監視彼女別プレイ
せっかくの「プリティメロン」の触り心地を、十分に堪能しないわけがない。
それ自体がもたらす刺激と、カラオケボックスでの防犯カメラに見せつけプレイですっ
かりクタクタになった須藤豊君(今なら美乳付女装バージョン)は、俺の部屋に戻ってか
らも身体を休める暇はなかった。
俺の眼鏡(日中はコンタクトだから、裸眼の奴は首を傾げていた)をかけさせて巨乳委
員長ごっこをしてみたり、恥ずかしがる奴を腕組みさせて胸を強調してみたり、仰向けに
して俺監修の下グラビアポーズとらせて鏡で見せつけたり、とりあえず思いつくことをす
べてやってみて、いい加減俺のネタが尽きたのと、奴の喘ぎ以外の口数が極端に減ったあ
たりでお開きにした。
「あぁ~っ、ごちそうさまでした!」
すっかり不機嫌な奴と向かい合わせに座って、俺は相手…のセーターをエロく持ち上げ
る擬似乳房に、敬意を表して頭を下げる。
「ひ…人のこと何だと思ってるんだ!連れ回した挙句に、こ…こんなことまでして!」
「『こんなこと』って?」
「っ…………じ、自分の胸に手を当てて考えてみろっ!」
「自分の」って名言されちゃったから、お約束のボケをかませない。
「…だって、こんなプリップリのポヨンポヨンなの見せられた日にゃあ、楽しまなきゃ損
だろ損?」
「だ、だったらそれこそ本物の女を当たれよっ!こんなんよりもっと、その……お、大き
い人居るだろっ!?」
もじもじと組まれた白くて細い指を見ていたが、ちらりと上に視線を移動する。
「本物って…巨乳の?」
「そう!そうだよ、こんなの買ったり着せたりするより、その方がよっぽど建設的だろ?
それに…」
「ほら、俺なんかに構ってたら彼女作れないし」とか健気に俺を慮ってるふりして、ど
うにか逃げようと一生懸命口実を挙げる奴には申し訳ないが、俺はそれ以降の発言のほと
んどを聞き流してしまっていた。
女なら俺の微妙な視線の先に気付けただろうが、巨乳歴一日の奴は話している自分のど
こを凝視されているのか、まるで分かっちゃいない。
本人は無意識だろうが、両手を前に、それも胸の下にやってるので、たわわな乳房がキ
ュッと強調されてちゃっている。奴が憤りにまかせて発言する度に胸筋が上下し、それに
伴ってひっついたそこもふるるんふるん。
…あの、すんごい「どうぞ召し上がれ」状態なんですが。
そこまで考えて、俺はまだ一つ、この美乳で楽しんでないことがあるのに気付いた。
「……ごめん」
「………え?」
一言断ると、何の説教をしてたのか思いっきし面食らったような顔をする。知るか。
「俺の勝手な都合で、大変申し訳ないと思ってます」
「え?あ、その…うん。分かってくれたなら、良いんだ。俺も今のはちょっと言い過ぎた
し…」
殊勝に見える俺の様子に困惑する美乳彼女(男)。ひっきりなしに胸の下で組んだ指を組
み替えて、
「その…今の俺の言葉に限っては、ごめん」
言いづらそうに視線を横に流す須藤。ふるふるの乳房はすっかり無防備だ。
「…だから、もうちょっとだけ、失礼っ!」
「は?……っひゃあ!?」
本日何度目かの高い悲鳴をあげる優等生に飛びつき、俺はその挑発的な双丘に誘われる
ままに顔をうずめた。
…最高だ。
腕を回した背は狭く胴回りも頼りなく薄いものだったが、特殊シリコンは俺の鼻っ先を
絶妙の弾力で受け止めてくれた。
真新しい服の匂いと、石鹸の香料か爽やかな肌の匂いと…ほんのちょっぴりだが、こい
つの汗と精液の残り香。パッドとはいえ長時間身に着けているので、本物ちっくな乳房は
すっかり奴の体温でほっこりしている。
「わぁい、ユカちゃんのおっぱいに溺れちゃうぅ~!」
「っ馬鹿かお前!?」
谷間にギュムギュムと顔をうずめる俺を無慈悲に突き放そうとしてきたので、頬を押し
つけたまま両手で乳房を掴んだ。
「ひぁっ!ゃ…やめ……っ」
「おお、わが国では海の中に乳があり、かの国では乳の中に海がある…だったっけ?」
「詩を冒涜するなっ!あと乳じゃなくて母だ母!」
そういや現代文の時間、こいつが教科書読んでたんだっけと思い出す。突っ込む余裕は
あると見たので、遠慮なくニセ乳を揉みしだき指で、手のひらで、そして顔で存分にその
感触を味わうことにした。
「かぁ~わいいなあ…ユカちゃんのおっぱいは、ほんとに可愛いなあ」
「あ、あ…動かしちゃ、ぁ……っん!」
女作れって怒ってたが、俺の指の動きや肌にかかる息によっぽど過敏に反応してくれる
イケメン優等生。個室でさんざん焦らされイきまくった後だというのに、お盛んなことだ。
「たしかに俺、巨乳好きだけどさぁ~…こんなモロ感なの、ユカちゃんくらいじゃね?」
「っな…何言っ、て……っゃ、あっ!」
抵抗する奴のオフショルダーセーターをずり下ろし、今度はキャミの上からこねまわしてやる。
「……だ、めだ…って、ばっ!…ぁ…んぅっ!」
「…食べちゃいたいくらい、ここもスベスベですねぇ~…」
両手は乳房を絶えず動かしながら、デコルテを刺繍で飾ったキャミの襟ぐりに顔を寄せ
る。うっすら桜色に上気した白い肌。
その、薄いがほんのり温もりのあるやわっこいそこを、チュッと吸い上げた。
「うひぁっあ!?」
ここは可愛く「きゃん!」とか言って欲しかったが、直後平均高二男子の力で俺を突き
飛ばした優等生には、そんなことに耳を貸す余裕はないみたいだ。
「なっ…なっ、何す……っ!?」
おそるおそる彼が見下ろすのは、詩的に表現するならば雪原に咲く紅い花、ぶっちゃけ
て言うと、鎖骨の下のキスマーク。
うわぁ、すっげイイ位置にイイ感じについちゃった。
吸い上げた舌先はピリピリして、ぶっ飛ばされた肩は地味に痛いが、気分はアポロ月面
着陸した飛行士だか未開の地踏破した冒険家だかの気分だ。
キャミ越しに形の良い乳房を露わにし、ちょっと前の控え目な仮面をかなぐり捨てて、
自分を汚した男を睨みつける清純派美少女。俺の手の中に射精してアンアン言ってたとは
とても思えないのだが、数時間前の事実だ。
「…ナニって、チューしましたが何か?」
「さっ…最低だ!お前絶対おかしい!」
胸の下まで下げられたセーターを引き上げながら涙目で叫ぶ須藤。悪代官に迫られた生
娘のような反応されて、俺が反省するわけがない。
ああ、こいつ女の子とエッチしたこともないのに、まともにチンコ触られたり初めてキ
スマークつけられたのが男なんだ。
……傑作だ。すべてにおいて完璧な須藤君の脳内履歴書には、俺の名前がいくつもバッ
チリ刻まれていることだろう。
DVDデッキに表示された時刻を確認して、俺はいかに短時間で二回戦になだれ込むかを
考えた。
(おしまい)
最終更新:2013年04月27日 14:54