d……土曜日。毎週恒例、不思議探索の日。
たとえテストが近かろうと、この規定事項だけは揺るいでくれない。まあ、仮に不思議探索が休みでも、勉強なんかしやあしないが。
「じゃ、『くじ』ね。みんな、引きなさい!」
笑顔のハルヒが、いつも以上のテンションで、握った拳の中の『くじ』を差し出す。
この『事件』の間は、悪いが、『くじ』のランダム制を重視していたら、護衛なんぞできるわけもない。
「長門、頼むぞ」
「心得ている」
できるだけ不自然の無いように、毎週を持ち回りで、『ハルヒを守れる』やつがハルヒとの組になるように、仕組ませてもらっている。
「あたしと、キョンと、古泉君が『印つき』ね……それじゃ、今日もがんばるわよ。こないだ『超能力者』をみつけたんだから、あいつを探すのよ!」
「だから、そりゃ夢だっつってんだろ」
「いーや、断じて夢なんかじゃないわ。なんて言ったらいいかしら。あいつには『スゴ味』があったのよ!」
ああ、確かに岸辺の野郎にゃ、妙な『スゴ味』があるかもな。
こいつが岸辺のことを覚えていることを念頭に置き、この『不思議探索』の日は、何が何でも岸辺には、部屋に篭ってもらうように、古泉からきつく頼んでおいてある。
「古泉。護衛はついてるんだよな?」
「ええ、ご安心を。今回は『ミスタ』さんもついています。彼は『スタンドを見る』ことができますから」
それだけで、随分安心できる。俺は数日前に、あの喫茶店で『紹介』された、二人の『協力者』の顔を思い浮かべた。
なんというか、『目立つ』ヤツらだった。『ミスタ』と名乗ったあの男が、とても隠密的護衛に向いているとは思えないが。
まあ、おそらくその辺は『心得ている』んだろう。なにしろあの二人は……いや、思い出すのは止めておこう。接する上で、色々弊害が出そうだ。
「では、参りましょうか」
ハルヒ、古泉の二人と連れ立ちながら、それとなく周囲を見回してみる。
あの『低血圧』の『スタンド使い』以来、ハルヒの命を狙う物は現れていない。時期的には、そろそろ『来る』頃なんじゃないだろうか。
俺なりに、これまでに『スタンド能力』を発動させてきた経験に基づき、できる限り『像を出さずにスタンド能力を発動』させる感覚をしながら。
しかし、その『感覚』は飽くまで『感覚』であり、実際にそこまで『スタンド』を使いこなせてはいない。
「大丈夫ですよ。『ミスタ』さんが居ますから、これまでより『監視』の能力は格段に上がっています」
「相手の『スタンド』がどんなもんだか、わかんねーだろうが。遠距離から一気にやられたりしたら、対処しきれねえだろ」
「貴方もだんだん『スタンド』を『理解』してきましたね。確かに、その通りです。
たとえば、『弾丸』のようなものを、超遠距離から飛ばせる『スタンド』があれば、いくらミスタさんが仲間に居るとはいえ、『護衛』は難しいと言えます。
でも、いつも『最悪の事態』ばかり想定していても仕方ありません。僕らにできるのは、僕らにできる範囲で涼宮さんを『守る』ことだけです」
街道を歩く順番は、戦闘の古泉。そして古泉。最後に、俺。この会話は、ハルヒの耳に、まともに聞こえるほどには届かない。
「二人とも、何をボソボソ喋ってるのよ? なんだか気味が悪いわ、『何をたくらんでる』のッ!?」
不意に、ハルヒが振り向き、怒鳴る。
まあ、適当に返せばいいだろう。と、思ったその瞬間。
……全身の神経が、粟立った。
なんだ、これは。まさか、これが『スタンドの気配を感じる』ってことなのか。
俺の感じた『気配』は、ハルヒの後頭部に、はるか遠方から、とんでもないスピードで近づいてきている。
「『ゴッド・ロック』!!」
「はぁ? キョン、アンタ何言って―――」
ハルヒが何やらを呟くが、気に留めている場合ではない。
俺は『ハルヒの真後ろ』に『ゴッド・ロック』を出し、『近づいてくる気配』に向けて、両手を重ねて差し出した。
その瞬間。俺の両手を、『何かが貫く』。
「うぐゥゥゥゥ!?」
同時に、俺の両手に、十円玉ほどの穴が空き、強烈な痛みが全身を覆う。
「キョンーッ!!? 一体、どうしたって言うのよッ!? その『怪我』は何よォ―――ッ!!?」
ハルヒの声がする。しかし、ソレに答えるだけの余裕は無い。
これは……『弾丸』だ。『朝倉に刺される』だとか、『長門に蹴られる』だとかのレベルじゃない。
こんな『強大な痛み』を齎し得るものなんて、『弾丸』しか考えつけない!!
「わっ、『わからない』ッ!! 今、いきなり『やられたんだッ』!!」
咄嗟の頭で思いついた、適当なウソをハルヒに告げる。
視界の端に、古泉が、『弾丸の飛んできた方向』に掛けてゆく姿が見えた。
ああ、古泉。それだ、まさに『それ』だぜ、俺が『期待していた』のは。
ハルヒは『俺』を見ている。今しかない。頼む、古泉。『行って』くれ―――
―――
『彼』が『涼宮さんへの攻撃』を『受けた』。それに気づいたと同時に、僕は『森さんが待機してる』方角に向けて駆け出した。
「古泉、乗れぇ!!」
人気の無いわき道を抜けた先で、『森さん』が車から身を乗り出し、僕に向けて叫んだ。
僕は言われたとおり、開かれた後部座席に転がり込む。
それに続いて、車内に入り込んでくる人物が居る。同時に、車が『動き出した』。
「『ミスタ』さん!」
「見たな、イツキィ。ありゃァ、『弾丸』だ。えらく『俺ら向き』の敵だぜェー?」
ミスタさんが、両手でリボルバーを構えながらそう言う。
確かに。おそらくこの『敵スタンド使い』は、『彼』や『鶴屋さん』らでは対応しにくい。
『遠距離攻撃』ができる、僕らの専売特許だ。
「おい、『ソノウ』っつったか? 俺は『敵スタンド使い』が『白いミニバン』ん中から『弾丸を撃つ』のを『見た!』」
「ええ、情報は届いてるわ! 今、その『白いミニバン』は、この先の通りを北に向けて走行中! 全速力で『追いかける』!」
運転席に腰を掛けているものの、ハンドルは握っていないし、アクセルを踏んでも居ない『森さん』が、ミスタさんの言葉に叫ぶ。
通りに出た僕らの車が『白いミニバン』をフロントガラスに捕らえるまで、そう時間は掛からなかった。
「『ミスタ』さん、この距離で『届きます』か?」
「あァ、確かに俺の『セックス・ピストルズ』なら、此処からあのミニバンを『撃てる』がよォー。さすがにちょっとばっかし『目立つ』んじゃねェか?」
確かに、彼の言うとおりだ。無数の車が往来しているこの通りで、ホンモノの『ピストル』をぶっ放す、というのは、いささか『目立つ』。
やはり、何とか車から『降ろして』、僕の『スタンド』を使うのが得策か。
と、その時。『白いミニバン』が、突如、車道を外れて、左の野道へと飛び込んでいった。
同時に、そのスピードが『加速』する。
「撒こうってのォー!? 甘いわねッ」
すかさず森さんは、『ミニバン』が入っていった道に、車体を滑り込ませる。
向こうはほぼ限界速度に達している。やがて、『ミニバン』は野道をまっすぐに駆け抜け……その先の『山道』への入り口で、止まった。
「野郎、『降りた』わね!」
森さんが叫び、同様に野道を突っ切る。
まもなくして、僕らはミニバンの元へとたどり着く。警戒しながら車を降り、『ミニバン』がもぬけの殻となっていることを確認する。
「おそらくよォー。奴は『こっち』に逃げたと思うぜェ」
『ミスタ』は、道路が続いている『山道』を無視し、目の前に立ちふさがる急傾斜の『山林』を指差した。
僕らの『スタンド』と、予測される敵の『スタンド』の能力からして、その入り組んだ環境は、『戦う』には丁度いい。
「おい、『イツキ』! 迷ってる暇はねェぜ、『野郎の脳天をぶち抜く』のは『俺ら』だ!!」
わかっている。さもなくば、『脳天をぶち抜かれるのは』僕らのほうなのですから。
――――
山林の中ばかりまでを上りきり、傾斜がやや穏やかになり始めたとき。
行く手の先で、『パァン』と、何か銃器を放つような『音』がした。
「『イツキ』、避けろォ――――!!!」
ミスタが叫ぶ。言われるまでも無い、僕は体をよじらせ、近くの『木』の影に身を隠した。
「イツキぃ! この野郎、『連射』は『できねェー』らしいぜー!! ヤルなら、今だ!!」
ミスタさんの言葉に同調し、僕は『木陰』から飛び出す。左手には、用意してきた『材木』が握られている。右手の中に、『スタンド』を発動させる。
「『セックス・マシンガンズ』!!!」
声と同時に、僕の右手の中に、『サブマシンガン』が現れる。これが僕の『スタンド』だ。
「オイィ、コイズミィ!! メシハネェノカァ!!」
『マシンガンズ』が叫ぶ。円盤状の銃倉部分が『口』となり、声を上げているのだ。
僕は言葉を発さずに、その奇妙な『口』の中に、手に持った『材木』を突き刺す。
「ヒャッハァー!!! 『クイモノ』ダ『クイモノ』ダァー!!!」
『マシンガンズ』の口が、その材木を噛み砕いてゆく。
僕はそれに合わせて、引き金を引いた。
マシンガンの銃口から、『材木』によって作られた弾丸が、無数に放たれる。
「『セックス・ピストルズ』!!」
同時に、『ミスタ』もまた、弾丸を放つ。
……しばらく時間が経過する。数秒ほどの空白だが、それは『ダメージを与えられなかった』と判断を下すには十分すぎる時間だ。
「オイ、『ミスタ』! 敵は『イネェ』! 見当タラネーゼェ!?」
それを裏付けるかのように、ミスタの傍へと帰ってきた『ピストルズ』が、その旨を叫ぶ。
「おい、イツキィ――。こいつァ、射程距離は俺らより上のようだなァー」
そのようだ。そして、連射性に長けていないという点から考えれば
「『ライフル』ですね」
「ああ。だけどよォー! イツキィ! こいつは『追尾』は『できねぇ』みたいだなァー!」
「ええ、そのようです そして、あなたはそれが『できる』!!」
察する限り。『敵スタンド』の放つ『弾丸』は、『直線』でしか機能しないようだと考えられる。
ならば、『セックス・ピストルズ』を持つミスタさんのほうに勝機がある。彼ならば、『軌道を変えて』敵を打つことができるのだから。
意を決し、僕とミスタは、同時に木陰を飛び出し、獣道を駆け上りだした。
同時に、行く手の先から『パァン』と音がする。それに応じて、僕らはそれぞれ、左右に体をそらす。
その間を、『弾丸』が掛けてゆく。『敵』はもう、僕らの傍に居る!
「『セックス・ピストルズゥー』!! 『敵』を追えェー!!」
前方に向け、ミスタがピストルを撃ち放つ。同時に、3発。
弾丸には、二体づつの『ピストルズ』が搭載されている。
「オイ、ミツケタゼ、コイツダァー!!」
数十メートル程飛んだ先で、弾丸が直角に軌道を変え、一本の木陰へと叩き込まれた。
同時に、『誰かのうめき声』が聴こえる。
「よし、でかしたぜ『ピストルズ』! ちゃんと『急所』は外してンだろォな―!」
念のため身を隠していた木陰から、ミスタが飛び出し、斜面を駆け上がる。
それとほぼ同時に。たった今、弾丸が撃ちつけた木陰から、『そいつ』が姿を現した。
僕は咄嗟に身を隠す。
「な……何だァ、オマエは……!?」
「……『覚えた』よぉ……アンタの『顔』はー……」
一つ目の声は、『ミスタ』の声。何かに戸惑っているようだ。
そして、もう一つは、『現れたスタンド使い』の声だ。いやに甲高い。
『顔を覚えた』。その言葉に警戒し、僕はできるだけ顔を背けたまま、視界の端のみで、その姿を捕らえた。
そこには……せいぜい12歳と言った所だろうか。僕らの予想に反する『少年』の『スタンド使い』が、肩を赤い血で染めながら、『ミスタ』を見下ろしていた。
ミスタは相手の『正体』に驚いているのだ。その所為で、この『隙』を逃した。
「『スターダスト・レビュー』!!」
『少年』が叫ぶと、彼の手の中に、小さな体とは不似合いな『ライフル』の『スタンド』が現れる。
「『ミスタ』さん、身を隠してください!」
木陰に体を納めながら、叫ぶ。同時に、タァン。という、一発の銃声。
放たれた弾丸が、一瞬で僕らの横を通り過ぎ―――
―――その弾丸が、曲がったッ!
「うごォ!?」
軌道を変えた『ライフル』の『弾』が、木陰に身を隠した『ミスタ』の体に撃ち込まれる。
……そういう事か。さっき、あの『少年』は『顔を覚えた』と言った。
あの『スタンド』は、『顔を覚えた人間』を『追尾する』!!
「『ピストルズゥ――』!!」
状況を察知したのだろう。これ以上時間を掛けられる余裕はない。
『ミスタ』は木陰から飛び出し、『少年』に向けて『ピストル』を撃った。
しかし。そこに『少年』の姿は無い。
「くそ、『射程』はあっちのほうが上だったっけな――!!」
その言葉と同時に、小さな『銃声』が、斜面の上方から放たれる。
次の瞬間、『ミスタ』の身体に、新たな銃創が発生する。駄目だ。これ以上時間をかければ、『ミスタ』が保たない。
「『ミスタ』! 貴方は『逃げて』ください! 奴の『射程』の外まで!」
「あァ、そうしたいのは『山々』だけどよォ――……『足をやられちまった』んだよ」
見ると、ミスタの両腿に、『ライフル』の弾丸によって作られた『傷』がある。
ならば、僕が奴を『押し上げて』、『ミスタ』の射程外まで追いやるしかない。
「僕はまだ『顔を覚えられていない』ッ……『僕が行くしかない』!」
『マシンガンズ』は既に、次の『食料』を待って、口を開閉させている。
僕は、木陰を抜け出し、これまでとは別の軌道で、斜面を駆け上がった。
同時に、また小さな銃声が響き渡る。弾丸は『ミスタ』を目指して飛んでいったのだろう。
『音』から察するに、少年は『ライフル』の射程範囲の、かなりのぎりぎりの所まで距離を取り、そこから『ミスタ』を撃っているようだ。
ならば、『少しでいい』。『少しだけ少年を上方へと追いやり、蹴りをつける』!
「『セックス・マシンガンズ』!! 食事だ!」
「ッシャアァァァァ―――!!」
僕は鞄に詰め込まれた『材木』の中から、一本を取り出し、それを『マシンガンズ』の口に突っ込む。無数の弾丸があたりに散らばる。
それと同時に、上方で地面を蹴る音が聞こえた。
予想していたよりも、少年は『近い』。今の僕の銃撃に反応したのだ。
まだこちらの位置がばれた訳ではない。僕は更に『マシンガンズ』に『食事』をさせながら、斜面を駆け上がった。
『少年の動く音』が、『マシンガンズ』の発射音の合間合間に、上方から聞こえる。
『ミスタ』は射程から外れてくれただろうか。僕はその場に立ち、周囲を警戒しながらしばらく耳を澄ましてみる。しかし、銃声はしない。
さあ、後はどうすればいい。……あの『少年』を『倒す』以外に無い。
『材木』にはまだ余裕がある。と、鞄を確認しようとした時。
タァン。
「ッ!」
乾いた音が響き渡り、『弾丸』が降り注いだ。
『弾丸』は、僕の脇腹を掠めながら……同時に、『僕の鞄の紐』を貫いたッ!
材木を詰め込んだナップザックが、斜面を転がり落ちてゆく。
弾丸が飛んできた方向を、僕は『見上げた』。
「―――『覚えた』よ」
……僕から、50mほど離れた、『木の上』に。
狙撃用のスコープで片目を隠した、『少年』の姿があった。
そのスコープ越しの目が、僕の顔をはっきりと『捕らえている』!
「『スターダスト・レビュー』! 心臓を『撃ちぬけ』ぇ!!」
少年が叫び、もう一つ、銃声が鳴る。
心臓―――!!
僕は咄嗟に、真後ろに有った木に背を預け、『マシンガンズの口』を、左胸の前に宛がった。
「『セックス・マシンガンズ』! 『デザート』だァ――!」
「『ヨッシャァァ―――!!!』」
ズン。と、重い衝撃を、『マシンガンズ』を持つ手で感じる。
『銃弾』は、『マシンガンズの口』に吸い込まれていった!
「うわァァァ―――!! 『スターダスト・レビュー』!! 早く『次の弾』だァー!!!」
少年が騒ぐ。その『時間』を与えるわけには行かないッ!
少年との距離は50mほど。この距離ならば、少年は僕の『マシンガンズの射程範囲内』だ。
僕は『マシンガンズの口』を、背後の木の『幹に叩き付ける』!
「『ウメェェェェエエエエエ―――ッ!!!』」
ガリガリガリガリと耳障りな音を立て、『マシンガンズ』が『木を食らってゆく』。さながらチェーンソーのような光景だ。
木の幹を横に『2/3』ほど食わせた後、マシンガンズの銃口を『少年の居る木』に向ける!
「『セックス・マシンガンズ』!! 撃ちまくれェ――!!」
「『DADADADADADADADADA!!!』」
「『スターダスト・レ』―――うわぁぁぁ、間に合わないぃぃ!!!」
『マシンガンズ』が放った弾の雨が、『少年』の居る『木』を穿つ。
狙っているのは『幹』のやや上、『枝』だ。
程なくして、少年の居る『枝』が大きく揺らぐ。
「うわぁぁァ―――ッ!!!」
少年は背中から地面に落ち、もんどりを打って斜面を転げ落ちてゆく。
そして、最後に、ひときわ立派な『大木』の根に『後頭部を打ちつけ』て、ぐったりと身体を投げ出し、地に倒れた。
―――
「アンタはスゲェーよ、『ベネ』だぜ! 俺らの『ボス』の治療は『痛くて』しょうがなかったってのによォー! 一体どんな『スタンド』なんだよ?」
「……『スタンド』ではない」
「ウソつけよォー! 『能力』を『秘密にしてる』んだろォー?」
「……違う」
少年を抱えて斜面を駆け下りた僕が見たのは、『長門さん』が、なにやら面倒くさそうに応答しながら、、『ミスタ』の傷を『治している』所だった。
「長門さん、問題はありませんでしたか?」
「無い。『彼』の傷も治した。が、カモフラージュのために『機関の病院』に向かわせた。『涼宮ハルヒ』もそれに同行している。『朝比奈みくる』が護衛に付いた」
朝比奈さんが、果たしてどれだけ『護衛』に向いているのかどうかわかりませんが、機関の病院ならまず安全でしょう。
「なぁ、イツキよォ。そのガキ、まさか『穴あきチーズ』にしちまったわけじゃねェよな?」
「ええ、脳震盪を起しているだけです。それと、落下時に足を骨折しているようで……まあ、これくらいは致し方ないかと」
「しかしよォー、人を殺させるのに一般人の『ガキ』を選ぶたぁ、トンでもねぇ野郎だなァ、あの『オアシス』の奴ぁよー」
僕は少年を長門さんに差し出しながら、少年が持っていた『生徒手帳』を見る。
『久保木みやび』、中学一年生。ついこの間までランドセルを背負っていたわけだ。
むしろ、僕としては、あの凶悪な『スタンド』を発現させた、この少年の精神や環境のほうを物悲しく感じる。
「やれやれ、『土曜日の不思議探索』も、大変な『任務』になりましたね」
「……これからは更なる悪化が懸念される。……具体的に言うと、『これから、もっとしんどくなる』」
……彼の専売特許を奪うようで悪いが、この気持ちを表すには。この言葉が最適だろう。
やれやれ。
――――
- ミスタ - 古泉の自分の扱いがフーゴのそれ同然っぽくて不安。
- ハルヒ - 「キョンに怪我させた犯人を探すのよ!」とご立腹。
- 森 - 即座に連絡したのに1時間も遅刻した会長にアッパーカット。
本体名 - 久保木みやび
スタンド名 - スターダスト・レビュー 再起可能?
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スタンド名 - 「セックス・マシンガンズ」
本体 - 古泉一樹(16歳)
破壊力 - B スピード - B 射程距離 - B
持続力 - C 精密動作性 - E 成長性 - C
能力 - サブマシンガン(シュパーギン機関拳銃1941モデル)型のスタンド。
自意識を持ち、横暴な性格。ドラム型弾倉部分に口がある。
その口が食ったものを即座に弾丸に換えて発射する。
食い進むスピードや咀嚼力を破壊力にすればAクラス。
ただし、食いだめはできなく、摂取してから5秒以内に発射する。
基本的に何でも食うし、何でも飲む。
好物はハチミツだが。弾丸として発射したときにかなり悲惨になるので
めったに食べさせてもらえない。
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スタンド名 - 「スターダスト・レビュー」
本体 - 久保木みやび(12歳)
破壊力 - A スピード - A 射程距離 - A
持続力 - C 精密動作性 - A 成長性 - E
能力 - ライフル型のスタンド。本体が『顔』を覚えた人間を
射程距離内(350mほど)に居る限り追尾する弾丸を放つ。
パワー、機能共に凶悪なスタンドだが、連射が利かず
一発を撃つと十数秒のブランクが発生する。
また、軌道が変われば変わるほど弾の威力は落ちる。
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最終更新:2014年06月05日 01:05