家保安機関の基本任務及び活動方針
第8条 国家保安機関の基本任務
国家保安機関の基本任務は、以下のことである。
- ベラルーシ共和国の独立及び領土保全の擁護、政治、経済、軍事戦略、科学技術、情報、人道及び生態学的分野におけるベラルーシ共和国の国家安全保障
- ベラルーシ共和国の国家安全の状態問題に関するベラルーシ共和国大統領及びその委任によりしかるべき国家機関その他の組織への通報
- ベラルーシ共和国の政治、社会・経済発展及び科学技術の進歩に関する措置の実現における国家機関その他の組織への協力に関する措置の立案及び実施
- その管轄内における対外諜報の組織及び実施
- 外国国家の特殊機関及び組織、並びに個人のベラルーシ共和国の国家安全を害することに向けられた諜報その他の活動の予防、摘発及び阻止
- その管轄内におけるテロリズム、組織犯罪及び汚職、密輸、不法移民、麻薬、向精神剤及びその原料、武器、核物質及びその構成要素、並びに輸出監督のその他の対象の不法流通対策
- ベラルーシ共和国の法令によりその捜査及び予審が国家保安機関の管轄に属する犯罪の予防、摘発、阻止及び究明
- ベラルーシ共和国の法令により規定された国家秘密保護分野における権限の実現
- 政府及び作戦通信による国家機関その他の組織の保障、並びにベラルーシ共和国及びその国外に存在するベラルーシ共和国の組織における暗号、秘匿及びコード化-通信の暗号学的及び工兵技術的安全の組織及び保障、同活動に対する国家監督の実施
ベラルーシ共和国の法令により規定されていない任務の遂行に、国家保安機関を参加させることは禁じられる。
第9条 国家保安機関の活動
国家保安機関の活動の基本方針は、以下のことである。
- 防諜活動
- 対外諜報
- 犯罪対策
- 政府及び作戦通信の組織
国家保安機関の活動、その使用する方法及び手段は、個人、自然人及び法人の財産を害し、並びに環境を害してはならない。
防諜活動及び対外諜報実施の組織、戦術、方法及び手段に関する情報は、国家秘密に属する。
第10条 防諜活動
防諜活動とは、外国国家の特殊機関及び組織、並びに個人のベラルーシ共和国の国家安全を害することに向けられた諜報その他の活動の予防、摘発及び阻止に関するその権限内における国家保安機関の活動である。
国家保安機関による防諜活動実施のための事由は、以下のことである。
- 外国国家の特殊機関及び組織、並びに個人のベラルーシ共和国の国家安全を害することに向けられた諜報その他の活動の徴候に関するデータの存在
- 財政・金融システム、国防複合体、輸送機関及び通信施設、その他の戦略施設、並びに優先科学開発の安全の保障の必要性
- 国家秘密を構成する情報の保護の保障の必要性
- 国家保安機関の秘密協力者の研究(検査)の必要性
- 国家保安機関及びその職員の活動のためのしかるべき条件の保障
防諜活動実施の際の捜査措置実施の非公然の方法及び手段の使用は、捜査活動に関するベラルーシ共和国の法令に従い実施される。
第11条 対外諜報
国家保安機関は、その管轄内において、対外諜報に関するベラルーシ共和国の法令に従い、政治、経済、軍事戦略、科学技術、情報、人道及び生態学的分野において、対外諜報を実施する。
対外諜報実施の際の非公然の方法及び手段の使用秩序は、ベラルーシ共和国国家保安委員会の規範法令により定められる。
第12条 犯罪対策
国家保安機関は、ベラルーシ共和国の法令に従い、テロ活動、組織犯罪及び汚職、密輸、不法移民、麻薬、向精神剤及びその原料、武器、核物質及びその構成要素、並びに輸出監督のその他の対象の不法流通、その捜査及び予審がベラルーシ共和国の法令により国家保安機関の管轄に属するその他の犯罪の予防、摘発、阻止及び究明、並びに不法武装部隊、組織犯罪集団及び犯罪組織、ベラルーシ共和国の憲法体制の暴力的打倒又は変更、人種、民族又は宗教的敵意又は反目の扇動をその目的とする個人及び社会団体の予防、摘発及び阻止に関する捜査措置を実施する。
犯罪対策において、国家保安機関は、ベラルーシ共和国の法令により定められた秩序において、他の法保護機関と協同する。
犯罪対策分野における国家保安機関の活動は、ベラルーシ共和国の法令に従い実施される。
第13条 政府及び作戦通信
政府(電話及び文書)及び作戦(電話)通信は、伝達される情報の機密性を補償する特殊電気通信システムである。
政府通信は、国家機関の利益において組織される。
作戦通信は、法保護機関の利益において組織される。
国家保安機関の政府通信部署は、政府及び作戦通信により国家機関その他の組織を保障し、並びにベラルーシ共和国及びその国外に存在するベラルーシ共和国の組織における暗号、秘匿及びコード化通信の暗号学的及び工兵技術的安全の保障に関する共和国国家統制機関その他の組織の活動を組織し、同活動に対する国家監督を実施する。
政府及び作戦通信の組織原則及び使用秩序は、ベラルーシ共和国の法令により規定される。
第3章 国家保安機関の権限
第14条 国家保安機関の権利
第15条 国家保安機関の義務
第16条 武器、特殊手段及び物理的戦力の使用
国家保安機関職員には、戦闘及び業務用武器及び特殊手段の保管及び携帯が許可される。ベラルーシ共和国の法令により規定された場合と秩序において、職員は、武器、特殊手段及び物理的戦力を使用する権利を有する。
第4章 国家保安機関の戦力及び手段
第17条 他の国家機関、社会団体、外国国家の組織、その他の組織及び自然人と国家保安機関の協同
第18条 国家保安機関職員
第19条 国家保安機関職員の法的保護
第20条 国家保安機関職員とその家族の一員の身辺安全の保障
国家保安機関は、その生命、健康、名誉、尊厳及び財産に対する職務活動と関連した犯罪侵害から自職員及びその家族の一員の個人的安全を保障する義務を有する。
国家保安機関職員及びその家族の一員の個人的安全の保障に関する措置は、その生命、健康及び所有への現実的脅威が存在する際に採択される。
国家保安機関職員及びその家族の一員の生命、健康及び財産の防護の保障のために、具体的な事情を考慮して、以下の措置が採択される。
- 身辺警護、住居及び財産の警備
- 武器、特殊個人防護手段の交付及び危険に関する通知
- 安全な場所への一時収容
- 職員及びその家族の同意による他の勤務地(職場)への異動又は教育地の変更若しくは他の居住地への移転
- パスポートのデータの変更及び文書の交換
個人的安全措置の実現の目的において、捜査活動に関するベラルーシ共和国の法令に従い、捜査措置を行うことができる。
第21条 国家保安機関職員の社会的保護
第22条 国家保安機関の協力者
第23条 国家保安機関の情報保障
第24条 国家保安機関の武装及び装備手段
第25条 国家保安機関の会計及び物的・技術保障
第5章 国家保安機関の活動に対する監督
第26条 国家保安機関の活動に対する監督
国家保安機関の活動に対する監督は、ベラルーシ共和国とベラルーシ共和国が委譲した権限内においてベラルーシ共和国閣僚会議が実施する。
第27条 検事監督
国家保安機関によるベラルーシ共和国の法律その他の法令の正確かつ画一的な遵守に対する監督は、その管轄内において、ベラルーシ共和国検事総長及びその従属検事が実施する。
第6章 雑則
第28条 本法の施行
本法は、その公布日から施行する。
第29条 本法と規範法令の一致
ベラルーシ共和国閣僚会議に、規範法令を本法に一致させること。
第30条 本法採択と関連した若干の法令の失効の承認
本法の採択と関連して、以下のものを失効したものとみなすこと。
- 1991年10月23日付「ベラルーシ共和国国家統制機関システムにおける変更に関する」ベラルーシ共和国法(ベラルーシ共和国最高会議公報、1991年、第32号、583ページ)
- 1992年1月15日付「ベラルーシ共和国国家保安委員会に関する暫定規程に関する」ベラルーシ共和国最高会議決定(ベラルーシ共和国最高会議公報、1992年、第6号、113ページ)
最終更新:2008年01月25日 21:14