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歪みは筋肉に記憶される - (2015/10/17 (土) 13:25:19) の1つ前との変更点

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累積:&counter()___ 昨日:&counter(yesterday) ___今日:&counter(today) ------ &size(24){&color(green){歪みは筋肉に記憶される}} ---- 体は自然、臨床は対話 【1】体は自然 [1] 「体は自然」が基本 (4) 歪みは筋肉に記憶される #contents *1.はじめに  (2)で書いたように、鍼灸の名人でもあった操体の橋本先生は、「気 持ち悪いことをすると体が歪む」のが病の出発点とされています。今 回は、その体の歪みというのは、具体的にどういうことか。どういう ことが体のどの部分におこっているのかを考えていきます。 *2.体が歪むのは、筋肉の機能性病変  体が歪むというのは、どういうことでしょう。  患者さんがじっとしたり動いたりしたのを目で見たり、感想を聞い たりして、歪みを見つけていきますね。見た目に左右差があったり、 ほかの人との差が大きかったり、動きにぎこちなさがあったりすると、 歪んでいるなと思います。  そして、うまくいけば、鍼灸などをしたあとには、左右差やほかの 人との差や動きのぎこちなさが少なくなっています。このとき、患者 さんの体には、どういう変化がおきているのでしょう。どこが変わっ たのでしょう。  私は、筋肉が変化したのだと考えています。ヒトは、体の筋肉を伸 ばしたり縮めたりして動いています。骨や皮膚は筋肉に引っ張られて 動いているだけで、骨や皮膚が単独で動くことはありません。  ある特定の動作をするときに、ある特定の筋肉が基本的に縮みます。 その動作を止めれば縮んでいた筋肉は伸びます。  そして、同じ動作をしつづけると同じ筋肉が縮みつづけます。それ が長いあいだに繰り返されると、その動作を止めても伸びることがで きない部分が筋肉のなかにできます。それがシコリです。  そして、その縮んだままのシコリになった状態が続くと、今度は筋 肉は伸びきって、縮む必要のあるときにも縮めない状態になります。  このことは、生理学において、カエルの筋肉を使って実験され確か められていることだそうです。つまり、 (1)筋肉に負荷をかけると筋肉は縮み、負荷を取りさると筋肉はゆ    るんで伸び、もとの長さにもどる。(正常) (2)筋肉に負荷をかけつづけると、ある限度を超えたところで、負    荷を取りさっても筋肉は縮んだまま、短い状態のままになる。    (過緊張) (3)(2)の段階の筋肉に負荷をかけつづけると、ある限度をこえ    たところで、筋肉はもとの長さよりも長い状態に伸びきってし    まう。(過弛緩) (4)(3)の状態の筋肉から一度負荷を取りさったあとに、再度負    荷をかけても筋肉は縮むことはない。  また、生理学的に、ヒトの体のなかにある組織で、興奮性のもの、 つまり、比較的短時間で変化する組織は、三つだけ、筋肉のほかには、 神経と腺だそうです。このなかで、長さが変わるものは筋肉だけです。  つまり、体が動くというというような短い時間で変化する組織のな かで、長さが変わるもの、治療する時間(比較的短い時間です)のな かで変化して動きがスムーズになったりするのに関係するのは筋肉だ けなんだなぁと思いました。  そうです。鍼灸などをして、歪みが少なくなったり、動作がスムー ズになるのは、鍼灸などをすることで、筋肉の縮んだままや伸びきっ たままの状態が改善されるからなんだなと思います。  話をもどすと、体のなかに筋肉が伸びない部分や縮めない部分がで きるから、ヒトの体は歪んで見えるわけですし、動作がぎこちなくな るわけです。  たとえば、伸びない部分や縮めない部分が左右で違えば、左右の歪 みとして見えるでしょう。伸びない部分を伸ばそう、縮めない部分を 縮めようとする動作をすれば、その動作はぎこちなく見えるでしょう。 *3.ツボと筋肉の機能性病変  一般的に、縮んだまま伸びなくなった状態を「実のコり」とよび、 伸びきって縮めなくなった部分を「虚のコり」とよびます。  そして、いわゆるツボというのは、皮膚に近いところが虚、つまり、 筋肉が伸びきったままの状態(過弛緩)、奥のほうが実、つまり、筋 肉が縮んだままの状態(過緊張)になっています。  また、できたての新しいツボは、ふにゃふにゃした過弛緩の部分が すくなく、比較的浅い部分に柔らかめの過緊張部分があるという形を していることが多いです。  それにくらべて、できてから時間がたった古いツボは、ふにゃふにゃ した過弛緩の部分がおおく、ずーっと奥まで過弛緩の部分がつづき、 その底にとても硬い過緊張のシコりがあるという形をしています。ま た、古いツボの表面は目で見てわかるほどヘコんでいることが多いで す。 &ref(ksf-tubo-no-katachi.jpg)図1  そして、そういうツボができて、体が歪んでいくと、動作がしづら くなりますので、そのまま生活して活動を続けていくと、動作に無理 が生まれます。そのため、シコりのなかった筋肉にも、正常の状態よ りも余分に負担がかかります。  そうすると、それまで正常だった筋肉にもシコリができていきます。 そうして、歪みがますますひどくなり、ツボは増えていきます。  もちろん、この過緊張や過弛緩は、一時的機能的なものであって、 永続的器質的なものではありません。ですから、鍼灸などをすると自 在に伸びたり縮んだりする正常な状態に戻るわけです。  ただ、お年寄りなどの古いツボが変わりにくいのは、一時的機能的 なものも長く同じ状態が続くと、だんだん永続的器質的なものに近づ いていくせいかなと思っています。 *4.筋肉の機能性病変が映像にできたら  ところで、レントゲン検査(X線撮影)には、筋肉は写りません。  筋肉の三つの状態、つまり、正常に伸び縮みする状態、縮んだまま 伸びなくなった状態(過緊張)、伸びきって縮めなくなった状態(過 弛緩)を、筋肉を切らずに、レントゲンのようにさわらずに調べられ、 写真やビデオに見れるような仕組みを作れないものかなと考えていま す。  そうすれば、鍼灸をはじめ指圧按摩や操体などの治療の根拠を発見 していけると思います。 *5.心の緊張も筋肉の機能性病変をおこす  また、心にストレスがかかった場合にも体を緊張させて耐えますね。  たとえば、肩を上げ、手をにぎりしめます。そのときには、たいて い足の指もにぎりしめて、つまり、足裏のほうに曲げています。  その状態が長く続けば、心の緊張も筋肉のなかにシコりを作ってい きます。心の緊張は脳に記憶されるだけでなく、筋肉にも記憶される といってもよいかなと思うほどです。  逆に、心の緊張する姿勢にかかわるツボを緩めていけば、心の緊張 をほぐすことも可能です。ヒトは肩を下げ手足の指をふんわりと開い た状態で心を緊張させることはできないからです。 *6.おわりに  いろいろ書いてきましたがまとめると、ある特定の動作をしつづけ ると、ある特定の筋肉が縮んだままの状態や伸びきったままの状態に なります。  それが体が歪むということであり、そういう伸び縮みができない状 態になった筋肉の部分をツボとよぶということです。  この筋肉の機能性病変という考え方は、加茂整形外科の加茂淳先生 の『トリガーポイントブロックで腰痛は治る!』(風雲舎)にも、く わしく書かれています。一読をおすすめします。    >>>つぎへ>>>[[横輪切りの原則]] -----    >>>目次へ・・・・・・・・・[[体は自然、臨床は対話]]    >>>このページのトップヘ・・[[歪みは筋肉に記憶される]]    >>>術伝HPトップへ ・・・・[[トップページ]] ----- 術伝HP内検索:上の@wikiメニューの「wiki内検索」 ----- ----- *お知らせとお願い **術伝流鍼灸操体講座で患者さん役を募集  術伝流鍼灸操体講座は、実践面を重視しています。実際に症状が出て いる方の治療を見たほうが勉強になります。そこで、講座で患者さん役 をしてくださる方を募集しています。  くわしくは、[[術伝流のモデル]]をみてください。  よろしくお願いします。 **感想など  感想などありましたら、[[「術伝」掲示板>http://jutsuden.bbs.fc2.com/]]に書いてください。  また、「術伝」掲示板でも、旧掲示板「養生の杜」と同じように、 養生についての雑談や症例相談などもしていきたいと思っています。  よろしくお願いします。 **間違いなど  間違いなど見つけた方は、[[術伝事務局>jutsuden-jmkk@yahoogroups.jp]]あてにメールをください。  よろしくお願いします。 **「術伝」症例相談用メーリングリストの参加者募集  「術伝」では症例相談用メーリングリスト( [[術伝ML(muchukand)>http://groups.yahoo.co.jp/group/muchukand/]])の 参加者を募集しています。  よろしくお願いします。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 ----    >>>術伝HPトップへ ・・・・[[トップページ]] ----
累積:&counter()___ 昨日:&counter(yesterday) ___今日:&counter(today) ------ &size(24){&color(green){歪みは筋肉に記憶される}} ---- 体は自然、臨床は対話 【1】体は自然 [1] 「体は自然」が基本 (4) 歪みは筋肉に記憶される #contents *1.はじめに  (2)で書いたように、鍼灸の名人でもあった操体の橋本先生は、 「気持ち悪いことをすると体が歪む」のが病の出発点とされてい ます。今回は、その体の歪みというのは、具体的にどういうこと か。どういうことが体のどの部分に起こっているのかを考えてい きます。 *2.体が歪むのは、筋肉の機能性病変  体が歪むというのは、どういうことでしょう。  患者さんがじっとしたり動いたりしたのを見たり、感想を聞い たりして、歪みを見付けていきますね。見た目に左右差があった り、他の人との差が大きかったり、動きにぎこちなさがあったり すると、歪んでいるなと思います。  そして、上手く行けば、鍼灸などをした後には、左右差や他の 人との差や動きのぎこちなさが少なくなっています。このとき、 患者さんの体には、どういう変化が起きているのでしょう。どこ が変わったのでしょう。  私は、筋肉が変化したのだと考えています。ヒトは、体の筋肉 を伸ばしたり縮めたりして動いています。骨や皮膚は筋肉に引っ 張られて動いているだけで、骨や皮膚が単独で動くことはありま せん。  ある特定の動作をするときに、ある特定の筋肉が基本的に縮み ます。その動作を止めれば縮んでいた筋肉は伸びます。  そして、同じ動作を続けると同じ筋肉が縮み続けます。それが 長い間に繰り返されると、その動作を止めても縮んだまま伸び れない部分が筋肉の中に現れます。それが痼りです。  そして、その縮んだまま痼りになった状態が続くと、今度は筋 肉は伸びきって、縮む必要のあるときにも縮めない状態になりま す。  このことは、生理学において、カエルの筋肉を使って実験され 確かめられていることだそうです。つまり、 (1)筋肉に負荷を掛けると筋肉は縮み、負荷を取り去ると筋肉    は弛んで伸び、元の長さにもどる。(正常) (2)筋肉に負荷を掛け続けると、ある限度を超えた所で、負荷    を取り去っても筋肉は縮んだまま、短い状態のままになる。    (過緊張) (3)(2)の段階の筋肉に負荷を掛け続けると、ある限度を越    えた所で、筋肉は元の長さよりも長い状態に伸びきってし    まう。(過弛緩) (4)(3)の状態の筋肉から一度負荷を取り去った後に、再度    負荷を掛けても筋肉は縮むことはない。  また、生理学的に、ヒトの体の中にある組織で、興奮性のもの、 つまり、比較的短時間で変化する組織は、三つだけ、筋肉の他に は、神経と腺だそうです。この中で、長さが変わるものは、筋肉 だけです。  つまり、体が動くというというような短い時間で変化する組織 の中で、長さが変わるもの、治療する時間(比較的短い時間です) の中で変化して動きがスムーズになったりするのに関係するのは 筋肉だけなんだなぁと思いました。  そうです。鍼灸などをして、歪みが少なくなったり、動作がス ムーズになるのは、鍼灸などをすることで、筋肉の縮んだままや 伸びきったままの状態が改善されるからなんだなと思います。  話を戻すと、体の中に筋肉が伸びない部分や縮めない部分が出 現するから、ヒトの体は歪んで見えるわけですし、動作がスムー ズでなくなるわけです。  例えば、伸びない部分や縮めない部分が左右で違えば、左右の 歪みとして見えるでしょう。伸びない部分を伸ばそう、縮めない 部分を縮めようとする動作をすれば、その動作はスムーズには見 えないでしょう。 *3.ツボと筋肉の機能性病変  一般的に、縮んだまま伸びなくなった状態を「実の凝り」と呼 び、伸びきって縮めなくなった部分を「虚の凝り」と呼びます。  そして、いわゆるツボというのは、皮膚に近い所が虚、つまり、 筋肉が伸びきったままの状態(過弛緩)、奥の方が実、つまり、 筋肉が縮んだままの状態(過緊張)になっています。  また、できたての新しいツボは、フニャフニャした過弛緩の部 分が少なく、比較的浅い部分に柔らかめの過緊張部分があるとい う形をしていることが多いです。  それに比べて、できてから時間がたった古いツボは、フニャフ ニャした過弛緩の部分が多く、ずーっと奥まで過弛緩の部分が続 き、その底に非常に硬い過緊張の痼りがあるという形をしていま す。また、古いツボの表面は目で見てわかるほど凹んでいること が多いです。 &ref(ksf-tubo-no-katachi.jpg)図1  そして、そういうツボができて、体が歪んでいくと、動作がし づらくなりますので、そのまま生活して活動を続けていくと、動 作に無理が生まれます。そのため、痼りのなかった筋肉にも、正 常の状態よりも余分に負担がかかります。  そうすると、それまで正常だった筋肉にも凝りができていきま す。そうして、歪みがますます酷くなり、ツボは増えていきます。  もちろん、この過緊張や過弛緩は、一時的機能的なものであっ て、永続的器質的なものではありません。ですから、鍼灸などを すると自在に伸びたり縮んだりする正常な状態に戻るわけです。  ただ、お年寄りなどの古いツボが変わりにくいのは、一時的機 能的なものも長く同じ状態が続くと、だんだん永続的器質的なも のに近付いていくせいかなと思っています。 *4.筋肉の機能性病変を映像にできたら  ところで、レントゲン検査(X線撮影)には、筋肉は写りませ ん。  筋肉の三つの状態、つまり、自在に伸び縮みする状態(正常)、 縮んだまま伸びなくなった状態(過緊張)、伸びきって縮めなく なった状態(過弛緩)を、筋肉を切らず触れずに、レントゲンの ように調べられ、写真やビデオに見れるような仕組みを作れない ものかなと考えています。  そうすれば、鍼灸をはじめ指圧按摩や操体などの治療の根拠を 発見していけると思います。 *5.心の緊張も筋肉の機能性病変をおこす  また、心にストレスが掛かった場合にも、体を緊張させて耐え ますね。  例えば、肩を上げ、手を握りしめます。そのときには、たいて い足の指も握りしめて、つまり、足裏の方に曲げています。  その状態が長く続けば、心の緊張も筋肉の中に痼りを作ってい きます。心の緊張は脳に記憶されるだけでなく、筋肉にも記憶さ れると言ってもよいかなと思うほどです。  逆に、心の緊張する姿勢に関わるツボを弛めていけば、心の緊 張を解すことも可能です。ヒトは肩を下げ手足の指をフンワリ開 いた状態で心を緊張させることはできないからです。 *6.おわりに  色々と書いてきましたが、まとめてみます。  ある特定の動作をし続けると、ある特定の筋肉が縮んだままの 状態や伸びきったままの状態になる、それが体が歪むということ。 そういう伸び縮みができない状態になった筋肉の部分が、ツボと 呼ばれる …ということです。  この筋肉の機能性病変という考え方は、加茂整形外科の加茂淳 先生の『トリガーポイントブロックで腰痛は治る!』(風雲舎) にも、く書かれています。一読をお勧めします。    >>>つぎへ>>>[[横輪切りの原則]] -----    >>>目次へ・・・・・・・・・[[体は自然、臨床は対話]]    >>>このページのトップヘ・・[[歪みは筋肉に記憶される]]    >>>術伝HPトップへ ・・・・[[トップページ]] ----- 術伝HP内検索:上の@wikiメニューの「wiki内検索」 ----- ----- *お知らせとお願い **術伝流鍼灸操体講座で患者さん役を募集  術伝流鍼灸操体講座は、実践面を重視しています。実際に症状が出て いる方の治療を見たほうが勉強になります。そこで、講座で患者さん役 をしてくださる方を募集しています。  くわしくは、[[術伝流のモデル]]をみてください。  よろしくお願いします。 **感想など  感想などありましたら、[[「術伝」掲示板>http://jutsuden.bbs.fc2.com/]]に書いてください。  また、「術伝」掲示板でも、旧掲示板「養生の杜」と同じように、 養生についての雑談や症例相談などもしていきたいと思っています。  よろしくお願いします。 **間違いなど  間違いなど見つけた方は、[[術伝事務局>jutsuden-jmkk@yahoogroups.jp]]あてにメールをください。  よろしくお願いします。 **「術伝」症例相談用メーリングリストの参加者募集  「術伝」では症例相談用メーリングリスト( [[術伝ML(muchukand)>http://groups.yahoo.co.jp/group/muchukand/]])の 参加者を募集しています。  よろしくお願いします。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 ----    >>>術伝HPトップへ ・・・・[[トップページ]] ----

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