黒猫彼女

(「偽装彼女」シリーズ・短編)

「須藤、今まで何か月もお前を性的な意味でいじめたりして悪かった。お前が逆らえない
のを良いことに思い返せばとんでもない仕打ちの数々、俺は本当に反省している。スカー
ト捲ってチンコ見せつけながら乳首いじくり回されてる写真も、店ん中でエロ下着ご開帳
してるのも、パンチラならぬブルチラから色々出しちゃってるのも、全部消去する。てゆ
ーか目の前で携帯折ってもいい。もちろんお前が女装して俺に責めたてられてセーエキま
き散らしてたことなんか言うものか。今日からお前は自由の身だ。どうして今さらだって
?それは、俺がお前を愛しているからなんだ。好きだからこそ、お前のいやがる顔もアン
アン言ってる顔も独り占めしたかったんだけど…ダメ?ダメか。そりゃそうだよな、今ま
であ~んなこ~んなやらしい意地悪したような俺だものな。ならせめて最後に、燃えるよ
うな熱いキスをか、かわs……ブフェッ!ごめん今の嘘!」
 そこまで一ターンで言って、俺は腹を抱えて笑い転げた。
 俺の部屋の中、向かいの床に座った須藤豊君は、ぷりっぷりのおねだりリップを半開き
に呆然としている。
 奴の格好は来た時のワンピースではなく、巻き付けたバスタオル一枚というしどけない
もの。こいつが風呂入ってる間に、ピンクの下着も含めて俺に部屋に持ってかれてしまっ
たからだ。
 せっかく新品のタオルを出してやったのに腰で巻くという暴挙に出たので、脱衣所の扉
を外から押さえつけて直させた。「ヒドい」のはどっちだよ。
 俺の家に着くなりシャワー浴びろと言われ、ちょっとまさかアッー!な展開かよ!?と
ビクつき気味だった須藤のお美しい顔は、俺のセリフの間に目まぐるしく変わった。
 え?マジ!?と大きな瞳を輝かせ、過去の自分が俺に見せた格好を思い出して顔を赤ら
めつつも俺の心変わりを訝しむ。突然の俺の愛の告白に思いっきり動揺して、正直キモい
って顔をしつつも、でも自分だってナルシーの女装Mっ子だから変態はお互い様だし、正
直色々と気持ち良くしてもらえたからチューくらいは良いかな。でもこいつのことだから
すんごい濃ゆいのされちゃって、ファーストキスなのがバレちゃったらどうしよう…って
思ったのだと、表情の変化から推理。


 大笑いする俺を前にすっかり停止してしまっている優秀な頭に分からせてやるため、俺
は頬を引きつらせながら壁のカレンダーを指差してやる。
 どうにかこうにか残酷な現実を理解した須藤は、やっぱりどうにかこうにか言葉を紡い
だ。
「……最低…っ…」
 四月一日だからって人をだまくらかすようなこととは無縁のご家庭なのだろう。せいぜ
いママのエプロン隠して、実は新しいのをプレゼント☆なんて可愛いいたずらした程度な
んだろうな、と涙を浮かべるクリクリおめめを見ながら思う。美少女の嫌がる顔が大好き
って、つくづく俺終わってんな。
 しかしそんな終わってる自分の趣味が大好きな俺は、思いっきり拒否するだろう相手を
どう攻略するか考えながら、今日の衣装を差し出した。

 яяя

「……………もう、いい……」
 ショーツやガーターの順番を聞いてきたくせに「こっち見んな」と勝手なことほざいて
くださったお方のお許しが出たので、俺はようやく客人を振り返った。
「ぉ………うん、完璧だ」
 両手を足の付け根…ってか、ぶっちゃけ股の前で重ねた相手の姿に、歓声をあげそうに
なるのをどうにか堪える。
 あまり実用的とは言えない、縁飾りにぬいぐるみみたいなフモフモが付いた黒いブラシ
ョーツに、細いウエストを飾るガーターベルトで吊るした黒ストッキング。すんなりした
腕もストッキング素材のアームウォーマーに覆われ、白い肌にアダルトな黒を添えていた。
 そんでもって、セミロングのサラサラストレートヘアには、そのつややかな髪色とよく
合う黒い猫耳カチューシャ。痩せてるくせに喉仏のあんま目立たない首には、赤いリボン
に通した小さな金色の鈴を付けている。文字だけだと耳のない猫型ロボットのビジュアル
が浮かぶだろうが、白い肌に真紅のサテンは道具なしで昇天できそうな淫靡さがある。
 世にも珍しいイケメン男子高生の女装獣コス姿が、俺の目の前にあった。


「ほら、手ぇ離せよ」
「…ぅ……」
 「もう無理」と言いたげにかぶりをふるが、俺が重ねて催促すると観念したように両手
を横に下ろした。チリリン、と首の鈴が爽やかな音をたてる。
 奴がもじもじと隠していた黒ショーツの前は、本来この衣装をまとう対象にはないモノ
でぴちぴちになっていた。それもただでさえ立派なモノが半勃ちなのか、かなり不自然にモッコリしちゃってる。
 まあ、こいつにとって女物の下着を着ける…というか人前で「女の子」の格好をするこ
とは、イコール俺にやらしい悪戯をされてしまう、脅しすかされ甘やかしてもらうという
奴の大好きなプレイをしてもらえることになるから、仕方ないっちゃー仕方ない。
 普段はストイックな模範生だけど、変態オナニーっ娘らしく条件反射で期待に前をおっ
勃てているパブロフの犬状態なんだろうが、今の彼は猫……そう、黒猫だ。
 クールでカッコいい「王子様」なはずの須藤君が、あろうことかエロエロ猫耳コスチュ
ームにその身を包んでいる。
 その事実は俺の腹筋を痙攣させるのには十分すぎる理由になった。
「っふ………うくく……っ…」
 床にうずくまった俺にギョッとした様子だったが、笑われてることに気付き形の良い眉
を吊り上げる。同時に右手を中身ぺったんこのブラへ、左手を中にベルトの通るショーツ
の前に寄せたのだが、華奢な腕ではカパカパのカップも、それに対しぱつんぱつんに膨ら
ませたモノも隠しきれてない。ついでに形の良いへそが見え隠れして、なんとも滑稽にし
てやらしい光景だ。
「……き……着せといてなんなんだよお前!そんなに楽しいかよ!?」
 盛大にマジ切れしてくれるが、それに合わせてチリンチリンチリンと可愛い音がするの
でかなり迫力不足。
「いや、か…かわゆいニャンちゃんでちゅねえ~……っく」
 相手とは違う意味の涙でにじむ視界でも、黒い三角耳はしっかりと見えていた。


 笑いを噛み殺しつつ、立ち尽くす猫耳女装っ子の後ろ姿も楽しむことにする。
 当然ながらむちっとした豊満さには欠けるのだが、ほぼ裸の白い背中はワイシャツに覆
われるのには非常にもったいない一品だ。張りのある滑らかな肌が「触って触って」言っ
てるみたい。否定するだろうけど。
 ぷりんとした尻を半分くらい隠すショーツには、これまた黒い尻尾がついている。ワイ
ヤーが入っているのか、奴の左横から見るとJ字を描いていて…
「にゃーっ!」
「っ!?なんだよおい!?」
 思わず奇声をあげてしまった俺に恐怖を隠しきれない須藤。この格好で何かあったら二
人仲良くおしまいだろ。
「いや…ごめん、興奮しちゃってつい」
「……これで興奮するなんて、お前本当終わってる」
 ずいぶんしつけの効果が現れない猫だが、またすぐいつもどおりニャンニャンあんあん
イっちゃうぅ~!ってなるからまぁ良いか。飼い主は寛容でなくては。
「ユカちゃんならぬにゃんこちゃん、飼い主さんを悪く言っちゃ、めっ!ですよ?」
 …うわっ、今までにない冷たい視線をもらっちゃった。着てるのは猫コス衣装のくせに
すっげクールなんですけど!
「…悪い猫ちゃんですねぇー」
 含み笑いでジロジロあからさまに見てやれば、さっきまでの態度が嘘のように怯えた顔
をする。こんな格好で、何されるか(まあナニなんだけど)不安でたまらないみたいだ…
ああそう、その表情(かお)いただきっ☆
 じゃあまず、手始めに。
「四つん這いになって、『ニャー』って言ってみ?」
「なんでそんなこと…っ」
 反論される前に、俺は急かすように手を打った。
「ほら二足歩行しない!長靴履いてないっしょ!?」
「く………っ…」
 チリン。
 切れちゃわないかこちらが心配なくらいぎゅっと唇を噛んで、奴がそろりと膝をついた。
 チリン。
 震える両手をカーペットの上に置く。フリーサイズのノンワイヤーブラが、平らな胸板
をぺろりと覗かせた。


 チリン。
「…に………にゃー…」
 俺の顔も見ることができず、消え入りそうな声で猫耳下着の優等生は鳴いた。むしろ泣
きたいだろう。
 いろんな葛藤を乗り越えてこのハイハイポーズに至ったのだろうが、俺には関係ないの
でジャッジはあくまで俺主観だ。
「だぁめ。肘ついて、ケツ上げてこっち見て言いな」
「っ……!」
 チリチリリン。怒りと屈辱で奴が震えるのに合わせて、鈴も細かく鳴る。
「ほらほら、どぉしたのぉ~?」
「……い、いい加減に」
「須藤君の猫耳姿なんて、かなりレアだよねえ?」
 ベッドに座り、床に膝立ちになった彼と見つめ合う。正確に相手が見ていたのは、俺が
手を突っ込んだジャージのポケットだが。
 しばしの沈黙の後、あきらめたかのように須藤は目を伏せた。そして、
 チリリン。
 言われた通りアームウォーマーをはめた肘をつき、黒い尻尾付きショーツに覆われた尻
を高く上げ、
「…にゃ、にゃあ!」
 猫語を話す女装優等生きたー!
 腹筋切れそうなくらいに笑いを堪えていると、大きな目一杯に涙を溜め俺とは違う意味
で奴が震える。女豹のポーズのままなので、可愛い尻と尻尾がそれに合わせてフリフリ揺
れた。
「な…なに、が…楽しいんだよっ……」
 わななく唇が気丈なセリフを吐くが、返事できないほどに三角耳の後ろに見える白い背
中と双丘が悩ましすぎる。形自体は普通のショーツなので、プリンと覗く尻たぶに後ろの
ガーターベルトがキュキュッと程良く食い込んでるのが見えて、なんて言ったら良いのか
分からないけど、きっとこれが「萌え」ってやつなんだろう。
「楽しいだなんてとんでもない。すんばらしいよユカちゃ…いや、ニャンちゃん」
 俺が言い直すのに、まだこのプレイが続くことが分かったのか悲愴な表情を浮かべる。
こいつがそんな顔すると、着てるのは変態衣装なのに気の毒になってしまうという、つく
づくお得なスペックをお持ちでいらっしゃる。


 とはいえ、そんなおきれいな顔をいじめるのが俺の趣味なので、せいぜいイケメンに生
まれたのと、こんな変態行為で興奮できる我が身を呪っとけ。
「ほらほら、なでなでしてあげようね~」
 四つ這いになったままの奴に手を伸ばし、猫耳カチューシャのあたりの髪を梳いてやる。
シャワーを浴びたばかりなので生え際や首筋は少し濡れているが、そこ以外はサラサラ柔
らかだ。艶やかな黒髪からピョコンと同色のケモノ耳が飛び出ている様は、なんとも面白
…いや、素敵。
「よしよし、良い子でちゅね~」
「…………」
 チリンチリンという涼しい音とは対照的に浮かない顔で、メイクなしでも十分ぱっちり
した目が今は苦行者みたいになっている。
「どぉしたのかなぁ~?猫ちゃんは撫でられたら喉鳴らして喜んでくれるはずなのにねぇ
……他んとこ触って欲しいの?」
「………………ゴロゴロ」
 そんな、それこそ地を這うような声で言わんでも。
 飼い猫がご不満そうなので、とりあえず俺は手を離し身を起こさせてやった。
「まあいいや。ほれ、こっちおいで」
 この衣装に着替えるまで相手が巻いていた半乾きのバスタオルをベッドの上に乗せ、何
をするのかと訝る須藤に示してやる。
「ここに手ぇついて、可愛い尻尾こっち向けて」
「…………は?……っ!?…ふ、ふざけるなっ!」
 イコール、バックで「はい、召し上がれ」な格好をしろという命令に、奴が素直に従う
わけがない。
「ふざけてないって。超真面目です」
「じゃあなおさらだっ!」
 黒ストッキングに覆われた膝でジリジリと距離を置こうとする須藤を黙って見つめ、な
るたけ気のなさそうに言ってやる。
「…別に、その格好のまま追い出しちゃっても良いんだけど?」
「っ………」
 股間もっこりさせた猫耳娘を連れ込んでた俺の方がアウトだと思うのだが、それを聞い
た優等生は途端に大人しくなり、ちょうど割れ目の上にある尻尾をふりふり揺らしながら
注文通りのポーズをとってくれた。


 立ったままベッドに敷いたタオルを手で押さえ、ピンと足を伸ばす。それこそ伸びをす
る猫のような体勢で、彼は「ほら」と震える声を発した。
「こ……これで、満足だろ?もう………ひぅっ!?」
 セリフの後半が悲鳴になったのは、俺が後ろからブラをわし掴んだせいだ。
「猫ちゃん、おっぱいちっちゃいねえ~…まだ子供なのかなあ~?」
「……っ!やだ、あっ……なに、馬鹿言って…」
 ワイヤーがない分型崩れを気にすることなくカップをふにゅふにゅと揉みしだき、ポリ
エステル百パーとは思えないモケモケ縁飾りをくすぐる。
 目の前にある、これまた手触り良さそうなするんとした肩に軽く噛みつくと、ショーツ
に覆われた尻が俺の腹に強く押しつけられ、針金入りの黒尻尾がみぞおちをグリグリして
きた。
「ぅあ……何して…っ!」
「さっき風呂入ったから、良いっしょ?」
 「そういう問題じゃなくて」とつまらないこと言いだしそうだったので、ブラの隙間に
突っ込んだ指を抜き今度は尻たぶを引っ掴んでやる。ストッキングに覆われた長い足がピ
ンと緊張するのが分かった。
「あっ!………ん、ぅ…っ……」
 プレイ用なのもあっていつもより薄くぴったりめの黒ショーツは、俺の指の動きをより
相手に伝えてくれてるみたい。割れ目が布地越しにもハッキリ分かるのは、おそらく前で
引っぱってるモノのせいだと思うけど。
「んー…ちょっと取っちゃって良いよね?コレ」
「…っ!?やだ、ぁ………ん、んっ……」
 屈んだせいでほんの少しだけ食い込んだ後ろのガーターを二本とも外せば、いつもの柔
らかな曲線が現れる。元から感じやすいところをセクハラしまくったおかげで、今じゃす
っかり性感帯になった双丘に手のひらを滑らせれば、それだけで俯せた奴の耳はほんのり
赤くなっていった。


「えっちぃね、発情期ですかぁ?」
 言って下着の中に指を滑り込ますと、黒い布地が俺の手の形にうきあがってなかなかエ
ロい。直接触れてるすべすべプリプリ肌もヤバいけど。
「んぁ、あ………っやめ……」
 面白みのかけらもない制止に構わず、くるんと曲がった尻尾ごと下着を腿の半ばまで引
き下ろしてやる。前の方で何かが引っかかり、細い肩がビクつくのが分かったが、とりあ
えずは気付かないふりだ。
 というか、黒いベルトの端を頼りなげに垂らした、申し分のないカタチの桃尻を目の当
たりにして次のセリフがすぐに出てこない。うわぁ、たまんねー…じゃなくて、ええと、
「…よく手入れされてるみたいだねえ。猫ちゃんは」
 「おっと失礼!」的なハプニングごっこプレイをされるのかと浴室の中で挙動不審な動
きをしているのがうかがえたが、優等生は言われた事をちゃんとこなしてくれたみたい。
俺ん家のボディソープ(姉貴のになったり、その時の彼女が置いてったのになったりする
ので、誰のかよく分からない)の匂いは、すらりとした身体中から漂っていた。
 この白くみずみずしい肌にまとっているのは、こいつの性別にもローズヒップの陶然と
するような香りにもそぐわない、人を食ったような安っぽいコスプレ衣装なのだ。恥ずか
しさと期待とに歪んでいるだろう相手の端正な顔を想像して、軽口を叩きつつも下腹がカ
ッと熱くなるのを感じる。
 後ろから見る分には申し分ない「女の子」のセミヌードを楽しんでいると、半端にガー
ターとショーツを引っかけたままにされている須藤が痺れを切らしたかのように口を開い
た。
「おい……も、もう良いなら放せよ…っ」
 ぴったりとしたショーツを着けてもその跡や第二第三の尻とかいうたるみとは縁のない、
美しい臀部を無防備に同級生の男にさらしてなお、イケメン女装優等生は警戒を露わにし
ている。自分で見えない所を視姦されることに興奮しちゃう前に終わらせたいんだろう。


「……『放せよ』?」
 それこそ飼い猫を可愛がるように、滑らかな背筋を撫でながら俺は聞き返す。イメージ
はマフィアのボスで。
「そう!」
 力一杯うなずく相手に「ふぅ~ん…」と生返事を返せば、当然腹を立てた彼は振り返っ
てきた。
「おい、聞いてんのか!?」
「うん。だから、ニャンちゃんは『放さないで』って言ってんだよねえ?」
「…………はぁ?」
 キッと勇ましく睨みつけてくれる猫耳っ子にほほ笑みかけると、吊り上げた柳眉を困っ
たように寄せてしまう。
 お利口さんが俺のセリフの意味を理解するまでに、俺はむき出しの尻に直接手で触れた。
柔らかすぎないけど、適度に吸いつく尻たぶ。
 うわヤバい、超クるわ。
「!ぁ…う………っ最低…!」
 そうですか。こっちは最高です。
 それこそ果物の桃じゃないけど、輪郭のカーブに対してぷりっと堅い。この絶妙な手触
りの薄い脂肪の下にある筋肉が、美しいラインを描く引き締まった腰部を作っているのか
と思わず溜め息をつきながら…クニクニ両手で揉みしだく。
「おっぱいぺたんこなのに、ココはすっごいプリプリだねえ~」
「……ぅ………触るな……っ!」
 ピクンと背筋を震わせつつも逃げようとするが、ベッドに寄りかかり俺に真後ろに立た
れてはわずかに腰を横にずらすくらいしかできない。
「なぁに?『触って』って誘ってんの?このエロ猫ちゃんは」
「っ………く……」
 何を言っても無駄なことがようやく分かったのか、赤らんだ目元を見せたくないのか奴
はぷいと前を向いてしまった。ご機嫌取りの前に、とりあえず存分に手触りを楽しませて
いただくことにする。 この上向き生意気大人気ヒップが、こんないけ好かないイケメン
野郎のモノだなんてもったいない!小ぶりかつ程良い弾力を持つこれは人間国宝並みだと、
補正下着にいくつもの涙を飲んできた俺はつくづく思った。
「あー、ユカちゃ……ん、猫ちゃんのお尻、すっごくヤバ可愛いよ~」


「……あ、ぅ…………っ何、馬鹿言って…んっ…」
 腰骨の浮き出たとこから腿の付け根へ人差し指を滑らせ、また魅惑の双丘をツンツンし
てやる。焦らすような動きに、おそらく半勃ち通り越して臨戦態勢だろう猫耳娘は切なげ
な喘ぎをもらした。見てよし触ってよし感度よしとは、なんたる才能だろう。
「…こんなとこまでビンカンで、なんかおっぱいみたいだねえ?」
 付き合ってた女の子たちはわりかし巨乳だったのもあり、ぶっちゃけこんな感じの、埋
めたり挟んだりできない薄い胸は楽しめないと思っていた。しかし今俺の指先はビンビン
に興奮を伝えてくる。
 この膨らみ始めの乳房みたいな、これからが楽しみな妄想の余地があるカタチと硬さ。
夢いっぱいの発展途上万歳だ!脳内乳首補完によって胸としても楽しめる、悩ましい肌色
の桃に俺は大変ご満悦だった。
「ぅ……ほんと、お前馬鹿じゃ………や、ぁ……!」
 猫だからこの格好でエロい柔軟体操させたり、「お手入れ」の名の下に全身撫でくりま
したりとか考えてはいたが、ちょっと予定変更。飼い猫の性欲の管理も、きっと飼い主の
仕事だろう。たぶん。
「ニャ~ンちゃんっ。なんか苦しそうですねぇ~?」
 相変わらずのペット扱いに、ベッドに敷いたタオルが奴の白い両手にギュッと握りしめ
られる。いわゆる「こんな奴に…くやしいっ…!」ってな心境なんだろうけど、俺お前と
一緒に居る時に抜いた覚えないんですが。
 そんなことを思いながら相手の強張る両手指をほどき、下腹へと誘導。
「…じゃあ今日は、コレをオカズにオナってもらおっか」


「っん…………ぁ……ひゃっ!?」
 案の定腹に付かんばかりにそそり立ったモノを握らされ、自分の持ち物なのに彼は裏返
った声をあげた。
「こんなかぁわゆいのに、お股はギンギンなんだよねぇ~?ヒトは…ってか、猫は見かけ
によらないなあ」
「…う………」
 掴んだ指越しにぬめるペニスをいじってやれば、屈辱に唇を噛んでいるのかくぐもった
うめきを漏らす須藤。尻尾の重みでずり落ちたショーツを膝に引っかけへっぴり腰で俯く
姿は、こいつに好意や信望を寄せる後輩だとか女子なんかにゃとても見せられない。
「ほらほら、好きにシコって良いんだよう~?」
 黒髪の隙間から覗く白いうなじに息を吹きかけ、情けない格好の相手をからかってやる。
自分のフル勃起ペニスを握らされた猫耳優等生は、その美尻を俺が撫で掴む度に首の鈴を
チリチリ鳴らして抵抗を続けていた。まあ抵抗とはいっても、命令に従わないくらいしか
できないんだけど。
「うん?一人じゃ上手にできないって?」
「やっ…やだあっ、やめてっ!」
 構わず左手で奴の手の上から竿を掴み、指も根元も我慢汁でヌチョヌチョにしてやる。
キュッと緊張を走らせる尻たぶをもう片方の手で揉みしだいてやれば、そのつもりはない
だろうが身体を揺するのに合わせて俺の手のひらにペニスがヌルヌル擦れた。
「…『やだ』?嫌ってことは、今日は『もっと』ってことだよねぇ?だって、こんなにチ
ンコぐりぐりしてくるしね~」
「ち、違……っひゃあ!……っん…」
 自分の先走りにべたつく手で脇腹を撫でられ、くすぐったさにか必死にかぶりを振る。
身じろぎでカチューシャがずれたため後頭部でぴょこんと立った猫耳が鼻っ先をかすめて
くるのが、それこそくすぐったい。
「うん?違うの?……なんかあるなら言ってみろよ」
 口でなんとかカチューシャを戻しながら聞いてみると、本日複数回の失敗で学習したら
しい優等生は三角耳をつけた賢い頭で考え考え答えてくれた。


「……あ…ぁ………その、さ…『触って』?」
 清く正しい須藤君は、心にもないことを口にするのには慣れてないようだ。
「…りょーかい。イヤっちゅーほどムニムニしてあげるっ」
「なんだよそれ!それじゃ…っん、く……っ」
 激怒する相手に自身の勃起ペニスをしっかり掴ませ、空いた手で引き締まった腹をなぞ
りあげる。抵抗するうちに外れた肩紐が、すんなりした二の腕に引っかかっていたのでそ
れを元通り直しかけ…支える乳房がなくずり落ちたブラへ手を伸ばした。
「ぅ…んん……っ……」
 フワフワの縁飾りで胸を揉む真似をしてから、露わになっていた乳首を探り当てる。
 指に絡んだ我慢汁をそこに塗りつけながら尻たぶを揉んでやれば、自分の手の内でグチ
ャグチャになったモノへの刺激もあいまってか大人しくなった。もはや立っているのも危
ういのか、がくがく震える膝をベッドに押し当ててどうにか俺の布団や部屋を汚さないよ
うにしている。
 解放されたいという気持ちを弄んだ挙句こんな恥辱プレイを強いられて、なんでこいつ
はこうやって勃てるんだろ。つくづく変態Mっ娘(男だけど)って分かんねーと、形の良い
ふくらはぎの半ばでクシャクシャになった黒ショーツを眺めながら思う。クラスの女子の
お誘いより自分が大好きなくせに、こうして猫耳付けて同級生の言いなりになっちゃうな
んて俺なら絶対耐えられねー…って、させる方なら大歓迎ですが。
「おっきなニャンちゃんは、顎よりこっち撫でられんのが好きみたいですねぇ~?ほら、
くりくり、くりくり~」
「ぅ…あ……へ、変態…っ!」
 その変態と同じモノおっ勃てといて、よく言うよ。
 喉元まで出かかったセリフを、乳首と臀部という野郎にゃもったいない性感帯への攻撃
に健気に堪えている奴に免じて飲み込んでやる。


 代わりにコリコリになった乳頭をキュッとつまみあげ、もどかしげに揺れる尻を揉みな
がら「イくまで続けるから」と上気した耳にささやくと、ようやく自ら手を動かし始めた
ようだ。
「……ん……っふ、はぁ……」
 薄い胸筋にそって指圧してやる度に、柔肉と呼ぶのもはばかられるピチピチした肌がピ
クン、とわななく。吸いつくような感触に夢中で尻たぶを掴みあげ胸と不規則に刺激して
やれば、覆いかぶさった前の方でクチクチとやらしい音がした。
「チンコ気持ち良い?なんか、すっげぇの」
「…や………ぁ、聞かな…でぇ…っ…」
「はいはい、めっちゃ聞こえてますよぅ~」
 泣きそうな声での懇願を、熱くなった耳たぶを舐めることでスルーしてやる。指が乾い
たのでブラの飾りでベタベタ乳首をくすぐり、さんざん可愛がった小ぶりな尻をぎゅうっ
と掴みあげてやると、俺の胸に密着していた背がヒクヒクするのが分かった。
「あっぁ………だ、だめ、でちゃ…っ……!」
 「出ちゃう」と可愛く宣言してくれた通り、白い尻を震わせて黒猫優等生は射精。せっ
かくタオル敷いてたのに、どうせ大好きな亀頭責めでもしてたんだろう、掛け布団や奴の
身体にいくらか飛んじゃったみたいだ。あー、今日は毛布で寝ないと。
 洗濯機を回す心の準備はできたので、俺は絶頂の余韻に浸る相手の下半身から手を放す
と、汚れを拭うことなく黒ストラップのずり落ちた肩を掴んだ。
「え?ぁ、あ……ひぁっ!?」
 イったばかりで脱力した痩躯は、十センチくらいしか背の変わらない俺でも簡単にベッ
ドの上に引き上げられた。悲鳴をあげる相手に構わず、そのまま仰向けに転がしてやる。
ちょっとぞんざいだが、こいつは今は「ネコちゃん」であって女ではないからまあ良いだ
ろ。


「…やっ、やだっ離し……って!」
 両の足首掴まれてまんぐり返しというか、ちんぐり返し状態にされて須藤は鈴を鳴らしながら暴れる。それに乗じて長い足から黒ショーツを引き抜くのだが……うん、細い顎の下から見てもつくづくきれいなお顔だ。
「はぁい、キレイにしてあげまちゅからねぇ~?」
 全裸なのではなく、ブラや手足といった感じで部分的に隠れているのがやたらめったらエロい。白い肌に衣装の黒というコントラストが淫靡さに拍車をかけている。
 前のガーターも外れたのか、ストッキングが片足だけずり落ちてるけど、それがまたアシメな感じで良い。半透けのナイロン生地が肌を隠しきれてなかったり、重なって隠しちゃってたり。まあぶっちゃけ、超やらしい。
「ケツばっか楽しんじゃったけど、前もかなりイイ感じじゃん」
「ひゃ……っふ、ぅ…っ…」
 言葉通り、下半身丸出しの黒ブラ猫耳っ子を思いっきり観賞しつつ、奴自身の精液で汚
れた腹や股間をきれいにしてやる。
 そのままペニスも尻尾付きのショーツで丁寧に拭ってやると、その刺激でまた起き上が
ってきた。
「あれー?また勃ってね?」
「やだ、ぁ……っ!」
 あまりの恥ずかしさに耐えきれず、ついに汚れているにもかかわらず両手で顔を覆ってしまった。
女子にキャアキャア言わせてるその面が精液と唾液でベタベタになってるのを想像し、非常に興奮する。桃尻ぶっかけと顔射、どっちがハードル低いかな…って、なんかヤバい階段上っちゃってたりする?
「猫ちゃん、自分のミルクはおいちかったですかぁ?」
 仰向けになって、俺にはしたない下半身(というか、この状況ではしたなくないのってどこ?)をさらした状態で、須藤は顔を隠したままスンと鼻を鳴らした。
「ほら、返事は?」
「…はぃ……」
「こら、猫がしゃべるわけないだろ」
 屈辱に声を震わせつつ答えるが、俺のしつけは甘くない。
「だ、だってさっきはしゃべらせたじゃ…」
「あーあーやだなぁ水差すなよ」
 心底うんざりした声を出すと、奴は反論すらできない。
 顔を隠しつつも飼い主の機嫌をうかがう可愛い猫に、優しく俺は尋ねてやった。
「じゃあもう一度な…ニャンちゃんはエッチが大好きでちゅか~?」
 四月馬鹿全開というか、ここまでくると四月が怒るだろうか。
「ほら、返事は?」
「ぅ………にゃー…っ」
 しゃくりあげた拍子に、首の鈴がまたチリンと鳴った。

 (おしまい)

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最終更新:2013年04月27日 15:13