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トクトクと、ティーカップに水が注がれていく。 グラスの半分ぐらいまで注がれたその水は一瞬盛り上がるかのように動くと、やがて表面張力により静かに平穏を取り戻した。 と、次の瞬間に水面が波を立て始めた。 辺りには風もなく、またカップ自体が動いたわけでもない。 ではなぜ波が立ったのだろうか? それは、そのティーカップを持っている男に秘密があった。 カラフルな色彩の派手なシルクハットをかぶり、口元には綺麗に整えられた口ひげを蓄えたその紳士の名はウィル・A・ツェペリ。 彼には常人にはない、とある『能力』を持っていた。 それは、『波紋法』というもの。 東洋に古くから伝わる呼吸法により、その身体の血液エネルギーを蓄積させ、生命エネルギーを活性化させる特殊な力であった。 それによって生まれるエネルギーは太陽の波動と同じ力を持っており、強い波紋エネルギーは吸血鬼や屍生人といった怪物を倒す事が出来る。 また、その活性化したエネルギーを持って病人を治療したりすることもできる、極めて優れた能力であった。 手にしたティーカップの水面が揺れるのも、『波紋』によるもの。 この波の動きは周りの生体エネルギーを察知し、それを伝えるレーダーとなる。 深淵の闇に閉ざされた見ず知らずの場所に置いても、ツェペリはこの場にいる何者かの存在に気づいていた。 今ツェペリがいるその場は地図で言うところのB-8に存在する、サンモリッツ廃ホテルだった。 当初はその暗闇と不気味な佇まいに困惑したものの、段々と目が慣れてきた今は探索をしている。 『波紋法』の達人であるツェペリにはこのような芸当は朝飯前であった。 (この感じからして、恐らく吸血鬼や屍生人ではなさそうだのう……男、それも青年、数は一人…といったところかな。) 水面の波の動きが示すままに、ツェペリが向かった先は使われなくなってどのくらいたったのかはもう分からない厨房だった。 明かりもついておらず、暗闇が支配するその場には人がいるとは到底思えなかった。 しかしツェペリの手の中にあるティーカップは、静かに波を描いていた。 「誰かおらんか?私はウィル・A・ツェペリ男爵と言う者だ。この殺し合いなんかには乗る気は毛頭ないからここにいる者、出てきてくれないかな?」 暗闇に向かって声をかけると、少しの間ののちに闇が少し動いたかのように見えた。 「……本当デスカ?」 「ああ、本当だとも。」 「……ソウデスカ。それナラ」 その言葉ののちに、闇の中から白い影が現れた。 よくよく眼を凝らしてみると、どうやらその人物は純白のコック服を着た青年であった。 怯えてはいるが、錯乱はしていないようであった。 「…私ノ名はトニオ、トニオ・トラサルディーと言いマス。」 「そうか、君はこの殺し合いには……」 「エエ、乗る気ハ有りまセン。」 「そうかそうか、じゃあよろしく頼むな、トニオくん。」 右手を差し出したツェペリに対して、トニオはその右手をじっと見つめていた。 「…どうしたのかね?トニオくん、ちゃんと洗ってあるぞ。」 「ツェペリサン……貴方……」 差し出された掌をしげしげと眺めるその様は、ツェペリでなくとも少々不思議に見えただろう。 だがそんなツェペリをよそにトニオはツェペリの掌を見ていた。 「あ、あのー、トニオくん?」 「素晴ラシイ!貴方のヨウナ『健康』ナ人に出会ッタのは初めてデス!」 「…は?」 突然のトニオの発言に、ツェペリは一瞬呆然となってしまった。 「…あ、スイマセン……実ハ私、掌デその人ガ『健康』かドウか分かるんデス。」 「ほほう。」 「イヤハヤ、正直驚きマシタ。貴方ニハ是非私の料理ヲ食べて頂きたいデス。」 「それは楽しみだ……だがトニオくん、一ついいかね?」 「何でショウ?」 ツェペリは何も言わずに、トニオに手に持ったティーカップを見せた。 その中にある水面は、まだ波を立てていた。 その様子にトニオは不思議そうな表情を見せたが、そんなトニオにツェペリはそっと囁いた。 (……この建物の中に『誰か』が入ってきたようだ。) ビリ、と空気が震えたような感覚を二人は覚えた。 【B-8 サンモリッツ廃ホテル・1日目深夜】 【ウィル・A・ツェペリ】 [能力]:『波紋法』 [時間軸]:ジョナサンと出会う前。 [状態]:健康 [装備]:ウェストウッドのティーカップ(水が少量入っている) [道具]:基本支給品(水微量消費)、不明支給品×1(確認済) [思考・状況] 基本行動方針:主催者の打倒 1.入ってきた何ものかを警戒。 2.吸血鬼や屍生人が相手なら倒す。 3.協力者を探し、主催者を打倒する。 【トニオ・トラサルディー】 [能力]:『パール・ジャム』 [時間軸]:杉本鈴美を見送った直後 [状態]:健康 [装備]:なし [道具]:基本支給品、不明支給品×1~2(確認済) [思考・状況] 基本行動方針:殺し合いから脱出したい。 1.入ってきた何ものかを警戒。 2.ツェペリサンを信頼、いずれ彼に料理をふるまいたい。 [備考]:何者かがサンモリッツ廃ホテルに入ってきました。 *投下順で読む [[前へ>似てる気がする]] [[戻る>本編 第1回放送まで]] [[次へ>悪魔が首を傾げるな]] *時系列順で読む [[前へ>似てる気がする]] [[戻る>本編 第1回放送まで(時系列順)]] [[次へ>悪魔が首を傾げるな]] *キャラを追って読む |前話|登場キャラクター|次話| |&color(blue){GAME START}|[[ウィル・A・ツェペリ]]|48:[[虚言者の宴]]| |&color(blue){GAME START}|[[トニオ・トラサルディー]]|48:[[虚言者の宴]]|
トクトクと、ティーカップに水が注がれていく。 グラスの半分ぐらいまで注がれたその水は一瞬盛り上がるかのように動くと、やがて表面張力により静かに平穏を取り戻した。 と、次の瞬間に水面が波を立て始めた。 辺りには風もなく、またカップ自体が動いたわけでもない。 ではなぜ波が立ったのだろうか? それは、そのティーカップを持っている男に秘密があった。 カラフルな色彩の派手なシルクハットをかぶり、口元には綺麗に整えられた口ひげを蓄えたその紳士の名は[[ウィル・A・ツェペリ]]。 彼には常人にはない、とある『能力』を持っていた。 それは、『波紋法』というもの。 東洋に古くから伝わる呼吸法により、その身体の血液エネルギーを蓄積させ、生命エネルギーを活性化させる特殊な力であった。 それによって生まれるエネルギーは太陽の波動と同じ力を持っており、強い波紋エネルギーは吸血鬼や屍生人といった怪物を倒す事が出来る。 また、その活性化したエネルギーを持って病人を治療したりすることもできる、極めて優れた能力であった。 手にしたティーカップの水面が揺れるのも、『波紋』によるもの。 この波の動きは周りの生体エネルギーを察知し、それを伝えるレーダーとなる。 深淵の闇に閉ざされた見ず知らずの場所に置いても、ツェペリはこの場にいる何者かの存在に気づいていた。 今ツェペリがいるその場は地図で言うところのB-8に存在する、サンモリッツ廃ホテルだった。 当初はその暗闇と不気味な佇まいに困惑したものの、段々と目が慣れてきた今は探索をしている。 『波紋法』の達人であるツェペリにはこのような芸当は朝飯前であった。 (この感じからして、恐らく吸血鬼や屍生人ではなさそうだのう……男、それも青年、数は一人…といったところかな。) 水面の波の動きが示すままに、ツェペリが向かった先は使われなくなってどのくらいたったのかはもう分からない厨房だった。 明かりもついておらず、暗闇が支配するその場には人がいるとは到底思えなかった。 しかしツェペリの手の中にあるティーカップは、静かに波を描いていた。 「誰かおらんか?私はウィル・A・ツェペリ男爵と言う者だ。この殺し合いなんかには乗る気は毛頭ないからここにいる者、出てきてくれないかな?」 暗闇に向かって声をかけると、少しの間ののちに闇が少し動いたかのように見えた。 「……本当デスカ?」 「ああ、本当だとも。」 「……ソウデスカ。それナラ」 その言葉ののちに、闇の中から白い影が現れた。 よくよく眼を凝らしてみると、どうやらその人物は純白のコック服を着た青年であった。 怯えてはいるが、錯乱はしていないようであった。 「…私ノ名はトニオ、[[トニオ・トラサルディー]]と言いマス。」 「そうか、君はこの殺し合いには……」 「エエ、乗る気ハ有りまセン。」 「そうかそうか、じゃあよろしく頼むな、トニオくん。」 右手を差し出したツェペリに対して、トニオはその右手をじっと見つめていた。 「…どうしたのかね?トニオくん、ちゃんと洗ってあるぞ。」 「ツェペリサン……貴方……」 差し出された掌をしげしげと眺めるその様は、ツェペリでなくとも少々不思議に見えただろう。 だがそんなツェペリをよそにトニオはツェペリの掌を見ていた。 「あ、あのー、トニオくん?」 「素晴ラシイ!貴方のヨウナ『健康』ナ人に出会ッタのは初めてデス!」 「…は?」 突然のトニオの発言に、ツェペリは一瞬呆然となってしまった。 「…あ、スイマセン……実ハ私、掌デその人ガ『健康』かドウか分かるんデス。」 「ほほう。」 「イヤハヤ、正直驚きマシタ。貴方ニハ是非私の料理ヲ食べて頂きたいデス。」 「それは楽しみだ……だがトニオくん、一ついいかね?」 「何でショウ?」 ツェペリは何も言わずに、トニオに手に持ったティーカップを見せた。 その中にある水面は、まだ波を立てていた。 その様子にトニオは不思議そうな表情を見せたが、そんなトニオにツェペリはそっと囁いた。 (……この建物の中に『誰か』が入ってきたようだ。) ビリ、と空気が震えたような感覚を二人は覚えた。 【B-8 サンモリッツ廃ホテル・1日目深夜】 【ウィル・A・ツェペリ】 [能力]:『波紋法』 [時間軸]:ジョナサンと出会う前。 [状態]:健康 [装備]:ウェストウッドのティーカップ(水が少量入っている) [道具]:[[基本支給品]](水微量消費)、不明支給品×1(確認済) [思考・状況] 基本行動方針:主催者の打倒 1.入ってきた何ものかを警戒。 2.吸血鬼や屍生人が相手なら倒す。 3.協力者を探し、主催者を打倒する。 【トニオ・トラサルディー】 [能力]:『パール・ジャム』 [時間軸]:杉本鈴美を見送った直後 [状態]:健康 [装備]:なし [道具]:基本支給品、不明支給品×1~2(確認済) [思考・状況] 基本行動方針:殺し合いから脱出したい。 1.入ってきた何ものかを警戒。 2.ツェペリサンを信頼、いずれ彼に料理をふるまいたい。 [備考]:何者かがサンモリッツ廃ホテルに入ってきました。 *投下順で読む [[前へ>似てる気がする]] [[戻る>本編 第1回放送まで]] [[次へ>悪魔が首を傾げるな]] *時系列順で読む [[前へ>似てる気がする]] [[戻る>本編 第1回放送まで(時系列順)]] [[次へ>悪魔が首を傾げるな]] *キャラを追って読む |前話|登場キャラクター|次話| |&color(blue){GAME START}|[[ウィル・A・ツェペリ]]|48:[[虚言者の宴]]| |&color(blue){GAME START}|[[トニオ・トラサルディー]]|48:[[虚言者の宴]]|

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