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&size(24){&color(green){縦切りの原則:十四経}}
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体は自然、臨床は対話 【1】体は自然 [2] 動作負荷の分担原則
(2) 縦切りの原則:十四経
#contents
*1.はじめに
動作の負荷を分担する仕組みの第2の原則は、いわゆる十四経、
正経12経と督脈、任脈。
立った姿勢で天から見て重なる所同士で負荷を分担しあうと言
う話です。
つまり、第一原則が立ち姿勢での横輪切りに関係していたのと
比べると、立ち姿勢での縦切りの関係です。
*2.十四経と重力
立ち姿勢・縦切りの関係で動作の負荷が分担されるのは、地球
という星の地上で直立2足歩行するヒトにとって、重力が最も基
本的な負荷だからだと思います。
つまり、十四経、特に、正経12経というのは、地上で直立2
足歩行するときに体に掛かる重力という負荷を分担する仕組みで
す。
細かくなりますが、経とは、経絡の中でも縦のもの、つまり、
立ち姿勢で重力線の方向には走っているものを言うそうですね。
右足首に軽い捻挫(外踝前下方の過伸展)したときのことを考
えてみましょう。その状態で歩けば、当然ですが、右膝の外寄り
や、右股関節の外寄りに余分に負荷が掛かります。ですから、そ
ういう所にもツボが出てきます。
ヒトの足は、骨盤を通して仙骨に繋(つな)がっているし、歩
くときには腰の動きも使っているので、右腰の外寄りにも負担が
余分に掛かり、結果としてツボが出てきます。
橋本敬三先生は、昭和13年に発表された「力学的医学の構想」
の中で、この縦相関を作用力線の考えから説明し、「運動力線に
対して重力線は重大な役割をするのであるから、その組み合わせ
上、縦の線である経が主となるものと思われる。」と書かれてい
ます。
経絡と重力の関係は私自身で思い付いたと思っていましたが、
これを書きながら関連する先生の文献を読み直していたら、上記
の文章を見付け、あ〜さすがだなぁと思いました。
また、よくよく考えてみれば、先回書いた横輪切りの原則は、
寝ている姿勢での重力負荷の分担と見ることもできると思います。
経絡やツボを考えるときに、重力負荷の分担という視点は大切だ
なと思います。
*3.三陽は、前・横・後ろ
藤木俊郎先生の『素問医学の世界』(績文堂)によれば、昔の
人は初め経絡を三陽一陰に分けたそうです。
「陽」は体の外側のことで、「陰」は体の内側のことです。
つまり、体の外側を三つに分けたということです。どういう風
に三つに分けたかというと、「前、横、後ろ」です。つまり、前
から見て見える部分と、横から見て見える部分と、後ろから見て
見える部分に分けました。
そして、3つに分けた、前同士、横同士、後ろ同士で関係して
いると考えました。
例えば、手の指と頭や胴体の関係で言えば、「拇指は、鼻や目
頭や前歯」、「示指は、瞳(ひとみ)や犬歯の辺り」、「中指は、
目尻や奥歯」、「薬指は、耳や首の横」、「小指は、首の後側や
肩や背中上部」に、それぞれ関係しています。
つまり、指と頭・胴との関係が手を垂らした状態での「前、横、
後ろ」に対応しているわけです。
ですから、1970年代前半に中国で発掘された『馬王堆医経』
には、現在の「手陽明、つまり、手の外で前側の経絡を「歯脈」」、
「手少陽、つまり、手の外で横側の経絡を「耳脈」」、「手太陽、
つまり、手の外で後ろ側の経絡を「肩脈」」と書いてあります。
ただ、例にした指と頭との関係を見ても分かるように、きちん
と3分類しているわけではなく、前と横の間も、横と後ろの間も
それぞれ縦同士で関係しています。
つまり、より正確にいえば、天から見た体の中心と前正面から
の角度が同じ同士、または、近い所同士で負荷を分担しあってい
るということだと思います。
また、100%相関対応しているわけではなく、他の歪みとの関
係などから、隣の指に出る場合もあります。
そして、指先と上腕で同じように負荷を分担するわけではなく、
どちらかというと、「急性症状には手首から指先」が、「慢性症
状には上腕(肘から胴より)」が関係するようです。
&ref(ksf-tate-soukan.jpg)図1
*4.前・横・後ろの関係を治療に利用する
この負荷分担を治療に役立てるのが、経絡を利用した治療です。
例えば、ヒトの立ち姿勢でのバランス(平衡)に関係する三半
規管は内耳にありますから、目眩がしたときには、薬指に灸をし
たり、薬指を反らしたりすると軽くなることが多いです。
目のゴミは、目頭から鼻に通じている鼻涙管という穴を通って
鼻に行くので、ゴミの入った側の親指の爪の生え際のツボ(井穴)
に灸をしたり、そこを反対側の母子と示指で温めるように挟んで
いると、速やかに鼻に行ってしまうことが多いです。
手では、手平側は陰、つまり、体の内側に関係しています。こ
れは、普通に立った姿勢で手を垂らすと、手平が内側を向くから
だと思います。
特に、胸の内側との関係が深いです。これは、手や腕を動かす
ときには、主に、胸から上の筋肉を使うからだと思います。
「拇指や示指は、咳やのぼせ」、「薬指は、吐き気」、「左小
指は、不整脈など」に関係します。ただし、心臓が右にある人は、
右小指が心臓に関係すると思います。
陰、つまり、体の内側にも、体の外側ほど明確ではないですが、
前・横・後ろの関係があるようで、気管が前、食道が中ほど、心
臓が後ろ側にあることと関係しているように思います。この辺り
は、次の「足の経絡」のときに、もう少し詳しく説明します。
薬指は、心の問題にも関係しています。これは、胸の中央の辺
り、細かくいうと胸骨中央付近(膻中、気管支分岐部の辺り)が、
心の問題に関係しているからだと思います。「胸苦しい」という
表現があるように。
また、その胸の中央付近は、心が緊張したときの姿勢で、すご
く縮めている、つまり、その辺りの筋肉を大変緊張させている部
分でもあることも関係していると思います。
*5.おわりに
この「前、横、後ろ」に体を分類してみるという考え方は、頭
や首や胴体の部分の症状に効果的な手足のツボの出ている場所を
大雑把に見当を付けるのに、とても役に立ちます。
基本的に前・横・後ろで関連する指を選んで探すとツボが出て
いますし、指と頭首胴の間の手首や肘関節の近くにも、前・横・
後ろの関連で探すとツボが見付かります。
そういうツボを組み合わせて、手順よく鍼灸すると、効果が出
ます。
次は、足の経絡の話です。
>>>つぎへ>>>[[足の経絡は全身に関係]]
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>>>目次へ・・・・・・・・・[[体は自然、臨床は対話]]
>>>このページのトップヘ・・[[縦切りの原則:十四経]]
>>>術伝HPトップへ ・・・・[[トップページ]]
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術伝HP内検索:上の@wikiメニューの「wiki内検索」
-----
-----
*お知らせとお願い
**術伝流鍼灸操体講座で患者さん役を募集
術伝流鍼灸操体講座は、実践面を重視しています。実際に症状が出て
いる方の治療を見たほうが勉強になります。そこで、講座で患者さん役
をしてくださる方を募集しています。
くわしくは、[[術伝流のモデル]]をみてください。
よろしくお願いします。
**感想など
感想などありましたら、[[「術伝」掲示板>http://jutsuden.bbs.fc2.com/]]に書いてください。
また、「術伝」掲示板でも、旧掲示板「養生の杜」と同じように、
養生についての雑談や症例相談などもしていきたいと思っています。
よろしくお願いします。
**間違いなど
間違いなど見つけた方は、[[術伝事務局>jutsuden-jmkk@yahoogroups.jp]]あてにメールをください。
よろしくお願いします。
**「術伝」症例相談用メーリングリストの参加者募集
「術伝」では症例相談用メーリングリスト( [[術伝ML(muchukand)>http://groups.yahoo.co.jp/group/muchukand/]])の
参加者を募集しています。
よろしくお願いします。
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>>>術伝HPトップへ ・・・・[[トップページ]]
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体は自然、臨床は対話 【1】体は自然 [2] 動作負荷の分担原則
(2) 縦切りの原則:十四経
#contents
*1.はじめに
動作の負荷を分担する仕組みの第2の原則は、いわゆる十四経、
正経12経と督脈、任脈。
立った姿勢で天から見て重なる所同士で負荷を分担しあうと言
う話です。
つまり、第一原則が立ち姿勢での横輪切りに関係していたのと
比べると、立ち姿勢での縦切りの関係です。
*2.十四経と重力
立ち姿勢・縦切りの関係で動作の負荷が分担されるのは、地球
という星の地上で直立2足歩行するヒトにとって、重力が最も基
本的な負荷だからだと思います。
つまり、十四経、特に、正経12経というのは、地上で直立2
足歩行するときに体に掛かる重力という負荷を分担する仕組みで
す。
細かくなりますが、経とは、経絡の中でも縦のもの、つまり、
立ち姿勢で重力線の方向には走っているものを言うそうですね。
右足首に軽い捻挫(外踝前下方の過伸展)したときのことを考
えてみましょう。その状態で歩けば、当然ですが、右膝の外寄り
や、右股関節の外寄りに余分に負荷が掛かります。ですから、そ
ういう所にもツボが出てきます。
ヒトの足は、骨盤を通して仙骨に繋(つな)がっているし、歩
くときには腰の動きも使っているので、右腰の外寄りにも負担が
余分に掛かり、結果としてツボが出てきます。
橋本敬三先生は、昭和13年に発表された「力学的医学の構想」
の中で、この縦相関を作用力線の考えから説明し、「運動力線に
対して重力線は重大な役割をするのであるから、その組み合わせ
上、縦の線である経が主となるものと思われる。」と書かれてい
ます。
経絡と重力の関係は私自身で思い付いたと思っていましたが、
これを書きながら関連する先生の文献を読み直していたら、上記
の文章を見付け、あ〜さすがだなぁと思いました。
また、よくよく考えてみれば、先回書いた横輪切りの原則は、
寝ている姿勢での重力負荷の分担と見ることもできると思います。
経絡やツボを考えるときに、重力負荷の分担という視点は大切だ
なと思います。
*3.三陽は、前・横・後ろ
藤木俊郎先生の『素問医学の世界』(績文堂)によれば、昔の
人は初め経絡を三陽一陰に分けたそうです。
「陽」は体の外側のことで、「陰」は体の内側のことです。
つまり、体の外側を三つに分けたということです。どういう風
に三つに分けたかというと、「前、横、後ろ」です。つまり、前
から見て見える部分と、横から見て見える部分と、後ろから見て
見える部分に分けました。
そして、3つに分けた、前同士、横同士、後ろ同士で関係して
いると考えました。
例えば、手の指と頭や胴体の関係で言えば、「拇指は、鼻や目
頭や前歯」、「示指は、瞳(ひとみ)や犬歯の辺り」、「中指は、
目尻や奥歯」、「薬指は、耳や首の横」、「小指は、首の後側や
肩や背中上部」に、それぞれ関係しています。
つまり、指と頭・胴との関係が手を垂らした状態での「前、横、
後ろ」に対応しているわけです。
ですから、1970年代前半に中国で発掘された『馬王堆医経』
には、現在の「手陽明、つまり、手の外で前側の経絡を「歯脈」」、
「手少陽、つまり、手の外で横側の経絡を「耳脈」」、「手太陽、
つまり、手の外で後ろ側の経絡を「肩脈」」と書いてあります。
ただ、例にした指と頭との関係を見ても分かるように、きちん
と3分類しているわけではなく、前と横の間も、横と後ろの間も
それぞれ縦同士で関係しています。
つまり、より正確にいえば、天から見た体の中心と前正面から
の角度が同じ同士、または、近い所同士で負荷を分担しあってい
るということだと思います。
また、100%相関対応しているわけではなく、他の歪みとの関
係などから、隣の指に出る場合もあります。
そして、指先と上腕で同じように負荷を分担するわけではなく、
どちらかというと、「急性症状には手首から指先」が、「慢性症
状には上腕(肘から胴より)」が関係するようです。
&ref(ksf-tate-soukan.jpg)図1
*4.前・横・後ろの関係を治療に利用する
この負荷分担を治療に役立てるのが、経絡を利用した治療です。
例えば、ヒトの立ち姿勢でのバランス(平衡)に関係する三半
規管は内耳にありますから、目眩がしたときには、薬指に灸をし
たり、薬指を反らしたりすると軽くなることが多いです。
目のゴミは、目頭から鼻に通じている鼻涙管という穴を通って
鼻に行くので、ゴミの入った側の親指の爪の生え際のツボ(井穴)
に灸をしたり、そこを反対側の拇指と示指で温めるように挟んで
いると、速やかに鼻に行ってしまうことが多いです。
手では、手平側は陰、つまり、体の内側に関係しています。こ
れは、普通に立った姿勢で手を垂らすと、手平が内側を向くから
だと思います。
特に、胸の内側との関係が深いです。これは、手や腕を動かす
ときには、主に、胸から上の筋肉を使うからだと思います。
「拇指や示指は、咳やのぼせ」、「薬指は、吐き気」、「左小
指は、不整脈など」に関係します。ただし、心臓が右にある人は、
右小指が心臓に関係すると思います。
陰、つまり、体の内側にも、体の外側ほど明確ではないですが、
前・横・後ろの関係があるようで、気管が前、食道が中ほど、心
臓が後ろ側にあることと関係しているように思います。この辺り
は、次の「足の経絡」のときに、もう少し詳しく説明します。
薬指は、心の問題にも関係しています。これは、胸の中央の辺
り、細かくいうと胸骨中央付近(膻中、気管支分岐部の辺り)が、
心の問題に関係しているからだと思います。「胸苦しい」という
表現があるように。
また、その胸の中央付近は、心が緊張したときの姿勢で、すご
く縮めている、つまり、その辺りの筋肉を大変緊張させている部
分でもあることも関係していると思います。
*5.おわりに
この「前、横、後ろ」に体を分類してみるという考え方は、頭
や首や胴体の部分の症状に効果的な手足のツボの出ている場所を
大雑把に見当を付けるのに、とても役に立ちます。
基本的に前・横・後ろで関連する指を選んで探すとツボが出て
いますし、指と頭首胴の間の手首や肘関節の近くにも、前・横・
後ろの関連で探すとツボが見付かります。
そういうツボを組み合わせて、手順よく鍼灸すると、効果が出
ます。
次は、足の経絡の話です。
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養生についての雑談や症例相談などもしていきたいと思っています。
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