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ユリナスの宗教と魔法史




初期人類は魔法使いが率いる集団が他を圧倒した。
しかし魔法使いの能力は世襲されない。そのため魔法使いの代が途切れることをきっかけに世襲される首長の権力が継承されることが多かった。このため、魔法の力の強いところでは魔法使いがつぎの魔法使い首長を指名する魔法制の集団が、弱いところでは王族を中心とする集団がうまれやすかった(王権と魔法団体の分離)。
魔法使いは能力が高いため、魔法使いを生み出すための仕組みが考えられた。魔法使いがうまれやすい土地、というものがあることはわかっていた。
初期のころに、偉大な魔法使いの経験を追体験させることで新たな魔法使いを教育するシステムが考えられた。これは「民族の経験」を追体験させるための「民族の祭り」とリンクした。

イリディアはヒト族が魔法の濃い土地に進出するとそこに誕生する。
イリディアを味方にした集団は魔法使いを抱く集団と同等以上に有力であった。
イリディアによる悪徳魔法使いの抑制。

ノミネスは、イディオパ地方の極めて優秀な魔法使いであった。彼女は彼女の部族を率い、イディオパ~ミンディオパの広い地域を統治した。彼女は部族を越えた統治をするために有効なルールを多数残し、それはノミネスの言葉として伝えられた。彼女は自分たちの部族の始源神オートムを信仰していた(古ノミネス教)。彼女の魔法能力を伝えるため、祭りを通して新たな魔法使いを教育するシステムが発達し、毎年有能な魔法使いの卵を「ノミネス役」とし、イディオパ~ミンディオパを移動する大規模な祭りが執り行われた。
ノミネス200年後のノミネス役がヴィレヌ・マリミトである。彼女はノミネスの言葉をより深く理解し、部族を越えた人間真理に到達する洞察により、魔法とは直接には関係しない、人が生きるための物語を作った(原ノミネス教)。彼女の祭りに付き従った男性アルオン・ビクティムにより、教えはダスフ地方へ拡大した(初期パスタミネス教)。一方女性ミムレヌ・パム・サマフィラーゼにより、原ノミネス教の体系が深化した。

原ノミネス教は魔法使いがつぎの魔法使いを指名する魔法使いリーダーのシステムを作り上げた。しかしこれは魔法の色濃い地域でしかできないことであり、イディオパ以東の限定された地域にしか拡大しなかった。「学べ・汝の好きなことをせよ」という思想はここの魔法使いに浸透した。

パスタミネス教は、魔法使いを生み出す祭りを洗練させ、教団を作り上げた。そこでは幼少時から見込みのある者を「画一的な」魔法使いにする、修行のシステムが完成した。これがパスタミネス僧院のはじまりであった。僧院はノミネス-ヴィレヌの教えを布教する役割も果たした。オートムは不可触の偉大なる世界神であり、ノミネスとヴィレヌはその使徒と考えられた。偶像崇拝や聖人信仰は受け入れられ、各地方の神をも使徒の形で取り込んでいった。
僧院は世界に必要な魔法の力を一手に引き受けていたが、そのために非常に強大な権力を持っていた。時として傲慢になり王を傀儡として圧政をすることがあった。民衆が対抗するには在野の魔法使いあるいはイリディアを味方とするしかなく、僧院は時として魔法使いやイリディアを弾圧することがあった。

当時セクレア大陸はほとんどエルモス族であった。パスタミネス僧院はセクレア大陸へ航海し、交易できるようになると、セクレアへの布教(侵攻)を開始した。エルモス族は土着の信仰を持っていた。魔法使いやイリディアもいたが、魔法の力では僧院に圧倒された。エルモス族の王トーリはネリと呼ばれる伝説のイリディアに率いられて北へ逃れた。トーリは神の言葉を得て、神の子を先頭に約束の土地を目指そう、と言った。この大移動は彼らの言葉によって「シシステ」(天使の翼)と呼ばれた。イリディアの翼を模した飾りをつけた杖を先頭に立て、彼らは北へ移動し、スタテアの地へたどり着いた。トーリの「ネリとの約束」を軸に彼らはシシステム教を成立させた。シシステム教はエルモス民族的な宗教であり、戒律を元にして年間にいろんな祭りと斎戒期間が設けられた。有名な「春の禁欲期間」は、エルモス族の赤子が寒さに弱いため、季節のあるスタテアにおいては、冬にうまれた子の死亡率が高かったことに由来するらしい。ネリはエルモス族が無事スタテアに着いたあと役目を終えるかのように消えてしまったと伝えられる。シシステム教はネリの純白の翼を象徴として奉り、ネリの約束とトーリの教えを元に教義を作り上げていった。
スタテアは比較的魔法の色が薄い土地であり、エルモス族のわずかな魔法使いをすべてシシステの教会へ集め、国事のみにあたらせていた。もとよりイリディアもほとんど現れないが、イリディアへの宗教的偏愛はむしろイリディアを遠ざけることになった。

スタテアから追われたパスタス族、および在野のわずかな魔法使いはセクレア大陸中央高地を目指し、そこでパスタミネス教とシシステム教双方の影響を受けエルノミネス教を成立させた。もともと中央高地は魔法の色が濃く、魔法使いが伝承する土着の宗教が育っていた。エルノミネス教は僧院へ対抗する必要もあり、魔法使いが魔法使いとして成長できるシステム(クオリアの確認)を少しずつ作り上げることとなった。一方教義としては雑多であり、魔法使いを軸としてもともとの土着宗教を尊重する形となった。信仰の対象は土着の神々、イリディアとシシステ、ノミネス、ヴィレヌ、すべてが含まれており、教義の整合性を取るために魔法使いや神主が常に神論を戦わせることともなった。

セクレア東岸地域は世界的に見て、ダルネシアのイディオパ地方と並びもっとも魔法の色が濃い地域であり、古代に魔法使いを軸とする帝国が作られた。しかし、帝国が内部から崩壊する時期に、北方へエルノミネス教が、南方へパスタミネス教が入り込むことになった。エルノミネス教は柔軟に帝国の神道と融合し、帝国の「僧」(パスタミネス教と同様の経緯で画一的な魔法能力を育てる「僧院」が作られていた)とエルノミネス流の自己流魔法使いが共存することになった。また、帝国末期の優秀な魔法使いカゾリフは、帝国末期の混乱を収め、エルノミネス教の神話と教義を完成させ(愛・真心・信じる心)、教義によってゆるやかにまとまる共和国(のようなもの)を成立させた。カゾリフはまた世界でもっとも魔法の色が濃いイナム地方に魔法使いを育てるための同盟を立ち上げた。カゾリフもまた神話の一部となった。
パスタミネス教が入った南方では、僧院が圧倒的な力を持つことになった。帝国の機構を受け継ぎ、中央集権的に南方を統一した。初期の魔法使いとイリディアによる抵抗は鎮圧され、南方では在野の魔法使いは許されず、才能を示した子供を強制的に徴発し、僧院で徹底的に教育するシステムを取った。

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最終更新:2007年11月09日 11:55
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