その場で意識が覚醒した者が最初に認識したものは闇だった。
そこは何も無い空間だった。
一面が真っ暗闇。明かりのない闇という名の無。
なぜ自分がここに居るのか?
そんな疑惑が心に浮かぶ者も当然いた。
状況に混乱し、動こうとしたものもいた。
だがそれはできない。
どれだけもがいても、誰一人として四肢が動かせない。
それも当然だろう。
その場の全員が、頑丈そうな鎖によって椅子に拘束されている。
ご丁寧に口に猿轡までも咬まされ、自由が聞くのは指先と目と耳ぐらいだ。
困惑するもの、怒るもの、無関心そうなもの、楽しそうなもの……皆の反応は様々。
唐突に変化が起こった
不意に照らされるスポットライト
突然のあかりに戸惑いが広がるのがわかる。
自由に体が動かせない状況の中、不意に照らされた光は、派手に人の注意を引く。
ライトの光に照らされていたのは、一人の男だった。
鎖や猿轡はない。
かわりにマイクを持っている。
「テステス、テステス、ただ今マイクのテスト中。……よし、オッケー」
スピーカーで増幅された男の声。それはこの場ではとてもよく響く。
「まずは突然の事で謝罪をしておきます。僕は……三家、三家本礼(みかもとれい)という者です。親しみを込めてミカモンとお呼びください」
あ、ちなみに僕が貴方達を拉致りました。
付け足すように三家本礼、ミカモンが喋る。
「本日皆様をこの場に集めたのは、あるゲームを行っていただきたいがためなんですーー
ーーこれからこの場に居る全員に、命を賭けた殺し合いをしてもらいます!!」
一気にテンションが変わった。
そして空気が凍った。
マイク片手に意気揚々と叫ぶ。
先ほど『三家本礼』 と名載ったその男。
暗闇の中祭壇に立ち、ポージングを決めている。
「ルールは単純明快!
刺殺!
銃殺!
虐殺!
撲殺!
毒殺!
どんな方法でも良いから、他人をサクッと全員ブッ殺して、最後の一人になればいいんです。
家に帰れるのは最後まで生き残った優勝者だけ!例外は無し!わかりやすいでしょ?」
「ゲームにはルールがあるって決まってるもんだよね!
もちろんこの殺し合いにも、ルールがあるから、聞き逃さないようによく聞いて。
もし少しでもウッカリしちゃってルールを破ると、君たちのつけている首輪が派手に爆発するよ。
あ、それと、この中には若干もう死んじゃってる人とか居るんだけど、霊体でも首輪爆発したら、存在が消滅するから気をつけてね」
ジェスチャーで首のあたりを指し示すミカモン。
確かに、ミカモン以外のこの場の全員が金属製の首輪を付けさせられていた。
「それじゃぶっちゃけつまんないし、わざわざ他作品のヤツまで集めた意味なくなるから、僕自身も、君らだって誰も求めてはいないよね?。
だからみんな、ルールをしっかり意識して元気に殺し合おうじゃないか!そう僕は思いますよ」
何やら熱くなっている様子のミカモンを、凡そ好意的に見ているものは居ない。
「ルールは以下の通りだ。みんなよく聞いていてよ?
まず首輪を無理に取り外そうとするとアウト、これは基本です
勝手に会場外に侵入するってのもアウト。
あと一定時間同じエリアに立て籠もるってつまんない方法取らせないために、禁止エリアってのを指定するから、そこに入ってもアウト。
そして、丸1日経過しても誰も死亡していない場合も、残念ながら全員の首輪が爆発するってことになる。
……まあ、この中には殺人!上等って人が多いから、そんなことは起こらないだろうけど。
あ、あと、基本的にこっちの都合でちょっとした調整もあるかもだから、ほんとに放送とかには気を使ってね」
「もちろん原始的に素手で殺し合えだなんて過酷なことはさせないから大丈夫。
君たちにはいつくかのアイテムを一人三つずつ渡しておく。このバックに入れてね」
そう言うとミカモンは、マイクを握っていない方の手で、ひとつのデイバックを掲げる。
「中身は最低限の食料と水、地図に
参加者名簿とかの基本支給品。
あと、誰に何が支給されるかわからないランダムアイテムが入っています。
運が良ければ重火器とかが当たるかもしれませんが、もちろんハズレもありますよ……」
「もちろんタダでとは言いません。優勝者ーー殺し合いを勝ち抜いた勝者には、これを差し上げますよ」
ミカモンの言葉とともに、新たにスポットライトに照らされた物を見て、ほぼ全員が目を見開いていた。
◆ ◆ ◆
沢本いずみは訳がわからなかった。
先ほどまで自分は"世界最強殺人鬼決定戦"の会場にいたはず。
なのになんでこんな場所で拘束されているのだろうか?
周りを見てみると、同じように拘束された知り合いの姿を見つけた。
暗くて良くは見えないが、あの修道服とメカニカルな外見は間違いなく"サタニスター"さんと"墓井田"さんのふたりだ。
あのふたりも拉致されたらしい。
自分と同じくガチガチに拘束されていた。これでは怪力のサタニスターさんでも抜け出せないだろう。
自分たちだけではなく、他にもたくさんの人が連れてこられている。
おそらく三家本礼、ミカモンと名乗るあの男の仕業で……
あの男も、"毒壺の会"の人間なのだろうか?
「もちろん、タダでとは言いません。優勝者ーー殺し合いを勝ち抜いた勝者には、これを差し上げますよ」
沢本いずみは、混乱しながらも、それなりの経験により冷静な思考ができていた。
知り合いの姿をギリギリ確認できたのも良かったのだろう。
しかし、新たなスポットライトに照らされた"優勝景品"を見て、一瞬固まってしまう。
当然だろう。それはどちらかと言えば一庶民のいずみにとって、めったに見ることができるかどうかも怪しい代物だったのだから。
それは金だった。
大量の札束だった。
スポットライトの光に照らされる山積みの札束。
◆ ◆ ◆
「1500万ドル……日本円で15億円です。優勝者にはこれを全額差し上げます」
にこやかに笑いながら、札束をひとつ掴むミカモン。それをひらひらと振る。
「15億円ですよ? すごいでしょ? 見たこともない大金ですよね。僕も滅多に見れませんよ?」
明らかに何名かの視線の質が変わった事を、ミカモンは感じていた。
「今から君達を殺し合いの舞台となる会場に送ります。優勝を目指すも良し。目指さないのもよし。それぞれ悔いの無いように頑張ってくださいよ。
はっはっはっはっは…………!」
ミカモンの宣言と共に、参加者が再び意識を失っていく。
次に目覚めた時は、殺し合いの会場にいる時だろう。
運ぶ時に意識があるのは、色々不都合なのだ。
この瞬間。個性あふれる?血まみれの殺し合いが始まる。
◆ ◆ ◆
誰もいなくなっている。
殺し合いの説明会がなされた場所。
そこにはもう参加者はいない。
居るのはミカモンと……もう一人の"何か"
「……なかなか良かったではないか。三家本礼くん……」
「いえ……それなりに練習しましたからね。並の演説じゃあの面子に衝撃を与えられない。それは僕が一番わかっていますからね」
「そうか、まあ、掴みとしては良かったろう」
「……しっかし、今でも信じられませんよ。僕の作ったキャラが、リアルに存在するなんて……」
「そんなのはいまさらだ」
「それもそうですが……」
「では……"霊界ケースワーカー"に気づかれ無いように私は仕込んでおく。お前は会場の監視を……」
「わかりました」
この殺し合いは、三家本礼ひとりの力ではけっして起こり得ないものだった。
かれはひとりの漫画家に過ぎない。
協力したものがいた。
洗脳したものがいた。
説得したものがいた。
結局は、すべてを知るのはまだ時期ではないということ。
何をしようと、殺し合いは始まるのだ。 金も三家本礼も、添え物に過ぎない。
真の主催は隠れるものだ。
【オールマイ趣味バトル・ロワイアルーー開幕ーー】
【主催】
三家本礼@現実
【協力者(裏主催)】
???@???
最終更新:2013年12月23日 01:36