宝石乙女まとめwiki内検索 / 「団子の固さを決めるのは」で検索した結果

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  • 団子の固さを決めるのは
    月「というわけでお団子を作ろうと思うのよ」 紫「なるほど。今夜は二人でしっぽり月見か。姉を独りにして」 月「なっ……ち、違っ……」 紫「ならなぜ急に団子なんか作ろうとしてるんだ?」 月「う……だって……お月見なんかしたことないって言うから……」 紫「ほぅ?」 月「も、もういいでしょっ! さっさとお団子作るの!」 月「うーん……こんなモン?」 紫「粉はみみたぶくらいの固さらしいな」 月「みみたぶ……」   ふに。 月「にゃーっ!? どどどどこ触ってんのよ!?」 紫「いやぁ、どっちの耳を触ればいいかわからなくてね。いっそ別のところを、と」 月「だからって……!!」 紫「ずいぶんと肉がついたんじゃないか?」 月「……アメジストの馬鹿ーっ!!」
  • 小説-メイン複数1-39スレ目
    ...でも」より 団子の固さを決めるのは 紫水晶・月長石 29スレ目「黒曜石とアメジストと月長石が、「油断大敵」と言って」より スローライフ雲母ちゃん 黒曜石・雲母・珊瑚・瑪瑙・金剛石・月長石・鶏冠石・虎眼石・置石 29スレ目「黒曜石とアメジストと月長石が、「油断大敵」と言って」より 姉らしさ? 30スレ目「黒曜石と雲母が焼き芋食べたって」より 宝石乙女が一日だけ幼稚園の先生になったら 30スレ目「黒曜石と雲母が焼き芋食べたって」より 乙女たちの肝試し 30スレ目「黒曜石と雲母が焼き芋食べたって」より 結果オーライ 30スレ目「黒曜石と雲母が焼き芋食べたって」より 紅葉“狩り”とはいうけれど 30スレ目「黒曜石と雲母が焼き芋食べたって」より ソーダの瞳に映る世界 31スレ目「黒曜石とか雲母とかが帰りを待って...
  • パパになるのも悪くない
    主「はぁ~……」   一人暮らしの頃は、家でこうしてぼんやりするのは至福の時だった。でも今は……。 蛋「ご主人様ーっ、一緒におやつ食べましょうよぉー」 電「んにぃ~……」 殺「主様、お茶を」   ……こんな調子なんです、はい。ちなみに電気石は充電中です。ぼんやりする暇なんでないし、静かなひとときはほとんど残されてない日常。でもそれなのに、楽しかったり生きてる実感を感じたり……不思議なものだよねぇ。   ふと、3人の方に顔を向ける。アップルパイ片手にこちらへ笑顔を向ける蛋白石。相変わらず顔を真っ赤にして三輪車のペダルを踏む電気石。そしてちっちゃな女の子を抱っこしながらあやしている殺生石……んっ!? 主「一人多いよっ……って、なんだソーダちゃんかぁ」 ソ「パパー♪」 殺「ふふ、呼ばれてますよ?」 主「だからそれはやめてってばぁ……」   この前遊びに来たときに、殺生石が余...
  • 縁談と嫉妬
    ソ「ねぇねぇー、お見合いってなぁに?」 主「ブフォッ!!」   い、いきなりこの子は何を……。 殺「お見合いですか? 人目を忍ばない逢い引きみたいなものですよ」 主「殺生石っ、デタラメ教えないの!」 殺「ふふふ、たまにはわたくしも冗談の一つを言うのですよ。で、お見合いというのはですね、結婚したい男性と女性が出会うことですよ。そこでおつき合いをするかどうか決めるのです」 ソ「んぅー……えっとぉ、ラブラブするかどうか決めるのぉ?」   ら、ラブラブするって、意外とエッチな表現な気もするなぁ。 殺「そうですね。つまり、わたくしとだんな様みたく相思相愛の二人には関係のないことですよ」 主「え、ちょっ、いつから相思相愛って……ゴメンナサイ。だから睨まないで」   いきなりなんてこと言うんだよぉ、まったく。   でもお見合いかぁ。ホント、なんでソーダちゃんいきなりそんなこと聞いて...
  • ママ? マスター?
      結婚なんてする気など、まったくない。今の仕事は楽しいし、特にいい男がいるわけでもない。自分で働いて、気ままな一人暮らしと洒落込みたかった。でも……。 「んーとぉ……ま、ま……ママー?」 「ママじゃなくてマスター。ちゃんと覚えてね」  どうしてあたしの家に、こんな小さな女の子がいるのだろう。どうしてママって呼ばれることになったのだろう……。 「いい加減慣れたらどうかしら?」 「そうは言いますけどね、あたしまだ未婚ですから……結婚もするつもりないし」   あたしの傍らで眠る女の子、名前はソーダ珪灰石。悩みの種筆頭候補。なぜか知らないけど、とある事情からあたしはこの子の保護者となった。   そして、一緒にお茶をしている……なんというか、不思議な人? 彼女は真珠さん。あたしがソーダを育てる手伝いをしてくれている。 「相手もいないし」 「それは貴女が探していないだけよ」 ...
  • 朝顔○○絵日記
    「マスターマスター、これ見てーっ」  部屋に籠もり、持ち込みの仕事を片づけていたところにやってくる金剛石。  勢いよくドアを開けて、相変わらず元気の良い声で……もう少し慎みを持ってもらいたいところだ。 「まーすーたぁーっ、こっち見て……見てくださいよぉー」 「あ、あぁ。でももう少し静かに……ん?」  小言を漏らしながら振り返ると、なぜかこちらに差し出されたノートが一冊。  タイトルは書かれていない、あまり汚れのないノート。いつの間にこんなものを持っていたのだろうか。 「という訳で、これ読んでみてー」  そのノートが、俺に手渡される。 「ん、あぁ。それはいいけど、まず言葉遣いをだね」 「あ、あはは……おぉっと、あたし珊瑚と約束してるから、これにて失礼!」  俺の小言から逃げたかったのか、今度は脱兎の如き勢いで部屋を出て行く。  ドアはやはり開け...
  • 髪は女性の命らしい
      最近、髪がうっとうしい。伸びすぎたかなぁ。 「うーん……」   鏡の前で考え込んでみる……やっぱり長い。せっかく伸ばしたのだからもったいないとか、そういう思いはいっさいない。この際ばっさりカットしてしまおうかなぁ。でもどれぐらいにしようかなぁ。うーん、一人の意見で決めるのもアレだし、どうしよう。 「あーっ」 「痛っ、いや、ちょっ!」   いきなり背後から髪を引っ張られる。こんな悪戯をするのは一人しかいない……というかあたし以外にこの家にいるのは一人だけ。 「ソーダっ、めっ!」 「う……ごめんなさい」 「もぉ、髪を引っ張るのはダメ。ソーダだって痛いのは嫌でしょ、分かった?」 「あぅ……」   昔は叱っただけですぐ泣き出しちゃったけど、今回はちゃんと泣くのを我慢している。だからあまりきつく叱ったりはしない。それがあたしのやり方ってことで。   ……そうだ、この際だから...
  • We See The Polar Star
     別れの際、彼女は不思議と涙を流さなかった。  つい珍しいと口をついてしまうほど、意外に思えた。  それを聞いた彼女は、くすりと笑った。 「また……会える日が来ますから」  そして、彼女はそう言って眠りに着いた。  ほんの四日前のことだ。だというのに、ずいぶんと前のことのように感じる。大切な者を失うということは、こういうことなのだなと一人得心した。  私は昨日まで自暴自棄になっていたのか、なにもせずただ亡羊と過ごした。  今日になってようやく、何かをしようという気になった。  まずやるべきことが他にもあったのだが、ふと彼女の部屋を掃除しようと思い立ち、準備を始めた。  彼女の部屋に入るのは久しぶりだった。今まで彼女と会い、話をするのはテラスやなどがほとんどであり、彼女の部屋の中に入る必要がなかったから。  なので、いささか入るのに途惑いを覚えた。後ろめたいことがあ...
  • それはとっても甘くて
     家事も一段落付いた。  だが、この手持ちぶさたになる昼時の穏やかな時間は、どうも落ち着かない。やはり修行をするべきでは……。 「お姉ちゃんっ、何読んでるのぉー?」  と、背後から天河石が抱きついてくる。 「ん、洋菓子作りの参考書だ。クリスマスに合いそうなケーキの作り方を調べてる」  去年は、黒曜石の家でケーキは用意してもらい、某は当日の手伝いだけを行った。  そういう訳で、今年の事前準備……主題となるクリスマスケーキ製作の任が、某に回ってきた。ただそれだけだ。  だが、某の一言で、天河石の笑顔が明るくなる。当然ではあるが。 「わぁ、今年はお姉ちゃんが手作りするんだねっ。天河石もお手伝いするー」 「ああ、頼りにしている。さすがに一人で巨大なケーキを作るのは厳しい」  それに、どのみち某がダメだと言っても、駄々をこねるだけだろうし。 「えへへー。みんながびっくりするよう...
  • 呪い、苦しむ者へ
      宝石乙女の創造者は、芸術家だ。   たとえばこの本。人から見ればただの詩集だが、ひとつひとつの詩には、詩人の語るべき主題……テーマが存在する。   そして、私たちも一緒なのだ。私たちは創造主のテーマを元に作られた乙女たち。   オブシディアン、パール、マイカ。鉱石に創造主のテーマを抱かせ、私たちは作られた。   ……今日は月食の日。   彼が鉱石に抱かせたテーマは、言うなれば月食の中の闇。 「明るいな」   ベンチに座る私の背後で、初老の男が呟く。   私は、彼をよく知っている。 「人は光を求めるもの。自分たちのテリトリーに灯りを絶やさないからね。貴方とは、まったく違う」 「私は暗闇を求めている、そう言いたいわけだ」   まったく持ってその通り。   彼は月食の元でしか、姿を現さない。   もちろんその性格も暗い。私が巡り会ってきた人間たちの中で、最も陰気な人...
  • 名も無き乙女の昔話7
    「お姉ちゃ~ん」 幼いマスターが駆け寄ってくる。私の至福の瞬間。 誰かに必要とされているということ。誰かを必要としていること。 それを実感できる瞬間。 生まれたときから一緒に生きてきた。 生活の全てをともに過ごしてきた。 私の全てと言える存在。 彼の母親には、実は申し訳なく思っている……。 「すっかり貴女に夢中ね……」 「ごめんなさい……。私ばっかり……」 「いい子に育っているから……よろしいのではなくて? それに……貴女の元のマスターを私が奪ってしまったわけだし……」 宝石乙女と人が共に生きていく時に、マスターとその伴侶との軋轢は避けられない話として伝わっている……。 私たちは、人間の女性から見れば嫉妬の対象となりやすい。 長い寿命。その容姿は色褪せることなく。初めて会った時の姿のまま。立ち居振る舞いもそのまま。 マスターだけを見て、マスター...
  • 小ネタ集
              = 海 =   海。そう、今私たちは海に来ている。   梅雨に入ってすらいないのに気が早いような感じもするが   もう来てしまったのだから仕方が無い。   珊瑚は泳げないのか、参加するのが億劫なのかはわからないが   砂浜で何か作っている。当然、それには私も参加している。   お子様メンバーは現在絶好調に海水浴を楽しんでいる。   ……で、珊瑚は一体何がしたいんだろうか。手伝っている私にもわからない。   ただ単に山を作っているようにも見えるが……。   聞くのが怖いが、とりあえず聞いてみる。 「…何を作っているんでしょうか」 「見てわからんか、城だ、城」 「あの……これはどう考えても山で……」   ギロリ。……こ、殺される。何だこの鋭い視線は。   ……城。む……やっぱり見えない。   もはや何がしたいのかわからないがとにかく私は‘...
  • 凄い?
    瑪「前から思ってたんだけど、金剛石は箸の持ち方が……個性的だよね」 金「ん?何か変だった?」 瑪「その……箸がクロスしてるのはどうかと」 金「でも普通に使えるしさぁ」 瑪「もう逆にその状態で食べ物を挟めるのが凄いよ……」 金「え、凄い?もっと褒めてー!」 瑪「褒めてないよっ」
  • 置石のアンリミッテッドトラップワークス発動@殺られたのは試金石
    「やあ珊瑚」 「……今度は気配遮断での登場か」  珊瑚が呆れたように言う。ここ最近は、何もせずに堂々と突入するのだが、その度に天河石がキラキラした目で私を見つめるのだ。  ……つまり、プリンをプレゼントするのが当たり前。となってしまった。で、天河石のマスターから泣いて頼まれたので今日は気配遮断で入ってきたのだ。  私がどのように入ったか、はもうどうでもいい。問題なのは今目の前にいる珊瑚をどうすればいいのか、である。押し倒してしまおうか。  そんな甘い葛藤を楽しんでいたのだが。どうもこの家に私以外の侵入者。 「侵入者だ。ちょっと見てくる」 「お主も完璧に侵入者なのだが……」  それは野暮ってもんさ、マイハニー。気配はリビングにあり、そこに行くにはドアを開けなければならない。私は躊躇もなしにドアを開く。  途端。頭上で小気味良い金属音が響いた。ドリフでおなじみの金ダライが私の...
  • 街を眺める
    「変ったねぇ……。」   もう、いつからここに来るようになったか忘れた。ふわふわと漂っているうちにここにたどり着いた。   高くて見晴らしが良かったから。ただそれだけでここにいた。 「見晴らし、悪くなったなぁ……。」   背の高い建物がどんどん増えてきて、見える景色もずいぶん変った。   晴れた日には冠雪をいただいた山も見えたのに……。   下で、男の人が話してる……廃業……取毀し……マンション……。   そっかぁ。とうとうここも無くなるのかぁ。   あーあ、次はどこに行くかなぁ……。   今日は下が賑わってる。ここが賑わうのも久しぶりね……。 「お月様……見えないなぁ……。」   住人が引っ越していった。あのお爺さん、家族と同居して大丈夫かな……。   あれから数日、この煙突が温まることは もう無い。熱気が抜...
  • 私と、狐耳の……
     時々、電気石の面倒を見るついでに、他の子供達の面倒を見ることがある。  正直、問答無用に尻尾を弄ろうとしてくる子供達は苦手だった。その後の手入れにどれほどの時間を要するか……。  だからこうして、自分は遠くから子供達を眺めているだけ。あの子達の輪に入ろうものなら、まただんな様に迷惑をかけてしまう。  自宅の庭で遊ぶ子供達。相変わらず、微笑ましい光景。 「……何か?」  その輪に入ろうとせず、荒巻を抱きながらじっとわたくしを隣から見つめてくるだけの少女が一人。  雲母……・この子とは、あまり面識がない。住んでいる家も違えば、互いを結びつける接点もあまりない。  電気石の友達、ただそれだけか。とにかく、わたくしはこの子のことをよく知らない。 「尻尾は触らないように」 「分かってる」  まぁ、それならいいのだけど。  ……会話が続かない。  黙って見つめられるのは嫌だけ...
  • 宝石乙女達の避難訓練 ~黒曜石達の場合~
      俺の家の居候は4人。ちなみにみんな宝石乙女だ。 黒「マスター、みんな集めて何をするんですか?」 雲「……」 金「これからみんなで訓練ですかぁ?」 瑪「それはないと思うよ」 主「いや、訓練は訓練だけど、避難訓練ね。日本ってこの時期台風が多いから一応と思ったんだけど」   この前台風の話をしてみて、ここにいる宝石乙女全員がその存在を知らなかったのには驚いた。で、なぜかそういうことは気になって仕方なくなってしまう肝っ玉の小さな俺。それで今日は台風が直撃するときに供えた訓練をしようというわけだ。 雲「家にいれば平気」 金「鞄の中にいれば安全」 主「俺が無事じゃないんだよ!!」   何でこんな時だけこの二人息がピッタリなんだよ!? 黒「まぁまぁ。マスターだけ避難して、離ればなれになったら嫌でしょう? それに家だって吹き飛ばされちゃうかも知れないんですよ」   いや、そこま...
  • 十五夜
    月「今日は十五夜!」 マ「ど、どうしたのいきなり」 月「いやー、仮にも名前に月があるんだしこれは是非とも祝わなきゃってね」 マ「なぁるほど。でもどこでお月見するの?」 月「私の家」 マ「へ?」 マ「おじゃましまーす」 紫「おや……初めてじゃないか、君が我が家に来るのは?」 マ「そうですね、いつもは月長石が来るばっかりだし」 紫「それで今日はどうしてまた?」 月「十五夜だからお月見よ」 紫「あぁ、なるほど」 月「とゆーわけでお団子よろしくー♪」 紫「まったく姉使いの荒い妹だな。待ってろ」 月「美味しー♪」 マ「本当美味しいね。ところでアメジストさん、出かけちゃったみたいだけど」 月「んー、愛しい人のもとじゃないの?」 マ「ふーん」 月「……もうちょっと寄ってもいい?」 マ「どうぞ」 月「えへへ……」
  • 超電磁姉妹VS白面金毛九尾狐
     宝石乙女同士でも、疎遠な間柄というのは存在する。  だから、互いの距離を縮めるための交流は、悪いことではない。 「わっ、これ美味しい! 【蛋白石のマスター】っ、これ何!?」 「S姉はしゃぐな、恥ずかしい。あとこれはどら焼きだろう」  でも、来るなら来ると先に言っておいて欲しい。  殺生石と向かい合ってテーブルに座る、二人の女の子。僕も初めて会う、磁石の姉妹らしい。 「……で、いきなりうちに何の御用で? あまり騒がれると、主様に迷惑が」 「あぁ、そんな気にしてないからさ、殺生石もそう怒らずに」  互いの間に座りながら、殺生石をなだめる。  騒がしいのが嫌いな殺生石にとって、この状況では不機嫌になるのも無理はない。  追加のどら焼きをテーブルに置き、ため息を一つ。さて、これからどうするべきか。 「ありがとぉー。あむっ」  と、早速追加したどら焼...
  • 心の眼
    「蛋白石から聞いたんですけど」   今日は珍しく真珠さんとお茶をしている。   定期的に妹たちの様子を見ているのだから、やっぱりすごい人なんだなぁ。   で、そんな真珠さんを見て、ふと思い出した話。 「真珠さんって、見る人によって姿が違うって。つまり僕が見ている真珠さんと他の人が見ている真珠さんって違うんですか?」   その質問に、真珠さんは紅茶を一口飲んでから一言。 「それは乙女の秘密」 「う……すみません」   真珠さんは口が堅い。ゆえに謎も多い。   こう言われると、さすがに僕も肩をすくめてしまう。   だが、今日はどこか様子が違う。こちらをじっと見据えている。 「……まぁ、貴方と私の仲だから、それぐらいなら教えるわ」   そういう風に思われていたのは、少し驚きかも知れない。だがそれだけに光栄だし、嬉しい。 「皆が視覚的に見ているものは、きっと同じもの。だけ...
  • 試金石百合日記11
    「やあ珊瑚。」 「またお主か。」 主人に言われたとおり、強引なんかじゃなくて少しずつ…。 そして確実に歩んでいこう。それがいい。 というかそうしなければ大人のキスをされた意味が無い。 「珊瑚、実は謝りたい事がある。」 とりあえず謝っていままでの清算をつけよう。 そうして、今度こそらぶらぶな関係に…。 「…あ、明日は槍の雨か?そ、それとも具合でも悪いのか? あ、頭をぶつけたか?だ、大丈夫なのか!?」 「ごめん、すごい悲しい。」 ひ、ひどい。そこまで意外か? 「じゃなくて、今までの事を謝りたい。ストーカーまがいの事したりとか 無理矢理キスしたりとか…。ごめん。」 腹をかかえて笑い出しそうだった珊瑚の表情は一瞬にして シリアスになり、静かに「そうか。」と。 「じゃあ、家に来るのもやめるのか?」 「珊瑚が嫌なら…。」 やっぱり...
  • 試金石百合日記5
    「第一回突発的サバイバルゲーム。」 やる気の無い私の宣言でゲームは開始される。 このサバイバルゲームは世界丸○えで言うビックリ企画なのである。 勿論ターゲットは珊瑚。他のメンバーは当然仕掛け人だ。 相手チームは瑪瑙、珊瑚、天河石 こちらのチームは私、化石、黒曜石 一応無難に集めたつもりだが、人選ミスにも程がある。 己の未熟さを猛省しつつAKを握る。化石さん、化石さん、銃口覗いたらだめです。 あと黒曜石さん、これ喧嘩じゃなくてゲームです。そんな思いつめた顔しないでください。 一応説明したんだけどなぁ…?こりゃあビックリ失敗かも。 とりあえず全ては瑪瑙にかかっている。一番重要なポジションだ。 …あれ?向こうチームに天河石がいない?…ゲエッ!マスター! しかもいろいろとフル装備。あわわ。しまった天河石じゃなくてアメジスト辺りを 誘えばよかったか...
  • 雪は時々積もるのがいい
     雪はやっかいだ。  交通マヒを引き起こし、つるつるの路面はどうしようもなく歩きにくい。  電車に影響が出るのなんて、特にやっかいだ。出勤、帰宅、両方に使っているのだから。  あんなに雪が降る北国がどうして上手くやっていけるのか、不思議に思えてしまう。  そんな億劫な気持ちを抱えながら、日の落ちた帰路を歩く。  踏みしめると、独特の音を立てる雪。吐き出す息は、相変わらず白い。  ……とにかく寒い。こんな日は家でのんびり風呂にでも浸かりたいものだ。  そんなことを思いながら、我が家の目と鼻の先にあるT字路を左に曲がる。 これで自宅は目の前……。 「うわっ……」  思わず、そんな声を上げてしまう光景。  自宅アパートの前が、雪兎や俺の腰ほどの大きさの雪だるまで満ちあふれていた。  一体何なのだろう。どこかの部屋で、親戚の子供でも来たのか。  ...
  • 綺麗なものは
    「鶏冠石、鶏冠石」 「何ですの? 瑪瑙」  笑顔で呼ぶ瑪瑙に、わたくしは首を傾げました。 「ちょっと着けてもらいたいものがあって」  座るように促され、髪を後ろに流すように梳かれました。瑪瑙の腕が回されて、首元にしゃら、と何かが。 「ああ、やっぱり。よく似合う」  赤い薔薇の花をかたどった首飾り。 「綺麗……どうしましたの、これ」 「ちょっと作ってみたんだ。鉄鉱石姉様に教わって」  裁縫が得意なのは知っていましたが、アクセサリーまで嗜むとは、器用なこと。 「まあ、上手ね瑪瑙」 「鶏冠石に似合うものを作りたかったんだ」  はにかむように笑って、瑪瑙はそのままわたくしのうなじで鎖を留めました。 「やっぱり、綺麗」  うっとりとした声音でわたくしを褒める瑪瑙。 「貴女も着ければよろしいのに」  気恥ずかしくて、瑪瑙の首元のスカーフを意味もなく直してみま...
  • 避けられぬ別れ
    ア「失礼する」 黒「あれ……アメジストさん?」 マ「珍しいね、君がここに来るなんて」 ア「あぁ……いい茶葉が手に入ってね、よかったら一緒にどうだい?」 黒「あっ、ありがとうございます。今淹れてきますね」 マ「頼むよ黒曜石」 ア「……」 マ「どうしたんだい? さっきからずっと黒曜石のほうばかり見ているけど」 ア「ん? いや……いい娘だな、あれは」 マ「いきなりどうしたんだい?」 ア「うん? 私が妹のことを褒めるのはそんなにおかしいかい?」 マ「いや、いつもここに来た時はからかうってばかりの印象しかなかったから……」 ア「ふむ……そういえばそうかもね……」 黒「どうかしたんですか?」 ア「あぁ、なんでもないよ……邪魔したね、そろそろ帰らせてもらうよ」 黒「え? もう帰るんですか? せっかくお茶菓子ができたのに……」 ア「すまないね。それはまたの機会にいただ...
  • 好物
      いい加減日々のおかずを考えるのに苦労を覚え始めたころ、僕は一計を案じた。 「今日の晩ご飯は誰かの好物にしようと思ってるんだけど、どうかな」 「やったーっ♪」 「……電池ー」 「ごめん、それは無理」   なんだか出だしから不安だ……。 「好物、ですか……誰のを作るのですか?」 「それはじゃんけんで決めよう」   これだったら殺生石相手でも公平に決められるよね。 「……神通力か何かで人の考えを読むのはなしだからね」 「妾がそんな卑怯な真似するはずありません。主様ったら、ひどいですよ」 「ご、ごめん……できるの!?」 「当然です。ですが卑怯なのは嫌いです」 「ご主人様ー、早く決めましょうよっ。じゃないとお腹……おなか……ごはーんっ!!」 「ぎゃーっ!!」   話が脱線しすぎたけど、まぁとりあえず……うぅ、噛み跡ついた。 「というわけでおかずじゃんけん」 ...
  • 乙女とアルコール
    「なぁなぁマスタ」   並んでテレビを見ていると、突然化石が袖を引いてくる。 「何だ?」 「あのなー、普通のビールと黒ビールって何が違うん?」 「色」   ……沈黙。 「分かった分かった。真面目に答えるからこっち見るな」   閑話休題。   まぁ、そんなこんなで化石と酒の話をしてみることに。 「ところで化石は酒飲めるのか?」 「んー、たぶん飲める」   たぶんってのがまぁ引っかかるが、なるほどな。   しかし化石の私服って制服だからなぁ。外で飲んでたら補導は間違いない。 「そっかぁ。俺は下戸だ、それに貧乏だ」 「そやなー。晩酌なんてぜいたく、このままじゃ一生無理や」 「きつい言い方するなよ、泣けてくるじゃないか……」   目尻に熱い汁が溜まる。 「あぁマスタ、ごめんしてやー。だから泣かんといて」 「そ、そうだな……でだ、俺は下戸だが化石となら飲んでもいい...
  • 諦めるな!
     最近、電気石がよく分からない。 「わんもあせ?」 「……何?」  いや、前から色々と不思議なことを言う子だというのは知っているのだが、 今回のは特に分からない。 「びくとりー」  先の言葉との繋がりが、全く見えてこない。  一体これは……。 「解説しよう」 「うわ!?」  横から唐突に虎目石ちゃんが現れる。  というか、解説? 虎目石ちゃんは何か知っているのかな。 「電気石は今、ビリーズブートキャンプをやっている」  ……え? 「ごめん、余計分からない」 「だからビリーのブートキャンプに入隊している」 「それはいいんだけど、でもなんで電気石が……」 「全ては姉のようになるため」  姉……つまり蛋白石のようになりたいって事か。  確かに電気石は蛋白石より遙かに非力だ。卵を割るのにも苦労するほどに。  でも、宝石乙女ってトレーニングで筋力上がるのかな…...
  • 試金石百合日記2
    ごめんなさい試金石のお父様。 完全に変態さんになってしまいました。 僕は何か悪いことしたでしょうか。 恋は盲目と言いますがソレなんでしょうか。 主人がまた何かブツブツ言っているがやっぱりそんなの気にしない。 魔法という便利なものがあるからいつも珊瑚をストーキングできるのだ。 この前は雷が弱点という事がわかった。 …しかし生憎にも今は晴天である。急に雷がやってくるのは不自然すぎる。 何かいいボロを見せないものかと後ろから珊瑚を観察。 抱きしめたいなぁ…おっとヨダレが。 「何している、ストーカー娘。」 ペシン。頭をはたかれる。何ヤツ。 天河石と珊瑚のマスターか。何故わかったんだ…。 「おかしいな、姿を消して気配も消していたはずなのに。」 「大体珊瑚の後ろで現れるからな、勘だ。それより 俺が誰もいない空間に話しかけているみたいだか...
  • 願い事、ひとつ 前編
      これは古い話。欲望が生み出した不幸の始まり……。                   -願い事、ひとつ-   多少名の知れた大道芸人がいた。   人に笑顔を与える事が誇りだった彼。腕も良ければ、仕事にも人一倍情熱を持っている。   笑顔……彼自身も笑顔を絶やさない。それは笑顔を知らない奴が笑顔を与える事など出来ないという信念。   ――時は1789年の3月。フランス革命の近い頃。           ◇   フランス北部のとある森。   その日は空が青かった。雲一つない晴天だ。   だが気温は低い、例を見ないほど低い。南で生まれた彼には、それが相当堪える。 「うひぃ……」   フランスという国はあまり寒くはならない場所だが、これは異常気象とも言うべき寒さだ。   と、そこに彼のくしゃみが響き渡る。 「くっそぉ……お、見えた見えた...
  • もったいないこと
    月「そういやアメジストってさ、人にはドレス勧めるのに自分は着ないよね」 ア「なんだ突然」 月「だってなんかもったいないじゃん」 ホ「私もアメジストのドレス姿見てみたいです。きっと綺麗なんでしょうね…」 ア「…まあ色々あってな、こればかりはホープのお願いでも聞けないな」 ホ「そうですか…よければ理由を教えてもらいますか?」 ア「教えるほどのことでもないさ。ただの自分勝手な理由さ」 月「むー。あ、でも真珠姉なら知ってるかも」 ホ「だ、駄目ですよ。本人が話したくないって言ってるんですから」 ア「あー、その、なんだ、話したくはないんだが…聞かれて困るという話でもない…わけでもないんだが、その…」 月「うわー、こんなうろたえてるアメジスト初めて見た」 ホ「あ、あの、本当にいいんですよ?」 ア「…姉さんに聞いてくることは止めないよ。というよりあの人なら嬉々として話しそうだからな...
  • おしどり夫婦? 否、バカップル
    置「あたしたち宝石乙女とひと味違う奴。それは自称妖怪の殺生石!」   ……どうして私はこんなことに巻き込まれているのだろうか。朝起きたらいきなり置石に連れ出されて……気づいたら黒曜石や雲母、そしてそのマスターがいる部屋に連れてこられていた。 置「あたしはどーっしても気になるのよね、あの狐娘の正体が。だから今日はみんなで殺生石の実態を調査しようと思います!」 黒曜石たちのマスター(以下黒主)「無理無理。あの子置石の何倍も勘が鋭いし」 黒「それは言い過ぎかも知れませんけど……殺生石さんを隠れて調査というのは無理ですよね」 置「えぇい、うるさーい! 雲母っ、あんたもうなずくな!!」   殺生石。蛋白石のマスターのところで居候している妖怪。私たち宝石乙女とは違った存在。どうやら東洋ではかなり有名で、なおかつ日本では最強を誇っているという妖怪らしいが、普段は厳しいが親切な子だ。   で...
  • 割り箸
      テーブルの前に虎目石が座って、何かを睨みつけている。 「何凝視してるのさ」 「……置石」 「え、ちょっとあんた涙目……何かあったの?」   何だろう、この子が涙目になるほどのことって。いつもは顔に出さないから、さすがに心配になっちゃうよ。   で、テーブルの上には……割り箸ぃ? しかも中途半端に割れてるし。 「なんか先が読めた気がするけど……どうしたの?」 「ちゃんと、真っ直ぐ割れない……どうして」 「どうしてって、知るはずないでしょ。だからすがりつくのやめて」   やっぱりロクなことじゃなかったか。 「今日で20連敗……悔しい」 「20連敗って、最近家の割り箸が増えた気がするのはあんたのせいかっ! 環境に最悪じゃん!!」   まぁ、捨てずに取っておくけどね……そこ、ババくさいとか言わない。 「っていうかこの前自分の箸買ったばっかでしょうが。それ使いなさいよ、...
  • 着飾らない乙女へ
    「珊瑚って、あまりオシャレとか興味ないのか?」  食器を片づけていた珊瑚にそんなことを尋ねてみると、 あからさまに不機嫌そうな睨みを返された。 「乙女として最低限には着飾っているつもりだが。過剰に行うほど興味はないし、 武士として動きにくくなるのは控えているが」 「そ、そうか。悪いな、変なこと聞いて」 「別に気にしてなどいない」  と、その言葉を疑うような、どこか怒りの籠もった口調でぼやく。テレビを見ていた天も、 少し困ったような表情を見せる。 「ま、マスタぁーっ、こっち来てっ」  そして何を思ったのか、立ち上がって俺の手を引っ張り、居間を出るよう諭してくる。  いったい何なんだか……妙に重たく感じる腰を上げ、天に付き合って廊下に出る。 「マスタぁー、ああいうこと言っちゃめーっ」 「いや、ちょっと気になっただけで」 「それでもめーっ。...
  • 春の夜更けは、まだ寒い
    「虎眼ぇー、もっとくっつきなさいよぉ。寒いんだから」  夜の森の中。春になっても、こんなところの夜はとても寒い。  だけど、一枚の大きな毛布を共有して被っている虎眼は、それを気にせず 星空を眺めている。  見上げる空は雲一つなく、町から離れ、空気も澄んでいるため星がよく見える。 「何か、毎年同じ事言ってる気がするわ、あたし」 「寒がり」 「虎眼が季節選ばず流星群観察なんてするからでしょー。大体まだ1個も降ってきてないじゃん」  今日あたしがこんなところで震えているのは、この妹の天体観測に付き合わされたため。  これはすでに年中行事みたいなもので、何かと理由を付けては、こうして登山と 二人だけの寒地我慢大会に付き合わされる。 「ピークにはまだ時間がある」 「どれぐらい?」  そう尋ねられると、虎眼は懐から懐中時計を取り出し、それを懐中電灯の...
  • ご飯とおかずと味噌汁と
      どうも、たくあんばかりで栄養失調気味の人です。いや、たくあんだけじゃなくいろんな漬物を作ってもらっているのですが……あぁ、その前に俺の同居人を紹介しないといけないね。 「マスター、手伝ってもらえますか?」 「あー、はいはい。今日は何漬けてるんですかね?」 「今日はいつものに加えてトマトをぬか漬けにしてみようと思いまして」   この子が同居人、名前は漬物石。変な名前だけど、着物姿でつり目がちの可愛い女の子だ。家庭的でとてもいい子だが、彼女は人間ではない。宝石乙女という人形らしい……漬物石って、宝石じゃないよね? 何故かダイヤモンドを漬物石代わりにしているイメージが浮かんだよ。   もちろんそんなことはない。彼女は普通の木の樽と普通の漬物石を使って作る、昔ながらっていうのかな、そういうタイプの子だ。でも力はあまりない。だからこうして漬物石を乗せるのは俺の役割。 「と、トマトねぇ...
  • 色々呼ばれてる人
    「兄様ぁ」 「……どうしたの、殺生石?」   ものすごい猫なで声……殺生石、君は狐でしょ? 「あら、嬉しくなさそうですね。今の流行ではないのですか?」   と、首をかしげる。 「いや、僕いつもお兄ちゃんって呼ばれてるんだけど」 「あ、それもそうですね。小さい子達の相手が多いのですから」 「何というか、お兄ちゃんとかパパとかご主人様とか、色々呼ばれてると感覚が麻痺するんだよ。もちろん殺生石のだんな様も」   これらで一斉に呼ばれたら、どっちに振り返ればいいか分からなくなるね、うん。 「あらあら、そんな事言ってますと夜中に背後から刺されますよ?」 「こ、怖い事言わないでよ……」   でもこればかりはどうしても……嫌じゃないんだけど、それが普通というか何というか。   それにしても、一体どこからそんな話題が……。 「案外ペリドットの言葉も当てにならないものですね」 「...
  • そのお金はどこから出した?
      かれんだーというものをこうも凝視するなどということ、おそらく初めてでしょう。最近やっと読めるようになったこの数字、左から右に月日が進んでいるようですが……わたくしが気になっているのは24の数字。確か日曜日というところにある数字で、わたくしにとってとてつもなく重要な日。   ……くりすます、でしたか。その前祝いの日。 「……んー?」   わたくしの隣で、電気石が首をかしげる。今のわたくしよりくりすますについて詳しいこの子なら、よい相談役になるかもしれません。 「電気石、貴女はくりすますの贈り物はどうするのですか?」 「プレゼント……サンタさん、持ってくるよ♪」   ……この子らしいですね。 「殺生石ー、お姉様と何してるの?」 「蛋白石ですか。貴女はくりすますの贈り物、用意しているのですか?」 「え? ちゃーんと、ご主人様に渡すプレゼントは用意してあるよ」   迂闊。ま...
  • 海を見ろ
      波の音。   視線の先には砂浜、そして海。   堤防から眺める、青い風景。 「こうして出かけるの、久しぶりですね」   隣の、黄色いワンピースを着た連れがつぶやく。   砂浜の方にいる他の娘達から離れ、私の隣を離れない。 「お前もあいつらと遊んだらどうなんだ?」 「……今日は、ここがいいです」   ただぼんやりと海を眺めている私の隣に、何か魅力でもあるのか。   理解出来ない。到底楽しいと思うことはないはずだが。 「黒曜石」   仕方ないから、何か話題を振っておく。   しかし、何を話せばいいか……。   そのとき、彼女の黒い髪が目に入る。   ……やれやれ。 「……あっ」 「人形のくせに日射病で倒れるお前だ。天気のいい日は帽子を被れと、いつも言っているだろう?」   私の被っていた帽子。   黒曜石には、少し大きいか。 「えへへ……」 「何か面...
  • 珊瑚が往く
      俺ンちの居候、珊瑚。家事はそこそこで武術に長けた、なかなかいい子だ。スタイルも……いや、その話は止めておくか。 珊「主、用心棒は必要ないか?」 主「ないっつーに。バイト行くだけだよ……」   まぁ、これは俺の悩みの一つ。出かける支度をしてるとき、必ずこれを聞いてくる。 珊「しかし主、ここ最近は物騒な事件が多い。飲酒運転に通り魔、そして痴漢」 主「前者二つは同感だが後者はなんだっ、男に来るのは痴漢じゃなくて痴女だろ!!」 珊「まぁ、似たようなものだ。そういう輩から身を守る術を、主は持っているのか? それにマンホールには主の大嫌いな昆虫が群生しているではないか。殺虫剤を撒いたら湧いて出てくるぞ」 主「やらねぇよ!」   なんか今日はずいぶん食い下がってくるな。つーかゴキブリの話をするな! でもわざわざバイト先まで連れていくわけにもいかないしなぁ、斧持ってくるだろうし。 珊...
  • 添い寝
    天「にゃぁーっ!?」 主「えぇいっ、飛び付いてくるな!」 天「えぐっ……だってだってぇ~」   晩飯時、テレビでは季節外れの心霊写真特集をやっている。   これは気のせいだろうと思う代物から、ちょwwwテラコワスwwwwwwな感じのまで、色々出てくる。   しかしこのちびっ子は……。 天「ひにゃぁーっ!!」   と、何か出る度にこの調子。予想はしていたが、ここまで怖がりだとは……。 主「天河石ぃ~、そんなにこえぇんなら見なきゃいいだろ? 鞄の中にでも入ってろ」 天「いやぁ~っ、一人になるのこわいー……」 主「……はぁ」   …………   俺は神や預言者ではない。   だが、この後……今こうして布団に入った後、何が起るかは大抵予想できた。   来るぞ、絶対来るぞ……。   ドアの開く音……ほら来た! 天「マスタぁ~……起きてる?」...
  • 美味しい味の誘惑
      ……ふむ。 「ぽりぽり……」   ……ふむふむ。 「ぽりぽりぽり……」   ……おぉ、これはなかなか。 「ぽりぽりぽりぽり……」 「マスターっ、つまみ食いしちゃダメですよっ!」   おっと、ばれてしまった。 「いやぁ、樽が開いてたからついな。はっはっは」 「はっはっはー……じゃありませんっ。行儀悪いですよー」 「悪い悪い。でもこのたくあん美味いぞ」 「え、そ、そうですか。えへへ……じゃありませんっ。ごまかさないでください!」   おだて作戦、失敗。   まぁ、空腹に釣られて台所に来てみたら、開いていた樽があった。それでちょっと食べ始めたらやめられなくなったわけだが。 「ということだ」 「だからといってつまみ食いは許しませんよ。今日は漬物抜きです」 「えー、それは勘弁」 「ダ・メ・で・す。もう……」   うぅむ、漬物石がいつもより厳しい……。   だ...
  • 今だけは、僕だけの
      いつもの散歩道。春の夕暮れは早く訪れ、冷たい風が吹く。   今日の同行は瑪瑙。いつもは恥ずかしがって一緒に歩くことが少ないのだが、無理矢理引っ張り出してきた。   他愛のない話をしながら二人で木立を抜ける。他に人や姉妹がいないせいか、いつもより少し饒舌な瑪瑙の姿が新鮮だ。自分の胸のうちを表に出さない娘なので気にはしていたのだが、こういう姿を見せてくれると嬉しいやら安心するやら。   ヒュゥゥゥ   冷たい風が吹きぬける。 「瑪瑙。おいで」   手を差し伸べてみる。いつもなら照れ屋のこの娘は拒むはずだが……。 「……はい」   風は相変らず冷たかったが、二人の手は温かだった。     ◇    ◇    ◇    ◇   マスターに引きずられるように散歩につき合わされる。   いつもなら断るのだけれど、強引さに負けてしまった。   一緒に歩...
  • おめめを隠してだーれだ? ソーダマスター編
    「だーれだ?」 「んとぉー、ママ?」 「ママじゃなくてマスターだよ」   ソーダはこういうスキンシップをしてあげるととても喜ぶ。   あたしもこういうのは嫌いじゃない。ソーダが喜んでくれるなら、いくらでもやってあげようと思う。 「でも、すっかりママが板についてると思うわ」 「真珠さん……だから未婚でママだといろいろ……」 「いいじゃない。世間の目が気になるのは分かるけど、家の中ではこの子のママでいてあげたって」   ま、まぁそうなんだけど……そう呼ばれるのも、実際は嫌じゃない。   でも、あの呼び方がものすごく恥ずかしいのも事実。   あたし自身の、この子の保護者としての覚悟が足りないのかな。もっと精進しないと……。 「あ、ご飯の用意してきますから、ソーダをお願いします」 「ええ、いいわよ」 「真珠おねーちゃん♪」   今度は抱っこする方が逆転。ソーダが真珠さん...
  • 台風が来た!
     最強級とかいう物騒な二つ名を得た台風が来た。だいたい最強とか、子供がつけるんじゃないんだから……もっといい表現はないのだろうか。 「最強なのは認めるけどよぉぉぉ!」  頭上に差すはずの傘を真横にして、自宅への道を進む。  風が強い。顔に当たる雨が痛い。というか歩きにくい。しかも夜になってからひどくなるという最悪のパターン。この状態で道を行くのは危ない。向かってくる車が見えない。だからって、素直に傘を頭上に掲げるなんてできるわけがなかった。やった時点で傘は崩壊する。高いんだからな、これ……。 「……ったぁぁーっ」  風に乗って、声と区別もつかない音が聞こえる……いや、声だ。聞き取りにくいが、確かに女の子の声だ。この声は……。 「…………すったぁーっ!!」  スター? にしきの? 「まっすったぁーっ!!」  あぁー、マスターか。なるほど俺のことか。 「って、誰だっ!?」 ...
  • クリスマスの準備
      玄関に編み上げの可愛らしいブーツが置いてある。黒曜石ちゃんが来ているようだ。 「おじゃましています」 「いらっしゃい、ゆっくりしていってね。それにしても、本だらけだね。何の相談かな?」 「クリスマスにパーティでも、と思いまして。黒曜石と料理の相談をしていたのです。人数が多いですから、いまから手配や準備しておかないと」 「ああ、なるほどね……手伝えることがあったら言ってよ。力仕事くらいしかできないけど。さて、お風呂に入るよ」 「はい。その時はお願いしますね」 「でも……どう考えても厨房係が足りないわね……」 「他の姉様たちはいかがでしょう?」 「う~ん、彼女たちには会場のほうをね。気配りと采配は一流だから、厨房に閉じ込めるのはもったいないわ。虎ちゃんや漬物石ちゃんにもお願いしてみようかしら……」 「置石さんも来ちゃいそうですね……」 「それ、いいかもしれないわね...
  • すきま風が冷たくて
      ボロアパートというのはやっぱこの時期寒い。もう死ぬかと思うほどに。しかし屋根のある場所で寝られるのだ、文句など言えるはずもない。そもそも俺がもっとしっかり稼げば……。 「マスタ、独り言は暗いからよぉないよ?」 「え、口に出してたかっ」 「? 変なマスタやなぁ。ちゅーかちゃっちゃか寝ないとあかんよー。明日も早いんやから」   首をかしげながらも、化石がこたつを部屋の隅へと追いやる。ここで布団を敷いて寝るのは俺だけだ。化石はなぜか『居候の基本やー』とか言って押し入れの中で寝る。   と、そんなことを考えているうちに、化石が俺の布団を敷いてくれる。 「わざわざすまないな」 「ええのええの。うちがこうしておかんと、マスタいつも徹夜やん」   図星だ。いつも俺より早く眠っているはずなのに、やっぱり分かってしまうものか。 「黙っててもちゃーんと分かってるんよ。だから今日はちゃんと...
  • キッチンマスター
     正月気分が抜けない日曜。  レッドベリルとこたつで横になりながらテレビを見ていたときに、事もあろうかインターホンが鳴り響く。 「……レッドベリル、頼む」 「やだ。寒いもん」  まぁ、そう来るとは思ってた。  言い争っても仕方がない。体を起こし、こたつから抜け出して玄関へ。  肌寒さを我慢しながら、サンダルを履いてドアノブに手を掛ける。 「はいはい、どちらさんです……お?」  ドアを開けると、目線に人の顔はない。  視線をわずかに下へ……そこには。 「明けましておめでとう」  と、頭を下げる虎目石。そして彼女の右手の先には。 「もぉーっ、何でこんなとこ連れてこられないといけないのよーっ!」  やけにご機嫌斜めな様子の置石……何なんだ、一体。  虎目石からの一言に、俺は驚愕するしかなかった。 「お、置石に料理教えてやって欲しい...
  • 友の恋路
    「ここにある桜ってソメイヨシノっていう奴なの?」  隣を歩く置石が尋ねてくる。 「多分」 「ふーん。こういうのなんだぁ」  適当に答える。実際は桜なんて初めて見たから、種類の事なんて全く分からない。  しかし、桜……日本人の好きな花。特に置石のいう種類の桜が有名だとか。  でも、ソメイヨシノの寿命は短いらしい。出来ればあと数回はこんな道を歩いてみたいが……。  桜並木。初めて眺める桜は賑やかで、綺麗だ。 「虎目ー、あそこにいるの電気石じゃない?」  置石の指差す先。  そこにいるのは確かに電気石だった。  隣には【蛋白石のマスター】さん……見つめ合って、ちょっと良いムード? 「ふーん、なるほどなるほど」 「……何?」  この顔をしている置石は、よからぬ事を考えている合図みたいなもの。 「【蛋白石のマスター】って、ロリコンなんだ」 ...
  • 西洋下着
    「だからねぇ、たまにはあなたもこういうのを」 「んー……私はかわいい方が好きなんだけどなぁ」  爆弾岩と蛋白石が、テーブルの上に雑誌を広げて雑談を繰り広げる。  雑誌の内容は、どうやら西洋の下着に関するものらしい。先ほどから爆弾岩が言う あだるとという言葉はよく分からないが、二人とも楽しそうに話をしている。  だけど、二人の間に座らさせられているだんな様は、相当居心地が悪いらしい。 女性の下着を選ぶのに付き合わされるのは、殿方としてつらいのは明白だ。 「あ、あのぉ、やっぱり僕は必要ないと思うんだけどなぁ。その、レポートもあるし、部屋にぃ」 「えー、ご主人様も一緒に選びましょうよぉー」 「そうよぉ。いざというときの練習と思ってね」 「いざというときって、一体いつ……って、二人とも腕掴まないでってば!」  腕を捕まれ、絶対逃げられまいと押さえつけられ...
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