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風切り自転車、二人乗り - (2007/03/19 (月) 23:19:27) の1つ前との変更点

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 長い冬の寒さも一段落し、日を重ねて暖かさが増してくる今日この頃。  冬場バス通勤だった俺も、明日から自転車通勤に切り替えだ。 「あ、マスターおかえりなさーい」  自転車の点検を終えて帰ってみると、金剛石が玄関前で出迎えてくれる。 「ただいま。何かあったの?」 「ううん、違う……違いますよ。マスターの自転車を見たいなーって思って」  そう言って、僕の自転車の横に立つ。  宝石乙女には大きすぎるそれは、俺が大枚叩いて買ったちょっといい自転車だ。 「かっこいいー。テレビで出てくる奴みたい」 「ありがと。そうだ、これで散歩でも行こうか」 「えっ、いいのっ!」  喜んだのも束の間、自分の口調に気付き、慌てる金剛石。  相変わらずだなぁ……。 「もっとおしとやかに、ね」 「はぁい……じゃあ、後ろに乗っていいですか?」  春の南風を切って、自転車が進む。  後ろには金髪の少女。俺の身体をしっかりと掴み、さっきからはしゃぎっぱなしだ。 「マスターっ、もっと早く! BダッシュBダッシュ!!」 「マリオじゃないっつーの。あと口調」 「あわわっ……こほん。マスター、是非ともここは自転車の最高速度でギネスを目指してみては?」 「無茶いわないの。口調直しても駄目」  結局、口調を直しても金剛石は金剛石だからなぁ。 「暖かくなったなー」 「そうですねぇ。冬に自転車乗ると寒いんですよね?」 「そ。だから雪無くても乗らない」  目の前に、河川敷の遊歩道が見えてくる。  少し坂になった道を気合いで漕ぎ、遊歩道へ。 「わぁ、綺麗ですねー」 「春頃のこの辺はお勧めの散歩コースだぞ」  季節の花が何でも咲いている訳ではないが、春は特別色々な花が咲く良い場所だ。  まだまだつぼみが多いが、冬場は漂う事の無かった草の匂いが鼻をくすぐる。  そして、川の流れる音。山からの雪解け水が加わり、普段よりも大きく感じた。 「あー、あそこサッカーしてる……してますよー」 「だな。俺も昔は高校でやってた」 「あっ、なら今度あたしの相手してくださいよぉ」 「あはは……遠慮する」 「えー」  なんだか金剛石とやってたら朝から晩までPKやらされそうだ。  いや、でも宝石乙女全員集めて試合やらせたら結構面白く……駄目だ、絶対修羅場になる。蛋白石ちゃんのドライブシュートとか、ありそうで怖い。  あぁ、置石ちゃんがボールを爆弾にすり替えたり……いや、置石ちゃんなら虎目石ちゃんとスカイラブハリケーン……。 「マスター、何で黙っちゃうんですかー?」 「え、あぁ悪い悪い」  ついつい宝石乙女のデスサッカーを思い浮かべてしまった。 「そうだ、これからどっか昼飯でも食べに行くか」 「ホントっ? じゃああたしオムライスが食べたい……ですっ」 「了解。確か近所に店があったと思うから、そこいってみよう」 「ただいまーっ」 「おかえりなさい。マスター、お疲れ様です。荷物持ちますね」 「あぁ、ありがと黒曜石」  結局、夕方まで自転車であちこちを回る事となった俺達。  冬場の運動不足が一気に解消されそうな、そんな疲労が身体を襲う。 「そういえばびっくりだったよー。今日お昼ご飯にオムライスの店行ったんだけどね、そしたらレッドベリルちゃんのマスターが……」  まぁ、金剛石は十分楽しんだみたいだし、良しとするかな。  ……明日筋肉痛にならなきゃいいけど。 「マスター、早く晩ご飯食べよ……食べましょうよー」 「あー、はいはい。今行くよ」 ----

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