#CONTENTS ---- ** 【質問】 他国と日本の地方財政の歳出の特徴は何ですか? 【回答】 「地方財政システムの国際比較について」の「第1章 地方行政・財政状況の概観(p19)」(http://www.mof.go.jp/jouhou/soken/kenkyu/zk058/zk058b.pdf)によれば >単純な比較は困難であるが、共通して大きなウェイトを占めているのは、教育や社会福祉関係の歳出となっている。 >特徴的なものとしては、医療を保健サービス方式で行なっているカナダ、およびスウェーデンの2カ国で、医療費のウェイトが非常に大きく、カナダの州では歳出の3割、スウェーデンの県では実に歳出の9割をも、これで占めている。また、イギリスでは、公営住宅が低所得者以外も対象としていることから、住宅費のウェイトが大きい。 >我が国の特徴を挙げれば、前述したように公的資本形成が大きいことから、県・市町村ともに土木のウェイトが高く、また、農林水産、商業・工鉱業などの産業開発関係のウェイトも大きい。 とのこと。 また、各国の歳出の内訳については、 ・日本 > 日本(都道府県のみ)(1999) > 土木 21% > 社会福祉・社会保障・衛生・労働 12% > 教育 22% > 市町村交付金 5% > 警察 6% > 商業・工鉱業 7% > 農林水産 9% > その他 18% > 日本(市町村のみ)(1999) > 農林水産 4% > 商業・工鉱業 4% > 消防 3% > 社会福祉・社会保障・衛生・労働 33% > 教育 11% > 土木 19% > その他 26% ・イギリス > イギリス(イングランド全自治体)(1998) > 住宅 16% > 対人社会福祉サービス 15% > 教育 29% > 消防 2% > 交通 6% > 警察 9% > その他 23% ・ドイツ > ドイツ(州のみ)(1996) > 保健・スポーツ 5% > エネルギー・水利・商工業 4% > 運輸・通信 3% > 住宅・都市計画 3% > 教育・科学 31% > 警察等 9% > 社会保障 11% > その他 34% > ドイツ(市町村のみ)(1996) > 保健・スポーツ 23% > 教育・科学 15% > 社会保障 27% > 住宅・都市計画 3% > 警察等 5% > 運輸・通信 5% > ごみ処理・下水道等 14% > その他 8% ・スウェーデン > スウェーデン(県のみ)(1999) > 医療88% > 専門教育・文化 3% > その他 9% > スウェーデン(市町村のみ)(1999) > 個人・家族ケア 8% > 水道、治安等 8% > 文化 3% > レジャー 3% > 教育 32% > 児童ケア 13% > 高齢者・障害者ケア 30% > その他 3% ・アメリカ > アメリカ(州のみ)(1997) > 病院 4% > 矯正 4% > 保健 3% > 天然資源 2% > 公共福祉 24% > 道路 7% > 教育 16% > その他 40% > アメリカ(地方政府のみ)(1997) > 道路 5% > 公共福祉 4% > 下水・公衆衛生 3% > 保健 3% > 教育 43% > 病院 5% > 警察 6% > その他 31% ・カナダ > カナダ(州のみ)(2000) > 環境 1% > 輸送・コミュニケーション 4% > 資源保護・産業開発4% > 警察等 4% > 住宅 1% > 医療 30% > 社会福祉 16% > 教育 20% > レクリエーション・文化 1% > その他 19% > カナダ(地方政府のみ)(2000) > 医療 2% > 警察等 16% > 環境 14% > 輸送・コミュニケーション 19% > 地域開発 2% > 住宅 3% > レクリエーション・文化 11% > 社会福祉 13% > 資源保護・産業開発 2% > その他 18% 発表年月が平成14年6月であることに留意する。 ---- ** 【質問】 日本の地方財政の土木費の歳出はどのようになってますか? 【回答】 「平成21年版地方財政白書」の「第1部 平成19年度の地方財政の状況 第1章 平成19年度の決算状況 4 地方経費の内容」(http://www.soumu.go.jp/menu_seisaku/hakusyo/chihou/21data/21czb1-1-4.html)によれば >地方公共団体は、地域の基盤整備を図るため、道路、河川、住宅、公園等の公共施設の建設、整備等を行うとともに、これらの施設の維持管理を行っている。 >これらの諸施策の推進に要する経費である土木費の決算額は9年連続で減少しており平成19年度は前年度と比べると3.3%減(前年度3.9%減)の13兆3,907億円となっている。 >また、土木費の歳出総額に占める割合は15.0%(都道府県13.8%、市町村14.6%)となっており、歳出総額の中で民生費及び教育費に次いで大きな割合を占めている。 >土木費の目的別の内訳をみると、街路、公園、下水道等の整備、区画整理等に要する経費である都市計画費が最も大きな割合(土木費総額の38.4%)を占め、以下、道路・橋りょうの新設、改良等に要する経費である道路橋りょう費(同31.5%)、河川の改修、海岸の保全等に要する経費である河川海岸費(同11.0%)の順となっている。 >目的別の構成比を団体種類別にみると、都道府県においては道路橋りょう費が最も大きな割合(39.7%)を占め、以下、都市計画費(20.1%)、河川海岸費(20.1%)の順となっている。 >一方、市町村においては都市計画費が最も大きな割合(55.3%)を占め、以下、道路橋りょう費(23.7%)、住宅費(8.6%)の順となっている。 >(中略) >なお、地方公共団体は、交通事故等の防止を図るため、交通安全施設の設置及び補修、交通安全運動の推進等の道路交通安全対策事業を実施している。道路交通安全対策費として支出された経費(土木費以外の費目に係るものを含み、人件費を除く。)は4,993億円で、前年度と比べると2.5%減(前年度0.6%減)となっている。 >道路交通安全対策経費の内訳をみると、横断歩道や道路標識等交通安全施設の設置費の構成比が最も大きな割合(76.6%)を占め、以下、交通安全運動等(15.4%)、施設補修費(8.0%)の順となっている ---- ** 【質問】 日本の地方財政の教育費の歳出はどのようになってますか? 【回答】 「平成21年版地方財政白書」の「第1部 平成19年度の地方財政の状況 第1章 平成19年度の決算状況 4 地方経費の内容」(http://www.soumu.go.jp/menu_seisaku/hakusyo/chihou/21data/21czb1-1-4.html)によれば >地方公共団体は、教育の振興と文化の向上を図るため、学校教育、社会教育等の教育文化行政を行っている。 >これらの教育施策の推進に要する経費である教育費の決算額は16兆4.318億円で、前年度と比べると0.2%減(前年度0.6%減)となっている。 >また、教育費の歳出総額に占める割合は18.4%(都道府県23.9%、市町村10.7%)となっており、歳出総額の中で民生費に次いで大きな割合を占めている。 >教育費の目的別の内訳をみると、小学校費が最も大きな割合(教育費総額の30.1%)を占め、以下、中学校費(同17.3%)、教職員の退職金や私立学校の振興等に要する経費である教育総務費(同16.0%)、高等学校費(同14.5%)の順となっている。 >(中略) >目的別の構成比を団体種類別にみると、都道府県においては小学校費が最も大きな割合(33.5%)を占め、以下、高等学校費(19.5%)、中学校費(19.0%)の順となっている。 >また、市町村においても、小学校費が最も大きな割合(22.4%)を占め、以下、保健体育費(20.8%)、社会教育費(20.4%)の順となっている。 ---- ** 【質問】 日本の地方財政の民生費(社会福祉に当たる)の歳出はどのようになってますか? 【回答】 「平成21年版地方財政白書」の「第1部 平成19年度の地方財政の状況 第1章 平成19年度の決算状況 4 地方経費の内容」(http://www.soumu.go.jp/menu_seisaku/hakusyo/chihou/21data/21czb1-1-4.html)によれば >地方公共団体は、社会福祉の充実を図るため、児童、高齢者、心身障害者等のための福祉施設の整備及び運営、生活保護の実施等の施策を行っている。 >これらの諸施策の推進に要する経費である民生費の決算額は、制度改正や自然増などにより社会保障関係経費が増加したこと等により、前年度と比べると4.4%増(前年度3.6%増)の16兆9,761億円で、歳出総額の19.0%(都道府県10.9%、市町村28.1%)を占め、歳出総額の中で最も大きな割合を占めている。 >民生費が増加している背景としては、児童手当制度の拡充や障害者自立支援法の本格施行等があげられる。 >なお、決算額を団体種類別にみると、市町村の民生費は都道府県の2.6倍となっている。 >これは、児童手当支給事務及び社会福祉施設の設置・運営事務が主として市町村によって行われていることや、生活保護に関する事務が市町村(町村については、福祉事務所を設置している町村に限る。)によって行われていること等によるものである。 >民生費の目的別の内訳をみると、第37図のとおりであり、児童福祉費が最も大きな割合(民生費総額の30.0%)を占め、以下、知的障害者等の福祉対策や他の福祉に分類できない総合的な福祉対策に要する経費である社会福祉費(同28.1%)、老人福祉費(同25.0%)、生活保護費(同16.8%)、非常災害によるり災者に対して行われる応急救助、緊急措置に要する経費等の災害救助費(同0.1%)の順となっている。 >また、各費目の決算額を前年度と比べると、児童福祉費が4.0%増(前年度4.1%増)、社会福祉費が7.6%増(同5.6%増)、老人福祉費が4.5%増(同2.9%増)、生活保護費が0.3%減(同1.5%増)、災害救助費が199.3%増(同68.5%減)となっている。 >これらの各費目を10年前(平成9年度)の決算額と比べると、生活保護費が1.58倍、児童福祉費が1.44倍、社会福祉費が1.37倍、老人福祉費が1.10倍と高い伸びを示しており、民生費総額の伸び(1.33倍)が歳出純計決算額の伸び(0.91倍)を上回る要因となっている。 >目的別の構成比を団体種類別にみると、都道府県においては老人福祉費の構成比(38.2%)が最も大きく、以下、社会福祉費(37.9%)、児童福祉費(19.0%)、生活保護費(4.6%)の順となっている。 >また、市町村においては児童福祉費の構成比(34.2%)が最も大きく、以下、社会福祉費(26.2%)、老人福祉費(19.8%)、生活保護費(19.7%)の順となっている。 >民生費の性質別の内訳をみると、生活保護に要する経費、児童手当の支給に要する経費等の扶助費が最も大きな割合(民生費総額の45.4%)を占め、以下、国民健康保険事業会計(事業勘定)、介護保険事業会計(事業勘定)、老人保健医療事業会計等に対する繰出金(同18.5%)、補助費等(同16.0%)、人件費(同11.3%)、物件費(同4.9%)、普通建設事業費(同2.1%)の順となっている。 >(中略) >都道府県においては825億円(民生費の扶助費総額の13.0%)、市町村においては1兆2,328億円(同17.4%)が単独施策分となっている。 >これを目的別にみると、都道府県においては社会福祉費の23.2%、老人福祉費の100.0(99.99)%、児童福祉費の9.3%が単独施策分となっており、市町村においては社会福祉費の26.6%、老人福祉費の94.8%、児童福祉費の21.6%が単独施策分となっている。 >(中略) >これによると、昭和55年度は一般財源等と国庫支出金の割合がほぼ同じであったが、民生費における単独施策の充実、民生費に係る国庫補助負担率の引下げ等を背景に、民生費の増加分の多くを一般財源等の充当で対応してきた結果、近年は一般財源等の割合が増加し、国庫支出金の約3倍の割合となっている。 ---- ** 【質問】 日本の地方財政の労働行政(労働に当たる)の歳出はどのようになってますか? 【回答】 「平成21年版地方財政白書」の「第1部 平成19年度の地方財政の状況 第1章 平成19年度の決算状況 4 地方経費の内容」(http://www.soumu.go.jp/menu_seisaku/hakusyo/chihou/21data/21czb1-1-4.html)によれば >地方公共団体は、就業者の福祉向上を図るため、職業能力開発の充実、金融対策、失業対策等の施策を行っている。 >これらの諸施策に要する経費である労働費の決算額は2,759億円で、前年度と比べると6.9%減(前年度6.5%減)となっている。 >なお、労働費の歳出総額に占める割合は0.3%(都道府県0.3%、市町村0.3%)となっている。 >労働費の目的別の内訳をみると、失業対策費は労働費総額の2.8%を占め、金融対策、福祉対策、職業訓練等に要する経費であるその他の経費が残りの97.2%を占めている。 >また、各費目の決算額を前年度と比べると、失業対策費が73.9%減(前年度30.2%増)となっており、その他の経費が0.5%増(同9.3%減)となっている。 >目的別の構成比を団体種類別にみると、都道府県においては職業訓練費が50.5%、労政費が41.9%、労働委員会費が5.1%の順となっている。一方、市町村においては失業対策費が3.0%となっている。 >労働費の性質別の内訳をみると、貸付金が最も大きな割合(労働費総額の29.5%)を占め、以下、人件費(同27.2%)、物件費(同18.2%)、補助費等(同14.8%)、普通建設事業費(同6.7%)、積立金(同1.9%)、失業対策事業費(同1.2%)の順となっている。 ---- ** 【質問】 日本の地方財政の衛生に関するの歳出はどのようになってますか? 【回答】 「平成21年版地方財政白書」の「第1部 平成19年度の地方財政の状況 第1章 平成19年度の決算状況 4 地方経費の内容」(http://www.soumu.go.jp/menu_seisaku/hakusyo/chihou/21data/21czb1-1-4.html)によれば >地方公共団体は、住民の健康を保持増進し、生活環境の改善を図るため、医療、公衆衛生、精神衛生等に係る対策を推進するとともに、し尿・ごみなど一般廃棄物の収集・処理等、住民の日常生活に密着した諸施策を実施している。 >これらの諸施策の推進に要する経費である衛生費の決算額は5兆4,358億円で、前年度と比べると1.4%減(前年度3.4%減)となっている。 >また、衛生費の歳出総額に占める割合は6.1%(都道府県2.9%、市町村8.6%)となっている。 >衛生費の目的別の内訳をみると、保健衛生、精神衛生及び母子衛生等に要する経費である公衆衛生費が最も大きな割合(衛生費総額の55.3%)を占め、次いで一般廃棄物等の収集処理等に要する経費である清掃費(同39.8%)となっている。これらの経費を合わせると、衛生費全体の9割以上を占めている。 >目的別の構成比を団体種類別にみると、都道府県においては公衆衛生費が大部分(86.1%)を占め、市町村においては清掃費(51.1%)、公衆衛生費(45.6%)の順となっている。 >また、各費目の決算額を前年度と比べると、公衆衛生費が1.6%減(前年度3.2%減)、清掃費が1.5%減(同3.8%減)、保健所費が3.0%増(同2.7%減)となっている。 >衛生費の性質別の内訳をみると、ごみ処理等の委託に要する経費等である物件費(衛生費総額の32.2%)、清掃関係職員、公衆衛生関係職員の職員給等である人件費(同23.2%)、補助費等(同17.5%)、普通建設事業費(同9.9%)の順となっている。 生活環境保全に関しては >地方公共団体は、身近な生活環境を良好に保全するため、汚水・廃棄物の適正な処理、公害問題への対応、リサイクルの推進等さまざまな施策を推進している。 >これらの諸施策の推進に要する経費(環境基本法(平成5年法律第91号)第2条第3項に規定する「公害」の防止対策に係る経費で、地方公営企業会計に係るものを含む。)の総額は2兆7,514億円(都道府県6,521億円、市町村2兆993億円)で、前年度と比べると6.9%減(前年度8.3%減)となっている。 >なお、生活環境の保全対策のために支出された経費の内容は、第48図のとおりである > 第48図 > 内訳名 支出額(億円) 割合(%) > 公害防止事業費 24,096 87.6 > 内 > 下水道整備事業 20,057 72.9 > 廃棄物処理施設整備事業 2,915 10.7 > 河川、湖沼等の浄化事業 193 0.7 > 緩衝緑地等整備事業 155 0.6 > 地盤沈下対策事業 133 0.5 > その他 643 2.3 > > 一般経費(人件費等) 1,880 6.8 > 公害健康被害補償経費 650 2.4 > 公害規制及び調査研究費 388 1.4 > 公害防除施設整備資金 80 0.3 > その他 420 1.5 > 合計 27,514 100.0 ---- ** 【質問】 他国と日本の地方財政の歳入の構成はどのようになってますか? 【回答】 「地方財政システムの国際比較について」の「第1章 地方行政・財政状況の概観(p13~p19)」(http://www.mof.go.jp/jouhou/soken/kenkyu/zk058/zk058b.pdf)によれば ・日本 >地方歳入に占める地方税の割合は、34%となっており、次いで、一般交付金1が21%、特定補助金が16%、起債収入が13%となっている > 日本の地方自治体の歳入構成(1999) > 地方税 34% > 一般交付金 21% > 特定補助金 16% > 起債 13% > その他 17% ・イギリス >地方税収の比率が12%と他国と比べ極端に低いが、これは、1990 年に、法人に対する地方税を国税化し、それによる税収を地方に再分配する制度改革が行われたことによるものである。 >この再分配される額は、統計上、交付金として計上されており、交付金の比率38%のうち15%がそれに該当する。 > イギリス:地方自治体の歳入構成(1998) > 起債 3% > 特定補助金 23% > 一般交付金 38% > 地方税 12% > その他 23% ・フランス >地方税収の比率が52%と半分を超えている。 >ただし、地方税の減免措置に対する補填として交付される国からの交付金が、フランスの統計上、地方税に含まれてしまっており、それらの影響を除外して試算すると、地方税収の比率は39%以下となり、我が国とそれほど大きな差はない。 >他では、主要な一般交付金である経常総合交付金と地方分権総合交付金の合計で歳入の16%を占めているが、フランスでは、それ以外の交付金や特定補助金のデータが公表されていないため、その他に含めて一括で記載している。 > フランス:地方自治体の歳入構成(1997) > 地方税 52% > 起債 10% > 交付金・補助金・その他 38% ・スウェーデン >地方税収の比率が72%と、非常に高い。 >これは、社会福祉国家の建設に伴う費用増加分を、地方自治体自らが地方税を増税して賄ってきたことの結果であるが、他国と比較する上では、医療費が、社会保険料収入ではなく、地方税によって賄われていることにも留意する必要がある。(医療費に関する財源は、イギリスでは国税、カナダでは州税、スウェーデンは県税として計上されるが、それ以外の国では、社会保障基金部門に計上される。) > スウェーデン:地方自治体の歳入構成(2000) > 交付金・補助金 18% > 地方税 72% > その他 10% ・ドイツ >州・地方税収の比率が55%と、歳入の半分以上を占めている。 >これを、州と市町村別で表したものが、図1-13である。 >一般に、連邦制国家は州の権限が強く、単一制国家より税収の割合が高いと考えられるが、ドイツでもこの傾向が強く、州単独で見た場合の、歳入に占める州税収の割合は58%と高い。一方、市町村単独でみた場合には、地方税収割合は、32%にすぎず、我が国と同程度である。 > ドイツ:州・地方政府の歳入構成(1998) > 起債 15% > 特定補助金 5% > 一般交付金 3% > 州・地方税 55% > その他 22% > 図1-13 ドイツ:州・市町村別歳入構成(1998) > 内訳 州(%) 市町村(群も含む)(%) > 州・地方税 58.2 31.6 > 一般交付金 4.7 17.7 > 特定補助金 7.4 12.5 > 起債 17.5 5.9 > その他 12.2 32.3 ・アメリカ >州・地方税収の比率は46%と比較的高いが、ドイツと同様、地方政府だけの歳入>構成で見た場合(図1-15)は、税収割合は33%と、我が国とほぼ同じになる。尚、アメリカには連邦からの一般交付金はなく、全てが使途の特定された補助金となっている。(地方政府の交付金・補助金34.4%のうち、9割以上が州からのものである) > アメリカ:州・地方政府の歳入構成(一般会計のみ)(1998) > 州・地方税 46% > 特定補助金 15% > その他 39% > 図1-15 アメリカ:州・地方政府別歳入構成(一般会計のみ)(1998) > 内訳 州(%) 地方政府(%) > 州・地方税 43.4 33.2 > 交付金・補助金 - 34.4 > 連邦からの補助金 22.0 - > その他 34.6 32.4 ・カナダ >州・地方税の比率が65%とかなり高くなっているが、これは、スウェーデンと同様、医療費が州税で徴収されていることによる影響が大きい。(州・地方の歳出比は、7:3となっており、このうち、州の歳出の約3分の1が医療にかかわる支出 となっている。) >州・地方政府別(図1-17)でみると、州の地方税収の割合は65%となっているが、地方政府のみで見た場合には、他の連邦制国家と同様、州に比べ低く、約4割となっている。また、交付金・補助金のうち、州は一般交付金中心であるのに対し、市町村は特定補助金が中心となっていることがわかる。 > カナダ:州・地方政府の歳入構成(一般会計のみ)(2000) > 特定補助金 2% > 一般交付金 11% > 州・地方税 65% > その他 22% > 図1-17 カナダ:州・地方政府別歳入構成(一般会計のみ)(2000) > 内訳 州(%) 地方政府(%) > 州・地方税 64.7 41.7 > 一般交付金 12.3 1.5 > 特定補助金 2.6 39.5 > その他 20.5 17.3 発表年月が平成14年6月であることに留意する。 ---- ** 【質問】 日本と他国の地方の税収の構成の特徴は? 【回答】 「地方財政システムの国際比較について」の「第2章 地方税制の国際比較(p40)」(http://www.mof.go.jp/jouhou/soken/kenkyu/zk058/zk058c.pdf)によれば >各国別に、州・地方税の税収構成を見てきたが、これらは、おおまかにみて、以下の4つのタイプに分類できる。 >① 資産課税中心型= イギリス、フランス、アメリカ(地方政府)、カナダ(地方政府) >② 個人所得課税中心型2 = スウェーデン、ドイツ(市町村) >③ 個人所得課税+消費課税中心型 =連邦制国家の州 >④ その他 = 日本 ---- ** 【質問】 日本と他国のそれぞれの地方の税収の構成の特徴は? 【回答】 「地方財政システムの国際比較について」の「第2章 地方税制の国際比較(p40)」(http://www.mof.go.jp/jouhou/soken/kenkyu/zk058/zk058c.pdf)によれば ・日本 >日本の地方税は、バラエティに富んでおり、ほぼ全ての課税ベースが、2割を超える構成比をもっている。 >個人所得課税としては、住民税(所得割)、法人所得課税としては、住民税(法人税割)および、事業税などが課税されている。また、資産課税では、固定資産税、都市計画税などが該当し、消費課税としては、地方消費税などが該当する。 > 日本:地方税の税収構成(1998) > 消費課税 20.8% > 資産課税 31.1% > 法人所得課税 20.7% > 個人所得課税 26.5% > その他 1.0% >注・資産課税には、資産性所得課税は含まない。 ・イギリス >図2-11は、イギリスにおける地方税収の構成を示したものである。 >イギリスでは、地方税目としては、住居に対する固定資産税であるカウンシル税(Council Tax)しか存在しないが、図2-11では、人頭税の過年度未収分が計上されているため、わずかながら、「その他」の額が計上されている。 >かつては、事業用資産に対する固定資産税(=事業用レイト:Non-domesticRates)も地方税として課税されていたが、選挙権のない法人が主たる納税者であることから、その増税によって、有権者である住民に直接の負担を与えずに歳出を増加させることが可能となる点などが問題視され、1990 年に国税化された。これによる税収は、国庫に納められたのち、交付金として、各自治体に交付されている。 > 図2-11 イギリス:地方税の税収構成(1998) > 資産課税 99.5% > その他 0.5% ・フランス >フランスでは、住居税、既建築地不動産税、未建築地不動産税などの資産課税が大きなウェイトを占めている。 >「その他」の項目が大きいが、これは、事業者所有の資産の賃貸価格と、事業者が支払った給与の一定割合とを合算した額を課税標準とする職業税が大きなウェイトを占めていることによる。 >ただし、職業税のうち、支払給与部分に対する課税は、雇用促進の障害となっているとの認識から、2004 年までに段階的に廃止されることが決まっており、今後、職業税は純粋な資産課税に改められる見通しである。 > フランス:地方税の税収構成(1998) > 資産課税 50.6% > 消費課税 10.3% > その他 39.1% ・スウェーデン >スウェーデンでは、地方税目は個人所得税のみとなっている。 >スウェーデンでも19 世紀までは、イギリスやフランス同様、固定資産税中心の税体系であったが、自治体の業務拡大と共に、経済成長に応じた税収の増加が見込める個人所得課税の比重が増し、20 世紀半ばには現在のような個人所得課税中心の税体系が確立している。 > ウェーデン:地方税の税収構成(1998) > 人所得課税 100.0% ・ドイツ >州の税収は、消費課税、個人所得課税が中心となっているが、他の課税ベースからの税収もあり、課税ベースは分散している。ただし、個人所得課税、法人所得課税、消費課税については、いずれも共有税からの税収が大部分を占めており、州独自の税率設定はできない。 >市町村税についても、個人所得課税(共有税である所得税の分配2)からの税収が主体であるが、法人所得課税(営業税)、資産課税(不動産税)、消費課税(共有税である付加価値税の分配)からの税収も存在し、課税ベースの分散が見られる。 >ただし、共有税の市町村への分配は1970 年以降であり、それ以前は、不動産税と営業税からの税収が大半を占め、市町村税の課税ベースは集中していた。営業税は、過去から、税源の偏在が大きい問題点が指摘されており3、この問題を緩和するため、1970 年に、営業税の一定割合を連邦・州へ拠出するかわりに、税源の偏在が少ない所得税(共有税)を市町村にも分配する制度が創設された経緯がある(営業税納付金制度)。 >また、営業税は、当時、営業利益だけでなく、事業者の支払給与や事業者の営業資本をも課税ベースとしていたが、こうした利益に係わらず課税される部分に対しては産業界の反発が強く、1980 年に支払給与部分が廃止され、また98 年には営業資本部分も廃止されている。ナお、支払給与部分廃止の際は、所得税の市町村への分配比率引上げ(14%→15%)と営業税納付率の引下げで財源補填がなされ、また、営業資本部分の廃止の際は、同じく共有税である付加価値税の市町村への分配が開始されている。 >このように、ドイツの市町村税は、一連の、法人課税(営業税)縮小の過程の中で、個人所得課税と消費課税が課税ベースに加わり、結果的に、課税ベースが分散することとなっている。 > ドイツ 州税・市町村税の税収構成(1998) > 州税 > 個人所得課税 43.0% > 法人得課税 6.6% > 資産課税 5.4% > 消費課税 44.9% > 市町村税 > 個人所得課税 63.0% > 法人所得課税 16.1% > 資産課税 15.0% > 費課税 5.7% > その他 0.2% ・アメリカ >州は、憲法上、輸出入税の禁止など一部の例外を除く、あらゆる税の創設が可能であり、この結果、全ての課税ベースからの税収が存在する。中でも、小売売上税を主とする消費課税の比重が大きく、次いで、個人所得課税からの税収が大きい。 >一方、地方政府の課税権は、憲法上の規定ではなく、州から委譲を受ける形となっている。委譲の範囲は州によって異なっており、この結果、全ての課税ベースからの税収が発生しているが、個人所得課税・法人所得課税での委譲は少なく、7割以上の構成比をもつ資産課税が主体となっている。資産課税の主要税目は、財産税(Property Tax)であるが、これは、固定資産に加え、多くの州で流動資産などの有体資産や証券、債券などにも課税されている。 > アメリカ 州税・地方政府税の税収構成(1998) > 州税 > 個人所得課税 33.8% > 法人所得課税 6.6% > 資産課税 4.5% > 消費課税 55.2% > 地方政府税 > 消費課税 20.8% > 資産課税 73.0% > 法人所得課税 1.1% > 個人所得課税 5.2% ・カナダ >州は前述の通り、実際上、連邦と同等の課税権を有しており、あらゆる課税ベースからの税収があるが、中でも個人所得課税(個人所得税については、連邦の個人所得税額を課税標準として採用している州と、課税所得に対し直接州の税率を乗じる州とがある。)、消費課税(小売段階の売上に対してのみ課税する小売売上税が採用されている州と、多段階の売上に対して課税する付加価値税を採用している州とがある。)のウェイトが大きい。 >地方政府については、アメリカと同様、課税権は憲法上の規定ではなく、州からの委譲を受ける形で付与されているが、個人所得課税、法人所得課税での地方政府への委譲はなく、アメリカ以上に資産課税のウェイトが高くなっている。 >資産課税は、主に固定資産税(Property Tax1)の税収からなるが、アメリカの財産税と異なり流動資産や証券、債券などには課税されていない > カナダ 州税・地方政府税の税収構成(1998) > 州税 > 個人所得課税 39.9% > 法人所得課税 9.4% > 資産課税 6.1% > 消費課税 39.0% > その他 5.7% > 地方政府税 > 資産課税 92.1% > 消費課税 1.7% > その他 6.3% 発表年月が平成14年6月であることに留意する。 ---- ** 【質問】 日本と他国のGDPに占める一般財政支出は? 【回答】 社会保障基金を除いたものであれば「総務省|地方財政制度|地方財政関係資料」の「一般政府支出(社会保障基金を除く)の対GDPの国際比較(2007)」(http://www.soumu.go.jp/main_content/000020146.pdf)より > 国名 地方 国 合計 > 公的資本形成 最終消費支出 公的資本形成 最終消費支出 > 日本 2.2% 8.5% 0.3% 2.8% 14.3% > アメリカ 2.2% 9.9% 0.3% 6.3% 18.7% > カナダ 2.7% 15.9% 0.3% 3.4% 22.2% > ドイツ 1.1% 8.5% 0.4% 2.0% 12.0% > スウェーデン 1.7% 19.1% 1.4% 6.9% 29.1% > イギリス 1.0% 8.3% 0.8% 12.7% 22.8% > フランス 2.4% 5.9% 0.5% 9.0% 17.9% > イタリア 1.8% 11.1% 0.5% 8.3% 21.8% > 韓国(2006年) 3.9% 6.1% 1.2% 5.7% 16.9% 又、地方と国の比率は、 > 国名 地方:国 > 日本 75%:25% > アメリカ 65%:35% > カナダ 83%:17% > ドイツ 81%:19% > スウェーデン 72%:28% > イギリス 41%:59% > フランス 46%:54% > イタリア 59%:41% > 韓国(2006年) 59%:41% 社会保障基金を含む場合は、2004年のデータなら、「平成17年度年次経済財政報告」の「第2-1-1図」(http://www5.cao.go.jp/j-j/wp/wp-je05/05-2-1-01z.html)にグラフとして載っている。高い順に、スウェーデン、フランス、イタリア、ドイツ、イギリス、カナダ、日本、アメリカ、韓国である。 GDP比50%以上はスウェーデンとフランス、40%以上はイタリアとドイツとイギリス、30%以上はカナダと日本とアメリカである。韓国は25%以上30%未満である。 又、最新のデータならば、イタリアとカナダ、韓国を除いたデータである「財務省 財政関係諸資料(平成21年8月)」の「国民経済に占める財政の役割(国際比較)」(http://www.mof.go.jp/jouhou/syukei/siryou/sy2108l.pdf)によれば、2007年は > 日本 36.3% > アメリカ 37.4% > イギリス 44.1% > ドイツ 44.1% > フランス 52.3% > スウェーデン 51.3% ---- ** 【質問】 日本の地方全体の借金はいくらですか? 【回答】 「総務省 地方財政関係資料」の「地方財政の借入金残高の状況」(http://www.soumu.go.jp/main_content/000020157.pdf)によると >地方財政の借入金残高は、平成21年度末で197兆円と見込まれている。この内訳は、交付税特別会計借入金残高(地方負担分)34兆円、公営企業債残高(普通会計負担分)25兆円、地方債残高138兆円である。 >借入金残高は、減税による減収の補てん、景気対策等のための地方債の増発等により、平成3年度から2.8倍、127兆円の増となっている。 また、地方の借入金残高(企業会計負担分を除く)のGDP比は、約38.6%です。 そして、企業会計の部分は公営企業債残高(普通会計負担分)にあたります。兵庫県明石市(http://www.city.akashi.hyogo.jp/zaimu/zaisei_ka/h_zaisei/h18_kami.html)を例にとると、水道事業、自動車運送事業(市バス)、病院事業、大蔵海岸整備事業の4つです。 ---- ** 【質問】 日本の地方全体ではどのくらい財源が不足しているのですか? 【回答】 「総務省 地方財政関係資料」の「地方財政の財源不足の状況」(http://www.soumu.go.jp/main_content/000020156.pdf)によれば、 >景気後退に伴い地方税や地方交付税の原資となる国税5税が急速に落ち込む一方で、公債費が高い水準で推移することや社会保障関係経費の自然増等により、平成21年度には10.5兆円の財源不足なり、と地方財政計画の12.7%に達する規模となっている。 とのこと。