宝石乙女まとめwiki内検索 / 「カルチャーショック」で検索した結果

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  • カルチャーショック
    ...う一つ……」 金「カルチャーショックってやつ? ……それにしても、雲母と二人でほとんど食べちゃった……」 黒「ふふ、まだあるから切ってきますね」   後日、珊瑚の部屋にはなぜか「洋梨」と書かれた掛け軸が飾られた。 瑪「気に入ったのかな……」
  • 小説-珊瑚メイン
    ...ct」より カルチャーショック 「黒曜石とか宝石乙女たちの別荘(避難所)」より 後悔は辛いこと、怖いこと 60スレ目「黒曜石とか天河石とか鶏冠石とか月長石が笑顔でも」より 護るべき人のためならば 61スレ目「黒曜石とか宝石乙女が豆撒きしても」より 居候、ときどき新妻 64スレ目「黒曜石とか雲母が春のパン祭りしたって」より 初めて見せた、君の顔 79スレ目「黒曜石とか雲母が荒巻の伸縮性に驚いたって」より ある日の珊瑚 79スレ目「黒曜石とか雲母が荒巻の伸縮性に驚いたって」より 家電製品SOS! 82スレ目「黒曜石とか雲母とかソーダとか天河石とかがお腹を出して昼寝したって」より 気を引き締めて 93スレ目「黒曜石とか雲母とか金剛石が秋の気配感じても」より 着飾らない乙女へ 132スレ目 「黒曜石のマ...
  • 初めての荒巻
    ...んて……!」 紫「カルチャーショックの連続だな……では私も失礼して……」   ぱくっ。その瞬間アメジストの背後に電撃が走った! 紫「!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!! こ、これは……! 歯ごたえは餅のようでいてしかし噛み千切りやすく、噛めば噛むほど味も出る。しかし後味はすっきりさわやか、さらに喉越しも完璧……! 素晴らしい!」 ホ「ア、アメジスト? 大丈夫ですか?」 紫「あ、ああ、大丈夫だよホープ。大丈夫だ……ブツブツ……」 ホ「どうしたんでしょう、アメジストは……」 月「いいんじゃない、ほっといて。ほらホープも食べてみなって」 ホ「は、はい。では……! (はむ)あ、美味しい」
  • 気になるあの子
    瑪「うーん……やっぱり僕には似合わないかなぁ」   ガタッ! 瑪「ひっ!?……だ、誰?」 ア「いやあ瑪瑙、お洒落なんてしてどうしたんだい?(ニタァ)」 瑪「なななんでもないって!」 ア「酷いなぁ、私というものがありながら……。    瑪瑙はまだ私に心を開いてくれないのか……ショックだなぁ……」 瑪「わざとらしいよアメジスト」 ア「そうかい?結構本気なんだがな。    そんなことより、いい機会だ。私がコーディネートしてあげよう」 瑪「いいっていいって!きっとろくな事にならないから!」 ア「ほらほら遠慮しない遠慮しない」 瑪「だから遠慮なんて、ちょ、脱がさないで!お願いだから!」   そして屋敷に木霊する叫び。   屋敷の主は別段気にした様子もなく、寧ろ多少ウキウキしながらお茶の準備をするのであった。
  • 人魚姫
    深夜の散歩。暑くて寝苦しい夜は無理に眠ろうとせずに、星でも眺めながら散歩するに限る。 敷地の外れにあるプールは暑気払いに丁度いい。 祖父の代に整備され、父の代に今時の設備が整えられたのだが 維持に費用が嵩むので父が手放したものだ。 夜の営業時間外だけは息子の僕が自由に使わせてもらっている。 パシャ 深夜に水音が響く。誰もいない時間帯の泳ぎを楽しんでいる人がいるようだ。 照明は点けていないところを見ると、こっそり侵入しているのかな? まあ、暑い夜だし。 月を映す水面が揺れている。綺麗なフォームだ。 あのシルエットは……髪の長い……女性か 水から上がり、プールサイドに腰掛け 髪を絞る。 綺麗だな……泳ぐ姿といい、髪を弄ぶ姿といい おとぎ話の人魚姫はこうだったに違いない。 声を掛けるのも躊躇われ、暑さを忘れて魅入っていたが 彼女が水着...
  • ある日の試金石
    最近の私の日課は、気配と姿を消して珊瑚にまとわりつく事である。 人それをストーカーと呼ぶ。だが気にしない。楽しいし。 珊瑚は武術の達人のようだが、流石に私のこの魔法には敵わない。 …が、相手がペリドットとなると話は別。すぐに見つかってしまう。 まだまだ修行が足りないな。 さて、今日も今日とて珊瑚を監視、もとい観察している。 このままお持ち帰りしたい。そして独り占めしたい。 だがそこはグッとこらえる。 しばらくボーッとしていたが置石が呼び鈴も鳴らさずに 家に突入した。咄嗟に姿を現す。 「ぬ、お主、いつの間に。」 「ずっと前から。」 「ねぇねぇ、アメジストから面白い事があるって聞いてやってきたんだけどー?」 面白い事?そんなもの多分ないと思う。 …私としてはそこに珊瑚がいれば面白いのだが。かわいいし。 「面白い事?…そこで転がっている天河石とでも遊べばよかろう。」...
  • 試金石百合日記3
    いつものように私は珊瑚の家を訪れていた。姿を消してもバレるので最近は堂々と訪問している。 マスターには快く思われていないらしく、とうとう文句を言われるようになった。 「大体、お前にもマスターがいるだろうに。何だって珊瑚をつけ狙う?主人が嫌いなのか?」 「まさか、そんなはずはあるまい。毎日一緒に寝ているし、それ以上の事もしたことがある。」 とまぁ、ほんの冗談のつもりだったんだ。さっさと珊瑚に会いたいから正直言えば その珊瑚の保護者には用が無いのである。…でもお義父さんという事になるのかもしれない。 とにかく、今の私の発言は冗談だったんだ。精神的ショックを受けるとばっかり思っていたのだが 如何せん、効果が強すぎた。ショックが多すぎて気が狂ってしまわれた。 「まだ俺もそんな事してないのに!」 とか、まぁ、きっと幻聴だろう。普段真面目で温厚な天河石のマスターがま...
  • 年末特番が面白くなくて
    『ぐ、グリコンダーっ、貴様ぁー!』 『……覚悟っ!!』 「シャーイニングッ、ウィザーッド♪」   年末。うちのテレビでは紅白でなくグリコンダーが流れている。 「天河石ぃ、もっとテレビから離れろー」 「はーい」   返事だけ、行動はなし。   まぁ最初から期待してないし……それに宝石乙女が目悪くなるとは思えない。例の何とかショックはあるかも知れないけど。   それにしても……。 「珊瑚もけっこう熱中して見てるよなぁ」 「グリコンダーは素晴らしいぞ」 「まぁ、面白いけど……」   変身シーンで脱ぐし。 「主、また卑猥なことを考えていないか?」 「ない」 「嘘をつけ」 「ばれたか」   互いにテレビを見ながら、生返事の会話。   普段だったらきっとツッコミを受けるだろうなぁ……でもホント好みなんだよな、主役の子。 『ぐああぁーっ!』   しかしまぁ、今日っ...
  • 試金石とクリスマスの前
    世の中にはクリスマスというお祭りがある。 それが間近に迫ってきた今日……。今までなら僕はクリスマスを心から反対しただろう。 何故ならクリスマスパーティーを開くような友人はいないし 当然のことなら彼女もいない。実に陰気な日だったのだ。 だが今年は違う。今年のクリスマスには試金石がいる。 これは大きな変化だ。試金石が隣にいるだけで大分救われる。 ……最も、聖夜を性夜にしようなどという輩とは違うので静かなものになりそうだが。 「いやぁ、楽しみだな、クリスマス」 あまりにも楽しみなのでつい口に出た。本当に、ついだ。 「クリスマスなら私は珊瑚の家にでも行くが」 などという思ってもいなかった返答がきたのだ。 ……そうなると今年も陰気なクリスマスですか。それ、僕も行っちゃダメですか。 ショックの表情が顔に出たのだろう。試金石は意地が悪い笑みを浮かべた。 「冗談だ」 「……また...
  • 試金石と売れ残り
    新しいゲームの発売日ということで近くのゲームショップにやってきた。 何故か試金石まで一緒だ。曰く何をするかわからないからだとか。 目当てのゲームを見つけて会計を済ます。さぁ出ようと思って振り返ると 試金石の姿が無い。辺りを見回せば何やら黄色くて丸いぬいぐるみを見ている試金石が。 「何、それ」 「ジャック・オー・ランタンのぬいぐるみだ」 「ハロウィンは過ぎたんだけど」 どうやらそのぬいぐるみはワゴンセールされている物らしい。 欲しいとか気に入ったとかは言わずにソレを眺めつづける試金石。 何かあのかぼちゃに深い思い入れでもあるのだろうか。 「これらはハロウィンが過ぎたらこんなところにおかれてしまうのか?」 「まぁ、季節終わったら大体そうだね」 「解せない。この子達の気持ちも考えたらどうなんだ」 そう呟いて唇を強く結び、怒りからかカタカタと震え...
  • 試金石が珊瑚に惚れたきっかけ
    「なぁ試金石。」 「どうした主人。受験勉強とやらはもういいのか?」 「ちょっと休憩。少し聞きたい事があるんだけど。」 「何だ?」 「どうして試金石はそんなに珊瑚に惚れてるのかな?」 つまり、なれそめか。話せば少し長くなりそうなんだが…。 その日。何故か私は何処かに預けられる事になった。 主人はキャンプとかいうので出かけていて。両親も不在。 女の子を一人で長い間お留守番させるわけにはいかない。という主人の 妙なポリシーの下、当時唯一交流のあった珊瑚の家に預けられる事になったのである。 交流、といってもそれは主人との間だけであり。私と珊瑚や天河石は初対面である。 「君が試金石か。…宝石乙女にしては大きくないか?」 「ああ…私のこれは幻術でね。普段はこんなものだ。」 ボフン。と小さい爆発音と共に私は通常サイズに戻った。 「幻術って…ま...
  • 木漏れ日の下で
      穏やかな陽。柔らかな風。暖かな陽射しに包まれた昼下がり。庭先にテーブルセットを持ち出す二つの影。   一つは紫の髪に紫の瞳を持った、可愛らしいというよりは凛々しいといった言葉の似合う少女。一つは水色の髪に純白の服を纏った儚げな少女。二人はとても親しげに話しながら着々とセッティングを進めていく。   テーブル類のセットは終わったのか、二人の少女は屋敷へと戻っていく。いくばくかの後、水色の少女は湯気の立ち上る二つのカップがのったお盆を、紫の少女は黒と白の格子模様をした横長の箱を携えて戻ってくる。   二人はテーブルの上にそれらを並べ、箱から32個の駒を取り出し、箱を開いてテーブルの中央に置いた。各16個の駒を、二人は手際よく自陣に並べていく。   水色の少女は白の駒、紫の少女は黒の駒を。並べ終えたところで、二人して紅茶を一口すすり、紫の少女が切り出した。 「それじゃあ、はじめよう...
  • 我が家のサンタ
    「マスタぁーっ、クリスマスのプレゼントねぇー」  相変わらずのご機嫌っぷりで、俺の隣にやってくる天。  で、話題はクリスマスか……まぁ、もう12月だが。 「あー、そういうのはサンタのじーさんに言って……」 「違うよぉ。マスタぁーのね、クリスマスプレゼントだよー」 「俺? どういう風の吹き回しだよ」  いきなり何を言い出すかと思えば。  しかし、クリスマスプレゼントか……この年にもなると、どことなく照れくさい気も。 「マスタぁーはもう子供じゃないからぁ、サンタさんプレゼントくれないんだよね。だから天河石があげるっ。何か欲しい物あるー?」 「休暇」  ……沈黙。どうやらもらえないようだ。結構欲しいんだけどな。 「え、えぇとぉ、お、お休み? うー……お休み……」 「すまん、冗談だ」  その言葉に、天が不機嫌そうに俺の肩を叩く。ほどよい肩叩きだ。 「マスタぁーの意地悪ー...

  • 「ご主人様、桃の節句です!」  と、僕の隣で正座をした蛋白席が一言。  確かに明日は桃の節句、雛祭りだ。だけど男の一人暮らしで雛人形もないし、 何か食べてそれで終わりということになりそうだ。  ……最初は、その予定だった。だけど蛋白石のこの期待に満ちた顔を見てしまっては、 しっかりと祝ってみたいとも思ってしまう。 「うん、そうだね。もう3月かぁ」 「はい。きっと美味しい桃がたくさん食べられるんですよねぇ。今から楽しみです!」  ……あれ? 「とっても甘くて瑞々しくてぇ……あっ、きっとジュースにしたら美味しいですよっ」  両手を頬に当てる蛋白石。腕で胸が寄せられて、普段から気になる谷間が一層際立って…… いやいや、何を考えてるんだ僕は。  でも、何だろう。  僕と蛋白石の間に、ものすごい意識の違いがあるように感じられる。 「えへへぇ……...
  • 温泉旅行
      ベリドットと鶏冠石が、それぞれのマスターと共に温泉旅行へやってきました。   紅葉を眺めつつ、温泉を楽しむ。そんなひととき。 「お姉さま、こんなことを言っていいのか分からないのですが……」 「どうしました? 貴女が言葉を濁すなんて」 「いえ……昔から、素晴らしいプロポーションでいらっしゃったのですが……最近はさらに……」 「あら、そんなことですか。ふふっ、ないしょです。でも、そういうことが気になるなんて、貴女も年頃になったということでしょうか?」 「そ、そんなことは……」 「お年頃……なんですよ。さぁて、貴女はいったい、誰に見られることを気にしているのかなぁ?」 「そ、そんなこと……見られるなんて……そんな人、いませんわっ!」 「ふふふふっ、そういうことにしておきましょうか。でもね、貴女だって、素晴らしいプロポーションですよ。姿形だけではなく、ハートのプロポーションも...
  • 赤いお花、綺麗なお部屋
      休日出勤で嫌々会社に出た日も終わり、家でゆっくりしようと思ったところ。   ……まぁ、母の日ってのは分かる。   分かるけど……。 「ママーっ、かーねーしょんっ」   何でうちのリビングいっぱいにカーネーションの鉢植えが?   仕事から帰っていきなりこれじゃあ、反応に困る。 「えー……なんて言ったらいいのかー……」 「黒曜石おねーちゃんにねー、いっぱいおすそわけしてもらったのー」   いやいや、いっぱいって言っても限度があるよ。   もしかして黒曜石ちゃん、内緒でお花屋さんでもやってるんじゃないだろうか。   それにしてもまぁ……。 「結婚せずに母の日祝ってもらうとか……なんか複雑かも」 「そんなことないわよぉ」 「ひっ!」   背後から胸を鷲掴み。 「【ソーダのマスター】ちゃんは結婚なんてしなくていいのぉー。あたしのいる余地なくなっちゃうじゃないー」 ...
  • おめめを隠してだーれだ? 化石マスター編
    「おおきにー……ん、イントネーション難しい」   現在、化石は関西弁の勉強中。   イントネーションとか、いつの間にか難しい言葉覚えたんだなぁ。 「マスタ、何見とるん?」 「ん、化石頑張ってるなって思って」 「えへへ、おーきに」   お、さっきよりいい感じだな。 「んー……なんばしょっと? これ関西弁やの?」   と、また本と向き合って独り言を始める。   ちなみに俺は方便には詳しくない。   しかしずいぶんと無防備な背中だ。そんな背中をしていたら何をされるか分からないぞ。   ……と、考えたときには身体が勝手に動いているわけで。 「だーれだ?」 「うおっ」   と、やってしまうわけだ。 「もっかいー」 「ん、だーれだ?」 「んーと……しめさば?」   ……は? 「違う」 「じゃあ……さばみそ?」   ……いや、ちょっと待て。 「違う」 「えー...
  • 天河石
      天河石の名を冠す宝石乙女   天真爛漫にして純粋な性格だが常識的な知識に疎く、間違った知識を教え込まれることもしばしばある   笑顔を絶やさぬように心掛けていて、普段は目を細めて微笑んでいる   もちろん笑顔にもバリエーションはあり、泣いたり怒ったりもする   丸い物を見るとじゃれたくてうずうずするらしい   金剛石とはツインテールつながりで仲がいい
  • 試金石の連絡方法
    またか、と言われるかもしれないが。暇である。それはもうとてつもなく。 主人は今でかけているようなので家にはいない。そこで、だ。 三つ程主人との連絡方法を思いついたのでどれが面白いか模索することにする。 連絡方法その1携帯電話。 まぁオーソドックスだ。メールなりなんなりで面白い事にできるかもしれない。 連絡方法その2伝書鳩。 主人の驚く顔が目に浮かぶ。今時伝書鳩なんか見かけないものな。 連絡方法その3テレパシー。 ……なんか、普通すぎてつまらないな。 さて。この三つの内どれを使ったら面白い事になるだろうか。 とりあえずシュミレーションしてみよう。 パターン1携帯電話(メール)の場合 「ん……メール?」 『差出人:試金石 件名:こんな時間まで 本文:一体何をしているんだ。暇で死ぬぞ。殺す気か。    この鬼畜王。ドS。人でな...
  • 心の温かさ
    「魔法ってさ」 何だ藪から棒に。魔法がどうにかしたのか。 「便利だよね」 「まぁ、不便はしない」 そりゃ便利だ。便利すぎて涙が出る。人間で言うと車ぐらい便利だ。 にしても冷えるなぁ……そろそろストーブを出した方が…。 風が強いらしく電線が鳴っている。秋だというのに下手したら雪が降りそうだ。 などとボンヤリと考える暇も無いほどに主人は何か企んでいる。 「それで考えたんだけど」 「何をするつもりだ?」 いまいち主人が考えていることが読めない。暑さで頭がやられると言うが この場合は寒さで頭がやられてしまったのではないだろうか。 で、予想通りにロクデモナイ事を思ったより真剣に主人はつぶやいた。 「試験の問題を盗んでくるとかできないかな」 「そんな子犬のような期待した目で私を見るな。叶えたくなるじゃないか」 「……ダメですか」 「ダメで...
  • 家路 ~桃~
      今日はあちこちのマスターのところへお邪魔してきた。   どの家庭も艶やかで賑やかで楽しかった。   ペリドットと二人、家路を急ぐ。 「どこも賑やかで楽しかったよ。年頃の乙女が多いからかな、マスターたちもそれぞれ大変そうだったね」 「ええ、そうですね。みんな、『お年頃』ですから。マスターの視線や顔色に敏感なんです。みんな、それぞれのマスターが大好きなんですよ」 「お内裏様が三人官女や五人囃子の中にいてもいいね。本人もまんざらじゃないみたいだし」 「そうですね。でも、私のマスターの隣は、私だけですよぉ」 「そうありたいね。僕のことより、きみのほうが心配だよ」 「??? なぜですか?」 「『春の苑紅(くれない)匂ふ桃の花下照る道に出(い)で立つ少女(をとめ)』  あなたが美しすぎるから……。僕は……ときどきだけど不安になるんですよ」   僕の言葉を聞くとペリドットはにっ...
  • 試金石とハロウィン
    久しぶりに珊瑚の家に行く。ハロウィンということもあり お土産にはパンプキンパイ。それも激甘。一口食べると舌が溶ける。 呼び鈴を鳴らすとこれまた久しぶりに見る天河石が出迎えてくれた。 「甘いお菓子をあげるし悪戯もしないから家に入れてくれるかな」 「うん。いーよ、入ってー」 部屋の隅々にはカボチャの提灯。これを一体誰が作ったのか。 珊瑚かその珊瑚のマスターの二択になるが珊瑚であろうと結論するのは普通すぎる。 何事も面白い方が楽しい。それ故に私はマスターが夜なべしてこれらを作った ということにしておきたい。その方がとてつもなく楽しいだろう。 「おや、試金石か。久しいな」 「やあ、この家でもハロウィンはやるんだね」 いつ見ても綺麗だし素敵だ珊瑚。でもとりあえず仮装してほしかった。 天河石でさえ私のような黒衣に身を包んでいるんだし、幽霊ぐらいには化けて...
  • 12月22日のこと
    「主、冬至が近いぞ」 「冬至ぃ? そんなのいちいち意識したことないぞー」   一人暮らしが長いと、こういうイベントなんてそんなモンだ。 「しかし主、こういうのはもう少し大切にした方がいいぞ。カボチャも食べられるし……」 「大切にするのは分かるが……って、珊瑚何か言ったか?」 「い、いや、何でもない。とにかくせめてカボチャぐらいは食べようじゃないか」   カボチャ、ねぇ……別に食いたい気分でもないが、とりあえず冷蔵庫をのぞいて……って、あるわけないか。最近買い物もしてないし。 「マスタぁーっ、何のお話?」   と、天河石がテレビからこちらへ興味を示す。 「カボチャだってさ」 「カボチャー? 天河石パンプキンパイ食べたいなぁ」 「お前はすぐにお菓子へ方向が向かうのな……」 「えへへー」 「パンプキン……カボチャパイ……お菓子か。よし、じゃあ今日はそれを作ら...
  • ピクニック
      うん、台風もこっちにはこなかったようだ。多少風はあるけどしっかり晴れたな。 「おーい鶏冠石ー」 「なにかしら?」 「ピクニックいかない?」 「そんなわけで準備はできたな」 「言うのが遅すぎますわ! 前日に言ってもらえればしっかりと準備できましたのに……」 「いやまぁ、軽い散歩みたいな感じでよかったんだけどさ。鶏冠石こういうの好きなのか?」 「えぇ、嫌いじゃなくてよ」   鶏冠石は意外と乙女チックだからな。これはもしかして珍しくはしゃいでる? 「それでどこに行きますの?」 「ん、この通りをずっと行ったところに小高い丘があるじゃん? そこ」 「わかりましたわ。では早速向かいましょう」 「結構歩いたな……」 「あらだらしない。たったこれだけでバテてしまったのかしら?」 (お前が異様に速足だったからなんだけどな……) 「ではあの木陰にでもシートを引きま...
  • 天ちゃんとお買い物
      子供というのは、懐いている人がどこに行こうが、どんなリスクを背負おうと付いてくる傾向があると俺は思う。   で、ここは某ショッピングモール。駅と一体化した複合施設になっている。 主「服買いに来ただけなのだがな……」   溜め息が漏れそうになるのを抑え、視線を足下に向けてみる。   そこには、俺のズボンを楽しそうに、だがまるで手放せば絶対死ぬ命綱の如き勢いで掴んでいる女の子が一人。 天「ん~? マスタぁー、どぉしたの?」 主「いや……なんでも」   天河石。確かアマゾナイトの和名を名乗る金髪ツインテールのちびっ子。   留守番してろと言ったのに、こうして俺の買い物についてきてしまった次第だ。子供の扱いは慣れてないんだがなぁ……。   しかし、こんな日に限ってなんだかやたらと人が多い。きっとこんなちびっ子が迷子になったら俺は見つけられない。邪気眼でも欲し...
  • 日射病の労力と利点
     久々に天気のいい日。  月長石と散歩に出かけたところまでは覚えているけれど、途中の記憶が曖昧だった。 「無理するなっていつも言ってるのに」  木陰の下、後頭部の柔らかい感触。  目の前に見えるのは木と空と、月長石の怒った顔。  ……あぁ、また何かしちゃったんだな、僕。 「だって、月長石と歩くの楽しいから」 「いきなり倒れられたらあたしが楽しくないの! ほら、これ飲みなさい」  差し出されるストローを口にくわえる。  吸ってみると、スポーツドリンクが口の中に広がる。 「だから帽子ぐらい被りなさいって言ったのに……それで日射病とか、自業自得なんだから」 「でも、急かして帽子を用意させてくれなかったのは月長石……」 「なんか言った?」 「……何でもない」  月長石に睨まれると、何も言えなくなってしまう。 「でも、わざわざ飲み物用意してくれてたんだね」 「べ、別に...
  • 聖石戦士 グリコンダーZX『改』 ~日曜日の始まり~
      金剛石曰く、自分達が前のマスターのところにいたときはテレビなんてなかったという。   だからうちに来て相当テレビという存在に驚いたようだが……。 金「マスター! チャンネルは渡さ……渡しませんっ!!」 主「いやいや、そこまで興奮しなくたって勝手に変えたりしないよ」   日曜の午前7時半ちょっと前。この時間にある子供向けの特撮ヒーローの番組に、金剛石は嵌っていた。 金「あの壮絶な戦いから2年の歳月が過ぎて、ついに復活するんですよ!!」 主「だから俺は見てないから分からないよ」 金「じゃあマスターも見て下さい……あっ、雲母ーっ! 一番いい席取るなぁー!!」   いつの間にかちゃぶ台の中央、テレビが真正面に見えるところに鎮座する雲母。相変わらずチビ荒巻を抱っこしている。   あぁ、ケンカが始まっちゃうよ……。 主「金剛石ぃー、雲母は小さいんだから並んで...
  • 夜伽の相手
      真夏最後の足掻きと言わんばかりの熱帯夜。僕は体中の水分を出し切ってまで寝るほど器用ではなかった。   時は深夜。同居人達はすでに深い眠りに就いてるんだろうなぁ。人形って羨ましい……うぅ、眠い 殺「あら主様……ふふ、二人っきりの時はだんな様でした。お眠りにならないのですか?」   そんな僕の部屋に入ってきたのは、十二単を身に纏い、狐耳と尻尾がやたらと強調された一人の少女。名前は殺生石。   彼女は他の子と違って妖怪、夜はむしろ活動の時間なのかな。 主「うん、暑くてねぇ……殺生石こそどうしたの?」 殺「こちらのお部屋から物音がしていたので、様子を。わたくしは眠りませんから」 主「そっか」   僕の隣に腰を下ろす殺生石。一つひとつの動作が優雅で、まさしく見た目通りの和風お姫様といった感じだ。   でも、この二人きりというシチュエーションは問題だ。特に夜は彼...
  • 街路は灯りに照らされて
      黒曜石ちゃんには悪いと思っている。   だけど、俺と漬物石は一足先にパーティ会場を後にさせてもらう。 「もう少し話してたかったか?」 「え、ええ少しは……でも、マスターとのお出かけも、楽しみでしたから」 「この期に及んでデートって言ってくれないんだな。俺は悲しいぞ」 「ま、マスターっ、また意地悪……」   そんなつもりはないんだけどなぁ。まぁ、可愛いから怒らせるのもまた……。 「結局黒曜石ちゃんのところでご飯済ませちゃったから、街でぶらぶらしようか」 「そうですね。マスター、今度あのレストラン連れて行って下さいね」 「はいはい」   漬物石と初めて来る市街地。   俺自身はまぁ、仕事で来ることが多いから物珍しいことなどない。 「すごいですねぇー。目がチカチカします」   だが、漬物石はここに来られただけでも嬉しいといった様子。こちらとしても嬉しいが。 ...
  • 朝のブラック
    置「ふわぁ……、おはよー虎眼」 虎「おはよう姉さん、今日は遅いね」 置「ちょっと夜更かししちゃったからねぇ」 虎「何してたの?場合によっちゃ黙ってないけど」 置「もう、朝から物騒ね。ただ本を読んでただけよ」 虎「本?姉さんが?」 置「そう、本。book。何か文句ある?」 虎「……」 置「何?迷惑の塊の姉さんが本を読むなんてちゃんちゃら可笑しいぜ!とでもいいたげですねぇ」 虎「いやまあ、結構当ってる」 置「……」 虎「……コーヒー飲む?」 置「……頂くわ」 虎「はい」 置「どうも。……うへぇ苦っ」 虎「そりゃブラックですから」
  • 趣味の時間
      瑪瑙が人目を避けて裁縫をしているのは、別に不思議な光景でもない。   最近はほとんどの子が知っているし、誰もそれをおかしいとは思わない。   だが、今俺の目の前で行われている光景は、どこか不思議な……まぁ、そんな感じ。 「マスターっ……あうぅ」 「瑪瑙、それぬいぐるみ?」   瑪瑙の手にあるのは、UFOキャッチャーなどでよく見かけるぐらいの大きさのぬいぐるみ。   この手の物を作ること自体は、おかしなことではないだろう。 「間違ってたら悪いけど、もしかしてそれ殺生石さん?」 「う、うん……尻尾は、まだだけど。その、みんなには内緒で……」 「分かってるよ。でも、できたら渡すの?」 「そのつもり、だけど。上手くできたら……」   とはいうものの、素人目からすればかなりいい出来だと思う。 「実はその、他の子も作ってみたんだ。ほら」   かたわらに置いた箱の中身をこち...
  • 超電磁姉妹よ永遠に
    Sノ゚∀゚) 「相も変わらず砂鉄の日々」 Nノ゚ー゚) 「黒曜石の家は良かったな」 Sノ゚∀゚) 「あんたが雲母ちゃんと喧嘩するからでしょ」 Nノ゚ー゚) 「ヤツがふっかけてきたんだ、仕方あるまい」 Sノ゚∀゚) 「子供相手に大人気ない」 Nノ゚ー゚) 「S姉には言われたくないな」 Sノ゚∀゚) 「…やるつもり?」 Nノ゚ー゚) 「…その気なら」 ξ゚∪゚)ξ 「…」 Sノ゚∀゚) 「…」 Nノ゚ー゚) 「…?」 ξ゚∪゚)ξ 「どちらさまかしら?」 Sノ゚∀゚) Nノ゚ー゚) 「!!」 ξ゚∪゚)ξ 「この近くの方ではないようですけど…」 Sノ;゚∀゚) 「(しまった、ここは庭か)」 Nノ゚ー゚) 「どう見ても不審者です」 ξ゚∪゚...
  • お勤め、ご苦労様
      世間では勤労感謝の日と呼ばれる休日。しかしなんと運の悪いことか、俺にそんなものは存在しなかった。学生諸君が羨ましい限りだよ、まったく。   というわけで夜。さすがに秋も深まってるせいか、けっこう寒くなってきたと思う。 「ただいまー。うぅ、さぶっ」 「お帰りなさい。祝日なのにお疲れ様でした」   さっそく出迎えてくれる漬物石の笑顔。うーん、癒される。この顔があれば、理不尽な休日出勤も堪えられるというものだ。 「あ、あのぉ、頭あまり撫でられると髪が……」 「え? おっとすまん」   無意識のうちに漬物石の頭を撫でていたようだ。頭がちょうどいい位置にあるからなぁ。 「さてと、飯の準備でもしようか。お腹空いただろ?」 「あ、今日は私が全部やっておきました。匂いしませんか?」 「え、そうなのか……ダメだ、鼻詰まってるみたい」 「風邪ですか?」 「いや、ただ外が寒かっただけ...
  • ビンボー人と、チョコレート
      本業とは別にアルバイトをやっていると、人間関係がけっこう深まるというもの。 「お疲れ様です」   帰宅途中、そう言って声をかけてきてくれたのは瑪瑙ちゃんだった。   今日は同じバイト先で働いていたが、予想以上に忙しくて話ができなかったなぁ。 「瑪瑙ちゃんこそお疲れ」 「いや、あなたの方が大変そうだったから」 「いやいや、瑪瑙ちゃんだって……」   って、こんなやりとりじゃキリがない。何か話題を……。 「ところで、瑪瑙ちゃん帰り道こっちだっけ?」 「あ、違うんです。あなたに渡したい物があったから」   普段使っている鞄から、ラッピングされた小さな箱を取り出す。   小さいとはいえ、人間サイズでの話。宝石乙女は人間より小さいから、その箱は瑪瑙ちゃんの手に余るほどのサイズだ。 「いつもありがとうございます」   そしてその箱を差し出してくる……これはつま...
  • 桜の木の下、春迎え
      桜の下で、姉妹が集まり春の訪れを祝う。   若葉萌える新緑の季節、華やかな乙女が集う姿は壮観だ。いい目の保養になる。眼福眼福。   ふいにペリドットが子供達を集める。 「さあ、雲母。着替えていらっしゃい。始めますよ。他の子も一緒にね」 「?? ペリドット、何が始まるんだい?」 「ふふっ、少し待ってて下さいね。春のお祝いですから」   しばしの時間を他のマスターたちとお喋りをして過ごす。年長組のお酒の相手や、お年頃世代の乙女達の相談にのったり、   賑やかな声が聞こえてきた……準備が出来たようだな。   雲母ちゃんを先頭に、子供乙女達が春らしい衣装に身を包んでいた。薄絹で……フワリフワリというか……ヒラリヒラリというか……   どこの国の衣装なのだろう。見覚えがあるような……無いような……。まるで、お伽噺の世界のように綺麗だ……。 ...
  • 名も無き乙女の昔話5
    愛していた…… 私は……間違いなくマスターを愛していた…… だから……他の人の手にかかってマスターを失うことが耐えられなかった…… 勇敢なマスターと優しい婦人と可愛らしい子供たち。 ほがらかな使用人さんたち。 目に見える全てが幸せに彩られていた。 でも…… 人の気持ちは移ろいやすく、勇敢だったマスターは傲慢になり……。 優しい婦人は嫉妬の炎に心を焼かれ……。 可愛らしかった子供達は成長し、親とは違う道を選び……離れていった……。 陽気で朗らかだった使用人さん達は、一人、また一人と去っていき…… 居残った数少ない使用人さんたちでさえ、いがみ合い、憎しみあっていった……。 領地の整然とした綺麗な街並みは死臭の漂う危険な街に姿を変え、 人々のフラストレーションは澱のように積み重なっていった。 外に出ることを禁じられ、城の中で過ごす毎日。 ...
  • みんなでピクニック
    タコさんウインナーなんてうまく作れません   お弁当作り中の黒曜石。今日はサンドイッチです。 「もうちょっと待ってくださいね。お弁当ができたら、みんなでピクニックにでかけましょう」   みんなでピクニックに行きましょう。
  • クーベルチュールとかの話
     2月ももうすぐ3周目にさしかかろうとした頃のこと……。 「ねぇマスター、手作り用のチョコレートって何買えばいいの?」  そんなことをレッドベリルが聞いてくるものだから、俺は思わずこう答えてしまったんだ。 「手作り用ー? そんなでかいの食べきれるのかよ?」 「……食べる訳ないでしょー!」  まぁ、何だ。  バレンタインデーという存在を、俺はすっかりと忘れていた。  だから思わずそんな言葉が出てしまった訳で……うちの店、バレンタインで何かやることもないからなぁ。 「悪かったって。だから機嫌直せよ」 「反省してるように見えないもん……」  俺の向かいで、テーブルにふくれっ面を載せたレッドベリル。  もちろん、怒らせたことに反省はしている。だがチョコレート作るとか言い出すなんて思ってもいなかったし。 「あー、ちゃんと作り方教えるからさ。それで...
  • 三が日限定!
      正月の朝……うぅ、眠い。   確か蛋白石に初日の出を見ようと無理矢理起こされたんだっけ。あれ、その後の記憶が曖昧……まぁ、寝ぼけながら布団に潜ったんだろうけど。 「おはよぉ……」 「あっ、ご主人様ー。明けましておめでとうございますっ」 「……おめでとー」   さっそく居間で出迎えてくれる二人。   だが一人足りない。いつもなら僕の寝ぼけ顔を微笑みながら見つめてくるあの殺生石だ。   台所からは物音もしないし、一体どうしたのだろうか……。 「蛋白石、殺生石はどうしたの?」 「え? 確か野暮用とかで出かけてますよー」 「へぇー、珍しいね」 「はつもーでー?」 「……それはみんなで行くって約束したでしょ」   しかも電気石のイントネーションだとどうしても発毛デーに聞こえてしまう。そんな正月は嫌だよ。 「ただいま戻りました」   と、殺生石の声が玄関から。   ...
  • 熱いのはお嫌い?
      正月の神様っていうのは、火が嫌いなんだとか。   まぁ、俺は別に神様じゃないけど。 「ふーっ、ふーっ……」   熱い……。 「ふーっ、ふーっ、ふーっ……」   まだ熱い……。 「マスター、私も手伝いましょうか?」 「いや、いい。ペリドットに手間をかけさせるわけにはいかない」   そう、俺は極度の猫舌。神様よりも猫に近い人間だ。   最初はペリドットに内緒にしていたのだが、最近はモロバレなので隠す必要もない。   しかし熱い。この雑煮なかなか冷めない。ちなみに作ったのは俺。 「猫舌で餅好きに生まれた宿命だ。こればかりは俺の手で乗り越える」 「まぁ、そうでしたか。では私もできる限りのお手伝いを……」 「だからふーふーは手伝わなくていいって」   二人で顔をつき合わせて雑煮に息を吹きかけるとか、どういうシチュエーションだ。 「それなら団扇であおぎましょうか?」 ...
  • 願い事、ひとつ 後編
      もしも願い事が一つ、必ず叶うとしたら。   今の貴方は……何を願ってくれますか?           ◇   ――主が倒れた。   彼がそれを伝えられたのは、屋敷を出る前日の事だった。 「年齢には敵わないという事かな。もう長くないらしい」 「そう、ですか……」   主の自室。主は大きなベッドの上で横たわっている。   ベッドに対し小さすぎるように見える主。彼はまるで世間話のように、自分の死期を告げる。   未練の一つでもあるだろう。それなのに、その口調に絶望はない。   それが、悲しかった。自分が無理をさせている、そう感じさせるせいで。 「君とは違い、私は人を悲しませる事しか出来ないようだ。残念な事だよ」 「……人間、誰しもそういうものですから。自分だっていつかは」 「確かに、そうだな」   主の浅い溜め息。 「ホープは、どうしている?」 「...
  • あなたに“ありがとう”を
      この窓を揺らす音。   鳴らしているのは風じゃない。眠りの時間にだけやってくる、僕の恩人。 「おっきろー」   でも、本当は寝かして欲しい……低血圧だし。 「はい、お茶……ふあぁ~」   大きなあくびがこぼれる。   時刻は午前0時。人によっては起きている時間だろうけど、明日も早い身としてはもう寝ておきたいところ。   そんな僕の気持ちもお構いなし、受け取ったお茶を飲みながら笑顔を浮かべる女の子が一人。 「月長石ぃ……出来れば寝かせて欲しいんだけど」 「だって昼間は学校だーって、全然話す機会ないじゃない。契約してるんだからコミュニケーションを大切にしないとねー」   彼女、月長石に僕は命を救われた。   でもどうやって僕を救ったのかとか、そんな事は全然分からない。   彼女の言う『契約』。それを行ったおかげで、不治の病から救われていた。 『……別に...
  • ジュエリーメイデン第2話
    「ふむ、それで俺に勉強を教えてほしいと」 「そうなんだよ。 今クーラーぶっ壊れてるから家じゃ集中できなくてさ。ってことで真次郎おま――」 「却下だ」 「これはひどい」  場所はとある公立高校。そしてクラスで昼食中。  んでもって昼食中、尚吾が黒曜石と運命の出会いを果たしたころ、兄の啓吾は友人と交渉にあたっていた。  結果は見ての通りである。 「神奈もつめてーよな。神って苗字なんだからそんぐらいつき会ってやればいいのに」 「苗字は関係ないだろう」 「僕もよかったら見てもらおうと思ってたんだけど……どうしてもダメかな?」  と頼んだのは寝惚け眼の、ちょっと太めの少年だった。  だが、神奈と呼ばれた眼鏡の少年はゆっくりと首を振った。 「ダメだ。めんどくさすぎる。どうしてもっていうなら焼肉一年分持ってこい」 「一年分の焼肉の摂取量が分かんねーよ」  そんな友人のやり取り...
  • このすばらしい日々をありがとう
     3月の頭。  カレンダーにつけられた丸印が、ずっと気になっていた。  あいつの誕生日でもないし、何か記念日があるわけでもない。  あたしから見れば、その日付には何の意味もない。  一体、何なんだろう……。 「あのさぁ、卒業式って自由参加だったんでしょ?」  壁に寄りかかりながら、制服姿のあいつの隣に立つ。  今日は確か、あいつが通っている学校の卒業式。そして今立っているのは、 その学校の中庭。  ……でも、あいつは卒業式に出る年齢ではない。まったく無関係なんだから、 出る必要もない。  ということは、今日はただの休み。それならどこか遊びに連れて行ってほしかったのに……。 「お世話になった先輩がいたから、ちゃんと挨拶しておきたかったんだよ」 「ふぅん。その人女の子?」  あたしの質問に、首を縦に振る。  女……なんだかものす...
  • 思いがけずクリティカル
    「おにいちゃんっ」   天河石の声に、俺は盛大にコーヒーを噴いた。 「何の真似だ」 「えっと、こう呼ぶと男の人は喜ぶんだって」 「また月長石か」 「ううん、ペリドット姉様」   意外なところから入れ知恵されたものだ……。 「んー、マスターは『おにいちゃん』好きじゃないの?」   だがしかし! ペリドットさんとやら、男を甘く見ないでほしい。 「じゃー、お兄様! 兄さん、んー……だめ?」   『おにいちゃん』なんて呼び方で全ての男が落ちると思ったら大間違い―― 「……にぃに? あれ、マスターどうしたの? お鼻痛いの? にぃに? にぃにー?」 「あら、お歳暮…天河石ちゃんのマスターから…あらあら、うふふ」
  • ベビーシッター月長石
      その1 ソ「あー! うー!!」 月「あー! コラ! 紙からはみ出てるってば!!」 ソ「う~……えへっ」 月「もう、同時進行で消してくからね」 ソ「うーうー」 月「それあたし? もうちょっと可愛くない?」 瑪「月長石……? な、なにやってるの?」 月「へ!? べ、別になんもやってないわよっ」 瑪「まさか、ソーダ石にまで!?」 月「ちょ、ホントに何も」 瑪「じゃぁ何やってるのさ!?」 月「う、う……うわぁぁん!!」 ア「まぁ自業自得だな。日頃の行いの違いだよ」 月「……別にいいけどさ……」   その2 月「んー、暇ねぇ、何して遊ぼっかなー……あれ?」 天「えいっ、やっ、んっ……あぅー、また失敗」 ソ「かしてかしてーっ! てやっ!」  ごちっ ソ「あうっ! う~……」 雲「よしよし……」 電「ぐりーんだよー?」...
  • 名も無き乙女の昔話3
    地下へと続く階段を降りる。カツーン、カツーン 先祖伝来の城は今の時代の僕にとっては住み心地がいいものではない。 ベッドは無駄に広く。大理石の床は冷たく。父や母の部屋には遠かった。 父亡き後、この城を受け継いだ私は不便を感じながらも この城を手放す気にはならなかった。 ここは、見たことも無い先祖が代々、家族を護ってきた『家』だから。 見たことも無い先祖がどれだけ家族を愛し、『血』を引き継いできたのか 私は知っているから。 なぜ、私がご先祖の全てを知っているのか。 それは、ご先祖と共に生きてきた『存在』が地下で生きていたから。 私が生まれた時、いや、父や祖父が生まれた時にも その『存在』、彼女が祝福してくれたと聞いた。 この家に生まれた全ての者は彼女に祝福され、その愛を受けとる。 そして彼女を残して、未来を託して死んでいく。 彼女は、全てを見て、全ての思い...
  • いつも見守っているから
      怖い。   身体が動かない。   目が開かない。   頭の中が、怖い。   怖い。もう嫌だ。目を開けたい。   でも、身体が言うことを聞かない。   もう嫌だ……やめて……。 「だんな様っ!」   その声が、僕の意識を一気に覚醒させた。   そこは真っ暗な部屋。でも分かる、ここは僕の部屋だ。   ……悪い夢を見た。思い出すだけでも、背筋が凍る。   何かが、僕を温かく包み込む。 「もう大丈夫です、怖いものは何もありませんよ」 「……殺生石?」   包み込んでくれているのは、殺生石の腕と尻尾……か。   ……あれ、僕泣いていたのか。 「どうしてここに?」 「本当はだんな様の寝顔をご拝借、と思ったんですけど。とても苦しそうでしたので」 「……ありがとう」   どういたしまして、そんな感じで殺生石が微笑む。   本当に助かった。自力で目を覚まして...
  • 試金石百合日記8
    「なぁ主人。」 「何かな?」 「最近、私のスニーキングスキルが落ちたような気がするんだが。」 「そりゃあ…息を荒くしてればバレるよなぁ。」 知りたくなかった新事実。どおりでよく見つかるわけだ。 「それじゃあ今日はそこら辺を注意して潜入してくる。」 「いってらっしゃーい。」 こちらすねーく、珊瑚の家に潜入した。大佐、指示をくれ。 …大佐?どうした、応答しろ。大佐?…し、死んでる…。 まぁいいやとりあえず珊瑚の部屋に…。 …OH!生着替え!べりぐーっ!目の正月だっ。 パシーン。…おぅ…しっと。 「毎回毎回、ベタな見つかり方をするでない。」 「だって目の前に珊瑚の半裸があるんだからしょうがないじゃないか。」 「やれやれ…居間で退屈している主とでも遊んでこい。着替え終わったら 私も行く。」 と、部屋を追い出された。今にマスターがいるら...
  • グリコンダーが終わったら
     宝石乙女の間で大人気だった特撮番組、聖石戦士グリコンダーZX改。その最終回が、たった今終わった。実に派手な終わり方だった……。 「あーあ、グリコンダー終わっちゃったぁ……」  S姉が、がっくりと肩を落とす。 「三年も続いたんだからいいだろう」 「うー……」  S姉もまた、筋金入りのグリコンダー好きだ。だから、何年続いて終わろうとも納得いかない気持ちは、分からないでもない。しかし、新しい番組のために終わらなければならないものもある。諦めるしかないのだ。 「でもでもぉ、グリコンダー終わったらつまんないしぃ……よーし、じゃあ次の新番組はあたしたちが作ろう!」  ……そして、また姉は酔狂なことを言い出す。 「S姉は何を言っているんだ」 「だから新番組」 「私の耳はおかしくなったのか? 確かに今新番組を自分でと……」 「そう言ってるじゃん。地軸すらも我らの下僕なんだから、テレ...
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