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罪深き兄をもつ妹


 悪魔の象徴である逆十字の掲げられたラテン系協会。
 その宗教的に矛盾した建物の外に、参加者が一人。
 ローリー・マイヤーズは、険しく張り詰めた雰囲気を放っていた。
 右手にはある支給品をもっている。
 それは、ハズレかアタリかの判別が難しい物だった。
 武器としては頼りなく、自衛目的には、恐らく役には立たないだろう。
 だが、ある一点に関しては絶大な効果を期待できる。
 分かりやすく簡潔に、周囲の人間にメッセージを伝えられる道具。

 それは拡声器だった。
 手に持っているということは、当然彼女はそれを使うつもりだ。
 殺し合いの最中、拡声器を使うという事は、自分の居場所を他者に宣伝するという事。
 多数の異常者や殺人鬼の闊歩するこの場では、まさに自殺行為。
 だが、ローリーはどうしても自分の声を届けたい相手がいた。
 いや、届けたい、というよりは、誘い込みたいと表したほうが良いかもしれない。
 半端拡声器を手に持ち、しばし考えを巡らすローリー。
 これから自分がやろうとしている行為が、恐ろしく危険なものである上に、相当な死亡フラグだという事は、当然彼女も理解している。
 だが、迷いもほんの一瞬。
 これが最善の手だと結論づけ、決意を固める。
 ローリーは拡声器のスイッチを押した。


『マイケル・マイヤーァァァァァァズッ!!!』


 叫んだ。出来る限り声が遠くに届くように。罪深き自らの"兄"の名を。
 十分すぎるほどに増幅された音声が、周りに伝わる。
 ローリーは話し始めた。

┼┼┼┼┼┼┼┼┼┼

『貴方がここに居るってことは分かっているわ。私が誰かは当然わかるでしょう。ローリー・ストロード。貴方の妹よ
 兄さん。私は貴方を待ち続けたわ。最後にあったハイスクールで貴方を仕留め損なった日からずっと……ずっとね。  
 だから、これはいい機会よ。決着をつけましょう。
 私は逃げも隠れもしないわ。
地図に乗っている"私達にゆかりのある場所"、もしあれば全てが始まったあの家で待っているから……繰り返すわ。私は逃げも隠れもしない。決着をつけるのよ。兄さん』

┼┼┼┼┼┼┼┼┼┼

 拡声器を使い、兄に伝えるべきことを発した。
 そして素早く荷物を背負い、協会前から去る。
 あの放送を聞き、恐らく付近の参加者はここに向かってくるだろう。
 その中に兄がいるかはわからないが、人が集まるところにあいつは必ずやってくるはず。
 あいつは、必ずこの場にいる。薄暗い中でも、かあの白い不気味なマスクを見間違えるはずがない。
 名簿にもしっかりとあいつの名前も書かれていた。
 奇妙な点、なぜか死去したはずのルーミス医師の名もあることに驚いたが、自分の知っている彼とは別人だろう。死人が蘇るわけがない。
 第一、それは今考えても自分にはどうもできない。
 まずは何よりも自分の手の届く範囲で、兄の対処をしなければ。

 ローリーは立ち去った。協会のすぐ近くにある"ハドンフィールド"。自らの故郷の名が記された場所に向かって。



 ◆ ◆ ◆

 ローリー・ストロードは、イリノイ州ハドンフィールドにて、プロテスタント家系であるドナルドとエディス夫妻の間に1961年に次女として生まれた。
 その後、姉や両親の死でローリーは養女に出され、ストロード夫妻に引き取られる。
 そして新しい両親ストロード夫妻の希望で、マイヤーズ家、特に兄のマイケルに関する書類は全て封印された。
 理由は簡単。その兄が姉と両親を、僅か5歳の時に包丁を使って殺害したからだ。
 ストロード夫妻は、まだ幼いローリーに、その事実を知らせることは酷だと考えた。
 ローリーはマイヤーズとしてではなく、ストロード家の娘としての人生を謳歌していた。
 しかし、その平穏な日常は長くは続かない。
 精神科医サム・ルーミス の手によって、病棟に収監されていたマイケルが脱走したのだ。奇しくも"ハロウィン"の日に。
 それからハドンフィールドに長い長い悪夢がもたらされた。
 戻ってきたマイケルにより何人もの人間が殺された。
 何度も倒したと思っていた。決着はとうに付けられたと。燃え盛る炎の中、兄が燃えるのをこの目で見た。だが、死んではいなかった。

 ローリーは待っていた。姉を、両親を、平穏な日常を……愛する息子すら殺そうと戻ってきた兄マイケルを、精神病棟の中で待ち続けていた。
 兄が身代わりにした検査官を殺してしまった事から、その決意はより強固なものとなった。

 わかっている。兄はこの場で無関係な人間を襲い、殺害するだろう。私はそれを止めなくてはならない。
 ローリーは迷うことなく走る。罪深く、血に飢えた兄を止めるために。

 走りながらにもその表情には、強い決意が現れていた。

 ◆ ◆ ◆


 ローリーは知らない。この場にはマイケルが"二人"存在する事を。
 方やブギーマン、方やマイケルと名簿に記載された、ふたりのマイヤーズ。

 この二人が最も渇望しているのは、恐らくお互いに妹(ローリー)の事。
 その結果が知らぬ故に、一体何が起こるのか。
 すくなくとも、穏便に済む筈は無い。少なく無い血が流れるだろう。
 それが妹ローリーか、兄マイケルか、それとも他者の血か。


ーーそれはまだ、わからないーー




【7-B/協会/一日目/朝】 


【ローリー・マイヤーズ@ハロウィン】 
[状態]: 健康的な肉体
[服装]:レザレクション時の服装
[装備]: 拡声器
[道具]: 基本支給品 ランダム支給品×2
拡声器@現実
[思考]
基本:ハドンフィールドに向かい、マイケルを迎え撃つ準備をする。
1:拡声器で放送を行い、マイケルを誘い込む。
2:殺し合い自体に対しては否定的。マイケル以外は殺したくない。だが降りかかる火の粉は払う。

[備考]
※ハロウィン・レザレクションからの参戦。
※リメイク版のマイケが本名で記載されているのに対し、原作版のマイケルは『ブギーマン』と書かれているため、マイケルが2人いる事に気づいていません。
※ローリーの放送が7―B周辺に響き渡りました。付近の参加者に届いているかもしれません。

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最終更新:2014年02月04日 22:31