「シコりに合わせた操体を予測」の編集履歴(バックアップ)一覧はこちら

シコりに合わせた操体を予測 - (2010/08/18 (水) 06:56:55) の1つ前との変更点

追加された行は緑色になります。

削除された行は赤色になります。

累積:&counter()___ 昨日:&counter(yesterday) ___今日:&counter(today) ------ &size(24){&color(green){シコりに合わせた操体を予測}} ---- 操体もくもく・操体の自然則 (9) シコりに合わせた操体を予測 #contents *1.はじめに  先回は、&bold(){タワメの間では、目標のシコりは消える}という話でしたが、 今回は、&bold(){目標のシコりにふさわしいタワメの間を予測する}という話を 書きます。  先々回に、&bold(){体が治したいのは、タワメの間で力がはたらくところ} と書いたことと、先回の内容の組み合わせから、勘の良い人ならすぐ 思いついてしまうかもしれないくらい当たり前の話かも。 *2.目標に合わせた操体を予測  目標とするシコりがあるときに、そのときその人がとっている姿勢 をすこし変えていくことで、そのシコりが消えるようなタワメの間の 姿勢に持っていけないかなというのが、今回のテーマです。  それができれば、気持ち良さが感じられるか、息が深くなったか確 かめてから、それらのサインがつづくあいだ、その姿勢を維持すれば、 たぶんシコりは消えるんじゃないかなということです。 **仰向け大の字に近いとき  いままでためしてきた経験から、受け手にいろいろな操体をつづけ てして、その日はもう十分かなという状態になると、あお向けで大の 字にちかい姿勢になることがおおいです。  そうなったときをまず例にしてみます。まず基本的なことをわかっ てもらいやすいように思うので。  あお向け大の字にちかい姿勢で、それでも、まだ、どこか気になる ところがないか、聞いてみます。  あるようだったら、そこに指をあてて様子をたしかめておきます。  つぎに、足の大腿部の延長線が、目標の気になるところにむくよう に、足の広げ方を調節します。  目標のシコりが右肩のときには、右足は、ほば、そのまま伸ばし、 左足は、右足よりもすこし開いた格好になります。  腕も同じようにします。ただし、腕は、上腕のむきと直角で肩をと おる線が目標をさすようにしてもよいです。  上腕の延長か直角の延長かは、動かすまえの腕の位置にちかいほう を、まずためしてみればよいと思います。  そして、その姿勢で、気になるところに皮膚の操体をしてみると、 すこし気持ち良さが深くなると思います。  あいている手で、とどく範囲の手足に、皮膚や動き操体を付け加え ると、もうすこし気持ち良さが深くなるでしょう。  このとき、上腕や大腿が気になるところの延長にあるときには、そ のあたりの皮膚を目標から遠ざけるような皮膚の操体をしてもよいし、 それと同じ効果のある動きの操体をしてもよいです。  上腕が、肩で、目標と肩をむすぶ線と直角になっているときには、 上腕の皮膚を上腕骨にたいして直角に目標から遠ざかる方向にねじる 皮膚の操体をしてもよいし、それと同じ効果のある動きの操体をして もよい、つまり、ねじってみてもよいです。  つまり、どちらでも、目標の気になるところの皮膚を引っ張るよう な動きが伝わればよいのです。 **目標の上の皮膚を引っ張る刺激が良いことがおおい  いろいろためしてみましたが、そういう動きのほうが、目標の気に なるところへ近づけていくていくような動きが伝わるときよりも、気 持ち良さが深くなることがおおかったです。  右肩に目標のシコりがあるときには、右足は、小指側が足甲側にま わるような足首捻転をしながら引っ張ると、気持ちよいことがおおい です。  このとき、左足は、すこし開いた状態からなので、足首を立てた形 で固定してから、引っ張ったほうが気持ちよいことが、比較的おおい ようです。  こういう大の字に寝た姿勢で、足首などの遠いところをキッカケに するときには、引っ張る動きのほうが遠くまで伝わりやすいせいかも しれません。  もちろん、どちらもイイ感じがしなかったら、別の引っ張り方をし てみて、イイ感じのものをえらびます。  また、引っ張る動きをいろいろためして、気持ち良さが深くならな いようなら、近づける動きなど、ほかの動きが伝わるような方法をた めしてみてもよいと思います。  そして、受け手と言葉が通じないなら、おなかに息が深くならなかっ たら、ちがう方法をためしてみてもよいし、大腿・上腕などの皮膚を 目標のシコりから遠ざかる方向と近づく方向の2方向にズラしてみて ズレやすいほうにズラすか、それと同じ効果のある動きの操体をまず やってみてもよいと思います。 ***数人がかりの極楽操体 -講習会などで大勢の方がいらっしゃる場合には、 +気になる処にカワの操体をしている方と別の方が、 手足それぞれを担当したほうが 気持ち良さが深くなりやすいです。 +受け手役の方に首をいろいろな方向に少し動かしてもらって 気持ちの良い方向があったら、 それを少し強調するというか、 その首の格好を維持してあげる担当も作ると、 もう少し気持ち良さが深くなります。 --全部で6人係りの操体操法になります。 ---凄く気持ち良くて、 これは極楽だなとおっしゃった方もいました。 -操体は自力が基本ですが、 人にやってもらうほうが気持ちよい事が多いようです。 --たまには、 こういう6人係りの操体操法も味わってみても良いのでは・・・ と思います。 -それに、 この6人係りの操体操法を受けてみると、 全身に連動する感じ、 からだ丸ごとの気持ち良さという感覚が はっきり掴めるようです。 --それまで全身に連動するという感じが 良く解らないとおっしゃってた方で、 6人係りで、しかも、 一人一箇所ずつ順に操体する所を増やしていく過程で、 少しずつ気持ち良さが深くなっていく感覚を味わってからは、 全身に連動すると気持ちよいという事が実感出来るようになった という方もいました。 *うつ伏せや横向きなど一般の場合の操体の予測 [#uf00cba2] -さて、うつ伏せや横向き寝の場合には、 仰向き寝ほど単純ではなく、つまり、 気になる処に動きを伝える方法がいろいろあって、 手足や首、それぞれ一つずつ、 受け手の方と相談しながら、 言葉が通じない方の場合には 息がより深くなるように気を付けながら、 動かし方や皮膚のズラし方を決めていく必要があります。 --それでも、 片手でカワの操体を気になる処、つまり、 目標の痼りにしている場合よりも 息がより深くなる事が多くなります。 ---一人で行う場合には、 手足と首の5箇所のうちから、 受けての方の体が一番やってもらいたがる処や 息が深くなりやすい所を 付け加えれば良いと思います。 **楽に手が届く所を選んで、同時に操体 [#gada58ca] -ただ、 操者の姿勢に無理があっては 気持ちよい操体になりにくいので、 手が楽に届く範囲の候補の中から選ぶ  事になります。 --楽な態勢で寝てもらって 頭や首や胴体にある痼りにカワの操体をする場合には、 上半身なら操者に近いほうの腕を選び、 その上腕の延長にその痼りが在るか、 上腕と直角の線の延長にあるか確かめます。 ++延長なら、 先ずその胴体の痼りと同じ面にある上腕の皮膚を 痼りから遠ざかるほうにズラしてみる事を切っ掛けにすると 気持ち良さが増す可能性が高くなるようです。 また、 ++直角方向なら、 痼りから遠ざかるほうに上腕の皮膚を捻る事を切っ掛けにすると 気持ち良さが増す可能性が高くなるようです。 **引っ張るだけでなく縮める方向の可能性もある [#dd72c16c] -しかし、 ほぼ体が整って大の字に寝た姿勢から 足首を切っ掛けにする場合には 目標から遠ざかる方向が気持ちよい事が殆どだったのに比べると、 縮める方向にズラす事のほうが気持ち良さが増す という可能性も結構高いので、 受け手の方に聞いて確かめたり、 言葉が通じない方ならお腹への息の入り具合を観察したり、 上腕部のカワのズレ易さを観たりして、 確かめると良いと思います。 --先回書いた、 タワメの間で最も伸びようとしている所か、 最も縮もうとしている所に、 その時に体が治したがっている痼りがある事が多い という話を思い出してください。 ---それを予測に利用してわけです。 ***肘を膝で支える [#h14f8d18] -余談になりますが、こういう風に 2箇所同時にカワの操体をする場合には、 時間が長くなって腕が疲れても 反対側の手で肘を支えたりする事が出来ません。 --それで、 両足の膝を巧く使って操体している手の肘を支えると 長時間疲れないでカワの操体を続けられます。 ---ベッドの上に受け手の方がいる場合には 膝で支えるのは難しいので、そういう場合には、 肘枕や膝枕を利用して、 カワ操体をしている手の肘を支えても良いと思います。 **カワと同じ効果の動きの操体を組み合わせる [#lc71dddf] -話を戻します。先ほど書いた、 目標の痼りと上腕の痼りに同時にカワの操体をする場合に、 上腕へカワの操体の代わりに 効果の似た動きの操体を腕にしても同じ様な結果が出ます。 --つまり 上腕を引っ張るか捻るかするような動きが 生まれるような動きの操体をすればよいわけです。 ---上腕を直接動かしても良いし、 手首を持って 上腕にそういう動きが伝わるような動きを切っ掛けにして 動きの操体をしても似たような効果は出せます。 -上腕の皮膚が目標の痼りに近づくほうにズレ易い場合には、 ++その方向に上腕を肩関節に押し込んでいく動きが 一つ切っ掛けになります。  が、それ以外にも、 ++上腕のその時皮膚ズラしをしている面と 目標の痼りが近づくように 上腕を目標の痼りのほうに曲げていく動きも 気持ちよい可能性が高いです。 ---これは逆に考えれば、 そういう動きがやりやすい場合には 上腕の皮膚は目標のほうにズレ易くなるからです。 **目標から手を離して、両手で予測した操体をする [#wbfd83d7] -このように、 目標となる痼りに対して動きの操体も 或る程度予測していく事が出来ます。 -しかし、 片手では動きの操体はやりにくい事もあります。 --そういう時には、 目標とする痼りに当てている手を離して 両手で予測できた動きの操体をしてみる のもよいと思います。 ---もちろん、 受け手の方が気持ち良さを感じられるか確認しながら、また、 言葉が通じない方の場合には息の深さを確認しながら行います。 --その動きの操体が終わった後で、 目標の痼りに変化があったかどうか確認してみてください。 **関連する痼りが大腿の場合 [#uf2ce3a1] -下半身に痼りがあったりして 操者のもう一方の手が楽に大腿部に届く場合には、 大腿にカワの操体が出来ますが、 これも手が楽に届くほうの大腿を選び、 その大腿が痼りのあるほうに向いていれば、 その痼りから遠ざかるほうに皮膚をズラす事を切っ掛けにする のを先ず試してみると良いと思います。 -この場合、 動きの操体としては、 大腿部が目標を向いていて、しかも、 目標から遠ざかる動きを切っ掛けにする操体操法が 気持ち良さを感じられる可能性が高くなります。 --つまり、 足を引っ張る場合には、 大腿部の延長が目標の痼りを指すように 足の開き具合や足首の高さを調節する必要があります。 ---足を引っ張るのは片手では出来ないので、 目標の痼りから手を離して引っ張って、 終わってから目標の痼りが変化したか確認する というやり方になります。 ***近づくほうが良い場合 [#u043d0f9] -この時にも、逆に 目標に近づく方が気持ちよい可能性もあります。 --その時には 大腿の皮膚をその方向にズラすカワの操体をする と良いでしょう。 --動きの操体としては 大腿を押し込む動きの他に、 大腿と目標が近づくように 股関節を曲げていく動きも候補になるのは、 上腕の場合と同じです。 ---もちろん、 大腿を動かすのは、 腕よりも片手で動かすのが難しい事が多いわけで、そ ういう場合には、先ほども書いたように 目標の痼りから一度手を離して、 終わってから変化を確認するという方法になります。 ***股関節が深く曲がっている場合 [#dff97292] -股関節を深く曲げて 大腿部と直角になる線が目標に向いている場合には、 大腿の皮膚を捻るようにズラしながら目標から遠ざかるような 切っ掛けが気持ちよい可能性が一番高いですが、 逆に 皮膚を近づけるほうの可能性もあるのは今までと同じです。 -この場合には、 動きの操体としては、 膝倒しか膝戻しの動きが似たような効果を生む可能性が高いです。 --膝戻しというのは膝倒しの反対で、 倒れている状態の膝を戻してくる動きの事です。 ---この場合にも 片手で出来ない場合には 目標の痼りから手を離して両手で行い、 後で目標の痼りの変化を確認します。 *目標が解っているのに予測しないで失敗した例 [#f0d0c3f6] -言葉だけだと伝わりにくい内容かも知れません。 巧く伝わりましたでしょうか? -先日なかなか腕が後ろに回せない方がいました。 --いろいろ試した結果 真っ直ぐ腕を伸ばしたままなら 後ろに回せるようになったのですが、 そこから肘を曲げる事が出来ません。 ---この状態からなら 肩胛骨が動かないと肘は曲げられそうに無いなと思って 肩胛骨周りを調べてみたら、 肩胛骨の背骨側の上縁付近が広い範囲で硬くて、 肩胛骨が動きにくい事が解りました。 -慢性期の肩こりなどに効果が高いので良く行っている うつ伏せの状態から肘を持ち上げてみる操体をしてみました。 --すると、 上腕がその肩胛骨内上縁の方向を向いた状態で持ち上げると 一番気持ちよいという事で、 息も凄く深くなりました。 ---息が落ち着いてから試してみると、 肘を30度近く曲げられるようになりました。 -この操体は、 肘を脇腹のほうに近づけるほうに持ち上げると 気持ちよいという方が7割を越えるので、 始めそっちのほうに動かしたら 痛くて駄目と言われてしまいました。 --目標とする場所があったのだから 今回書いた内容を思い出して、 始めに上腕の向きを痼りのほうに向けた姿勢を試して見れば 痛い思いをさせないで済んだかなと反省しました。 *目標が違うと予測は外れやすい [#oec74020] -今回は、 痼りの在る所に力が伝わるように 大腿や上腕の位置決めをするという視点で、 目標とする痼りに合った操体を予測する という話を書きました。 --もちろん、外れる事もあります。 --目標とした痼りが その時に一番、受け手の方の体が治したがっている痼り で無い時に 外れる事が多くなります。 ---体はその時一番治したい痼りに合わせた操体を選びますから。 -そういう点に注意しながら、野次馬してみてください。 **次回は、「痼りの在る筋肉を縮める動き」 [#w0f73255] -次回は、痼りから操体を予測する事の2回目で、 「痼りの在る筋肉を縮める動き」というテーマで書きます。 --これも勘の良い方なら当たり前の話だろうと思います。 ---そして、次々回は、 カワの操体と痼りとの関係に進んでいきたいと思います。 *7.おわりに    >>>つぎへ>>>[[シコりに合わせた操体を予測]] ---- 術伝HP内検索:上の@wikiメニューの「wiki内検索」 ----- *お知らせとお願い **術伝流鍼灸操体講座で患者さん役を募集  術伝流鍼灸操体講座は、実践面を重視しています。実際に症状が出て いる方の治療を見たほうが勉強になります。そこで、講座で患者さん役 をしてくださる方を募集しています。  くわしくは、[[術伝流のモデル]]をみてください。  よろしくお願いします。 **感想など  感想などありましたら、[[「術伝」掲示板>http://jutsuden.bbs.fc2.com/]]に書いてください。  また、「術伝」掲示板でも、旧掲示板「養生の杜」と同じように、養生に ついての雑談や、症例相談などもしていきたいと思っています。  よろしくお願いします。 **間違いなど  間違いなど見つけた方は、[[術伝事務局>jutsuden-jmkk@yahoogroups.jp]]あてにメールをください。  よろしくお願いします。 **「術伝」症例相談用メーリングリストの参加者募集  「術伝」では症例相談用メーリングリスト( [[術伝ML(muchukand)>http://groups.yahoo.co.jp/group/muchukand/]])の 参加者を募集しています。  よろしくお願いします。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
累積:&counter()___ 昨日:&counter(yesterday) ___今日:&counter(today) ------ &size(24){&color(green){シコりに合わせた操体を予測}} ---- 操体もくもく・操体の自然則 (9) シコりに合わせた操体を予測 #contents *1.はじめに  先回は、&bold(){タワメの間では、目標のシコりは消える}という話でしたが、 今回は、&bold(){目標のシコりにふさわしいタワメの間を予測する}という話を 書きます。  先々回に、&bold(){体が治したいのは、タワメの間で力がはたらくところ} と書いたことと、先回の内容の組み合わせから、勘の良い人ならすぐ 思いついてしまうかもしれないくらい当たり前の話かも。 *2.目標に合わせた操体を予測  目標とするシコりがあるときに、そのときその人がとっている姿勢 をすこし変えていくことで、そのシコりが消えるようなタワメの間の 姿勢に持っていけないかなというのが、今回のテーマです。  それができれば、気持ち良さが感じられるか、息が深くなったか確 かめてから、それらのサインがつづくあいだ、その姿勢を維持すれば、 たぶんシコりは消えるんじゃないかなということです。 **仰向け大の字に近いとき  いままでためしてきた経験から、受け手にいろいろな操体をつづけ てして、その日はもう十分かなという状態になると、あお向けで大の 字にちかい姿勢になることがおおいです。  そうなったときをまず例にしてみます。まず基本的なことをわかっ てもらいやすいように思うので。  あお向け大の字にちかい姿勢で、それでも、まだ、どこか気になる ところがないか、聞いてみます。  あるようだったら、そこに指をあてて様子をたしかめておきます。  つぎに、足の大腿部の延長線が、目標の気になるところにむくよう に、足の広げ方を調節します。  目標のシコりが右肩のときには、右足は、ほば、そのまま伸ばし、 左足は、右足よりもすこし開いた格好になります。  腕も同じようにします。ただし、腕は、上腕のむきと直角で肩をと おる線が目標をさすようにしてもよいです。  上腕の延長か直角の延長かは、動かすまえの腕の位置にちかいほう を、まずためしてみればよいと思います。  そして、その姿勢で、気になるところに皮膚の操体をしてみると、 すこし気持ち良さが深くなると思います。  あいている手で、とどく範囲の手足に、皮膚や動き操体を付け加え ると、もうすこし気持ち良さが深くなるでしょう。  このとき、上腕や大腿が気になるところの延長にあるときには、そ のあたりの皮膚を目標から遠ざけるような皮膚の操体をしてもよいし、 それと同じ効果のある動きの操体をしてもよいです。  上腕が、肩で、目標と肩をむすぶ線と直角になっているときには、 上腕の皮膚を上腕骨にたいして直角に目標から遠ざかる方向にねじる 皮膚の操体をしてもよいし、それと同じ効果のある動きの操体をして もよい、つまり、ねじってみてもよいです。  つまり、どちらでも、目標の気になるところの皮膚を引っ張るよう な動きが伝わればよいのです。 **目標の上の皮膚を引っ張る刺激が良いことがおおい  いろいろためしてみましたが、そういう動きのほうが、目標の気に なるところへ近づけていくていくような動きが伝わるときよりも、気 持ち良さが深くなることがおおかったです。  右肩に目標のシコりがあるときには、右足は、小指側が足甲側にま わるような足首捻転をしながら引っ張ると、気持ちよいことがおおい です。  このとき、左足は、すこし開いた状態からなので、足首を立てた形 で固定してから、引っ張ったほうが気持ちよいことが、比較的おおい ようです。  こういう大の字に寝た姿勢で、足首などの遠いところをキッカケに するときには、引っ張る動きのほうが遠くまで伝わりやすいせいかも しれません。  もちろん、どちらもイイ感じがしなかったら、別の引っ張り方をし てみて、イイ感じのものをえらびます。  また、引っ張る動きをいろいろためして、気持ち良さが深くならな いようなら、近づける動きなど、ほかの動きが伝わるような方法をた めしてみてもよいと思います。  そして、受け手と言葉が通じないなら、おなかに息が深くならなかっ たら、ちがう方法をためしてみてもよいし、大腿・上腕などの皮膚を 目標のシコりから遠ざかる方向と近づく方向の2方向にズラしてみて ズレやすいほうにズラすか、それと同じ効果のある動きの操体をまず やってみてもよいと思います。 ***数人がかりの極楽操体  講習会などで大勢の人がいるときには、目標の気になるところに皮 膚の操体をしている人と別の人が、手足それぞれを担当したほうが、 気持ち良さが深くなりやすいです。  受け手に首をいろいろな方向にすこし動かしてもらって気持ちの良 い方向があったら、それをすこし強調するというか、その首の格好を 維持してあげる担当も作ると、もうすこし気持ち良さが深くなります。  全部で6人がかりの操体操法になります。  「すごく気持ち良い、これは極楽だな」と言った人もいました。  操体は自力が基本ですが、人にやってもらうほうが気持ちよいこと がおおいようです。  たまには、こういう6人がかりの操体操法も味わってみてもよいの ではないかなと思います。  それに、この6人がかりの操体を受けてみると、全身に連動する感 じ、体まるごとの気持ち良さという感覚がはっきりつかめるようです。  それまで全身に連動するという感じがよくわからないと言っていた 人が、6人がかりで、しかも、一人一か所ずつ順に操体するところを ふやしていくなかで、すこしずつ気持ち良さが深くなっていく感覚を 味わってからは、全身に連動すると気持ちよいということが実感でき るようになったそうです。  そういう実感をいちど味わえると、一人操体のときにも、体まるご との気持よさを味わいやすくなると思います。  そういう意味でも極楽操体をたまに受けるのもいいのではないかと 思っています。 *うつ伏せや横向きなど一般の場合の操体の予測 [#uf00cba2] -さて、うつ伏せや横向き寝の場合には、 仰向き寝ほど単純ではなく、つまり、 気になる処に動きを伝える方法がいろいろあって、 手足や首、それぞれ一つずつ、 受け手の方と相談しながら、 言葉が通じない方の場合には 息がより深くなるように気を付けながら、 動かし方や皮膚のズラし方を決めていく必要があります。 --それでも、 片手でカワの操体を気になる処、つまり、 目標の痼りにしている場合よりも 息がより深くなる事が多くなります。 ---一人で行う場合には、 手足と首の5箇所のうちから、 受けての方の体が一番やってもらいたがる処や 息が深くなりやすい所を 付け加えれば良いと思います。 **楽に手が届く所を選んで、同時に操体 [#gada58ca] -ただ、 操者の姿勢に無理があっては 気持ちよい操体になりにくいので、 手が楽に届く範囲の候補の中から選ぶ  事になります。 --楽な態勢で寝てもらって 頭や首や胴体にある痼りにカワの操体をする場合には、 上半身なら操者に近いほうの腕を選び、 その上腕の延長にその痼りが在るか、 上腕と直角の線の延長にあるか確かめます。 ++延長なら、 先ずその胴体の痼りと同じ面にある上腕の皮膚を 痼りから遠ざかるほうにズラしてみる事を切っ掛けにすると 気持ち良さが増す可能性が高くなるようです。 また、 ++直角方向なら、 痼りから遠ざかるほうに上腕の皮膚を捻る事を切っ掛けにすると 気持ち良さが増す可能性が高くなるようです。 **引っ張るだけでなく縮める方向の可能性もある [#dd72c16c] -しかし、 ほぼ体が整って大の字に寝た姿勢から 足首を切っ掛けにする場合には 目標から遠ざかる方向が気持ちよい事が殆どだったのに比べると、 縮める方向にズラす事のほうが気持ち良さが増す という可能性も結構高いので、 受け手の方に聞いて確かめたり、 言葉が通じない方ならお腹への息の入り具合を観察したり、 上腕部のカワのズレ易さを観たりして、 確かめると良いと思います。 --先回書いた、 タワメの間で最も伸びようとしている所か、 最も縮もうとしている所に、 その時に体が治したがっている痼りがある事が多い という話を思い出してください。 ---それを予測に利用してわけです。 ***肘を膝で支える [#h14f8d18] -余談になりますが、こういう風に 2箇所同時にカワの操体をする場合には、 時間が長くなって腕が疲れても 反対側の手で肘を支えたりする事が出来ません。 --それで、 両足の膝を巧く使って操体している手の肘を支えると 長時間疲れないでカワの操体を続けられます。 ---ベッドの上に受け手の方がいる場合には 膝で支えるのは難しいので、そういう場合には、 肘枕や膝枕を利用して、 カワ操体をしている手の肘を支えても良いと思います。 **カワと同じ効果の動きの操体を組み合わせる [#lc71dddf] -話を戻します。先ほど書いた、 目標の痼りと上腕の痼りに同時にカワの操体をする場合に、 上腕へカワの操体の代わりに 効果の似た動きの操体を腕にしても同じ様な結果が出ます。 --つまり 上腕を引っ張るか捻るかするような動きが 生まれるような動きの操体をすればよいわけです。 ---上腕を直接動かしても良いし、 手首を持って 上腕にそういう動きが伝わるような動きを切っ掛けにして 動きの操体をしても似たような効果は出せます。 -上腕の皮膚が目標の痼りに近づくほうにズレ易い場合には、 ++その方向に上腕を肩関節に押し込んでいく動きが 一つ切っ掛けになります。  が、それ以外にも、 ++上腕のその時皮膚ズラしをしている面と 目標の痼りが近づくように 上腕を目標の痼りのほうに曲げていく動きも 気持ちよい可能性が高いです。 ---これは逆に考えれば、 そういう動きがやりやすい場合には 上腕の皮膚は目標のほうにズレ易くなるからです。 **目標から手を離して、両手で予測した操体をする [#wbfd83d7] -このように、 目標となる痼りに対して動きの操体も 或る程度予測していく事が出来ます。 -しかし、 片手では動きの操体はやりにくい事もあります。 --そういう時には、 目標とする痼りに当てている手を離して 両手で予測できた動きの操体をしてみる のもよいと思います。 ---もちろん、 受け手の方が気持ち良さを感じられるか確認しながら、また、 言葉が通じない方の場合には息の深さを確認しながら行います。 --その動きの操体が終わった後で、 目標の痼りに変化があったかどうか確認してみてください。 **関連する痼りが大腿の場合 [#uf2ce3a1] -下半身に痼りがあったりして 操者のもう一方の手が楽に大腿部に届く場合には、 大腿にカワの操体が出来ますが、 これも手が楽に届くほうの大腿を選び、 その大腿が痼りのあるほうに向いていれば、 その痼りから遠ざかるほうに皮膚をズラす事を切っ掛けにする のを先ず試してみると良いと思います。 -この場合、 動きの操体としては、 大腿部が目標を向いていて、しかも、 目標から遠ざかる動きを切っ掛けにする操体操法が 気持ち良さを感じられる可能性が高くなります。 --つまり、 足を引っ張る場合には、 大腿部の延長が目標の痼りを指すように 足の開き具合や足首の高さを調節する必要があります。 ---足を引っ張るのは片手では出来ないので、 目標の痼りから手を離して引っ張って、 終わってから目標の痼りが変化したか確認する というやり方になります。 ***近づくほうが良い場合 [#u043d0f9] -この時にも、逆に 目標に近づく方が気持ちよい可能性もあります。 --その時には 大腿の皮膚をその方向にズラすカワの操体をする と良いでしょう。 --動きの操体としては 大腿を押し込む動きの他に、 大腿と目標が近づくように 股関節を曲げていく動きも候補になるのは、 上腕の場合と同じです。 ---もちろん、 大腿を動かすのは、 腕よりも片手で動かすのが難しい事が多いわけで、そ ういう場合には、先ほども書いたように 目標の痼りから一度手を離して、 終わってから変化を確認するという方法になります。 ***股関節が深く曲がっている場合 [#dff97292] -股関節を深く曲げて 大腿部と直角になる線が目標に向いている場合には、 大腿の皮膚を捻るようにズラしながら目標から遠ざかるような 切っ掛けが気持ちよい可能性が一番高いですが、 逆に 皮膚を近づけるほうの可能性もあるのは今までと同じです。 -この場合には、 動きの操体としては、 膝倒しか膝戻しの動きが似たような効果を生む可能性が高いです。 --膝戻しというのは膝倒しの反対で、 倒れている状態の膝を戻してくる動きの事です。 ---この場合にも 片手で出来ない場合には 目標の痼りから手を離して両手で行い、 後で目標の痼りの変化を確認します。 *目標が解っているのに予測しないで失敗した例 [#f0d0c3f6] -言葉だけだと伝わりにくい内容かも知れません。 巧く伝わりましたでしょうか? -先日なかなか腕が後ろに回せない方がいました。 --いろいろ試した結果 真っ直ぐ腕を伸ばしたままなら 後ろに回せるようになったのですが、 そこから肘を曲げる事が出来ません。 ---この状態からなら 肩胛骨が動かないと肘は曲げられそうに無いなと思って 肩胛骨周りを調べてみたら、 肩胛骨の背骨側の上縁付近が広い範囲で硬くて、 肩胛骨が動きにくい事が解りました。 -慢性期の肩こりなどに効果が高いので良く行っている うつ伏せの状態から肘を持ち上げてみる操体をしてみました。 --すると、 上腕がその肩胛骨内上縁の方向を向いた状態で持ち上げると 一番気持ちよいという事で、 息も凄く深くなりました。 ---息が落ち着いてから試してみると、 肘を30度近く曲げられるようになりました。 -この操体は、 肘を脇腹のほうに近づけるほうに持ち上げると 気持ちよいという方が7割を越えるので、 始めそっちのほうに動かしたら 痛くて駄目と言われてしまいました。 --目標とする場所があったのだから 今回書いた内容を思い出して、 始めに上腕の向きを痼りのほうに向けた姿勢を試して見れば 痛い思いをさせないで済んだかなと反省しました。 *目標が違うと予測は外れやすい [#oec74020] -今回は、 痼りの在る所に力が伝わるように 大腿や上腕の位置決めをするという視点で、 目標とする痼りに合った操体を予測する という話を書きました。 --もちろん、外れる事もあります。 --目標とした痼りが その時に一番、受け手の方の体が治したがっている痼り で無い時に 外れる事が多くなります。 ---体はその時一番治したい痼りに合わせた操体を選びますから。 -そういう点に注意しながら、野次馬してみてください。 **次回は、「痼りの在る筋肉を縮める動き」 [#w0f73255] -次回は、痼りから操体を予測する事の2回目で、 「痼りの在る筋肉を縮める動き」というテーマで書きます。 --これも勘の良い方なら当たり前の話だろうと思います。 ---そして、次々回は、 カワの操体と痼りとの関係に進んでいきたいと思います。 *7.おわりに    >>>つぎへ>>>[[シコりに合わせた操体を予測]] ---- 術伝HP内検索:上の@wikiメニューの「wiki内検索」 ----- *お知らせとお願い **術伝流鍼灸操体講座で患者さん役を募集  術伝流鍼灸操体講座は、実践面を重視しています。実際に症状が出て いる方の治療を見たほうが勉強になります。そこで、講座で患者さん役 をしてくださる方を募集しています。  くわしくは、[[術伝流のモデル]]をみてください。  よろしくお願いします。 **感想など  感想などありましたら、[[「術伝」掲示板>http://jutsuden.bbs.fc2.com/]]に書いてください。  また、「術伝」掲示板でも、旧掲示板「養生の杜」と同じように、養生に ついての雑談や、症例相談などもしていきたいと思っています。  よろしくお願いします。 **間違いなど  間違いなど見つけた方は、[[術伝事務局>jutsuden-jmkk@yahoogroups.jp]]あてにメールをください。  よろしくお願いします。 **「術伝」症例相談用メーリングリストの参加者募集  「術伝」では症例相談用メーリングリスト( [[術伝ML(muchukand)>http://groups.yahoo.co.jp/group/muchukand/]])の 参加者を募集しています。  よろしくお願いします。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

表示オプション

横に並べて表示:
変化行の前後のみ表示: