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【お人形を直す①】

『黄金は熱い炉の中で試され、友情は逆境の中で試される』
おとうさんがよっ払うとたまに言い出す言葉です。たぶん誰かの受け売りです。

今日は一日設計図とにらめっこしました。辞書を引きながらですがなんとか読めます。
解読した文をひたすら書き写していたら手がぷるぷるしてきました。
「ちょっと休憩したら?」
横にいた妖精さんがお茶を持ってきて言いました。ありがとうと言ってお茶を飲みます。梅こんぶ茶でした。

私が何をしているかというと、壊れた人形を直すために読み慣れない設計図を解読している所です。
冒険者さん達におんがえしする大チャンス!と思って引き受けてはみたものの想像以上に大変そうです。
今日は暇な妖精さんに横にいてもらって一緒に設計図を解読しました。

『この人形は正体も分からないですしぃー…必ず誰か大人の人か妖精さんと一緒に作業してくださいね!
それとぉー出来なくても気にしないでくださいね!なんかすんごく複雑そうな人形ですし!』

たぶんギニアスお兄ちゃんやルークお兄ちゃんや金髪のお兄ちゃんが直したほうが私より早いのだろうけど、
この仕事は絶対に私がやらなくては。私があの凄腕の冒険者さん達におんがえし出来るチャンスはめったにないのだから。

『期待してるわよ』『機械の人形を直すの?何だか凄いなあ』と冒険者のお姉ちゃんやティナお姉ちゃんも私を信じてくれたみたいだし、
『出来た娘なのだ』『子供の成長は早い』とシャドームーンお兄ちゃんやカメラを持ったお兄ちゃんにも褒められたので頑張って絶対に完成させなくちゃ。

冒険者さん達の言葉を思い出したらなんだかやる気が出てきました。
そのためにも今はこの人形がどうすれば元通りになるのかひたすら辞書と設計図とにらめっこ。
私は梅こんぶ茶を飲み干すと設計図をもう一度手に取りました。

『黄金は熱い炉の中で試され、友情は逆境の中で試される』
私のおんがえししようという気持ちもきっとここで試されているのです。


【お人形を直す②】

「あれ?カジコさん、ここの『フィジカルリアクター』って接続する場所が違うんじゃないですか?
これだと掌部に繋がりませんよ」
武器製作妖精さんが設計図を指差しながら首をひねります。あ、本当だ。
「ありがとう・・・えっとじゃあ『擬似太陽炉制御装置』がこっちになるのかな?」
「そうですね、設計図から見てもそうだと思います」
今日も一日工房を借りて人形を直しています。少しずつですが、形になってきました。

「それにしても部品の意味は分かりませんが、美しい人形ですね」
うっとりしながら武器製作妖精さんがつぶやきます。
「うん、私も最近好きになってきたんだ、この人形」
最初の頃は怖かったけど、直していくにつれてなんだか愛着がわいてきたみたいです。
「ところでこれって完成したら何が出来るんでしょうか?人形の武器ですか?」
・・・それは私が聞きたいです。

「こんばんは!しがないガイドです!お疲れ様ですカジコちゃん!どうですか?人形の修復具合は!」
妖精さんが工房に宙返りしながら入ってきました。・・・せっかくだから聞いておこうかな。
「こんばんはガイドさん、作業は順調です。あの、聞き忘れてたんですけどこの人形ってどんな人形なのかな?
完成したら冒険者さん達の役に立つ・・・かな?」
「ふっふっふっ・・・よくぞ聞いてくれました!」
ガイドさんが力強くサムズアップ。いつもながら元気だなぁ・・・。
「トカゲの人も狙っていた上に!部品も高価で取引されているこの人形!それが完成するならば!」
完成するならば?もしかして物凄いアイテムに?それとも何か凄い秘密が・・・。

「・・・高く売れるかなーなんて・・・えへ、えへへへへへ・・・。
最近武器も防具も製作LVが上がりづらくなってるしぃー・・・金貨50枚くらいの価値になるかなってぇ・・・えへへへへ・・・」
・・・えっと、冒険者さんの役に立つならいいんだけど・・・目が金貨になってます・・・ナージャお姉ちゃんみたいになってます・・・。
最終更新:2010年12月10日 22:57