宝石乙女まとめwiki内検索 / 「ペリドットの憂鬱」で検索した結果

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  • ペリドットの憂鬱
    最近、マスターが家を空けることが多く。二人の時間が少なくなってきている。 倦怠期だろうか? 浮気? そんな言葉が頭をよぎるくらい哀しい。 もっと二人で寄り添っていたい。 もっと会話を楽しみたい。 もっと触れ合っていたい。 ささやかな欲求が満たされない毎日が続く。 寂しい……。 そう、私は寂しいのだ。 マスターが私から離れていくことが たまらなく寂しくて、辛くて、哀しくて……。 そんなマスターが何をしているのかというと、私の姉妹のところへ足繁く通っている。 真珠、爆、鉄鉱石、先日はアメジストと月長石のところへ行っていたようだ。 時々、お酒を呑んで帰ってくるときもある。 機嫌は悪くなく、私に対しても以前と同じ態度で接してくる。 『何をしているの?』 マスターに聞いてみたいけれど、怖くて聞けない私……。 変なところで臆病だ。 姉妹に聞いても、いつも はぐらかされて...
  • ペリドットのメガネ
     今日は、電気石を連れてペリドットさんの家に遊びに来ている。 「じー……」  で、さっきから電気石がペリドットさんの顔を見つめたまま動かない。  一体どうしたのだろう。さっきまで話していた僕とペリドットさんも、口を閉ざしてしまう。 「じー……」 「あ、あまり見られると照れちゃいますね」 「じー…………」  眉をハの字にして、困った顔のペリドットさん。  それでも電気石の凝視は終わらない。一体どうしたものか。 「電気石、ペリドットさんの顔に何か付いてるの?」 「……メガネ」  ペリドットさんのかけている丸レンズのメガネを指差す。 「確かに顔に付いていると言えばメガネだけど……」 「……メガネ、かけたい」  ペリドットさんの顔を見ながら一言。 「メガネ、メガネ」 「……だそうです。どうしますか?」 「はぁ……少しだけなら構いませんけど」 「くらくらぁ…...
  • 小説-カンラン石(ペリドット)メイン
    ...って」より ペリドットの憂鬱 137スレ目 「黒曜石がマスターと一緒に健康について考えてみても」より プロポーズ 137スレ目 「黒曜石がマスターと一緒に健康について考えてみても」より 熱い水風呂 137スレ目 「黒曜石がマスターと一緒に健康について考えてみても」より 結 138スレ目 「黒曜石が2年間分のアルバムを整理しているが」より
  • ペリドットの泣きどころ
    「マスター、ただいま買い物より戻りまし、あ、あら? 視界が真っ白に!?」 (曇ってる曇ってる) 「マスター、お茶が入りましたよ」 「ああ、ありがとう。ペリドットも一緒に飲もう」 「ええ、その心積もりで入れてきました」 「じゃ、いただきます」 「いただきます」   ズズズ…… 「あら? マスター、どこへ行ってしまわれたのですか? あらら?」 (だから曇ってる曇ってる!) 「今日はお鍋ですよー」 「お、うどんすきか」 「私がとりますからお椀、貸してくださいな」 「ありがとう、はい」 「いえいえ……あら? あらあら? お鍋はどこに!?」 (……めがね曇ってるへなちょこペリドットも可愛いな)
  • おめめを隠してだーれだ? ペリドットマスター編
      今、ペリドットは編み物をしている。   おしとやかで優雅で……まぁ、とにかく穏やかな女性である彼女にはとても似合っている姿。   他にも料理しているときとか掃除しているときとか、とにかく家事をやっているペリドットというのはぴったりだ。 「マスター、どうかしましたか?」 「ん、別にー」 「そうですか」   こちらに笑顔を浮かべて、また編み物再開。   ……しかし、見ているだけの俺は退屈だ。こう、ペリドットにかまってもらいたいというか何というか。   だからペリドットに子供扱いされるんだけどな……。 「だーれだ?」   で、気づいたら俺はこんなことをやっていた。   また子供扱い確定だな……。 「まぁ……後ろの方、こちらにお顔を近づけて下さい」 「え、あぁ……」   ペリドットの顔の横に、自分の顔を持っていく。   すると、ペリドットの口が俺の耳元に……。 ...
  • ベリドットの秘密特訓
      ガッ! ガキッ! キィーーーン。 「くっ」 「今日はこれくらいにしましょう。この次は場所を変えますよ、間違えないようにね」 「は、はい……師匠」   ペリドットと珊瑚の稽古。珊瑚が暗ぁぁぁぁぁい顔をして帰っていきました。 「あらあら、落ち込んでしまいましたか。仕方ありませんね。あの娘も伸び悩んでいるみたいだし。そろそろ次のステップが必要でしょう」   後日。 「えぇ、し、師匠。ここで稽古ですか?」 「ええ。今日からしばらくはここで行います。ちゃんとついて来てね。さあ、あそこで着替えていらっしゃい」 「はぁ、はい」   ここが更衣室か。着替えは……これかな。これって……。 「し、し、し、師匠ぉぉぉ! この服はいったい……まるで、ド、ド、ドレスではないですかぁぁ!」 「まるでもなにも、ドレスですよ。サイズはいいようね。靴はどうでした?」 「靴って……こんなに...
  • 思いつきは、ペリドットさんから
     帰ってきて、早速出迎えてくれるのは殺生石。 「おかえりなさいませ。今夜は蛋白石達がいないので二人っきり……何か?」  いつも通りの着物姿。髪も艶のある黒で綺麗だし、9本の尻尾だって可愛く揺れている。  だけど、顔……何故か、僕の目の前にいる殺生石は、丸いメガネをかけていた。 「……殺生石、メガネ?」 「ええ」 「何か企んでるのかな?」 「いいえ」  じゃあ何でメガネなんだろう。  まず殺生石が目を悪くするなんて考えられないし、それ以外のメガネの用途なんて いつかない。良くてたまねぎを切る時のガード? 「これは、たまねぎの汁で目を痛めないための道具です」 「え……」  その答えに、何故か笑いがこみ上げそうになる。  まさか殺生石がそんな、メガネでたまねぎの……あまり効果ないと思うけど。  とにかく、どこか子供っぽい発想を殺生石が実...
  • 貴女の髪
    「ペリドット、髪が」 「あら」  髪留めを手に、鉄鉱石が声をかける。ペリドットの髪が、解けてふわ、と広がった。 「あらあら、外れてしまいましたね」 「ちゃんと梳かないとくしゃくしゃになるぞ」  鉄鉱石から髪留めを受け取って、ペリドットは笑った。 「じゃあ、お願いできます?」  鉄鉱石は眉をひそめた。 「何で私が」 「貴女は器用ですもの。たまにはお願いしてみたいわ」  髪留めを持ち、首を傾げるペリドット。 「姉妹を甘やかしても罰は当たりませんよ、鉄鉱石」  笑顔で差し出された髪留めをため息をついて受け取ると、鉄鉱石は櫛をとった。 「お前には逆らえんな」  ため息をつき、苦笑する。  オリーブグリーンの豊かな髪を梳いてやりながら、鉄鉱石はつぶやく。 「マスターも大変だな、ペリドット相手じゃ」 「こんな甘え方するのは、貴女にだけですよ」  照れたよ...
  • 残された朝食、愛しき思い
      テレビを見ていると、きな臭い話題ばかりが目立つ今日このごろ。   物騒な言葉の数々が日常茶飯事のように耳に入ってきては、こちらの頭も洗脳されかねない。   そんな朝のことだ。ニュースにも飽き飽きしていたので、テレビを切ってペリドットの作った美味い朝食に専念することにする。あー、幸せ……。 「思い出し笑いですか?」 「ん、別に。ただ今日も飯が美味いと思っただけだ」 「まぁ、そう言ってもらえるとこちらも嬉しいですよ。ふふっ」   そういって子供っぽく微笑む。   ペリドットの笑顔は、宝石乙女の長女とは思えないほど幼い雰囲気が漂っている。 「ホント、料理の上手な同居人がいると毎日が楽しいな」 「愛情は最高の調味料ですから。自分が食べる物より相手に食べてもらう物を作った方が美味しくなるんですよ」   愛情ねぇ……この場合は母性愛って奴か。外見は俺の子供って感じなのにな。 ...
  • 熱いのはお嫌い?
      正月の神様っていうのは、火が嫌いなんだとか。   まぁ、俺は別に神様じゃないけど。 「ふーっ、ふーっ……」   熱い……。 「ふーっ、ふーっ、ふーっ……」   まだ熱い……。 「マスター、私も手伝いましょうか?」 「いや、いい。ペリドットに手間をかけさせるわけにはいかない」   そう、俺は極度の猫舌。神様よりも猫に近い人間だ。   最初はペリドットに内緒にしていたのだが、最近はモロバレなので隠す必要もない。   しかし熱い。この雑煮なかなか冷めない。ちなみに作ったのは俺。 「猫舌で餅好きに生まれた宿命だ。こればかりは俺の手で乗り越える」 「まぁ、そうでしたか。では私もできる限りのお手伝いを……」 「だからふーふーは手伝わなくていいって」   二人で顔をつき合わせて雑煮に息を吹きかけるとか、どういうシチュエーションだ。 「それなら団扇であおぎましょうか?」 ...
  • 母の日と乙女
    「ペリドットって、なんか母の日祝ってもらえそうな感じだよな」   日曜日。隣で本を読んでいるペリドットに一言。 「まぁ。では、旦那さんはマスターですか?」 「っ……べ、別にそういう訳じゃ……ただ雰囲気でそう思っただけだっ」   やたらと明るい笑みを浮かべるペリドット。   あんな顔されたら、目を合わせることなんて……。 「それでは、今日1日私がマスターのお母さんになりましょうか?」 「ば、馬鹿っ……ど、どうしてそうなるんだよ」 「そうですねぇ……私、年の離れた妹たちは相手にするのですが、子供を持ったことはありませんから」 「それはまぁ、そうだろうけど」   ペリドットと子供を……か。   悲しい話だが、養子でももらわないとそれは叶わぬ夢なのだろう。   例え紙面上の結婚という定義を無視して、互いが永遠の愛を誓ったとしても……。   ……ってぇ、何俺は真剣に考えてる...
  • 閲覧禁止の思い出たち
      終わった。   何が終わったかって、今まで隠していた物が見つかってしまったのだ。   自分でも忘れるような場所に隠していたのに、どうして彼女は見つけてしまったのか。   そもそもどうして実家ではなくうちにあるのか。どうして引っ越しのときに持ってきてしまったのか。   当時の自分に問いたくなる、小一時間。 「ぺ、ペリドット……それは……」 「ふふふ、卒業アルバムですよね?」 「……見るなあぁーっ!」   ペリドットが見ていたのは、小学校の卒業アルバム。   高校ならまだしも、何で小学校のがうちにあるのか、謎だ……しかもそれペリドットに見られたというのはかなり痛い。 「これは運動会の時ですか?」   俺にアルバムを見せてくるペリドット。 「……ああ」   目をアルバムに合わせず答える。 「では、この走っているのはマスターですか。今の面影が残っていて…...
  • 傘を忘れた日の夜は
     油断した。  仕事場から出るところで雨が止んでいたが、そのせいで傘を仕事場に忘れてしまった。  そして電車に乗っているところで雨音を聞き、目的地で降りたらついには本降り。 こうして駅前で雨宿りをするハメとなった。  自分のドジ加減に、嫌気が差す。ため息をつきながら、大粒の雨を降らせる空をぼんやりと眺める。  ビニール傘でも買えばいい。最初はそう思ったが、家の傘立てに溜まっているあのビニール傘を見て、 果たしてペリドットは何を思うだろうか。 『傘で破産なんてしたら、ダメですからね』  平気でそんなことを言いそうだと思い、結局傘を買う気にはなれず。 「はぁ」  ため息を漏らし、アスファルトに落ちる雨粒へと視線を落とす。  水たまりに無数の波紋を作りながら、地表へと降り注ぐ雨。  この時期は本当、おっくうになってしまう。この雨降り独特の匂いを嗅ぐ...
  • 熱い水風呂
     夏なのだし当然だが、毎日暑い日が続いている。  風呂もほぼ毎日シャワーだけで済ませるし、そもそも熱い湯に浸かろうなんてバカな真似、 するはずもない。 「……ふぅ」  だが、たまに湯船が恋しくなるときがある。  そういうときは、自分で湯船を洗って水風呂の準備だ。  額ににじむ汗を、泡の付いた手の甲で拭う。 「お疲れ様です」  そう言って、脱衣所からこちらを覗き込んでくるペリドット。 「お風呂の準備なら、私に任せても構いませんのに」 「いや、この時期湯船なんてほとんど使わないからな。これぐらいはやってもバチは当たらないだろ」  珍しく真面目なことを言ってやったと思った。だがペリドットはそんな俺に、 普段から洗ってもバチは当たりませんよと冗談交じりに返してくる。  偉そうな口は叩けないな……苦笑を浮かべながら、スポンジを風呂桶に入れて、 ...
  • ペリちゃんと殺ちゃんの誘惑談義
      ペリドットの主は積極性に欠ける。   今日の話題は、そこから始まった。 「マスターったら、いつも照れて何もしてくれないんですよ」 「それは妾のところも一緒です。もう少し触れ合いというものを大事にしてもらいたいものなのですが」 「でも、殺生石のマスターさんはムードがよければ抱きしめたりしてくれるって言ってたじゃないですか。私のところはそれも……はぁ」   だんな様は結局のところ押しに弱いですからね、ふふふ。 「もしかしたら、マスターから見て私には魅力がないのでしょうか」 「しかし、今回の場合それはないでしょう」 「そう信じたいものですけど……」   気を落した様子でお茶を一口。   まったく、近ごろの殿方は婦女子の気持ちを考えられないのかと。   やはりこれはわたくしが一肌脱ぐしか。わたくしとて友人のためなら真面目にやりますとも。 「では、貴女の主をその気にさせれ...
  • 貴方がいれば
    「んー……」  悩んでいる。 「え……と」  すごく悩んでいる。 「はぁ……」 「ペリドット、悩みなら聞くぞ」 「あ……実は、今晩のおかずはどうしましょうかと」 「嘘付け」 「……ばれちゃいましたか」  まぁ、おかずで迷うこともあるかも知れないが、先のペリドットの悩み方は レシピのそれとは違う。  大体、あからさまに七夕用の短冊を前にして悩んでいるのだ、察しは付く。 「妹達と、七夕を祝うことになったのですが、そのときにみんなで短冊を 飾りましょうということになっていて」 「で、その願い事に詰まっているわけだ」  はい、とうなずくペリドット。 「良い姉妹仲を続けていけますように、とか、そんなのでいいんじゃないのか?」 「ええ、一応そのようなことも考えているのですが……もっと、こう、違うものはないかと」 「……毎日おかずで悩まずに済みますように、ってのはどう...
  • 凝視で魅了
     どんなに日頃気をつけていようとも、メガネのレンズというのは何かしらの理由で汚れてしまう。  そう言うときは当然レンズを拭く訳だし、それはペリドットだって例外ではなかった。 「んー……」  メガネ拭き専用の布を使って、黙々とレンズを拭くペリドット。  行動だけ見れば、何ということない日常の光景だ。  だがしかし……。 「なぁペリドット、こっち向いて」 「あ、はい。何でしょうか」  メガネをかけず、こちらの方に顔を向けるペリドット。  その目つきは、すごく悪い。限界まで目を細め、必死に焦点を合わせようとしている。  こちらをしっかり見ようとしてくれるのはありがたいのだが、まぁなんと言うか、その……。 「……っ」 「あのぉ、どうしました?」 「い、いや、何でも……くくっ」  その顔が、見ていて何となく笑ってしまう。  穏やかでありなが...
  • 可愛いイタズラ
      今、ペリドットが俺の隣で居眠りをしている。   相手が俺だから警戒心も皆無の状況らしいが、あまりに無防備すぎる寝顔だ。   こんな顔見せられていたら、もうなんというか手が止まらない。   本当はダメだって分かっているが、これはもうやるしか……。 「んぅ……あら、マスター?」   ペリドットが目を覚まし、こちらに顔を向ける。 「おう、おはよ」 「はい、おはようございます……今、何時でしょうか」   微妙な寝ぼけ眼で時計を探す。   だが目がよく見えないのだろう、時計の場所が分からないようだ。 「もうすぐ三時だ。まだまだ晩飯には余裕だぞー」 「まぁ、そうですか。ではのんびりしましょうか」 「おう、のんびりしよう」   ペリドットの言う通りだ。休日の午後くらい、こうしてゆっくり過ごしたいものだ。   というわけで、近くにあった雑誌に手を伸ばして広げる。おっ、...
  • 子供相手は体力勝負
      天河石が遊びに来た。ペリドットの膝の上に抱かれて、絵本を読んでもらっているようだ。あれは『ぐりとぐら』だろうか。 「……で、みんなで一緒にホットケーキを食べました。おしまい」 「もういっかい」 「はい。のねずみの ぐりと ぐらは……」   子供って、エンドレスなんだよな……代わってあげたいけど、外出しなきゃ。 「ペリドット、ちょっと出てくる。夕方には戻るよ」 「はぁい。いってらっしゃいませぇ」   すっかり、遅くなったなぁ。暗くなっちまった。ペリドット、どうしてるかな。電話に出なかったけど……甘いものでも買って帰ろうか。 「ただいまぁ。ねぇ、ペリド……」 「……大きな卵を見つけました。そこで……」   あれ? おいおい、出掛ける前にも読んでなかったか? あれから何時間……。 「あ、マスター。お帰りなさい」 「おかえりぃ」 「ただいま。ずっと読んでたの?」...
  • ソーダちゃんが家に来た
      ソーダちゃんが家に来た。   マスターたちの会合と年長乙女たちの意見を取り入れ、ときどき各家庭を訪問させるイベント。   よりよい成長のため、社会経験を積むため、環境変化の刺激を与えるため、いろいろな人とのコミュニケーションの訓練のため。   さまざまな理由づkけが成されたが、なんてことはない。みんな、ソーダちゃんを独占して一緒に遊びたいだけだ。   『ソーダ番』はこうして設けられた。   ペリドットにしても、ソーダちゃんが来る日はいつになくはしゃいでいるように見える。   妹とはいえ、これだけ歳が離れていると娘のような気持ちになるのか?   昨日から仕込んでいた料理を作り上げて、テーブルから溢れんばかりに並べている。   いくらなんでも、これは作りすぎでしょう……訴えかけるように目線を送ると、テヘッと言わんばかりにチロッと舌を出して首をすくめる。ああ、自覚はある...
  • ぼくのなつやすみ~カキ氷~
     暑いなぁ。いくら夏とはいえ、こんなに暑くなることはないと思う。だけど、彼女の挑発するような薄着を見れるというのも悪くないものだ。  姉妹が集まり、かき氷を楽しむなんていうのも季節ならではのことだろうし。イチゴやメロンの甘いシロップに喜ぶ子供たちの姿は、いつの時代でも変わらない楽しい日常だ。 「ペリドットの艶姿に鼻の下を伸ばしているのかね?」  鉄鉱石といったかな、暑いというのに涼やかな顔色だ。それにしても、言ってくれる。 「子供たちのはしゃぐ姿に目を細めているようには見えませんかね」 「そうか。ふふ、そう怒った顔をするな。君とペリドットの仲のよさは姉妹が羨むほどのものだからね。悪いことではない。自慢の姉妹を大切にしてくれている君に感謝しているのだよ」  目の前に座った鉄鉱石の手には山盛りのカキ氷。でも、とても爽やかな香りのシロップだな。子供たちのものとは違うような……。 「...
  • あなたのお世話をすることが
    「ただいま」   玄関に入ると小さな靴が置いてあった。これは……誰だ?   リビングに入ると、ペリドットが子供を抱いていた。ああ、ソーダちゃんか。 「おかえりなさい、マスター。申し訳ありません、ソーダが眠ってしまったものですから……食事の用意がまだなんです」 「ああ、いいよ。動けないでしょ。何か作るよ。可愛いものだね」 「ええ、まだまだ甘えたい時期ですから」   ペリドットの胸に抱かれて眠るソーダちゃん。遊びつかれたのかな。子供を抱くペリドットの姿もいいものだ。うらやましく思うのは気のせいだな。さて、久しぶりに料理でもするか。   食事の支度をしている間に目を覚ましたソーダちゃんは夕食を一緒にとったあとで、ペリドットに手を引かれて帰っていった。 「ただいま戻りました、マスター。今日は申し訳ありませんでした」 「いやいや、たまに自分で料理するのも悪くない。ソーダちゃん...
  • 小姑たちには敵わない
      出張から帰った週末。ペリドットの機嫌は上々。   帰った途端に満漢全席で出迎えてくれるとは思わなかったが、彼女が喜んでくれていることは伝わってきた。   休日の朝食を終えたひととき。新聞なんて読みながらくつろいで過ごす。   目の前に、昨夜から泊まっていた真珠姐さんと爆さんがいる以外はいつもと変わらない休日の朝。 「朝だっていうのに、疲れた顔ね。いったいどうしたのかしら?」 「バカね、真ちゃんたら。それを聞くのは野暮っていうものよ」 「ペリドットはご機嫌ね。なにかいいことがあったのかしら? 昨日、貴方が帰ってくるまでとは別人のようだわ」 「真ちゃんたら……あんまりいじめちゃだめよ。ホラ、彼も困っているじゃない」   この二人に敵う人がいるなら会ってみたいものだ。僕は嵐が過ぎ去るのを待った。 「マスター! 紅茶とコーヒーのどちらになさいますか?」 「コーヒーを頼...
  • ある日のお茶会
      ペリドットを訪ねて、瑪瑙が来ています。姉妹のお茶会かと思ったら、瑪瑙の表情が暗いようです。 「瑪瑙、もう一杯いかが?」 「えっ、あ、うん。ありがと……」 「何を悩んでいるのかなぁ? 話してごらんなさい」 「うん……えっ」   瑪瑙は不意にペリドットに抱きしめられました。 「あなたは優しい娘。自分のことより周りの人のことを大切にするの。それと、少し照れ屋さんかな。自分の思いを伝えることが人より少しヘタなの」 「……」 「何も心配することないのになぁ。あなたが思っているより、みんなあなたのことが好きなの。あなたのことを気にしていつも見ているのよ」 「マスターも? マスターも見てくれてるかな。ボクのこと、好きでいてくれてるかな?」 「もちろん。個性的な娘が多い中で、あなたのこともしっかり見てるわ。外から見てるとよくわかるの」 「そうかなぁ。でも、ボクなんて……」   ...
  • 諸刃月の照らす夜は
      ――それは、夜に輝く月のよう。   しかしその月は空には浮かばない。一人の女性が持つには、あまりにも大きな月。   ――それは、諸刃の三日月のよう。   守人の証。一人の女性が持つには、あまりにも大きな使命。   だが、彼女はそれを受け入れた、一生の生き甲斐として。 「なーに考えてるんだ?」   と、ぼんやりしているお姉さんに一言。 「……あら、どうかなされましたか?」 「いや、俺に尋ねられてもね……ペリドット、なんかぼんやりしてたから」   まぁ、今日はいい天気だしな。こんなに窓から日が差し込んでいれば、陽気で眠気を誘われても当然か。 「そうでしたか。でも大丈夫です、今晩のおかずを考えていただけですから」 「おかずですか、今から」 「はい、おかずです。台所に立つ役目を負うに当たっての、最大のお悩みです」   なんだか主婦的な発言だなぁ、それ。なんだか近...
  • 乙女たちが生まれた日
    「どうしたの? あらたまって話がしたいなんて。珍しいこともあるものね」   ペリドットのマスター君が訪ねてきた。相変らず、からかいがいのある可愛い顔をしている。   こういう顔を見るとウズウズするのは年増女の性癖なのだろうか?   いやいや、年増なんて思っちゃダメよ真珠。年月を重ねた真珠は大きさも輝きも増すのだから……。 「あの……」 「ああ、ごめんなさい。あがってちょうだいな」   居間へ彼を通す。私のプライベートな場所だけど、彼ならいいだろう。 「で、何の話かしら?」 「実は、ペリドットの誕生日がいつなのか知りたいんです」 「あら、そんなことなの。なんだ……私はもっとドロドロした相談かと思って期待してたのに」 「そんな期待されても……昼メロじゃないんですから……」 「残念ね……」   本当に残念だわ。私の知識と教養、そして美貌を生かせないなんて……まあ、しかたな...
  • 眠り姫
      目が覚める。なんとなく違和感……何だろう……ああ、そうか。自分で起きることなんて、しばらくしていなかったな。朝はいつも起こしてもらっていたっけ。寝坊しそうな時はフライパンを片手に持ってきていたな……どうするつもりだったのだろう……?   それよりも、今何時だ? あれ? やばっ、どうしたんだ今朝は? ペリドットは?    部屋を出て居間に向かう。暗い。静かだ。キッチンにも動いている気配がない……おかしい。っと、猫たちが腹を空かせている。はいはい、すまんがカリカリで我慢してくれ。さて、ペリドットは……。   彼女の部屋に向かう。静かだ……やっぱりおかしい。 「ペリドット、入るよ」   部屋に入る。彼女はまだベッドで眠っていた。なんだ、寝坊か。そりゃ、たまには寝過ごすよな。たまには起こす側にまわるのも、悪くない。 「おはよう。朝だよ。起きて下さい……。おーい、朝だよぉ...
  • 貴方と一緒にいられるだけで
    「ただいまー」 「お帰りなさい、マスター。先にお風呂どうぞ」 「ありがとう」 「いただきまーす」 「いただきます」 「今日は何だか豪勢だね。いいことでもあったの?」 「実は……」 「預金通帳? んー? ……いち、じゅう、ひゃく、せん、まん……!?」 「はいっ! 何と貯蓄がこんなに貯まったんです♪」 「す、すごい……さすがペリドットだね。今度これで旅行でもしようか」 「魅力的な提案ですが、駄目ですよマスター。貯蓄は貯めてこその貯蓄なんですから」 「でも、ペリドットの慰安も含めてだし……」 「私は、マスターと一緒にいられるだけで十分癒されてますから♪」 「もう……またそういう恥ずかしいことをさらっと言う……」 「でも、マスターのお小遣いで行くのなら喜んで行きますよ♪」 「……僕で我慢してください」 「あらあら、うふふ♪」
  • 大切だから、心配なんです
      ペリドットのマスターが風邪をひきました。   ちょっと心配です。 「お疲れ様。はい、ホットミルク」 「だめですね、もしものことがあったらって……気弱になっちゃうんです」 「大切な人のことは心配になっちゃうものよ。大丈夫よ、貴女がついてるんだから」 「はい……ふふ、私、姉様の前だと小さなこどもみたい」 「あら。アタシにとっては貴女もまだまだ可愛い妹の一人だもの。存分に甘えなさいな」 「やれやれ、ひどい風邪だったな……ありがとうペリドット、看病してくれてたんだね」 「そうですよー。あ、またぶり返したらいけないからまだ寝ててください、無理したらめーですよ」 「はは、いつもの調子だな。ごめんね、心配かけて」 「あらあら、そう思うなら早くよくなってくださいね」
  • 新しい家族
    「マスター、暖房を強めにして下さい! お風呂場使いますねっ! あ、あの使ってない毛布出しておいていただけます?」   帰るなり、ペリドットがバタバタしている。 「な、どうしたんだ?」 「ああ、一度に言って申し訳ありませんが、ミルクも温めておいて下さい。私も一緒にシャワーしてきますから……のぞいたら、めーですよ」   パタン。   なんなんだ、いったい。彼女がこんなに慌てるなんて。   さてさて、部屋を暖かくして、ミルクを火にかけて、毛布はぁ……ああ、あったあった。   やがて、出てきた彼女。バスタオル巻いただけって……。 「ペリドット、何を慌てているのかしらないけど、服くらい着なさい。いったい、どうしたんだ?」 「ごめんなさい、マスター。実はこの子たちが……」   ペリドットの胸には3匹の子猫。うわぁ、俺も子猫になりたい……じゃなくてさ! 「捨ネコか?」 「ど...
  • 譲れない人がいる
      庭の桜が満開となった。染井吉野と違って八重桜は花持ちがいい。しばらくは楽しめそうだ。   皆が寝静まった夜、月の光に誘われて庭に出る。月明かりで夜桜を肴にグラスをかたむける。   祖父もこうして、この桜を眺めたと子供の頃に聞いた。   なるほど……悪くない。   先祖がここに住み着く前から、この桜の樹はここにあったとも聞いた。   この場所で、時代の移り変わりを見てきたのだろうか……。   そっか、だからペリドットと話が合うのかも……。   辻褄が合うような合わない様な事を思いながら、月の光に色を無くして白く輝く桜に目も心も奪われる。静かに時間が流れた。   うたた寝でもしていたのだろうか、不意に掛けられた声に少し驚く。   気配を感じさせないのはペリドットかな? いつもと違って少女のような声だったが?   声がした先に視線を向けると、白い...
  • 除湿器と加湿器
    「この時期は洗濯物が乾きにくくて……日本は大変ですねぇ」  ペリドットさんとの世間話。  学校の帰りに寄ったスーパーで出会い、そのまま近くの喫茶店へ。雨宿りついでだ。 「そうですね……あ、でも僕の実家はそうでもないんですよ。この時期も雨が多いってことはないし」 「あら、それはいいですねぇ。私は日本にいることも少なかったもので、どうにもこの季節には参ってしまって」  それは僕も一緒だ。こっちに来てまだ日が浅いため、この湿気地獄は体に堪える。 「湿気が籠もって大変ですからね。うちは除湿器フル稼働ですよ。蛋白石もすぐ除湿器の水が溜まって大変って言ってました」 「ふふふ、こちらもまったく同じ状態ですよ。殺生石さんは湿気で尻尾を整えるのが大変でしょう?」 「お見通しですね……でも夏は除湿、冬は加湿って、大変ですよね。形が似てると、間違えて夏場に加湿器なんてドジもしちゃったり」  ホ...
  • 俺の名前? お前の名前
      『みんなが集まっていますから、鉄鉱石さんもどうですか?』   と、ペリドットに誘われたのが数週間前。   その時の私がどこにいたか? 話せば長くなるので割愛する。   とにかくだ、私はこうして他の姉妹が集まっているという町に来たわけだが……。   日本の、何の変哲もない町。実につまらなそうな場所。   宝石乙女というのは、それが創造主の意志かどうかは分からないが、姉妹が同じ場所に集まる習性――畜生みたいな表現だが――みたいなものがある。   だが、私にはその気質があまりないらしい。マスターを持たず、ただ放浪している方が、自分には似合う。   他の姉妹が嫌いなわけではない。別段好きというわけでもないが……。   まぁ、たまにはこうして姉妹の顔を見に来るのも悪くないだろう。半年ぐらい滞在したら、また別の場所か。   ちなみに手土産ぐらいならいつも用意する。今回の手土...
  • 梅雨雲を眺めながら
     空は灰色。予報では午後から雨が降ると言っていた。  まぁ、日本のこの季節はこんなものなのだろう。  傍らに傘を置き、わずかに湿ったベンチに腰を下ろして空を眺める。  灰色一色だが、所々に濃淡のある雲。それが雲の流れを現している。  ――今日は、風が強い。  案外予報よりも早く雲行きが怪しくなるかも知れない。  あまりのんびりもしていられない、か。ここからならペリドット達の家が近い。 そこに寄らせてもらうか。  ……足に、何か柔らかいものが触れる。 「ん……」  猫、か。  白黒茶の三毛猫というやつだ。 「お前にやる物はないぞ」  人語を解せないこいつらに、そんなことを告げても意味無いのだが。 「……はぁ」  もう少しだけ、一人を満喫することにするか。  予想通り、午前中のうちに雨は降りだした。  傘があるからなんと言うこともないが、現在私はベンチか...
  • あなたと食べる恋の味
    「マスター、はい、あーん」 「あ、ありがとう、ペリドット……」 (恥ずかしいなあ……でも嬉しいや) 「ふふふ、じゃあはい、あーん」 「……ペリドットさん?」 「今度はマスターが私に食べさせてくださいな。あーん」 (なぜ目をつぶるんだ……これは、キ、キスしてもいいということか……!?) 「……もう、マスターったら。意地悪しないでくださいな」 「は、はい!」 (チョコだけ……ですか。もう、マスターったら鈍いんだから……)
  • 停電
      突然の停電。窓から見える限りは全部真っ暗。さて、とりあえず蝋燭はどこだっけ? 「マスター?」 「ああ、ペリドット。動かないでくれるかな。いま明かりを用意するから」   携帯電話の明かりで引き出しを探る。あったあった。ライターもある。火を点けて……燭台なんてないし、コップでいいかな。よしよし。   ペリドットを連れてきてリビングで待機。明かりは蝋燭のみ。電力がないため、暖房も使えない。   テレビもダメ。緊急用のラジオはどこにしまったやら……緊急時対策を考える必要があるなぁ。 「どうしたのでしょう?」 「さて、情報が入らないので分からないんだ。近所も停電みたいだから……とりあえず、家にいるほうが安全だと思う」 「そうですか……」 「暖房が使えないのがイタイなぁ。寒くなってきた……毛布を持ってくるよ」 「動くと危ないですよ。こうすれば……」 「えっ?」   ペリドッ...
  • 家路 ~桃~
      今日はあちこちのマスターのところへお邪魔してきた。   どの家庭も艶やかで賑やかで楽しかった。   ペリドットと二人、家路を急ぐ。 「どこも賑やかで楽しかったよ。年頃の乙女が多いからかな、マスターたちもそれぞれ大変そうだったね」 「ええ、そうですね。みんな、『お年頃』ですから。マスターの視線や顔色に敏感なんです。みんな、それぞれのマスターが大好きなんですよ」 「お内裏様が三人官女や五人囃子の中にいてもいいね。本人もまんざらじゃないみたいだし」 「そうですね。でも、私のマスターの隣は、私だけですよぉ」 「そうありたいね。僕のことより、きみのほうが心配だよ」 「??? なぜですか?」 「『春の苑紅(くれない)匂ふ桃の花下照る道に出(い)で立つ少女(をとめ)』  あなたが美しすぎるから……。僕は……ときどきだけど不安になるんですよ」   僕の言葉を聞くとペリドットはにっ...
  • オーナメントの調達依頼
    ア「キミからお願いなんて珍しいね。あ、お茶どうぞ。紅茶でよかったかな? ミルクは?」 瑪「あ、おかまいなく……」   ペリドット姉様に言われて、アメジストにオーナメントの調達を頼みに来たんだけど。なんでこんなにご機嫌なんだ……後が怖い……。 ア「ははは、構えなくていいよ。可愛い子にお願いされて嬉しくないわけないだろ?」 瑪「え、あの」 ア「喜んで協力させてもらうよ」 瑪「……ありがとうございます!」 ア「うん、その笑顔が見れただけでも手伝う価値があるというものだよ」 瑪「え、あ……あまりからかわないでください……」
  • 思いがけずクリティカル
    「おにいちゃんっ」   天河石の声に、俺は盛大にコーヒーを噴いた。 「何の真似だ」 「えっと、こう呼ぶと男の人は喜ぶんだって」 「また月長石か」 「ううん、ペリドット姉様」   意外なところから入れ知恵されたものだ……。 「んー、マスターは『おにいちゃん』好きじゃないの?」   だがしかし! ペリドットさんとやら、男を甘く見ないでほしい。 「じゃー、お兄様! 兄さん、んー……だめ?」   『おにいちゃん』なんて呼び方で全ての男が落ちると思ったら大間違い―― 「……にぃに? あれ、マスターどうしたの? お鼻痛いの? にぃに? にぃにー?」 「あら、お歳暮…天河石ちゃんのマスターから…あらあら、うふふ」
  • 乙女の髪は丁寧に
     帰宅して、ただいまって言って、靴を脱いで居間まで向かう。  そしたらいつも通りみんなが出迎えてくれるはずなのだが、今日まず最初に目に付いたのは、 二人の女の子の姿だった。 「……えーと」  一人は、困った表情を浮かべながらもう一人の頭を眺める天河石ちゃん。  そして、位置も束ね具合もばらばらの、いびつなツインテール姿の電気石の姿。 「うぅー……か、かわいいっ?」 「へ? え、いやその、何というか……」  相変わらず小動物のような瞳で視線を送る電気石。  首をかしげながら、まるで僕の感想を待っているかのような……正直、ノ ーコメントを選びたいところだけど。  これをやったのは天河石ちゃんだろうか。いくつか努力した形跡は見られるけれど、 どれも上手く出来ているとは言いがたい。 「んー?」 「……な、直した方が良いと思う」 「似合わな...
  • Laptop Kitten
      猫ソーダ   猫ソーダ 毛玉にじゃれる   お守り鉄鉱石   ソーダ猫の面倒をみる鉄鉱石   たまたま遊びに来た   大いなる誤解   ペリドットに頼まれたらしい   月長石が原因らしいです   耳は自然にとれるそうです   ソーダがだだをこねて一緒に寝ることに   いい夢見られるといいね   次の日   お別れです   ちょっと寂しい鉄鉱石   ばいばーいって   突然の号泣 「どうした、泣いたらめーだぞ……ペリドットが困ってるじゃないか」 「うー、うー……」 「いっちゃやー、なの……」 「……また、会いにくるよ。ソーダがいい子にしてたらね」 ...
  • 宝石乙女の初詣
    「さて、どの帯にしましょうか…」 「これなんてどうですか?」 「あら、いいチョイスね、ペリドット。じゃあホーちゃん、ちょっとキツいけど我慢してね…」 「は、はい」 「月長石にはどのかんざしがいいかしら」 「なんか今日のペリドット楽しそうね」 「こうやって真珠姉さんのお手伝いをするのも久しぶりだから。それに可愛い妹のためだもの」 「へ?あ、あたしのこと?」 「そうよ。イタズラばっかりでも貴女も私の大切な妹よ」 「それならもうちょっとお仕置き手加減してくれてもいーんじゃないのー?」 「それは駄目。可愛いからこそちゃんと叱ってあげないと」 「ちぇー…でもなんかそういうこと言われるのって照れくさいな…」 「ふふふ。はい、出来上がり」 「こっちも出来たわよ。さて次は瑪瑙達ね…」 「ホープよく似合ってるじゃん」 「月長石もよく似合ってますよ」
  • 雪月花
    ~雪~ 「あら?」   寒くなってきた季節。鉛色の空からチラリホラリ。 「寒いと思ったら……」   バルコニーから雪が降る様を眺めるペリドット。街が白く染まっていく。 「ただいま、ペリドット。あれ? どうした?」 「ああ、マスター。お帰りなさい。雪が……」 「うん。強く降ってきたね。明日は積もるかな……って、冷えてるじゃないか。中に入ろう」 「はい」   深夜、ペリドットはまたバルコニーに立って、雪が降る街を眺めている。 「雪が好き?」 「あ、マスター。風邪をひきますよ」 「大丈夫。北国育ちなんだ。雪と寒さには慣れている」 「そうなんですか。私……雪は嫌いです」 「嫌いなのに、眺めているのかい?」 「ええ、雪は嫌い……寒いのも嫌い……でも、好きなんです」 「??????」 「昔……北国で暮らしたことがありました。1年の半分以上、雪に埋もれる国で...
  • 魅惑の踊り
      休日に姉妹が集まってゴソゴソと何かをしている。何が始まるのか分からないが、目の保養にはいいものだ。同行してきたマスターさんにとっておきのコーヒーを振る舞い、情報交換の名を借りた世間話に興じる。ああ、なんという充実した休日。 「それじゃあ、さっそく着替えてみましょうか」 「ええっ! すぐにですか?」 「そうよ。心配しないで。全員分持ってきてるから」   何だ……? 何が始まったんだ……?   もう一人のマスターと目を合わせてみても、彼も知らないような顔をしている。   さて。まあ、ペリドットが一緒だから、無茶なことはしないと思うが……。 「さあ、早く出てらっしゃい。恥ずかしがってもいいことないわよ。せっかくギャラリーもいることだしね」   爆さんの声が……扉が開いた瞬間、僕の顔の半分が目になった。なんてこった……。   爆サンを先頭に、ペリドットと蛋白ちゃんがフラダンス...
  • 桜の木の下、春迎え
      桜の下で、姉妹が集まり春の訪れを祝う。   若葉萌える新緑の季節、華やかな乙女が集う姿は壮観だ。いい目の保養になる。眼福眼福。   ふいにペリドットが子供達を集める。 「さあ、雲母。着替えていらっしゃい。始めますよ。他の子も一緒にね」 「?? ペリドット、何が始まるんだい?」 「ふふっ、少し待ってて下さいね。春のお祝いですから」   しばしの時間を他のマスターたちとお喋りをして過ごす。年長組のお酒の相手や、お年頃世代の乙女達の相談にのったり、   賑やかな声が聞こえてきた……準備が出来たようだな。   雲母ちゃんを先頭に、子供乙女達が春らしい衣装に身を包んでいた。薄絹で……フワリフワリというか……ヒラリヒラリというか……   どこの国の衣装なのだろう。見覚えがあるような……無いような……。まるで、お伽噺の世界のように綺麗だ……。 ...
  • マスターの……
     今日は七夕。  だからって何があるわけではない。いつも通りの仕事だ。 「で、今日はペリドットさんのとこで七夕の祝いするんだって?」  真剣に短冊への願い事を書いているレッドベリルを、後ろから覗き込む。 「あっ、み、見るなぁーっ!」  すぐに短冊を手で隠される。  というか、何も書いてなかったのに隠す必要はないだろう……。 「はいはい……レッドベリル、2枚も書くのは贅沢だと思うぞ?」 「う、うるさいっ。早く仕事行ってきなさいよ! あと、ちゃんと早く帰ってきてよね。 みんな待ってるんだからっ」 「はいはい。じゃあ行ってきますっと」           ◇  七夕……なんだか願い事を書く風習があるというのを聞いただけで、実はよく知らない。  で、ペリドット姉さんからもらったたんざくっていう紙。これに願い事を書くんだ……。 「んー……」  願い事、考える...
  • とある日のひとコマ
     ピアノの音がする。ペリドットがピアノを弾く姿は珍しくはないが、独りじゃないな。  『嗜む程度ですから』と言っていたが、長い時間をかけて研鑽してきた彼女の腕前は結構なものだ。その彼女と連弾できるって……誰だ?  そっと扉を開けて部屋に入る。淡緑色の後姿の隣には、紫の澄ました顔が並んでいた。  ああ、彼女か。いつだったか、ペリドットが言っていたっけ。 「アメジストには、私が教えられることはすべて教えましたから。もともとなんでもできる娘でしたから上達も早かったんです。私から離れたあとも練習したのでしょうね。今は何をさせても私より上手ですよ」  性格的にはお茶目を通り越したところもあるが、さすがはペリドットが自慢するだけのことはある。これだけの弾き手はそうそういない……な。  曲が終わる。聴衆は僕だけ。独りだけの拍手が鳴り響く。 「素晴らしいね。褒める言葉が見つからない...
  • 桜の花が咲くほどに
      早い地方では桜の便りが聞こえてきた季節。僕の自宅近辺はまだ蕾がふくらんでいるところだったりする。   当然、自宅の庭の桜の樹も開花はまだ先の話だ。   それでも、ペリドットは毎日のように桜の樹の前に立ち、日毎にふくらむ蕾に春の訪れを感じているようだ。 「見張りですか? お姉さま」 「あら、誰かと思ったらマスターですか。ふふっ。見張ってなんかいませんよ」 「でも、毎日見てるよね。そんなに眺めていると、桜の樹も見張られているように感じてたりして」 「この桜さんとは長いつき合いですから。今年も綺麗に咲いてくれるようですよ」 「分かるんだ」 「ええ。お話してましたから」 「へぇぇ」   草木と馴染みの深い彼女の言葉だ。気持ちが通じるのだろう、と、このときは思っていた。   あまり気にしなかった僕は言葉を続ける。 「世の中にたえてさくらのなかりせば 春の心はのどけからまし...
  • マリリン効果
      宝石乙女って言うのは、ロングスカートの娘が多い。   うちにいまいる三人の乙女たちも、その例外ではない。 「主、師匠がそろそろ帰宅するようだ。そこまで送っていく」 「あー、なら俺も行くわ。コンビニ寄ってく」 「天河石もー♪」 「あらあら、ふふふ」   という訳で、四人そろって家を出る。   両手に抱えきれないほどの華を抱えているのは、まぁ悪い気分でもない。   それよりも、今日はずいぶんと風が強い……。 「にゃあぁ~、飛ばされちゃうよぉ」   天が俺の脚にしがみついてくる。   まぁ、それだけ強い風だが、南風なので心地よくも感じる。   ……春だなぁ。 「天ー、歩きにくいから離れてくれー」 「でもぉ、天河石お空飛んじゃうよ?」 「なら肩車してやる」 「もっと飛ばされちゃうよぉー……でもやってっ」   よく分からん奴だ。   まぁ、天は本当に軽いし、負...
  • 色々呼ばれてる人
    「兄様ぁ」 「……どうしたの、殺生石?」   ものすごい猫なで声……殺生石、君は狐でしょ? 「あら、嬉しくなさそうですね。今の流行ではないのですか?」   と、首をかしげる。 「いや、僕いつもお兄ちゃんって呼ばれてるんだけど」 「あ、それもそうですね。小さい子達の相手が多いのですから」 「何というか、お兄ちゃんとかパパとかご主人様とか、色々呼ばれてると感覚が麻痺するんだよ。もちろん殺生石のだんな様も」   これらで一斉に呼ばれたら、どっちに振り返ればいいか分からなくなるね、うん。 「あらあら、そんな事言ってますと夜中に背後から刺されますよ?」 「こ、怖い事言わないでよ……」   でもこればかりはどうしても……嫌じゃないんだけど、それが普通というか何というか。   それにしても、一体どこからそんな話題が……。 「案外ペリドットの言葉も当てにならないものですね」 「...
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