尋問彼女
「…『家族からは何と呼ばれてますか』?」
「……慎吾、おい、お前、アンタ、歩くチンコ…」
「……は、『初めてのオカズは』?」
「…兄貴の部屋のフラッ○ュダイ○マイト」
オセロ盤を挟んで差し向かっているのは、俺の高校の女子制服に身を包んだ黒髪美少女。見た目は乙女中身は変態M女装っ子のイケメン優等生須藤豊君である。
今日もこいつを愉快に破廉恥に攻め立てるのは俺のはずだった。だったのだが…
「え…ええと……『自分だけのせ、性感帯は』?」
なんで俺がこんなセク質されちゃってんですか!?
「…………フェ、フェラされてる時のへそ…」
正直に答えつつ恨みがましく睨みつけるのは、ほぼ黒一色な盤面。本来ならこれは純白に染まるはずだったのだ。
腕には自信があった。中学の修学旅行でも、去年の合宿でもこれのおかげで俺は班員にレポートを押しつけることが…純粋に観光を楽しむことができた。
だから自分の学校の女子制服を着た背徳感に興奮しつつ俺の部屋に来たこいつに、この盤面を出してみせたのだ。
「せっかくだから、負けた方はなんか罰ゲームしよっか」と用意していたルーズリーフとボールペンで、不安がる奴の目の前でわざとらしく隠しながら五つの質問を書いた。
あとは俺が華麗に圧勝。何を答えさせられるのかビクビクの相手にねちっこく問いかけるはずだったのだが。
…が、学力とゲームって比例するんですか!?
「あんまりやったことないから」と奴が言った通り、端っこと直線斜め三番目をキープするという非常にオーソドックスな戦略のはずなのに、気付けば俺が打てる場所がなかった。
先攻を譲ってしまったのを後悔したが、逆だったからといって何が変わっただろう。真っ黒がまっちろけにされるだけではなかろうか。そんなくらい奴の圧勝。
「……黒の勝ち…」
俺が何も裏っ返すモノのない白いコマを置くと、小さく須藤が判定を下す。
呆然とする俺を気にしながら、奴の手がおずおずと伏せられたルーズリーフを取り、
「じゃあ…質問」
そして冒頭に至ったのである。
俺の秘密の性感帯を聞かされた奴は、何ともいえない顔でルーズリーフを持ったまま黙り込む。
「早く続き読めよ……楽しんでんのか?」
そりゃあ滑稽だろう。さんざん大口たたいた俺が思いっきり凹みつつ、奴の質問に素直に答えてるのだから。
しかし須藤のいらえは、ずいぶんと歯切れの悪いものだった。
「…その……もう、いいんだけど…」
「いいって、何が?」
苛々と聞き返すと、びくりと首をすくめつつもルーズリーフを目の高さに持ち上げた。
「この、質問…」
「……それしたら罰ゲームの意味ねーだろ。それともなんだ?そーやって俺をいたぶる時間稼ぎか?」
ちょっと言い過ぎたかもしれないが、こんくらい許されるだろう。なんたって今は奴に主導権がある。
須藤は可愛らしい顔を困ったようにしかめ、それでも声を荒げることなく応えた。
「だって、なんか嫌そうだから…」
「そりゃあお前が嫌がるだろうから作ったんだからな」
ほらほら、ムカつくだろ?とっととこの拷問終わらせてくれよ。腹いせに思いっきり恥ずかしいことしてやるから。今ちょっと思いつかないけど。
俺が腹黒いこと考えてると知ってか知らずか、ちょっとためらってから奴は言った。
「だから、俺は嫌がることはさせたくないから」
「……は?」
俺の幻聴でなければ今こいつが言ったことは、自分を陥れようとした男を返り討ちにしているというのに、その相手を許そうとしていることになる。
「…今、なんて?」
「お前が嫌なら、これはもうおしまいにしようって」
間違ってないみたいだ。
ぽかんとしたまま、間抜けな質問をする。
「これ…って、罰ゲームを?」
「うん」
こっくりうなずく奴の顔が、ネクタイ締めて女子にほほ笑みかけている時に近い優しさに満ちている。気がする。
「ほんとっ?」
「うん」
身を乗り出して聞き返す俺に、ぎこちなく口角を持ち上げてみせる須藤。
ネクタイがリボンに、スラックスがスカートに、合わせが逆になった以外は基本印象の変わらない制服姿なのだが、学年問わず女子に黄色い悲鳴をあげさせてる奴とは思えないほど襟元のリボンやボックスプリーツのミニスカートが可憐にハマっている。
「だって俺、これお前に聞こうとして書いたんだけど」
「たかがゲームだろ?そこまでして嫌がるお前に聞きたくない」
こいつはなんて立派な男、いや女装っ子なんだ!奴の黒い瞳には今までに俺に色々とされた恨みだの策謀だのといった影はなく、清楚な美貌にも一点の曇りもない。
今まで意地悪してごめん、今度から背中のホックは最初から俺が留めてあげようか、「イきたい」って言ってきたら、なるべく焦らさず三回以内にイかせてあげようかと、俺らしくもなく甘やかすことを考えてみる。調教が足りないって、本人に怒られちゃったらどうしよう。
「お前、本当に良い奴なんだな…」
純粋な感動に身を震わせる俺の前で、須藤がホッとしたように息をつくのが見える。
そうか、そんなに俺が不憫だったのか。なんて思いやり溢れる可愛い奴なんだ。そんな自分が嫌がるようなことをする相手に……あれ?
次以降の質問の中身を思い出し、俺は首を横に振った。
「……いや、やっぱ続ける」
「え…えぇええっ!?」
急にあたふたする須藤。やっぱり、俺の目は誤魔化せない。
「いや、そんなっ!あ、あんなに嫌がってたんだからもういいってば!」
「それじゃあお前に対して失礼だ。俺はやるといったことはやり通す男だということをお
前に対して証明してやる義務がある」
「そんな気を遣ってくれなくていいから!気にしないでいいから!俺より自分をもっと大
事にしろ!」
相手の必死さ加減に、自分の予測が確信に変わった。
こいつはなんてセコい野郎なんだ。聖人君子に見せかけて、とんでもないキツネかタヌ
キだ。耳と尻尾つけてキュ~ンとか一瞬想像したけど、今はそれどころではない。
こいつには、自分がどれだけエロエロMっ娘(男)なのかを、しっかりがっつり思い知ら
せてやらなければ!
「さあ、大きな声ではっきり質問してね!」
「……『…ぉ……オナ………で、一番い、いじる…ところは…』?」
やっぱり。二、三個目の質問で気付くべきだったが、俺自身がすっかり落ちてたので奴
の抑揚なんざ気にしていなかった。
自分からは決して発さないような言葉を読むことが、奴にとっては俺以上に精神を削ら
れるみたい。これは新発見と、にわかに元気が出てきた。
「あぁ?聞こえないんですけど、質問」
「だからその、『ぉ……ニー、で…一番いじる、ところは』?」
頬を赤らめて口ごもる須藤。手にしたルーズリーフの俺の文字が、どんなに憎いことだ
ろう。でも彼はイケメンの秀才だがマ○ルダのような超能力はないので、文字を消したり
変えることはできない。
「わっかんねーなあ。もっとハッキリおっきな声で言ってよぅ」
俺のわざとらしいセリフに、感づかれたことに感づいたのか奴が睨んできた。この場合、
どっちがキツネでタヌキなんだろう。
「わ…分かるだろ、自分で書いたんだから別に言われなくてもっ!それとも自分で見て答
えるか!?」
珍しく逆切れてきたが、羞恥に潤んだ瞳ではちょっと迫力不足だ。
「いやぁ~、俺アッタマ悪いから忘れちゃってさ。それに口で言ってもらわなきゃ分かん
ない。テヘ☆」
「可愛い子ぶるな、気持ち悪い」
男のくせにクラスの女子と同じ制服着て、あまつさえニーソやブラショーツまで完全装
備しといて何だよ。
「じゃあその気持ち悪いのをこれ以上見なくて良いように、ちゃんと言ってよ。ユ・カ・
ちゃん?」
震える唇が「最低だ」と動くが、怒りと恥辱で声にならないようだ。
「ほら、四問目は?なんだったら二問目からやり直そっか?」
わざと奴のつっかえた箇所を指摘すると、慌てて奴はルーズリーフを掴んだ手に力を入
れた。パシッと、破れないか心配になるような音がする。
「っ…お、『オナニーで一番いじるところは』!どうだ、聞こえただろ!?」
情感豊かとはとても言えないが、奴的にはタブーな単語を言い放ったことでかなりキて
いるみたいなので、合格にしておく。
「やだユカちゃんったら、そんなエッチなこと聞いてくるなんて~!」
「お前が書いたんじゃないか!は…早く答えろよっ!」
正座した膝にルーズリーフごと手を叩きつけて急かしてくる。俺への罰ゲームを楽しむ
どころか、これではどっちが負けたのかわからない。
「んー、自分でやるならやっぱチンコかなあ。あ、お前は乳首いじるんだろ?いっつも」
「ぉ…俺の話は関係ないだろ!」
矛先を向けられ慌てふためく須藤。いや、だからどうしてそうやって掘らなくて良い墓
穴掘るのさ。
「えー?別に、世間話の範囲だろ?…んでも、やっぱりいっつも自分でクリクリいじるん
だ?道理でちょっと触っただけで感じまくりなわけだ。へぇ~はぁ~ふぅ~ん」
「今はお前に質問してるんだ!」
「……そんなに俺の一人エッチ聞きたいんだ?」
身を乗り出して下から顔を覗き込むと、気の毒なほど困った顔をした。「はい」とは言
いたいわけがないし、「いいえ」では自分が生贄になってしまう。
「…四番目の回答は満足かな?」
「質問終わり!もう終わり!」
我に返ったようにオセロ盤を俺に押しつけて距離を置く。あーあー、真っ黒けのままコ
マがぐちゃぐちゃになってしまった。
ルーズリーフに目を落とし絶望的な顔をする奴に対し、俺は自分の書いた最後の質問を
思い出してニヤニヤ笑いが堪えきれない。
「次の質問は、なんだったっけ?」
「『い、一番最後、に…した………その、ぉ……ニーの手順を細かく言え』……何なんだ
よこの質問!?」
そもそもこいつは、俺がどんな質問を用意してると思ったのだろうか?俺的には非常に
紳士的な範疇の質問なのだが、育ちの良い奴には想定の範囲外だったみたいだ。
「誤魔化さないで、ちゃんと真ん中んとこも言いなさい」
「っ……ぅ…」
悔しそうに恥ずかしそうに俺と手にしたルーズリーフを交互に見やり、ついに奴は下を
向いてしまった。
ふるふるとわななく唇に耳を寄せ、サービスで優しく促してやる。
「なんだって?」
「…っ『ぃ、一番最後にした…お、オナ、ニーのてじゅ、んを…細かく言え』…」
絞り出すような声で、どうでも良いところすら途切れ途切れに優等生は質問を読み上げ
た。
「……りょーかい」
言って、役目を終えたルーズリーフを奴の手から取ってやる。こんな紙ペラ一枚に、ど
れだけ苦しんだのかと思うと胸が踊るようだ。
「顔上げて」
また元通り距離を置いて向かい合わせに座ると、戸惑いつつも従う。
「罰ゲームなんだから、ちゃんと見届けてくれなくっちゃねえ」
質問は終わったというのに何をされるのかと思いっきり身構えてくれたので、俺は気分
良く胡座に頬杖をついて口を開いた。
「やっぱ、ソレ調達した夜にヤったかな?先輩と付き合ってた時のお友達さんに譲っても
らってさあ、もう超ウキウキしちゃって、我慢できずに」
今着ているモノをオカズに抜いたと言われ、奴の落ち着きがなくなる。
「きっとお前に似合うと思ったから、俺だけが見るのはもったいないかなーとも思ったけ
ど、でもそれって超レアじゃね?って考え直したわけ」
「……それが何の関係が」
「せっつくなよ。そんで、お前がそれ着たらどんなことしてやろうかってのをネタにシコ
ったんだよ」
再び自分に矛先を向けられ、ブレザーに包まれた奴の細い肩がびくりと震える。
「まず最初に、着ただけでおっきしちゃわなかったかチェックかなあ?そのスカートの裾
を少しずつ、少しずつ捲り上げてってさ」
ニーソに包まれた足をじっと見ると、落ち着きなく奴の手のひらが膝を擦った。
「パンティーの色は、白も良いけどピンクでもブルーでも合いそうだよなあ。あ、黒でも
意外性あって良いかな?とか、そんなこと考えながら布団乗ってズボン下げたわけ」
ベッドの上に放ったジャージを指差すと、ちらりと目をやってまた下を向いてしまう。
俺がそこに横になって半ケツさらしているという、愉快な図を想像したのだろうか。恥じ
入るように膝に置いた自分の手をギュッと握りしめた。
「お前がイきまくってる間、俺ってお前に構ってやってばっかじゃん?だからけっこう溜
まっちゃってるから、そんくらいで結構勃ってきちゃってんの」
まだパンツの色もわかんねーのにと笑うが、奴が笑い返すことはない。
「こうさ、親指と中指で輪ぁ作ってカリんとこクルクルしながら、先っぽを人差し指でグ
リグリすんの。ちょーヤバい」
「っ……」
その形にした手を伸ばすと、のけ反るようにして身を引いた。面白い。
「きっとパンティーはキッツキツだろうから、『着ただけでなんでこんなになったのかな
あ?』って聞く気満々で、お前の泣きそうな顔想像したら何か出てきちゃってさあ、一度
手ぇ離して手のひらでグチグチっと塗りたくったんだけど、もうビンビン」
もぞ、と奴の足が動く。震える両手がスカートの裾を掴んだ。
「そんで、一度スカートは元通りにして、今度はその上を攻めようかなって。左手でタマ
撫でながら、お前のブレザーのボタン外すところ妄想。ブレザーは着せたまま今度はリボ
ンを解いて、それもやっぱそのまんまな。そしたらいよいよブラウスなんだけど、それは
お前に外させようかなって。超コーフンしちゃって、お前うまくボタンとれなくってさあ
、優しい俺におねだりすんの『脱がせてください』って」
ちょん、と白い襟をつつくと大袈裟なほどに身を竦ませる。かなりいい感じだ。
「脱げかけってのがエロい気がすっから、ブレザーもブラウスも袖通したまま肩まで開け
させるんだけど、まだ一個残ってるよな?そのせいでかえって感じちゃって、俺に鎖骨な
ぞられてビクビクってしちゃうの。そのあたりで俺のももうヤバくなっちゃってんだけど
、根元ギューッってやって、イかないように我慢我慢。俺かなり辛抱強いからさあ」
ニーソに覆われた両膝がキュッと擦り寄せられた。スカートの裾を握りしめた手は細か
く震えている。
「ホック留めたまま手を上から突っ込むと、びっくりして『ひゃん!』とか悲鳴上げるん
だけど、乳首はもうビンビンだから『やめて』なんて絶対言わないわけ。つまみ上げてコ
リコリってすると、涎垂らしてヨがるの。俺は俺で小指の先で裏筋ツツーッと撫で上げた
り、先っぽグチュグチュってして大興奮……って、聞いてる?お前」
「…き……聞いて、る……」
「あっそ」
掠れた声の返答を軽くスルーし、俺は続ける。
「んで、脇腹コチョコチョってしてお前がびっくりして動いた拍子に、そんな風にスカー
ト押さえてた手が離れちゃって、なんかでニョキッてなっちゃってんのが分かんの。スカ
ートめくったら案の定チンコビンビンで、パンティー突き破っちゃうくらい。『このまま
イっちゃう?』って俺が聞くと『やだ、汚しちゃうのはやだぁっ!』って泣くんだけど、
もうパンティーの盛り上がってるとこはびっちょびちょで、そのままイっても変わんない
感じ…その頃にはもう俺の両手もぐっちょぐちょのベッタベタで、しゃーないから追い込
みかけるわけだ」
ふるり。奴の腰がわずかに動き、スカートの裾が揺れる。
「お前のびちょびちょパンティー脱がせてやって、ずっと座ってて痺れた足揉んでやって
『もう、早くイかせてぇ!』って泣きつかれたらブラのホックも外しちゃうの。両方の乳
首チュッチュッて吸ってあげながらスカートの上からお前のチンコ掴んで扱いてやる。『
だめ、だめぇっ!スカート汚れちゃうぅっ!』って言うんだけど、もう今さらって感じだ
よな。もちろん俺の方も激しくシコる、手のひらでグリグリしつつ扱きまくり」
「…っ……ん…」
わずかに鼻に抜けるような声が、奴から漏れた。
「俺がもうイきそうになると、お前ももう限界な。ガクガクしながらもう何も考えられな
くなってんの『あっ、あ、あ…だめぇえっ!セーエキでちゃうぅうっ!』……で、俺もお
前もフィニッシュ」
俺のイき声でいっしょにビクついた奴の、不自然にスカートを押さえつけ膝を擦り合わ
せる姿をたっぷりと楽しんでから、俺は大きく息をついた。
「…以上、最後の回答で罰ゲーム終了~!」
熱に浮かされたような奴は、膝立ちになり自分に身を寄せる俺をただ見上げている。ト
ロンとした黒い瞳は、まるでそれだけしか見えないかのように揺らぐことなく俺の笑みを
映していた。
「じゃあ、こっからが本番な?」
言って、先程の告白通り俺は奴のスカートの裾に手をかけた。
(おしまい)
最終更新:2013年04月27日 14:47