「縦切りの原則:十四経」の編集履歴(バックアップ)一覧はこちら
縦切りの原則:十四経 - (2010/08/09 (月) 09:38:08) の1つ前との変更点
追加された行は緑色になります。
削除された行は赤色になります。
累積:&counter()___ 昨日:&counter(yesterday) ___今日:&counter(today)
------
&size(24){&color(green){縦切りの原則:十四経}}
----
体は自然、臨床は対話 【1】体は自然 [2] 動作負荷の分担原則
(2) 縦切りの原則:十四経
#contents
*1.はじめに
動作の負荷を分担する仕組みの第2の原則は、いわゆる十四経、正経12経と督脈、任脈。立った姿勢で天から見て重なるところどうしで負荷を分担しあうというものです。つまり、第一原則が立ち姿勢での横輪切りに関係していたのとくらべると、立ち姿勢での縦切りの関係です。これは、直立2足歩行するヒトにとって、重力がもっとも基本的な負荷だからだと思います。つまり、十四経、とくに、正経12経というのは、直立2足歩行するときの体にかかる重力という負荷を分担する仕組みです。こまかくなりますが、経とは経絡のなかでも縦のもの、つまり、立ち姿勢で重力線の方向には走っているものをいいます。
右足首にかるい捻挫したときのことを考えてみましょう。その状態で歩けば、とうぜん右膝の外よりや、右股関節の外よりに余分に負荷がかかります。ですから、そういうところにツボができていきます。ヒトの足は、骨盤をとおして仙骨につながっているし、歩くときには腰の動きも使っているので、右腰の外よりにもツボができていきます。
橋本敬三先生は、昭和13年に発表された「力学的医学の構想」のなかで、この縦相関を作用力線の考えから説明し、「運動力線に対して重力線は重大な役割をするのであるから、その組み合わせ上、縦の線である経が主となるものと思われる。」と書かれています。経絡と重力の関係は私自身で思いついたと思っていましたが、これを書きながら関連する先生の文献を読みなおしていたら、上記の文章を見つけ、やはりすごいなと思いました。
また、よくよく考えてみれば、先回書いた横輪切りの原則は、寝ている姿勢での重力負荷の分担と見ることもできると思います。経絡やツボを考えるときに重力負荷の分担という視点は大切だなと思います。
藤木俊郎先生の『素問医学の世界』(績文堂)という本によれば、昔の人ははじめ経絡を三陽一陰に分けたそうです。陽というのは体の外側のことで、陰というのは内側のことです。つまり、体の外側を三つに分けたということです。どういうふうに三つに分けたかというと、「前、横、後ろ」です。つまり、前から見て見える部分と、横から見て見える部分と、後ろから見て見える部分に分けました。
そして、3つに分けた、前、横、後ろどうしで関係していると考えました。たとえば、手の指と頭や胴体の関係でいえば、親指は鼻や目頭(めがしら)や前歯に関係しますし、人さし指は瞳(ひとみ)や犬歯のあたり、中指は目尻(めじり)や奥歯、薬指は耳や首の横、小指は首の後ろ側や肩や背中上部に関係しています。つまり、指と頭・胴との関係が手をたらした状態での「前、横、後ろ」に対応しているわけです。ですから、1970年代前半に中国で発掘された『馬王堆医経』には、現在の手陽明、つまり手の外で前側の経絡を「歯脈」、手少陽、つまり手の外で横側の経絡を「耳脈」、手太陽、つまり手の外で後ろ側の経絡を「肩脈」と書いた部分もあります。
ただ、例にあげた指と頭との関係を見てもわかるように、きちんと3分類しているわけではなく、前と横のあいだどうしも、横と後ろのあいだどうしも関係しています。つまり、より正確にいえば、天から見た体の中心と前正面からの角度が同じ、または、近いところどうしで負荷を分担しあっているわけです。
また、100%相関対応しているわけではなく、ほかの歪みとの関係などから、となりの指に出る場合もあります。そして、指先と上腕(二の腕)で同じように負荷を分担するわけではなく、どちらかというと、急性症状には手首から指先が、慢性症状には上腕(二の腕、肘から胴より)が関係するようです。
この負荷分担を治療に役立てるのが経絡を利用した治療です。たとえば、ヒトの立ち姿勢でのバランス(平衡)に関係する三半規管は内耳にありますから、めまいがしたときには、薬指に灸をしたり、薬指を反らしたりすると軽くなることが多いです。目のゴミは目頭(めがしら)から鼻に通じている鼻涙管という穴をとおって鼻にいくので、ゴミのはいった側の親指の爪の根本に灸をしたり、そこを反対側の親指と人指し指で温めるようにはさんでいると、はやく鼻にいってしまいます。
手のほうは、手のひら側は陰、つまり、体の内側に関係しています。これは、普通に立った姿勢で手をたらすと、手のひらが内側を向くからだと思います。とくに、胸の内側との関係が深いです。これは、手や腕を動かすときには、おもに、胸から上の筋肉を使うからだと思います。親指や人指し指は咳やのぼせ、薬指は吐き気、左小指は不整脈などに関係します。ただし、心臓が右にある人は右小指が関係すると思います。
陰、つまり、体の内側にも、体の外側ほどはっきりしていませんが、前・横・後ろの関係があるようで、気管が前、食道が中ほど、心臓が後ろ側にあることと関係しているように思います。このあたりは、次に足の経絡の話をするときに、もうすこしくわしく説明しま)。薬指は心の問題にも関係しています。これは、胸の中央あたり、もうすこし細かくいうと胸骨の中央ちかく、気管支分岐部の下あたりが、心の問題に関係しているからだと思います。「胸苦しい」という表現があるように。また、その胸の中央あたりは、心が緊張したときの姿勢で、すごく縮めている、つまり、そのあたりの筋肉をたいへん緊張させている部分でもあることも関係していると思います。
この「前、横、後ろ」に体を分類してみるという考え方は、頭や首や胴体の部分の症状に効果的な手足のツボの出ている場所をだいたい見当つけるのにとても役に立ちます。基本的に前・横・後ろで関連する指をえらんで探すとツボが出ていますし、指と頭首胴のあいだの手首・肘の関節ちかくにも、前・横・後ろの関連で探すとツボがみつかります。そういうツボを組み合わせて、手順よく鍼灸すると、効果が上がります。
*8.おわりに
>>>つぎへ>>>[[縦切りの原則:十四経]]
----
術伝HP内検索:上の@wikiメニューの「wiki内検索」
-----
*お知らせとお願い
**術伝流鍼灸操体講座で患者さん役を募集
術伝流鍼灸操体講座は、実践面を重視しています。実際に症状が出て
いる方の治療を見たほうが勉強になります。そこで、講座で患者さん役
をしてくださる方を募集しています。
くわしくは、[[術伝流のモデル]]をみてください。
よろしくお願いします。
**感想など
感想などありましたら、[[「術伝」掲示板>http://jutsuden.bbs.fc2.com/]]に書いてください。
また、「術伝」掲示板でも、旧掲示板「養生の杜」と同じように、養生に
ついての雑談や、症例相談などもしていきたいと思っています。
よろしくお願いします。
**間違いなど
間違いなど見つけた方は、[[術伝事務局>jutsuden-jmkk@yahoogroups.jp]]あてにメールをください。
よろしくお願いします。
**「術伝」症例相談用メーリングリストの参加者募集
「術伝」では症例相談用メーリングリスト( [[術伝ML(muchukand)>http://groups.yahoo.co.jp/group/muchukand/]])の
参加者を募集しています。
よろしくお願いします。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
累積:&counter()___ 昨日:&counter(yesterday) ___今日:&counter(today)
------
&size(24){&color(green){縦切りの原則:十四経}}
----
体は自然、臨床は対話 【1】体は自然 [2] 動作負荷の分担原則
(2) 縦切りの原則:十四経
#contents
*1.はじめに
動作の負荷を分担する仕組みの第2の原則は、いわゆる十四経、正
経12経と督脈、任脈。
立った姿勢で天から見て重なるところどうしで負荷を分担しあうと
いうものです。
つまり、第一原則が立ち姿勢での横輪切りに関係していたのとくら
べると、立ち姿勢での縦切りの関係です。
*2.十四経と重力
立ち姿勢・縦切りの関係で動作の負荷が分担されるのは、直立2足
歩行するヒトにとって、重力がもっとも基本的な負荷だからだと思い
ます。
つまり、十四経、とくに、正経12経というのは、直立2足歩行す
るときの体にかかる重力という負荷を分担する仕組みです。
こまかくなりますが、経とは経絡のなかでも縦のもの、つまり、立
ち姿勢で重力線の方向には走っているものをいいます。
右足首にかるい捻挫したときのことを考えてみましょう。その状態
で歩けば、とうぜん右膝の外よりや、右股関節の外よりに余分に負荷
がかかります。ですから、そういうところにツボができていきます。
ヒトの足は、骨盤をとおして仙骨につながっているし、歩くときに
は腰の動きも使っているので、右腰の外よりにもツボができていきま
す。
橋本敬三先生は、昭和13年に発表された「力学的医学の構想」の
なかで、この縦相関を作用力線の考えから説明し、「運動力線に対し
て重力線は重大な役割をするのであるから、その組み合わせ上、縦の
線である経が主となるものと思われる。」と書かれています。
経絡と重力の関係は私自身で思いついたと思っていましたが、これ
を書きながら関連する先生の文献を読みなおしていたら、上記の文章
を見つけ、やはりすごいなと思いました。
また、よくよく考えてみれば、先回書いた横輪切りの原則は、寝て
いる姿勢での重力負荷の分担と見ることもできると思います。経絡や
ツボを考えるときに重力負荷の分担という視点は大切だなと思います。
*3.三陽は、前・横・後ろ
藤木俊郎先生の『素問医学の世界』(績文堂)という本によれば、
昔の人ははじめ経絡を三陽一陰に分けたそうです。
陽というのは体の外側のことで、陰というのは内側のことです。
つまり、体の外側を三つに分けたということです。どういうふうに
三つに分けたかというと、「前、横、後ろ」です。つまり、前から見
て見える部分と、横から見て見える部分と、後ろから見て見える部分
に分けました。
そして、3つに分けた、前、横、後ろどうしで関係していると考え
ました。
たとえば、手の指と頭や胴体の関係でいえば、親指は鼻や目頭(め
がしら)や前歯に関係しますし、人さし指は瞳(ひとみ)や犬歯のあ
たり、中指は目尻(めじり)や奥歯、薬指は耳や首の横、小指は首の
後ろ側や肩や背中上部に関係しています。
つまり、指と頭・胴との関係が手をたらした状態での「前、横、後
ろ」に対応しているわけです。
ですから、1970年代前半に中国で発掘された『馬王堆医経』に
は、現在の手陽明、つまり手の外で前側の経絡を「歯脈」、手少陽、
つまり手の外で横側の経絡を「耳脈」、手太陽、つまり手の外で後ろ
側の経絡を「肩脈」と書いた部分もあります。
ただ、例にあげた指と頭との関係を見てもわかるように、きちんと
3分類しているわけではなく、前と横のあいだどうしも、横と後ろの
あいだどうしも関係しています。
つまり、より正確にいえば、天から見た体の中心と前正面からの角
度が同じ、または、近いところどうしで負荷を分担しあっているわけ
です。
また、100%相関対応しているわけではなく、ほかの歪みとの関
係などから、となりの指に出る場合もあります。
そして、指先と上腕(二の腕)で同じように負荷を分担するわけで
はなく、どちらかというと、急性症状には手首から指先が、慢性症状
には上腕(二の腕、肘から胴より)が関係するようです。
*4.前・横・後ろの関係を治療に利用する
この負荷分担を治療に役立てるのが経絡を利用した治療です。
たとえば、ヒトの立ち姿勢でのバランス(平衡)に関係する三半規
管は内耳にありますから、めまいがしたときには、薬指に灸をしたり、
薬指を反らしたりすると軽くなることが多いです。
目のゴミは目頭(めがしら)から鼻に通じている鼻涙管という穴を
とおって鼻にいくので、ゴミのはいった側の親指の爪の根本に灸をし
たり、そこを反対側の親指と人指し指で温めるようにはさんでいると、
はやく鼻にいってしまいます。
手のほうは、手のひら側は陰、つまり、体の内側に関係しています。
これは、普通に立った姿勢で手をたらすと、手のひらが内側を向くか
らだと思います。
とくに、胸の内側との関係が深いです。これは、手や腕を動かすと
きには、おもに、胸から上の筋肉を使うからだと思います。
親指や人指し指は咳やのぼせ、薬指は吐き気、左小指は不整脈など
に関係します。ただし、心臓が右にある人は右小指が関係すると思い
ます。
陰、つまり、体の内側にも、体の外側ほどはっきりしていませんが、
前・横・後ろの関係があるようで、気管が前、食道が中ほど、心臓が
後ろ側にあることと関係しているように思います。このあたりは、つ
ぎに足の経絡の話をするときに、もうすこしくわしく説明します。
薬指は心の問題にも関係しています。これは、胸の中央あたり、も
うすこし細かくいうと胸骨の中央ちかく、気管支分岐部の下あたりが、
心の問題に関係しているからだと思います。「胸苦しい」という表現
があるように。
また、その胸の中央あたりは、心が緊張したときの姿勢で、すごく
縮めている、つまり、そのあたりの筋肉をたいへん緊張させている部
分でもあることも関係していると思います。
*5.おわりに
この「前、横、後ろ」に体を分類してみるという考え方は、頭や首
や胴体の部分の症状に効果的な手足のツボの出ている場所をだいたい
見当つけるのにとても役に立ちます。
基本的に前・横・後ろで関連する指をえらんで探すとツボが出てい
ますし、指と頭首胴のあいだの手首・肘の関節ちかくにも、前・横・
後ろの関連で探すとツボがみつかります。
そういうツボを組み合わせて、手順よく鍼灸すると、効果が上がり
ます。
つぎは、足の経絡の話です。
>>>つぎへ>>>[[足の経絡は全身に関係]]
----
術伝HP内検索:上の@wikiメニューの「wiki内検索」
-----
*お知らせとお願い
**術伝流鍼灸操体講座で患者さん役を募集
術伝流鍼灸操体講座は、実践面を重視しています。実際に症状が出て
いる方の治療を見たほうが勉強になります。そこで、講座で患者さん役
をしてくださる方を募集しています。
くわしくは、[[術伝流のモデル]]をみてください。
よろしくお願いします。
**感想など
感想などありましたら、[[「術伝」掲示板>http://jutsuden.bbs.fc2.com/]]に書いてください。
また、「術伝」掲示板でも、旧掲示板「養生の杜」と同じように、養生に
ついての雑談や、症例相談などもしていきたいと思っています。
よろしくお願いします。
**間違いなど
間違いなど見つけた方は、[[術伝事務局>jutsuden-jmkk@yahoogroups.jp]]あてにメールをください。
よろしくお願いします。
**「術伝」症例相談用メーリングリストの参加者募集
「術伝」では症例相談用メーリングリスト( [[術伝ML(muchukand)>http://groups.yahoo.co.jp/group/muchukand/]])の
参加者を募集しています。
よろしくお願いします。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜