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イカれたバンパニーズ

   深夜の街に化け物が居た。 
   醜く肥った巨体に、純白の衣服を纏うその皮膚は毒々しい紫。
背筋の凍るような真紅の瞳をもつパンパイア――否、"バンパニーズ"の一人。名はマーロック
   否、訂正することがひとつ。マーロックは本来のバンパニーズに属するものではない、群から外れた一族の追放者。
   元々バンパニーズとは、バンパイア一族が取り決めた"吸血の際の殺人"を禁止する掟に反対し、離反した少数のバンパイア達の集団を指す。
   彼らは現代のバンパイアとは違い、獲物とした人間の血をすべて飲み干し、その命を内に取り込む。  
   そして長い年月をかけて肌と眼を毒々しい紫と真紅に染め上げるのだ。
  これは掟が決まる前のバンパイアの行っていた行為であり、バンパニーズにとってこれこそが誇りある食事でもあり、儀式でもある。
   事実彼らは食物をとらず、血だけで生きようとするのだ。

  だがそれにも限度と言うものが存在する。

  マーロックは気が狂っていた。自身の異常な食欲を満たすために、限度なく人間を殺しまくり、血を飲み干し、その肉を食らう。それはもはや同じバンパニーズにとっても容認しがたいレベルだ。
   バンパニーズは仲間を殺さない。例え仲間が狂っても、掟を破っていない限り自分達のテリトリーから追放し、野放しにする。
   マーロックは恐ろしく狡猾だった。血に飢えるあまり狂気に染まっても、頑なに掟を守っている。殺しはするが、それを隠すほどの知恵は残っている。だからこそ息ながら得た。


 着ている白服は鮮血に濡れている。
 マーロックは食事をしていた。
  進んで食べているのではない。これは予定していなかった物だ。   
  道路を赤く染めあげる血だまりに横たわる犠牲者。腸を引き裂かれ、四肢を千切られ、苦悶の表情で息絶えた少女。
  それにかぶりつきながら、マーロックは腹を満たす。
 自分から進んで少女を殺した訳ではない。運が悪くマーロックと遭遇した少女が偶然銃を持っており、続けて運が悪いことにそれでマーロックに発砲した。
  そして当然のように殺すことができず、逆に内蔵をぶちまけられた。それだけだ。
  本来なら、バンパニーズは事前に獲物に印をつけ、予め綿密な計画を練ってから狩りを行う。
  それをせずに無計画に食事、殺人をすることは、それすなわち掟を破ることになる。だが、殺してしまったものはしょうがない。そのままにしておくのも勿体ないし、ありがたく頂くことにした。
  
「ひひひッお嬢ちゃん。おまえの名前はなんだったんだい?」

 マーロックは既に絶命した少女に語りかける。別に意味はない。狂った彼の単純な独り言。

「いや、言わなくても良い。当ててやる。
    アニー、アニー、アリス、マーガレット?かな。
         いやエリス、クレア、ジル、ビクトリア?
  キャサリン、キャスカ、キャリー、カリーナ?」

  血はとっくに飲み干されている。代わりに肉を食らう。腕を怪力で引きちぎり、内蔵を掻き分け、皮膚を剥ぐ。
  それらの手順は恐ろしく慣れている。当然だろう。数え切れないほどの人間を狩り、喰らってきたのだから。

「……まぁ、どうでもいいか。名前なんて」

  数分と立たずに、食らいつくした。残っているのは骨と凄惨な血痕。そして名も無き少女の荷物のみ。
  まぁ人間にしては根性はある奴だったなと、何とはなしに思った。自分の外見に恐怖したりはすれど、反撃をしてきただけ良いものだ。いや、あれは反撃というよりも攻撃にあたるか?
   盛大にゲップをする。掟に違えて得た獲物だったが、腹が満たされた事は化わりない。
 ――否、全然足りない。ひとり喰らっただけでは満足できない。
 だが、あまり誉められた経緯ではない上の粗食とは言え、食事にありつけたのだから一応は満足だ。
 
  銃は要らない。誇りあるバンパニーズは飛び道具など使わない。ゆえにデイバックだけをありがたく頂いておこう。
    
  夜風が中々に心地良かった。空を見上げる。今夜は満月だ。不思議と気分が良い。

「良い月だ。今夜はいい夜になりそうだなァ」

  デイバックを漁ってみる。するとナイフが入っていた。対して期待していたわけではないが、これはありがたい。やはり使っていた包丁に近いものがあるのは助かる。
  重さも殆ど感じない。だが切れ味はかなり鋭いようだ。それに中々に使い込まれている。ほんのりと血の臭いを感じた。
  上手く扱えば、容易く人の体を切り裂けそうだ。素手よりもよりスマートに。
  周りを見渡せば、人の気配は感じられない完全に無人の街並み。異常だ。本来ならこういう場所には人間が居て当然だろうに。
  異常。まぁ確かにそうだろうが、別にそこまで深くマーロックは考えなかった。不可思議ではあるが、街に人が居ようが居まいがどうでもいい。
  

「残念だ残念だ。此処は俺様の居るべき場所ではない」

  此処はマーロックのテリトリーではない。お気に入りの狩場でもなくば、心地よい街の血管である下水道でもない。ゆえにとるべき方針はひとつ。


「帰ろう。愛しのマイホームへ」
 

  血に飢えた怪物は夜の街に消えた。
  
  

【零本志呂子@ゾンビ屋れい子 死亡】



【3―F黒須市/深夜】

【マーロック@ダレン・シャン】
[状態]:健康、精神錯乱
[装備]:百合川サキのナイフ@ゾンビ屋れい子
[道具]:基本支給品×2、不明支給品×5
【基本方針】
1:愛しのマイホーム(下水道)に帰る
2:とりあえず襲ってくる者は遠慮なく殺す
3:無計画な殺人・補食は掟に反するためにあまり乗り気ではない
【備考】
※外見は漫画版基準
※クレプスリーの故郷の下水道に住み着いていた時期からの参戦
※零本志呂子の残骸と支給品の銃グロック17が3―Fに放置されています
※制限によりフリットは使用不可。


【百合川サキのナイフ@ゾンビ屋れい子】
零本志呂子に支給。現在はマーロック所持
殺人鬼百合川サキが愛用するナイフ。
刃渡りは15cmほどと小さめのナイフだが、研ぎ澄まされておりその切れ味は抜群。
複数本がセットになっており、投げナイフとして使うこともできる。

【グロック17@現実】
零本志呂子に支給
オーストリアの銃器メーカーであるグロック社が開発した自動拳銃。口径は9mm(9x19mmパラベラム弾)装弾数は複列弾倉(ダブルカラム・マガジン)による17+1発

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最終更新:2014年04月01日 01:22