第90話 「最終決戦前作戦会議」
土曜日、あたしはSOS団を自分の家に集めた。もちろんハルヒには秘密だ。
「今から皆に弓と矢の輸送作戦を説明する」
「その前にいいか?」
なんだ?キョン。
「弓と矢ってなんだ?」
「言ってなかったっけ?」
「ああ……聞いた事も無い」
「弓と矢ってのはスタンド使いを生み出す道具だ」
「どうやって増やすんですかぁ?」
「矢で人を傷付けるだけだ……上手くいけばスタンド使い……だが失敗すれば………」
「どうなるのでしょうか?」
「死ぬ」
その言葉を聞いて、みくるは縮み上がり、キョンは視線を逸した。古泉は相変わらずで、有希は無反応だが。
「もう一つの矢の特長は……再びスタンド使いを傷付けるとそのスタンドを進化させる事がある」
「って事は失敗もあるって事か?」
「多分ね」
「失敗したらどうなるんでしょうか?」
「さあな……そこまでは知らねぇ」
「あのー……そんなに物騒な物なら、壊しちゃえば………」
「学者の間では高い価値のある研究資料として扱われてる……壊すのはよしてくれだとさ」
馬鹿な話だとは思うがな。あんなもん、あった所でプラスは何一つ無い。
「弓と矢については分かりました……それでは輸送作戦の方は?」
「今、弓と矢はあたしの家で保管してある……それを明日SPW財団へと運ぶ」
「直接SPW財団とやらが取りにくればいいじゃねえか」
「財団は常に監視されている。直接渡そうとすればすぐに奪われるだろう」
そこであたしは地図を広げた。
「待ち合わせ場所はこの港だ……潜水艇を入れてある。これなら奴等の監視網を抜けて港に潜む事ができるしな」
「だけどよ……輸送を尾行されたら一発でバレるぞ」
「……そこでお前らの出番だ。古泉」
「頼まれていた車は全て手配しました。明日には到着します」
「どういう事だ?」
「機関のメンバーには何人か囮になってもらう……ただし弓と矢については秘密だ。単に何かを運んでいるように動けと指示しておく」
「運転手はドライビングテクニックだけでなく、戦闘能力も有する人材を配備しました……スタンド使いには勝てないでしょうが逃げるくらいはできるでしょう」
分かってるじゃねえか。古泉は中間管理職に向いてるな。
「んで、俺達は何をすればいいんだ?」
「チームに分かれて行動する。アナスイとウェザー、みくるは囮に周ってもらう。危険だろうが頼む」
「任せときな」
『ああ』
「が……頑張ります」
「おい、徐倫」
なんだ?キョン。
「朝比奈さんが囮は危なすぎねーか?」
「悪いがこれ以上安全なのがなかったんだ………それにここだけスタンド使いを二人にしてなるべく戦力を高くしてる」
「他はもっとヤバいのかよ………」
「キョンと古泉は親父と一緒に弓と矢の輸送を頼む」
「マジかよ……てかなんで俺らなんだ?」
「まさか足手ま……じゃなかった非戦闘員が多いグループが輸送するとは誰も思わないだろ」
「今足手まといって言いかけただろ」
あたしは無視して話を続ける。
「後は移動手段もある……車を運転できんのは親父とウェザーの二人だからな。分けたら自然とこうなった」
「あれ?こっそり隠れて移動するんじゃないのか?」
そんなもん、囮の意味が無くなるだろ。見つけてくれって言ってるような物だ。
「……なるほど」
「あ……あの、徐倫さんと長門さんは一体何を………」
「あたしは森さんと一緒に敵の捜索と撃破だ……有希は遊撃部隊として独自に行動してもらう」
「……なるほど、逃げるだけではなくこちらからも攻める……ですか、徐倫さんらしいです」
「なあ、徐倫、移動手段はどうすんだ?」
『アナスイ、話を聞いてなかったのか?』
「度忘れだよ………」
「アナスイとキョンのチームは車だ。あたしはバイク、有希は……まあ好きにしなさい。なるべく機動力のある物で頼むわよ」
有希は今日の会議で初めて動きをした。小さくうなずいただけだが。
「作戦は以上!分からない事は?……無いわね。決行は明日の10時ッ!皆覚悟を決めなさいッ!」
「「「「『おうッ!』」」」」
「ボス……奴等に動きがありました。明日何らかの大規模な作戦が行われる模様です」
「……分かった」
「それで、どうなさるのですか?」
「もちろん、総攻撃だ……この機を逃せば弓と矢を手に入れるのは困難になる……何せ
ディアボロが見つけた6本の矢のうち、回収及び破壊されていないのはあれだけだからな」
「分かりました。全員に連絡をかけます」
「そうしてくれ……といっても何人残っているか……だな」
「片手で数えられると思いますが」
「……相変わらずユーモアが無いな……行け」
「はい」
ドアが閉まる音が部屋に響いた。
「涼宮ハルヒ……奴には自らが望む物を無意識に引きつける力がある……スタンド使いを引きつけた時、いずれ弓と矢を引きつけるとは思っていた……まさかこんなにも早いとは思わなかったがな。
………最後の仕上げだ……絶対に失敗は許されない………。敵は恐らく9人……こちらは……私を入れてせいぜい4人か……しかも一人は能力がバレている。
だが、数の有利不利は関係無い……この戦い、何としても勝つ………」
To Be Continued・・・
最終更新:2009年11月10日 01:31