獣人スレ @ ウィキ内検索 / 「天高く馬肥ゆる秋」で検索した結果

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  • 天高く馬肥ゆる秋
    天高く馬肥ゆる秋 リオ「いい季節になったね、ミサミサ。涼しくなったし、新刊ラッシュだし、食べ物も美味しいし、まさに『天高く馬肥ゆる秋』……あっ」 番場ミサコ「え?」 リオ「いや……なんでもない」 ミサコ「因幡先輩、わたしは気にしていませんので」 リオ「う、うん。ごめん」 その日の放課後。 ミサコ「めーん!!どーお!!こてー!!すねー!!」 なぎなた部員A「あの……。番場さん、練習時間は過ぎているんですが」 なぎなた部員B「ってゆーか、いつもより声でかくね?」 部員A「そろそろおしまいにして、帰りにクレープでも食べません?」 ミサコ「めーん!!どー……。クレープですって。部員Aさん!寄り道よりも、わたしと互格稽古しましょう!!」 部員A「い、いやああ。やっぱり、きょうは用事が...
  • ケモノ学校シリーズ:SS 10スレ目の作品
    ...10 458 天高く馬肥ゆる秋 スレ10 462 サザエさんじくう スレ10 467 月と牙。 スレ10 470-473 わんこ ◆TC02kfS2Q2 氏 モテキ スレ10 490 ヒカルとバイク乗り スレ10 511-513 わんこ ◆TC02kfS2Q2 氏 われら三銃士 スレ10 531 エリア51 スレ10 533 金曜日のネコたちへ スレ10 546 バイクとメガネ スレ10 555-560 わんこ ◆TC02kfS2Q2 氏 本が読みたくなる、甘噛みしたくなる スレ10 569-571 わんこ ◆TC02kfS2Q2 氏 冬のバイク乗りたち スレ10 586-587 冬のお姉さま スレ10 588-589 コウノトリ スレ10 593 ごめんね スレ10 599-601 わんこ ◆T...
  • スレ6>>632-635 蒼の悲劇(>>613からリレー)
    蒼の悲劇(≫613からリレー) 「ひゃっほ―、海だぁぁぁ!」 空に真夏の日差し煌く白亜の海岸、子供の様にはしゃぐサン先生の声が波音を一瞬だけ打ち消す。 その後に少し困り顔で付いて来るのは泊瀬谷先生、そして猪田先生。 そして更にその後には、ビーチマットとビーチパラソルを両脇に抱えた獅子宮先生の姿があった。 今日は佳望学園高等部の臨海学校の下見。海に危険が無いかを確める為に彼らはここに訪れたのだ。 「ほら! 泊瀬谷先生も早く! 早く!」 「ええ? わたし…水が苦手なんですよお」 早速波打ち際で遊んでいるサン先生と泊瀬谷先生を横目に、 獅子宮先生は波打ち際から少し離れた場所にビーチマットを敷いて、その側にビーチパラソルをしっかり立てると、 パラソルを開いてその影にビーチマットが入っているのを確認し、ビーチマットへごろりと横になる。 そ...
  • スレ6>>309-312 パペットさん
    パペットさん 『白せんせー、プールいやニャ…』 『なんだ。まだそんなこと言ってるのか』 『水着なんてやだニャ』 プールでひと泳ぎしたいぐらい暑い、梅雨の晴れ間。学校への坂道の途中の朝の一こま。 初等部ネコ三人娘のクロは、くすくすと笑いながら肩を小さくするコレッタの耳をつねった。 一方、コレッタは恥ずかしそうにうつむいて、ランドセルの肩紐をぎゅっと握る。 「だって泳ぐのは苦手だニャ…。でも、そんなこと言わないニャよ」 小さなコレッタの祈りは届かず、クロとミケは校門に向かって歩きながら、一緒に歩く二葉葉狐をはやし立てる。 『コレッタの水着は…全然、せくしーじゃないねんニャ』 「ねん?ニャ」 『コレッタよりもヨーコちゃんの方がせくしーやねんニャ』 「こらー!葉狐ちゃん!!私的事情を入れるなー!」 クロは葉狐に軽く手で突っ込み、一方葉狐は葉狐でコ...
  • スレ10>>73-78 心のままに~in my heart~
    心のままに~in my heart~ 写真つかいの続き【参照:cauchemar】 終礼のチャイムと同時に外へ跳ぶ。 秋の晴れ間にうさぎ跳ぶ。 凪に囲まれたウサギ島。緑の雑木が美しい。 「せんせー、さよならー!パン太郎!!プリントかじらない!」 ボブショートでメガネ、真面目ちゃんを絵に描いたような小さな小さなウサギの子が、真っ赤なランドセル背中に声を響かせていた。 誰よりも早く外に出るんだとクラスメイトをすり抜けて、秋の気配を感じ取る。 山は紅葉、海は凪。大分落ち着いてきてたけど、まだまだやる気の太陽がウサギの瞳を赤く染める。 「おーい、ハル子」 木造の校舎を背にして秘密の場所にまっしぐらに跳び込もうとしたとき。 クラスの男子の声が足元から、まるでハル子の細い脚を舐めるようにじっと見つめるかのごとく聞こえてきた。 ハル子...
  • スレ8>>270-275 リオとミサコとお姉さま
    リオとミサコとお姉さま 「ミサミサ、頼みがある……。わたしを救うために聞いてくれ」 「はい!因幡先輩のためなら、番場道産子(バンバ・ミサコ)は身を粉にする覚悟です!」 きょうもまた一日の疲れを癒そうと地上の寝床へ太陽が傾き始めた頃、ウサギとウマの少女のシルエットが紅の空に浮かび上がっていた。 佳望学園の中庭にて、ウサギの風紀委員長・因幡リオは寒風に長い耳を揺らしながら、汚れの無い後輩に相談を申し立てた。 風紀委員の後輩であるウマの番場道産子、通称「ミサミサ」は、敬愛なる先輩から呼び止められると脚をそろえて背筋を伸ばし、 濁り無くも清々しくもある声で明朗活発に先輩へ返事する。肩から掛けた武道用具を入れたバッグは、彼女を凛々しく見せる立役者。 褐色の肌のミサコは風紀委員として学園の乱れを正すと共に、なぎなた部の副部長として活躍する文武両道を地で行く少女。 2m近...
  • スレ6>>234-236 要とかなめ
    要とかなめ 「ひやぁー助かった助かった」 「保健室送りがけっこう出たな……」 「あれ? ライダーは?」 「ライダーも保健室」 「まじか」  鹿と馬は、いつもと同じ静かな教室で昼食をとる。 開け放たれた窓から吹き込む風に踊るカーテン。 読書をする者。宿題に着手するもの。昼寝をする者。携帯をいじる者。 こういう何気ない時間が幸せなのかもしれないと鹿は思った。 調理実習の戦慄を乗り越えたいまだから言える。 平和だ。 「噂によると俺とおなじ名前の奴がいるらしいぜ、どっかのクラスに」 「くるすちゃん?」 「かなめだよ、来栖は苗字だから」 「おまえ、かなめって言うのか」 「ん、意外と知られてない」 「ライダーの名前知ってっか? 2ちゃんねるの管理人と同じなんだぜ」 「違うだろ、それはひろゆき。ライダーはゆきひろ」 ...
  • スレ8>>395-405 太陽とケモノ
    太陽とケモノ びっくりした。 休みの日の昼下がり、図書館帰りの昼下がり。誰も通りかからない、ウチへの近道の細い路地。 たまたますれ違った、見知らぬイヌの男子の二人組み。尻尾がちょっと触れただけなのに、怖い顔して振り向いてきた。 「尻尾ぶつけといて、謝らないわけ?」 「……ごめんなさい」 「はあ?それだけで済むわけ?」 鈍く光る牙、濁った目。小さな子が目を合わせれば、泣き出してしまいそうな面構え。 二人とも目元の傷を隠さず誇りにする姿は、精悍と言えば聞こえがよいが、結局は柄が悪い。 謝れと言うから謝ったのに、言葉は通じても話しが通じないもどかしさ。目を合わせると、余計なことになりそうなのでわざと俯く。 早く帰って借りてきた本を読みたい。出来ることなら面倒なことは避けたいけれど、逃げ出すのは『片耳ジョン』の言葉に背くんだろう。 修羅場を潜り抜け、生きる勇気を諭す彼は、本の中だけでなくとも、ぼく...
  • 耳攻め
    むう、シリアスの後に能天気な耳萌え画投下。 初めて自分のものになったカメラは、ブローニ版で、フィルムが高くて 結局数本撮ったきりで使わなくなった記憶が有るなぁ…
  • スレ2>>708 ザックス・フリーデル
    スレ2>>708 ザックス・フリーデル 708 名前: 創る名無しに見る名無し [sage] 投稿日: 2008/11/18(火) 20 57 34 ID XZgAYK9k ≫703 なんか、けっこう何も考えずに描いたのに、細部まで拾っていただいて 有り難いです。 最初に描いたラフとシンクロ率が高くて一寸ビックリ。 主人公はわざと少しオタ臭く描いたけど、文主は怒ってないかな?
  • アマガミ部『二人の時間』
    アマガミ部『二人の時間』  影が濃くなったあまがみ部の部屋の中、佐村井御琴が牙を立てて口に含む度に糖度100%の声が微かに耳に過ぎった。  履き込んだ上履きを片方脱いだ御琴は脚を伸ばして、一日付き合ったソックスで締め付けられたふくらはぎを労った。  緊張と緩和。支配と奉仕。加虐と被虐。部屋の二人の関係なんて、漢字なんかで説明はつかない。  「美味しい」  「なに?」  「ミコ。美味しい」  声の主は大場狗音。ふわふわゆるゆる高校生な彼女、大人のような狗音の囁きが、殺風景な部屋を淫靡な世界に塗り変えていた。  もし、あなたがその場に居れば心乱すかもしれない。なぜなら二人の行為はそれくらい扇動的だからだ。誰彼目を気にすることない、 小さな部屋でカチコチと古時計が鳴らすリズムだけが平常心を保って見守っていた。  本能のまま、思うまま...
  • スレ9>>6 あまがみ同好会の活動
    あまがみ同好会の活動 保健室のシロい巨塔(巨乳的な意味で)は巡回診察にでかけることがある。 部活で怪我した奴なんかを治療するためだ。 そのスキを狙って帆崎先生やサン先生は様々なイタズラを仕掛けたりして楽しむ。 が、今日はシロ先生が居ないうちに忍び込んだ保健室で、ちょっとイケないものを見た。 誰かが入って来たから隠れたカーテンを閉めたベッドから、保健室を窺うと。 猫と犬が戯れていた。 あれは確か佐村井美琴と大場狗音だ。 優等生は問題を起こさないから問題児専門みたいな役どころを任されてるザッキーは一瞬名前が出てこなかった。 ◆ 自然に毛並がそぞろ立ち、力が抜けそうになる。 佐村井美琴は全身に痺れに似た快感を感じた。 「ん、……にゃ、ああ……」 大場狗音は放さない。 後ろから美琴の腹部に手を回し、抱き留めたままスラリとした首筋に牙を埋ずめる。...
  • スレ7>>679 おとなの虎サンタ
    おとなの虎サンタ 679 名前: 創る名無しに見る名無し [sage] 投稿日: 2009/12/12(土) 01 45 00 ID lqOmSGfc #特にイベントに参加する予定はないものの、レイトンとでかいDS買ったらあらゆるも  のが手に付かなくなって、こりゃいかんと封印したら風邪引きましたですよ。 と言うことで、相変わらず流れを無視で只今クリスマスカード用に練習中の虎。これは 一寸色気出過ぎたので配れないな、と(笑) 資料にと本屋を廻ってたらめっけた「BABIES」と言う獣の子っこの写真集。たまらんです。
  • スレ6>>910 蝙蝠さんとのコミュニケーション
    蝙蝠さんとのコミュニケーション 910 名前: 創る名無しに見る名無し [sage] 投稿日: 2009/08/09(日) 03 53 46 ID 4ZPG5tRR おおお、神楽が動き始めましたね。いいなぁ、いいなぁ。  あまり設定を小出しにするもんじゃないなと反省しつつ… 西神楽(にし・かぐら)  上から長女の聖和(せいわ)、長男の悟了(ごりょう)、神楽、妹の瑞穂  (みずほ)の4にん姉弟。  バスケ部所属。小回りが利く上にシュートの精度が高く一年時から準レギュ  ラー。背が低いことがコンプレックスで、当然面白く思わない先輩等からは  そこを突かれて落ち込むことも。 でも、嫌なことは長いこと覚えていない、  リスだから。基本元気、大食い(笑) 昨日は「バットデテクタ」を入手。 夕方に外を飛ぶコウモリ達の声を聴いて みました。 ...
  • スレ7>>546 うしざわせんせいはごすろりをきたそうにこちらをみている!
    うしざわせんせいはごすろりをきたそうにこちらをみている! 546 名前: 創る名無しに見る名無し [sage] 投稿日: 2009/10/26(月) 23 05 57 ID VbVolzK2 ≫541 むう。 何か頭の中にあった学園の全体像とかなり一致度が高くてビックリ。 何となく『戦前は大きな神社だった山を買い取って学園を作った』んじゃないかと 勝手に想像してたりしてました。 547 名前: 創る名無しに見る名無し [sage] 投稿日: 2009/10/26(月) 23 27 41 ID vox+OVfm こいつぁひでぇwwwこんなに似合わん組合せ初めて見たwww 花子先生かわいいね 548 名前: 創る名無しに見る名無し [sage] 投稿日: 2009/10/26(月) 23 32 32 ID XXTohzxt 獅子宮せんせ...
  • ケモノ学校:教師一同
    ケモノ学校:教師一同 ●ケモノ学校シリーズ:絵 ●ケモノ学校シリーズ:漫画 ●ケモノ学校シリーズ:SS ●ケモノ学校シリーズ:その他 ●ケモ学カレンダー ◆初等部 ◆中等部 ◆高等部 ◆学外関係者 ◆教師一同 集合写真 白(シロ) 猫人の女性。保健医を担当。 年齢は30代で、オバサンと言った者にはオキシドール攻撃が待っている。 小さな女の子が好きで直接態度に出すことは少ないが、度々保健室に逃げ込んでくるコレッタ他、 初等部の女の子達が可愛くて仕方ない。 ある意味似ている因幡リオとライバルじみた関係がある。 サンスーシ 犬人の男性。身長が小学生並みに低く、学校一声が大きい。科目は数学を担当。 子供っぽい所があり、よく悪戯や悪巧みを思いつく。 単車を愛車にしており、バイク屋のミナによく世話...
  • スレ3>>948-953 冬の風物詩 第1話
    冬の風物詩 第1話 年が明け、新春。しかし春とはとても言い難い寒空の下、人間の少年がビニール袋を片手に歩いている。 彼の母校からは数駅離れた、人通りまばらな住宅街。袋の中身は瓶詰めの怪しげな白や黒の粉だ。 「…はぁ 失敗した」 この寒い時期に一人で遠出することになってしまった自分の無計画を悔みつつ、少年は足早に駅へと向かっていた。 うっかりしていた。 つい先日、手製のマグネシウム閃光弾のストックが切れた。 やれやれ仕方ないと製作にかかろうと思ったら、その材料まで切れていた。 そんなわけで、数年ぶりにその材料が一括で揃うホームセンターまで遠出してきたというわけだ。 もう悪ガキなんて歳じゃあるまいに閃光弾ってどうなんだ、と薄々思わないでもない。 とは言え、ストックが切れたのは紛れもなく実用し続けた結果。昔ほどではないが、需要は今で...
  • スレ5>>657 母への手紙
    母への手紙 『拝啓 天国の母さん。 そちらでは如何お過ごしでしょうか? ここはもう春も過ぎて少し汗ばむ位の陽気になりました。 不安と期待を入り混じらせながら始まった高校生活も既に一年が過ぎ、楽しく学園生活を満喫しています。 多分、母さんは俺の事が心配かと思いますが、俺は大丈夫です。 恐い顔だけど気が優しく友達想いな利里。 天真爛漫で場を明るくしてくれる朱美。 小学生の頃からの長い付き合いの二人と一緒なら、 これからどんなに辛い事や苦しい事があっても、俺は笑って乗り越えていけると思ってます。 血の繋がらない俺の事を、実の子の様に育ててくれている御堂夫婦。 少しそそっかしい所があるけど、何時もにこやかな笑顔で時には優しく時には厳しく俺に接してくれる利枝義母さん。 言葉数が少なく、感情を表に出さないけど俺の事を優しく見守り、時にはそっと手助けをし...
  • スレ6>>641 エロ海坊主
    エロ海坊主(≫635からリレー) 「うーむ、完全に挨拶するタイミングを逸してしまった」  サン先生が水際で獅子宮先生を挑発し始めた頃、美術教師水島は少し沖の海に居た。  立ち泳ぎで頭だけ出して浜を観察する姿はさながら海坊主である。  彼はサン先生率いる臨海合宿の前調査とは全く別の目的で、偶然同じ浜を訪れていた。  《夏期休暇限定、黒潮に乗って北上部》の前調査である。  水棲生物な生徒達からは通称《くろのり》で知られる恋の芽生えるチャンス多き人気の 部活だ。  だが水島が実際に泳いでみた結果、一昨年にも増して巨大クラゲが多いため、やむなく 中止を決定したところであった。  夏休みに愛しい生徒達(主に女子)に会えない事を残念に思いながら浜に向かう折、サン 先生一行を見つけた次第である。  水島が浜を見やると、サン先生が獅子宮先生に水を掛けた...
  • スレ7>>242-246 体育、いやニャ
    体育、いやニャ 「体育、いやニャ…」 ランドセルを背負ったコレッタは、呟きながら朝の学園の廊下を歩いていた。 少し毛並みを膨らませなければ、夏服はちょっとつらくなる秋の日。 廊下を吹きぬける風は、コレッタの髪とスカートを揺らす。 コレッタは体育が苦手。白い毛並みが汚れるというのも一つの理由、そして。 「また、クロやミケにからかわれるニャね」 揺れる尻尾の真上には、ボールを取り損ねたコレッタが幼馴染みのクロ、ミケから絶賛の拍手を受けるシーンが浮かんでいた。 この間はかけっこでビリになるし、逆上がりも苦手。コレッタは体育の時間は昼寝でもしたいな、と考えていた。 教室からは「おはよう」の声が飛び交い、鳥類のケモノたちが羽ばたく音さえ聞こえてくる。 だが、コレッタはそんな声を聞いても、ゆううつな心持ちを晴らすことは出来ない。 ぎゅっと両手で担いだラ...
  • 子どもたちの日々
    子どもたちの日々 旅は一人に限る。 こんな言葉を誰が言ったか知らないが、誰彼に気兼ねすることなく、自分の時間で自分の興味のあるところへ うろちょろと歩き回ることが出来るのは素晴らしい。羽を伸ばすという言葉がぴったり当てはまる一人旅は周りに人が居なければいないほど、 心地がよいものである。連れ立つ者の居ないという身軽さを言い換える言葉が見つからない。 「母さん、行ってくるから…日帰りだよ」 「リオ、何かあったら電話するんだよ。帰りは父さんが駅まで迎えに来るからね」 休みを利用して、ちょっとした旅行を企ててみた。荷物はそんなにいらない。着る物も余り気を使わなくていいかな。 普段愛用しているメタルフレームのメガネを早朝の陽に光らせながら、父の運転する車で駅に向かった。 旅の始まりはこの駅。見送りはここでいいよ、と駅入り口で別れて改札口へと歩道を鳴ら...
  • スレ6>>609- 夏の途中
    夏の途中 「ところで、なんでサンがいるのよ」 「ちょっとしたミナへのプレゼントかな…」 「いらないよ。どうせ、イタズラでも仕込んでるんでしょ?」 田舎道を走る軽トラックの窓から吹き込む風が、小さな身体のサン・スーシの毛並みを揺らす。 助手席でのんきにお菓子をぽりぽりとかじっているサンに、時々ちょっかいをだすのは大学の同級生・杉本ミナ。 ハンドルを片手に隙を見て、サンのイヌミミをちょこんと軽く爪立てると、サンは反射的に尻尾を丸める。 荷台のバイクを気にしながら、ネコの毛を風いっぱい受けてミナは、サンと同じように夏の光をガラス窓から感じる。 じっとしていることにしびれを切らしたのか、軽トラがカーブを曲がるとゆっくりとバイクは揺れて存在をアピールした。 ミナがちょっとしたバイクの旅をしている途中、相棒が急に駄々っ子をこねた。スロットルを回しても、うんとも...
  • スレ3>>426-428 えんびフライ
    スレ3 426-428 えんびフライ アキラが昨日、エビの尻尾ばかりの弁当を食べた、と、今日は愚痴ばかりこぼしていた。 何も味のしないおかずと白米では、思春期真っ只中の少年には辛いものがある、とアキラはこぼし続ける。 そんな話が職員室のごく一部で広がっている中、国語科の泊瀬谷先生は思い出したように、ポンと手を打つ。 「エビの尻尾って言えば…、昔、教科書にありましたよね。出稼ぎのお父さんが田舎に帰るときに 『エビフライを買って帰るから、ソースと油を用意しておけ』って手紙を送って…。 みんな東北の訛りで『えんびフライ』って言ってるんだっけ」 「そうそう!家族のみんなは『エビフライ』をはじめて見たから、尻尾まで食べちゃうだよね。 おばあさんがむせこんでさ、あーあ。エビフライ食べたくなっちゃったな!」 サン先生が椅子に座ったまま、ゴーっ...
  • スレ9>>36-48 若頭は12歳(幼女)外伝 隻眼の獅子編【終劇】
    若頭は12歳(幼女)外伝 隻眼の獅子編【終劇】 「ふぅ……やっと落ち付いて煙草が吸える」 あの戦いから数時間後。 すっかり日も暮れた森三一家の屋敷の、手榴弾の爆破の後も綺麗に修復された縁側にて、 縁側に腰掛けた私は夜空に瞬く星空見上げ、恐らく数日ぶりの煙草の味を満喫していた。 ……あの後は本気で大変だった。 何せ、騒ぎに気付いた警察が来る前に、返り血の付いた服を別の服に着替えた上でビルから脱出しなくてはならず。 もう大慌てで予め持ちこんでいた衣服に着替えをした上で、用意していたバッグなどに返り血の付いた服を隠し、 更に変に目立たない様に気を使いながら、それぞれ車に分乗して大急ぎでビルを後にしたのだった。 特に、私はバイクに乗ってきていた物だから、バイク置いて他の皆と一緒に帰ると言う訳にも行かず、 結局、私は全身痛い上に疲労感で潰れそうな身体へ鞭打って、バイクで帰還する事となったのだった。 ...
  • タヌキと酒
    タヌキと酒 ある夜、一匹のタヌキが空の酒瓶を前にして腕を組んでいた。 「ついに無くなってしまった……。」 神社から盗んできたお神酒の味を覚えて以来、自分で集めた木の実やら、人間から貰った食べ物やら、 はたまたお地蔵様のお供え物やら……兎にも角にも、食べられる物を手に入れてはそれを肴に酒を飲むという日を続けていたタヌキ。 しかし、そんなことを毎日していれば酒が無くなるのは当然である……が、そんな日々を当たり前に過ごしていたタヌキの頭は 『いかにして新たな酒を手に入れるか?』でいっぱいになっていた。 「また、あの神社から盗むか?……いや、数日前に通ったらタコみたいな神主が怒りでテンタクルと化していたし……  人間みたくスーパーで買おうにもお金は無いし……第一、葉っぱを使ったお金の偽造はタヌキ的にも倫理違反だし……。」 そう言いながら、近くにあった葉っぱを指で...
  • スレ7>>326-340 月夜の浜辺で~二日目の夜
    月夜の浜辺で~二日目の夜     林間学校二日目の深夜。 前日の枕投げバトルロワイヤルの疲れもあり、男子生徒たちは全員が寝静まっていた。 部屋は静まり返っている、とは言い難い大いびきが響いているのだが、それで目を覚ます者はいない。 二日目の夜は、このまま平和に朝を迎えるものと思われた。 「ぐふぅ!!」 そんな平和は突如として乱される。声を上げた彼は、哀れな被害者だった。 腹部への強烈な衝撃によって、少年は深い眠りから急激に覚醒させられてしまった。 ぼやける視界で腹に乗った異物を確認する。それはずっしりと重く、ゴツゴツと硬い質感の円錐形。 円錐の根本をたどると、大音量のいびきを立てる友人の背中に繋がっていた。 「お前………」 彼らの太く長く、そして重い尻尾は危険だ。 だからリザードマンの二人には、寝返りをうっても周囲に被害が及ばない位置まで離れてもらったはずなのだが。 その一人、竜崎利里の素...
  • スレ2>>891-896 料理の鉄人
    スレ2>>891-896 料理の鉄人 「りんごちゃん、卵ってどのタイミングで入れればいいの?」 「フライパン暖めたら一回濡れ布巾で冷やしてみて。それから入れるといいよ。」 「おいりんご!スパゲッティの鍋が吹きこぼれそうだ!」 「それは火を弱火にしてから…」 昼前の暖かさと寒さが入り混じる時間帯。 家庭科室では調理実習が行われ、大勢の生徒があわただしく動いていた。 人と炎と刃とが入り混じるその様は、フランス7月革命を思わせる。 その中でも迷える民衆を栄光の自由へと導くりんごのその姿は、マリアンヌさながらである。 ちなみに料理はミートソーススパゲティとオムレツである。 悠里と翔子がそれぞれ卵とひき肉を炒めながら話す。 「すごい人気ねぇ、りんごちゃん。やっぱり料理上手いのかしら。」 「ああ、りんごの家レストランやってるからな。小学...
  • スレ4>>382-384 逆襲のサン
    逆襲のサン 獅子宮先生のちょっとしたイタズラから始まったブームで、校長教頭に弱みを握られ、 将棋に付き合わされたり洗車させられたり踏んだり蹴ったりのサン先生。 ケモ学のトリックスター・サンスーシがイタズラの借りをイタズラで返すのは至極当然の事であった。 図書館に入ったサン先生は真っ先にカウンターへ向かった。ぴょんぴょん、と跳ねてみるが、 カウンターが高くて全然織田さんに気付いて貰えない。 図書委員の三人中一番デカい象の子を呼び、鼻を借りる。 豆の木を昇るマリオの如く鼻をよじ登り、織田さんに声をかけた。 「織田さん!お願いしたもの持って来てくれた?」 「あら、サン先生。ちゃんと持ってきましたよ」 「ありがとう!それじゃあしばらくお借りするね」 サン先生は織田さんから、何かが入った封筒と本のようなものを受け取った。 「ふふ、楽し...
  • スレ2>>603-605  祭りの日
    スレ2>>603-605  祭りの日 学園祭初日は大忙し。 サン先生の上映会での挨拶にお付き合いしたのちに、クラスの喫茶店に舞い戻るという スケジュールをこなし、クラスもとい喫茶店に帰ってきた泊瀬谷先生は、生徒たちがたくさん入っているのを目の当たりにする。 「泊瀬谷先生ー。お客さんですよ」 実行委員の犬飼さんもばたばたとスカートを翻しながら接客に張り切り、一晩で現れた小さなお店を切り盛りする。その姿は、もはやプロ。 学校一堂を会して行われるこの学園祭では、初等・中等・高等部全ての生徒が祭りを盛り上げようと、お互い刺激しあう。 「まさか、牛沢先生のとこもやってるとはねえ」 犬飼さんの予想を上回る牛沢先生の行動に尻尾、いや舌を巻くばかりだ。さて、お仕事お仕事と、ぐっと手を握り締める。 「い、いらっしゃませ!」 「えっと、ミルクティをひとつッス」 ...
  • スレ4>>396-411 昔話 ~小さな体の深い歴史~
    昔話 ~小さな体の深い歴史~ 「小さい生徒が真似をして怪我でもしたらどうするおつもりですか!  生徒の安全を守ってこその教師でしょうに。あなたは教師としての自覚が足りません!」 「はい…はい…まったくもってその通りでございます…」 夜の職員室に、英語教師、英のよく透る声が響き渡る。声を一身に浴びているのは正座で俯く数学教師、サン。 いつもの陽気はどこへやら、今の彼は雨にうたれる子犬のよう。 よくある光景ではあるけれど、今日は特に長引いているようだ。 もう職員室に残っているのはその二人と、資料整理に追われる泊瀬谷教師だけだった。 「聞いているんですか!ですからあなたは!」 「はい…身につまされるお話でございます…」 「お…お先に失礼しまぁす…」 さすがにいたたまれなくなったのか、片付けもそこそこに泊瀬谷教師が逃げるように職員室から...
  • スレ8>>174-175 ヒカルとチョコレート
    ヒカルとチョコレート 「おい、因幡。調理実習なら、家庭科教室でやれ」 「ここは、はづきちのご慈悲で!だって、家庭科教室で一人寂しくチョコレート作ってたら、なんだか冷たい如月の荒波が立つ 凍てつく海に放り出されたみたいでハートが折れそうなんですよ!うおー!混ざれー!混ざりやがれー!」 料理と実験は似た者同士。そんな言い訳をして、ウサギの因幡リオはボールの中で融けたチョコレートをがむしゃらにかくはんする。 冷蔵庫に、水道、レンジ。とかく機材が揃っているからと、昼休みを使って化学準備室でリオは、 にんじんのプリントが施されたエプロンをぎゅっと締めて、女の子フルスロットル。ただ、リミッターを付け忘れたのか、少々騒がしい。 ロップイヤーのウサギの跳月先生は、リオにこの部屋を貸したことを少し後悔していた。 「犬上。うるさかったら、因幡に文句言ってもいいんだぞ」 ...
  • はせやんと黒ストッキング
    はせやんと黒ストッキング  「それじゃ……黒ストッキング」  「片足脱いだ靴」  「つま先、丸め込む!」  「うーん。なら、ウチらの制服」  「ミコ。それ、反則だよお。かわい過ぎるし」  「あらクーったら、もうお手上げ?いくよ。突然の雨!」  外を眺めて教室のベランダで風にあたりながら、佐村井美琴が品やかな指を頬から顎にかけて滑らせる。 こうすると、もくもくと言葉が浮かぶという。隣で美琴の妄想にあやかろうと、大場狗音が美琴の頬を指でなぞっていた。  手すりに掴まり揃って下界を覗き込むと、まるで背中に羽根が生えて空を飛んでいるような気分。  「いくよ、ミコ。雨上がりの足の裏」  「……えっと」  「『くんくんしてみる?恥ずかしいけど、いいよ』っていう、セリフ」  「……うーん」  「ミコ。わたしの勝ちかな?はせやんはわたしの...
  • スレ>>836-838 いつもの昼休み
    いつもの昼休み 「えい、この、くそっ! あ! ああっ、またこれか! クソ、ピヨるなって…って、ちょ、やめやめやめあぁぁぁぁぁぁ!」 秋風も心地よい、ある晴れた日の昼休み、 学校の校舎の屋上の一角で男が一人、端から見れば意味不明な叫びを上げていた。 その彼が手にしている携帯ゲーム機の画面には、 無様なポーズで地に倒れ伏したごてごてとした装備の男と、【力尽きました】とのメッセージが表示されていた。 「おい、さっきから何一人で騒いでるんだよ……見てるこっちからすると馬鹿みたいに見えるぜ?」 「いやな、またティガにハメられちまってよー……これで三度目だ、同じパターンで乙るの…… うー、これクリアしないとランクが上がらないってのにー、悔しいなー……」 その横でヤキソバパンを齧っていた同級生が、彼の方へ顔を向け半眼混じりに問い掛ける。 その問い...
  • スレ10>>119-121 Break Out ~月の灯~
    Break Out ~月の灯~ はじめに言っておきます。 ここからわたしがお話しすることは、いわゆる『夢オチ』です。 しかし、夢だからこそ広がる世界があると思うのです。 因幡リオという現実と空想の狭間を思い違う愚か者がいるということをお許しください。     # きょうも新しい夜が来た。カーテンを開けると雲ひとつない夜空が広がり、雪の季節には珍しく清々しい。 時計の針は7時を差し、慌しく準備をする両親の生活音が下の階から聞こえる。 まだ眠い目を擦りつつ、パジャマを脱ぐ。 スカートを履き、脇腹のクリップを止めてジッパーをじりりと上げると、ちょこんとわたしの短い尻尾がスリットから取り残された。 後ろ手で尻尾のクリップを探りながら、きょう一日のことを考える。いつものことだが、癖になっている事実。 「きょうは定例委員会かあ。やだなあ……部費の...
  • スレ7>>477-485 佳望甘味連合
    佳望甘味連合  それは、まさしく「箱」だった。  ワゴンの上には、一辺が50センチはあろうかという立方体が乗っていた。 表面はチョコレートでコーティングされているのか真っ黒で、店内の明かりを鈍く反射している。 「お待たせ致しました。こちらが連峰特製『パンドラ』でございます」  猫のウェイトレスは苦労してそれをテーブルへ載せると、そそくさとカウンターへと戻っていった。 日曜日であるためか、店内はそこそこの人で賑わっている。 「これが……噂の新作のパンドラ……。すごい威圧感だわ……」  テーブル席に座っている朱美が呟く。 今まで幾度も連峰のスイーツマウンテンシリーズを攻略してきた朱美だったが、さすがにこのケーキには圧倒されたようだ。 「さすがにこれを一人で食べるのは、俺にゃあ無理だな」  そう言うのは朱美の隣に腰掛けている卓、ではなく、張本丈であった...
  • スレ5>>725-745 リオレウス利里の災難・後
    リオレウス利里の災難 中編 「―――ぉぃ……おい、おきろって。起きろよ利里」 「……う……?」 あれからどれくらい時間が経ったのだろうか? 俺は誰かに揺り動かされた事で目が覚めた。 視線を動かし辺りを確認してみると、少女は俺より少し離れた場所で身体からぴすぴすと煙を上げて気絶しており、 それで用は終わったとこの場から立ち去ったのか、獅子宮先生の姿はこの場には無かった。 校舎につけられた時計を見やると、時間は昼休みが終わる十分ほど前だった。 「利里、大丈夫か?」 「……お、卓かー?」 声の方に目を向けると、俺を揺り起こした人は先ほど保健室送りにされたはずの卓だった。 しかし、今の卓は如何言う訳か、頭から水をぶっ掛けられた様にずぶ濡れだった。 「卓ー、怪我は大丈夫だったのかー?」 「当たり前だろ? 利里。マンション...
  • スレ8>>370-377 そらのひかり 泊瀬谷のほし
    そらのひかり 泊瀬谷のほし 佳望学園・天文部部室。 屋上へと通じる階段から脇に外れた最上階の一室。六畳ほどの限られたスペースだが、多くは無い部員のためなら申し分ない広さ。 ただ、スチール製の棚に木製のテーブルが面積の半分を占めて、外の風の香りもせず、どこ誰が見ても『文化系』の部室を印象だった。 卒業生たちが残していった財産を積み重ねると、後輩たちへの期待へと変わる。財産は揺るぎの無い彼らの誇り。 ものがあふれかえることに幸せを感じることが出来る者なら、この空間は非常に心地よい。 しかし、この日に限って部室のスペースを占めている『もの』は、ちょっと困ったものだった。 「芹沢くん、お願い」 「……だって」 「わたしもちょっと……」 ヒツジの女子生徒が目を細めて、天文部の扉を開いて覗き込む。 イヌの男子生徒も同じく目を細めて、天文部の扉を開いて覗...
  • スレ2>>909-912 正義の鎌田
    スレ2>>909-912 正義の鎌田 学園祭初日。 無事一回目のショーが終わった時、僕は芯まで冷えきっていた。 ヒーローは常に他がために命を張らねばならない。 子供達を楽しませるためには丹前を脱ぎ捨て、秋風の無慈悲な熱量に凍死の危機を背負った我が身を曝さねばならない。 だが僕はやる。やらねばならぬ。 「ひゃっはっはっ、笑われてたなライダー」 僕に気安く話かけるこの男は塚本。 よせばいいのに、わざわざ鹿と徒党を組んでいる奇特な馬男だ。いつの間にか僕も徒党に入っているらしいが。 「やあ塚本、見てくれたの?」 「ったりめぇだ。ライダーのヒーローショーなんて超しっくりくるもん見逃さねぇよ」 ヒーローショーがしっくりくる……なんて良いこと言ってくれるんだ。 「塚本!君は本当にハルウララみたいな男だ!」 「はぁ?うわ、いててて!止めろ抱き付くな...
  • スレ4>>231-234 我が家の新年恒例行事・第1話
    我が家の新年恒例行事・第1話 クリスマスが過ぎて冬休みに突入し、年末も近くなってくると、帰省の時期がやってくる。 猪田家もやはり年末は地方で過ごすらしく、駅のホームに停車している夜行列車へと、4人で歩いている。 いや、娘はピンク色の可愛らしいリュックサックを背負って、走り出していた。 「お母さん、早く早く!」 「発射まで時間があるし、急ぐ必要は無いわよ。それに駅のホームで走っちゃ危ないでしょう」 「志穂、急いだって電車の出る時間は変わらないよ。指定席も取ってるんだから大人しくしなさい」 その後ろを、息子の悠の手を引いて奥さんが歩き、一家の大黒柱であるいのりんは、 3人分の着替えと、お土産が入った、大きな旅行鞄を引いて歩いている。 はしゃぎながら駅のホームを走っていた志穂は、両親に注意されて、ようやく走るのをやめた。 それでも、列車の旅に心を...
  • スレ7>>844 コレッタ、木に登る
    コレッタ、木に登る 白い子ネコが銀杏の木からずり落ちた。金色の髪の毛が滝のよう流れ、子ネコの顔に降りかかる。 「あいったたた!うにゅう……もうすこしだったニャ」 「やーい、コレッタやーい!にゃ」 初等部のコレッタはしりもちをついて、捲れたスカートを押さえながら、目に薄っすらと涙を浮かべた。 木の幹にしがみついていたコレッタは、腰の辺りの高さから落ちたのだが、痛さよりも悔しさの方が強い。 「もう!クロったら、突然帰りに木に登るって言うんだからニャ!」 「悔しかったら、登ってきなさーい!にゃ」 枝の上ではコレッタと同じ初等部のクロが、両手一杯にこぶしを振り上げるコレッタを見下ろしてケラケラと笑い、 コレッタはコレッタで悔しかったのか、銀杏を揺らそうと大きな幹に抱きつき揺さぶる。しかし、所詮はぬかに釘。 足をぶらつかせているクロは、眼下に広がる佳望の街の眺めを堪能しながら、白...
  • スレ8>>353-359 E判定クラブ
    E判定クラブ 春風に誘われて桜が香ってきそうな、そんなあたたかな日和。 午後の授業も半ばを過ぎた四時に登校してきた不良が居た。 ガラガラ、と教室の後ろ側の戸があき、 息を切らせた褐色の馬が黒いタテガミをワサつかせて闖入してきたかと思うと、 誰に聞かせるでもなく一言。 「イヤーまいったまいった。もう春休み終わってたんだな!誰か教えろや! 普通に何日かスルーしちまったじゃねーか」 その嘶きは、不良というより、何処かの馬の骨。塚本である。 教室中がざわざわクスクス。 焦って登校してきたらしいが。ならば何故四時。 会議などであえて進行を遅らせる能動的ストのような行いを牛歩戦術などというが、 馬も場合によっては結構遅いようで。 そんなちょっぴり問題児風味の生徒の相手も、帆崎先生はお手ものだ。 「どうどう、落ち着け塚本。とりあえ...
  • スレ2>>734-741 赤眼の狼と濡羽色の鴉 第1話
    スレ2>>734-741 赤眼の狼と濡羽色の鴉 第1話 雲一つない綺麗な空。綺麗だとは思うけど、あまり好きではない。 何故だかは分からないが、雨の日のほうが好きだ。 それを人に言ったらおかしいと思われてしまったが。 「雨、降るといいんだが…」 今日の降水確率は0。振るわけがないか。 それよりも、休みの間に大量に出された宿題と、試験のために勉強をしなくては。 高杉の件もあるし、月曜に備えておこう。 山のように出された宿題に手をつけようとしたと同時に、玄関のチャイムが鳴らされた。 来客か。面倒くさいから早めに済ませよう。宗教の勧誘とかだったら即刻扉閉めてやる。 「何だ、花音か。何の用だ?用が無いならすぐに帰ってくれ」 「あら、不機嫌ね。でも、そんな事言っていいのかなー?折角忘れ物を届けに来てあげたのに。」 そう言って、花...
  • スレ3>>488-493 そよ風の誘惑
    そよ風の誘惑 「ヒカルくん、だっけ」 ぼくの隣でハンドルを握るシロネコのお姉さんが、助手席で居心地が悪そうなぼくに話しかける。 お姉さんはガタガタと揺れるギアを片手に、ぼくらの学校への坂道を駆け上る小さな軽トラックをまるで、 魔法使いのように手に取り操り、校門へと軽トラックを進める。彼女は、ぼくが今までに会ったことのない女性だ。 ネコミミが付いたコットンの帽子、そこから美しい滝のように襟首まで流れ落ちる金色の短い髪は、 オトナの雰囲気を醸し出し、ダウンベストにハーフパンツという活動的ないでたちは、 怖いものを知らない巣立ち前の若者のようにも見える。 「ねえ、サンは元気?」 「サン…、さん?」 「サン・スーシ。ここで数学の先生してるんだよね、確か」 ぼくらの学校ではちょっとした有名人のサン先生、隣に座る女性は彼の名を親しげに呼ぶ...
  • スレ2>>711-718 FORMAT:2章
    スレ2>>711-718 FORMAT:2章 太陽が真上まで昇っている。 もう昼だ。 なかなか陸が見えてこないこと、 そして結局朝飯抜きになって極限の空腹状態に陥っていることもあって、 俺はかなり険しい顔をしていたことだろう。 シンディはというと、鼻歌なんか歌いながら遠くを眺めていたりしていた。 話は既にあらかた聴いた後だったから、もう彼女に用はないが、 何というか、船の上という狭い空間に二人しかいなくて、一人がこうして懸命に働いているのに もう一人が遊んでいるのを見たら誰だってムカつくだろ?画的にも。 とはいえ船の運転は彼女はできないし、特にやってほしいことなんて無かった。 ぶつけようの無いこの苛立ちのまま、俺はただひたすら船を陸にまで持っていく「作業」に専念するしかなかった。 吹雪が突然ピタリと止んだワケ、それは崩壊の影響によるもの...
  • 避難所>>495-499 そよ風の憧れ
    そよ風の憧れ 「助けてっス!!!ボクの人生最大の危機を助けて欲しいッス!!」 いつもは静かなそよ風吹き抜ける午後の佳望学園の図書室で、けたたましい悲鳴がいきなり広がった。 声の主は保健委員。ケモノの尻尾をふりふりと、ケモノの脚をぶらぶらと、そしてパニくるこえはぎゃあぎゃあと。 他でもない。ちょっと高めの本棚の一番上の本を取ろうとしていただけのことだ。しかし、無理してジャンプしたのがいけなかったのか、 片手を棚に引っ掛けて地上50cmの宙ぶらりん。いつも被っている海賊の帽子もこのときばかりは勇ましさも感じられなかった。 保険委員の声を察知してか、白くて大きな尻尾を揺らしながらやってきたのはイヌの少年・犬上ヒカル。 ついインクの香りに誘われて小説もいいけどエッセイも、と思いながら背表紙の文字だけで今日借りる本を選りすぐっていたところ、 この部屋に似つかわぬ声を耳にした。...
  • スレ2>>734-744 三話:死を告げる漆黒の羽
    「雨、降るといいんだが…」 今日の降水確率は0。振るわけがないか。 それよりも、休みの間に大量に出された宿題と、試験のために勉強をしなくては。 高杉の件もあるし、月曜に備えておこう。 山のように出された宿題に手をつけようとしたと同時に、玄関のチャイムが鳴らされた。 来客か。面倒くさいから早めに済ませよう。宗教の勧誘とかだったら即刻扉閉めてやる。 「何だ、花音か。何の用だ?用が無いならすぐに帰ってくれ」 「あら、不機嫌ね。でも、そんな事言っていいのかなー?折角忘れ物を届けに来てあげたのに。」 そう言って、花音が懐から取り出したのは、携帯電話。 …あれ、何故俺の携帯を持っている。昨日学校に忘れてたか。 「すまないな。…勝手に中身を見たりしてないよな。」 「さあ、どうだろうね。それじゃ、用はそれだけだか...
  • スレ2>>675-683 FORMAT:序章
    スレ2>>675-683 FORMAT:序章 俺は夢を見ているのだろうか それとも君の夢の中にいるのが俺なのだろうか 『夢幻』に広がるアクションRPG 結末(こたえ)を探すのは、貴方― "-Trace of the Dream-" ○月×日発売予定!乞うご期待!! ――へぇ。面白そうだなぁ。今ふところ温かいし、買ってみようかなぁ。 目覚まし時計がやかましく鳴る。 腕を伸ばしてスイッチを押し、重いまぶたを開き、ゆっくりと起き上がる。 カーテンの隙間から光が漏れている。 朝の到来だ。 窓を開けると雪が積もっている。 庭も、屋根も、道路も、そして吐く息も真っ白だ。 スキーウェアみたいな防寒着を着た小さな子が、塀に積もった雪を掴んで投げながら歩いている。 ……が、いつもの光景だ。 ...
  • スレ8>>54-63 小さな旅館で
    小さな旅館で ぱたり、ぱたり。尻尾が揺れる。 ガラガラと、木製の引き戸はゆっくりと開かれて… ぱたん。 尻尾は力なく地に垂れた。 凍える風が柔らかな毛並みも強張らせる、そんな季節。 佳望学園の教師達は、とある旅館に慰安旅行にやってきていた。 日々苦労をかけている教師達のために校長自ら企画した、一泊二日の慰安旅行。 実は校長、趣味の盆栽コンテストのどこぞの大会で優勝したらしい。絶好調な校長が、あれよあれよという間に企画した突発旅行だ。 基本的な仕事はほとんど、しっかりものの八木教頭がこなしてくれる。故に彼はこういう行動は早いのだ。 個人の負担は格安。旅費の大部分はその賞金から出ているという話だ。実際の賞金がどの程度だったかは定かではないのだが… 細かいことはいいのだ。なんにせよ、校長は非常に上機嫌だった。 校長の知り合いが勤めている...
  • スレ7>>749-754 ふたりの宛名
    ふたりの宛名 張本丈の靴箱に、手裏剣が刺さっていた。 それだけではなく、淡くも甘い香りの封筒が手裏剣で張本の靴箱に止められていた。 「……ったく」 猫背を気にしながらオオカミの張本は、手裏剣を抜くと封筒の中身を取り出してその場で読み出した。 手裏剣の刃で便箋の端が破れて、はらりと張本の足元に落ちたことも知らずに。 ―――佳望学園・初等部の教室では、女子たちに囲まれてぽっぽと身体を熱くしているヤツがいた。 彼の身体はごっついが、極めて従順な性格であり、またすぐに紅くなるという表情に出やすい性格だった。 女子からの人気はいちばんで、しかも男子からの嫉妬を焼くことは一切無い、完璧超人なヤツであった。 「ふー。休み時間はこうしてるのがいちばんニャ」 教室の『人気者の彼』にかじかんだ手を当てて、束の間の5分休みのパラダイス。 ネコのコレッタの白い毛並...
  • スレ4>>606-637 Blue sky ~二筋の入道雲がやってきた~ "前編"
    Blue sky ~二筋の入道雲がやってきた~ "前編" 「たーのもー!」 とうとつに戸の向こうから響いた声に、 俺と白頭は思わず議論を中断し、声の方へ振り向いた。 我が飛行機同好会の部室兼作業小屋、 何時もの通り、俺と白頭が新入生の勧誘方針の事について言い合いしていた時の事である。 お互いに無言で顔を見合わせた後、俺は白頭に「お前が応対しろよ」と目配せをする。 しかし、彼女から帰ってきたのは「嫌よ。アンタが行きなさい」と言う目配せ一つ。 そのまま暫く無言で睨み合った後、先に折れたのは俺の方であった。 「はいはい、どなたですか……?」 かなり面倒臭い気分を感じつつ、席を立った俺は戸の前に立つ。 ここ、部室兼作業小屋を使い始めてから、時折、こう言う風な客がやって来る事がある。 ……そう、何...
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