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幕間劇『パルティータ』 - (2010/10/18 (月) 21:24:12) のソース
**幕間劇『パルティータ』 ◆2RguXBg.P2 座標H-4に存在するテレビ局。 そこに我が物顔で侵入するシルクハットとタキシードの男1人。 男の名は杳馬――天魁星メフィストフェレスの杳馬。 彼はこの場所をDr.テンマとの待ち合わせ場所とされたが、それも12時間ほど後のことである。 と言っても、彼は長い待ち時間を健気に待つ乙女ではない。 彼が生まれたのは1700年代の日本、徳川泰平の世のことである。 『目覚めよ、魔星よ』 遠く離れたギリシャ、アテナとハーデスの戦いの駒として彼は魔星に選ばれ、その呼びかけに応えた。 そして魔星の力を手にした彼は、同じ剣術道場にいた者を、師範や弟子、先輩後輩といった区分が馬鹿らしくなるくらい、ズタズタにゴチャ混ぜに斬り裂いたのだった。 ――――話を戻そう。要するに、杳馬はテレビを知らない。彼はテレビが発明される1800年代より昔の人物である。 この施設が何のためのものなのか、把握しておく必要があった。 そして電源が落ちたスタジオにあった小道具やセット、撮影器具を見て彼は本能的に、あるいは小宇宙で感じ取った。 ――これは俺のためにあるようなモンじゃねェか。 仕組みはわからないが、最初のルール説明で流れたような映像を作り、流す設備のようだ。 自分が狂わせた人間や聖闘士の人生を劇やダンスに喩える彼。それを幻覚能力の範囲内だけでなく大々的に映し出せるのだ。 人々はそれを見て何を感じるか。義憤か? 悲哀か? 歓喜か? それとも単なる娯楽か? ――考えただけでもいいマーブルだ。 もしかしたらこの実験の様子もどこかで放送されているのかもしれない。少なくとも主催者という視聴者がいる。 「でも折角なら生で見たいよなァ?」 ここではいくらでも直接、ぐるぐる回るマーブルをプロデュース出来るのだから。 杳馬自身が持つ、対象を遠くから眺める能力が制限されているのが残念で仕方がない、という程度。 ――まあ扱いが分かんねェし役者もいないんじゃしょうがねェよなァ。 所内地図をちらりと見るとひらり、ひらりとテロ防止のため複雑化されたテレビ局内を杳馬は迷わず翔ぶ。 そしてひとつのスタジオに辿り着いた。 そのスタジオが特別であるのは地図に印が付いていたのと、唯一明かりが付いていたのを見れば明らかだ。 更に扉には貼り紙がある。 『特設スタジオへようこそ! ここは自動化された設備により、お一人でも自分の思い通りの放送を作る事が出来ます。 受信エリアは会場全域から選ばれた多数エリア! 受信機がない場所でも投影装置があなたの放送を伝えます。 ただしまことに申し訳ありませんが、放送エリアや伝えたい相手の指定は出来ません。 とにかく誰かに伝えたい! このスタジオはそんな想いを全力で応援するものです』 「想い、か! んはっ、よく言ったもんだぜ! 白も黒もあったもんじゃない!」 杳馬は興味をなくしたようにスタジオ近くの部屋の窓を破り街へと飛び出した。 杳馬の持つ情報はあまりにも少なかった。 放送の中身――情報は吟味しなければならない。 たとえば嘘でテンマが要注意人物だと喧伝したところで、実際に彼の眼を見たらその考えを改めてしまうだろう。 親の贔屓目とは思わないが、それが真っ直ぐに駆ける天馬星座であるテンマの性質だ。 だが、今まで出会ったのはDr.テンマだけで、知り合いもテンマとパンドラくらいだ。 またそれを大々的に伝える趣味もない――新たなマーブルを生み出すなら別として。 何より、地図でテレビ局を確認できるため、参加者が集まる要因を作ってしまう。 それは争いの種でもあるが、逆に大きな集団を作る切っ掛けでもある。 団体行動大いに結構。しかし、それはまず情報を集め闇の一滴を仕込んでからだ。 ――それにしても、この主催者も意地が悪い。もう一度会いたいくらいに。 「ま、そのうち嫌でも一緒にぐるぐる回る羽目になるさね!」 支給品にあったフクロウのストラップをいつもの懐中時計替わりに手癖で回す。 「くっくっく、せいぜい俺の悪知恵を助けてくれよ、パルティータちゃん!」 フクロウのマスコットに軽くキスをして、胸ポケットにしまいこんだ。 【H-4/テレビ局周辺/深夜】 【杳馬@聖闘士星矢 冥王神話】 [属性]:悪(Set) [状態]:健康 [装備]: [道具]:基本支給品、フクロウのストラップ@現実 [思考・状況] 基本行動方針:殺し合いというマーブル模様の渦が作り出すサプライズを見たい! 1:面白そうなやつがいれば「闇の一滴」を植えつける。 2:Dr.テンマが執着するヨハンに会ってみたい。 3:会場のマーブルが濃くなったら、面白そうな奴に特別スタジオの存在を伝える。 ※フクロウのストラップ@現実 「知恵」を司る鳥のお守り。可愛い。 杳馬の小宇宙に満たされているので、銃弾を弾くくらいは出来るかもしれない。 ただ、普通の人が持つと気分が悪くなるかも…… *時系列順で読む Back:[[金田一少年の冒険]] Next:[[Hurting Heart]] *投下順で読む Back:[[金田一少年の冒険]] Next:[[あなたって本当に最低の悪魔(メフィスト)だわ]] |[[馬物語]]|杳馬|[[混沌の落とし子たちに捧ぐ僕からの鎮魂歌]]| ----