討議彼女

(「偽装彼女」シリーズ・短編)

「お前のために言ってんじゃん」
「知るかよ!絶対嫌だから!」
 珍しく怒って…まあ怒ってんのはいつものことだが、俺の部屋で声を荒げる女装優等生
須藤豊君。透け見える白キャミが憎いフリルブラウスに、きちんとアイロンかけているプ
リーツが腰から腿にかけてのラインを悩ましく演出するピンクミニスカ姿で、ぱっちりお
めめをキッと吊り上げている。
 差し向かう俺の手には洗面所から失敬し広げた薄いナプキン。生理用じゃなくって、い
わゆるパンティライナーってやつだ。
「ほら、サラサラだからお股濡らしちゃってもかぶれません!」
「近付けんな!そんなの着けられるか!」
 肌に触れる面を指でなぞりながら「なんかオムツのCMみてぇ」と思ったが、相手も同
じこと連想したのかいよいよかたくなに拒否ってくる。
 ブルマを穿かせるのも屈辱感あって良いのだが、やっぱり薄いすべすべ生地に浮き上が
る美尻を撫でまわしたいという夢には敵わず、こうして我慢汁対策を講じてみたのだが…
「せっかくユカちゃんにハードル低そうなのを選んできたのに…」
「いや、十分高いから!ていうかお前絶対どっかおかしいから!」
「でもユカちゃん、そのカッコで前みたく外でおっ勃てちゃったら、スカートまで濡れ濡
れんなっちゃうよ?」
「…っ……」
「ていうか、そんないつでもどこでもおっきしちゃってたら、誰かにバレちゃうんじゃな
いかなぁ~?」
「っぉ…お前が何もしなければそんな必要なんて……」
「…『俺が』」
「え?」
「『俺が』、なんもしなきゃ平気だっての?」
「ああ!」
「……そう」
 自信たっぷりな相手を前に、キャッチやナンパのしつこい駅前での観察プレイを計画し
ながら俺はニッコリしてやった。
 数時間後、連れ込んだ男子トイレの個室で聞き耳たてられながらずり下ろしたショーツ
の中身は、言うまでもないだろう。

 (おしまい)

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最終更新:2013年04月27日 15:11