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術伝流操体no.19 - (2010/07/14 (水) 07:45:32) の1つ前との変更点

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------ &color(green){術伝流操体no.19}&size(24){&color(green){ 横向き寝で、動きの操体}} ------ (2)楽な寝方を少し強調 篇  その6 横向き寝で、動きの操体 #contents *1.はじめに  今回からは、横向き寝の操体です。まずは、動きの操体から。体の調子が悪くなると 横向きに寝るのがラクな人が増えていきます。横向き寝からの操体は、橋本敬三先生の 本にはあまり出てきませんが、現在では頻繁に使うので、しっかり覚えてください。  横向き寝の場合に、まずはじめに観察するのは膝の曲げ伸ばしです。膝を曲げたほう がラクな人が多いです。はじめは、横向きに寝ながら足を重ねて真っ直ぐ伸ばしている 人もいます(写真1)が、声をかけて膝を曲げた状態と真っ直ぐな状態を比較してもら うと曲げたほうがラクなことに気づく人が多いです。 #image(p操体あ0808#01)写真1 しかも、膝を重ねているよりも膝をズラしてどちらの膝も床に着いている状態がラクな 人がいちばん多いです。 *2.横向き膝曲げで、動きの操体  横向き膝曲げの姿勢がラクな場合に、つぎに観察するのは、上になっている側の足の 膝が下になっている側の膝よりも前に出ている(写真2)か、後ろ側(写真3)かです。 &ref(2.jpg,nolink);写真2 &ref(3.jpg,nolink);写真3 比較すると、前に出ているほうがラクな人が多いです。 **1)上の足の膝が前なら  上側の膝が前の場合には、上の腰を畳のほうに動かしていくのが気持ちよい場合が多 くなります。膝と腰の位置関係によって少しずつ違いが出てくるので、まず膝の位置が いちばんラクな位置になっているか確認する必要があります。  上になっている足の小指の4指側か、4指の小指側の指裏関節部の端を少し痛くする と、膝を動かして逃げます(写真4)。 &ref(4.jpg,nolink);写真4 痛みがいちばん減ったところがラクな膝の位置になることが多いです。 ***Ⅰ)上側の大腿に注目する  上になっている足の膝の位置が決まったら、つぎに大腿に注目します。ラクな寝方が 決まった場合、体がそのときに変えたがっているところは、大腿の延長線上か平行な線 上、大転子を通り大腿と直行する線上にあることが多くなります。  そして、大腿の延長線上や平行な線上に胴体があるか、大転子を通り大腿と直交する 線上に胴体があるかによって決まってくることが多いです。3つすべて試して、気持ち 良さが感じられるか、腹の息が深くなるか確かめてもよいのですが、横向き寝の場合に は、圧倒的に、大腿と平行な線上にある場合が多くなります。  具体的に動きとして言えば、尻を膝のほうに動かすときに、気持ち良さが感じられた り、腹の息が深くなることが多いです。 &bold(){(i)尻の上側を膝のほうに動かす}  大転子や腰骨の背中側(蝶骨の後側上端)のあたりに手のひらをおいて、手が滑らな いように、膝のほうにゆっくり動かしていきます(写真5)。軽い力で動く範囲で。 &ref(5.jpg,nolink);写真5 &bold(){・イイ感じを増やして止めたくなるまで続ける}  気持ち良さが感じられるか、腹に息が深く入ったか確認し、膝のほうへ動かそうとす る力を加え続けます。  言葉の通じる人には声をかけて、操者の手が触れていないところ、たとえば、首を左 右どちらに回すと気持ち良さが増えるか聞いて、気持ち良さが深くなるように首を動か してもらいます。触れていない手足も気持ち良さが深くなるような格好を探してもらい ます。わずらわしくない範囲で。  受け手が姿勢を少しずつ変えていくのに合わせて、ちょうどよく釣り合ったタワメの 間になるように、操者も加えている力の入れ方、力を入れる方向や強さなどを少しずつ 変えながら支え続けます。  受け手が大きく姿勢を変えたくなるか、息が浅くなったり、気持ち良さが感じられな くなるまで続けます。  言葉が通じない人の場合には、引き込まれるように感じられるときは続けてほしいと いうサインで、押し返すように感じられるときには終わりにしてほしいサインです。  しばらくラクな姿勢で休んでもらいます。 &bold(){(ii)腕や首の動きを加える}  今度は操者の両手を使ってみます。片方の手は「ⅰ)尻の上側を膝のほうに動かす」で 説明したように、尻を膝のほうに動かします。もう一方の手をどこに置くかです。目を 付けるのは、肩をはじめ上半身です。  横向き寝で膝を曲げた姿勢がラクで尻を大腿に動かすと気持ちよい場合には、上半身 のラクな動きはおもに二通りになります。肩のあたりも胸のほうに動かしたほうがよい 場合と、反対に背中のほうに動かしたほうがよい場合です。比較すると、背中側に動か したほうがよい場合がやや多くなります。  肩を背中側に動かしたほうがよい場合には、体全体を腰椎を境に捻る動きになります。 腕を背中側にして大腿と平行に伸ばす(写真6)か、肩から大腿と直行する線上に伸ば す(写真7)かそのどちらかがよい場合が多いです。 &ref(7.jpg,nolink);写真6 &ref(6.jpg,nolink);写真7 しかし、たまに胴体側面延長線上に伸ばしたいという人もいます(写真8)。こういう 人は体を捻りたいというよりも体の横側を伸ばしたいのだろうと思います。 &ref(9.jpg,nolink);写真8  肩を前に動かすのがラクな場合には、体全体を少し前屈させながら上になっている側 を畳や布団に近づけていく動きになります(写真9)。 &ref(10.jpg,nolink);写真9 &bold(){・胴体が捻れる場合}  胴体が捻れていくのがよい場合には、空いている手のひらで肩を包み込むようにして 滑らないようにし、ゆっくり動きやすいほうに動かします。軽い力で動く範囲で。  腕を大腿と平行に伸ばしている場合には、その手をその方向に伸ばすようにする動き がよいことが多くなります(写真6)。 &ref(7.jpg,nolink);写真6  腕を大腿と直行するほうに伸ばしている場合には、小指側が手のひら側に回るような 手首捻転がよいことが多くなります(写真7)。 &ref(6.jpg,nolink);写真7  イイ感じを増やす方法は、片手で膝のほうに動かした場合とほぼ同じですが、受け手 が動かせるのはおもに首になります。  姿勢を大きく変えたくなるか止めたくなるまで続け、終わった後はしばらく休んでい ただきます。この場合には、仰向けになって休みたがる人が多いです。 &bold(){・胴体が前屈する場合}  胴体がやや前屈しながら上側が畳や布団に近づいていく場合には、空いている手のひ らの下部を肩と肩甲骨の境目あたりに置き、手のひらで肩関節を包み込んで滑らないよ うにし、ゆっくり動きやすいほうに動かします(写真9)。 &ref(10.jpg,nolink);写真9  軽い力で動く範囲で。この場合には、肩は胴体をやや前屈させるようにしながら畳や 布団に近づけていく動きがよいことが多いです。また、それに合わせて、尻に加えてい る力も体全体をやや前屈させる方向に向きを変えたほうがよいことが多いです。両手で 加えている力が合わさって、体全体に円を描くような感じになりながら、布団や畳に近 づけていきます(写真10)。 &ref(12.jpg,nolink);写真10  イイ感じを増やす方法は、今までほぼ同じですが、首を胸に近づける感じで少し動か すのがイイ感じなことが多いようです。  姿勢を大きく変えたくなるか止めたくなるまで続け、終わった後はしばらく休んでい ただきます。この場合には、うつ伏せになって休みたがる人が多いです。 ***Ⅱ)足首の動きをきっかけに  横向き寝・膝曲げ・上膝前の姿勢からの動きの操体は、尻を膝のほうに動かす操体を 気持ちよいという人が圧倒的ですが、中には足首の動きをきっかけにするのがよいとい う人もいます。  言葉の通じる人には声をかけて、どちらの足首に意識がいきやすいか、どちらの足首 の状態が気になるか、どちらの足首の状態を感じやすいかなど聞いて、どちらにするか 選びます。上になっている足首を選ぶ人が多いです。  決めた足首を左右どちらかに捻転してみることをきっかけにします。上側の足を選ん だ場合は親指を支点に踵を持ち上げてあげる(写真11)のがよいことが多いです。 &ref(13.jpg,nolink);写真11  下側の足を選んだ場合は、親指側を甲の側に回しながら足全体を伸ばす(写真12) という動きがよいという人が比較的多いです。後者の動きは基本的な連動とは違ってい て興味深いです。 &ref(14.jpg,nolink);写真12  イイ感じを増やす方法は、ほぼ同じですが、足首をキッカケにしているので、首以外 に両手や反対側の足も動かせます。  姿勢を大きく変えたくなるか止めたくなるまで続け、終わった後はしばらく休んでい ただきます。 ***Ⅲ)膝曲げや、足首背屈から  いままで説明した以外でも、たとえば、爪先上げ、つまり足首を背屈(写真13)を きっかけにしたり、上になっている膝の曲げを深くしながら胸のほうに近づける(写真 14)ことをきっかけにしたりするのがよい場合もあります。後者の場合には、足首の 背屈を付け加えるとイイ感じが増えることが多いです。 &ref(16.jpg,nolink);写真13 &ref(15.jpg,nolink);写真14  いままで書いてきた動きでイイ感じが少ないときに試してみてください。実際のやり 方は、いままでのを参考に工夫してみてください。 **2)下の足の膝が前なら  下の足の膝が前の場合(写真15)には、上になっている膝や大腿を尻のほうに動か す(写真16)動きがよいことが多くなります。 &ref(17.jpg,nolink);写真15 &ref(18.jpg,nolink);写真16  そして、操体していくとわりと早くに姿勢が変わります。仰向けになるか、反対側を 下にした横向き寝の場合が多いです。本来はそういう姿勢のほうがラクな人が何らかの 理由で最初の姿勢がラクに思ってしまったという場合が多いようです。  もちろんそうでなく、この姿勢が本当にラクな場合もあると思います。そういうとき には、いままで説明したやり方を参考に操体してみてください。 **3)膝と膝が重なっていたら  横向き・膝曲げの寝方でも、膝と膝が重なっている(写真17)姿勢がラクな場合に は、お尻を動かすことをきっかけにするよりも、膝同士をくっつけ合う動きが気持ちよ い場合が多いようです。 &ref(19.jpg,nolink);写真17  受け手が言葉の通じる人なら、もちろん声をかけて膝を押しつけ合ってもらい、その 動きを体全体に伝えてもらうという方法もできます。 ***Ⅰ)膝の内側同士を押し合う  ここでは、疲れて自分であまり動きたくない人や言葉の通じない人を相手にどうする かと説明していきます。  操者の片方の手のひらを下になっている膝に当て、もう一方の手のひらを上になって いる膝の上に乗せます。そして、膝同士が痛くない範囲で押し合うように両手のひらを 寄せていきます(写真18)。 &ref(20.jpg,nolink);写真18  イイ感じを増やす方法には、この場合は、押し合っている膝を脇の下のほうに動かし たり、足首を背屈したり、首を臍を見るように前屈したりする連動がうまれる可能性が 多いようです。  ですから、操体になれてなくて連動がわからない人の場合には、「膝が胸のほうに動 きやすくないですか? 足首は反りやすそうに見えますが。おへそをみると気持ち良さ が増えませんか?」とか声をかけてみるのもよいと思います。  姿勢を大きく変えたくなるか止めたくなるまで続け、終わった後はしばらく休んでい ただきます。 *3.横向き寝で手の動きをきっかけに  横向き寝では足など下半身をきっかけにしたほうがイイ感じのすることが多いですが、 手の動きをきっかけにすることもできます。いろいろあると思いますが、代表例を説明 します。 **1)手のひらを合わせて  横向き寝でラクな格好で寝た姿勢から、両手のひらを合わせます。合わせた手のひら をまずどちらかに捻転します。  イイ感じがするでしょうか? しない場合には、ほかの動き(関節運動の4種8方向 の中から)も試して、いちばんイイ感じのする動きを選び、操者はその動きが元に戻ら ないようにほんの少し強調して支えます(写真19)。 &ref(21.jpg,nolink);写真19  イイ感じを増やすには、首だけでなく足も動かすよう声をかけてみるとよいです。ま た、一つ一つ動かしてもらうよりも「気持ち良さが深くなる姿勢を探してゆっくり動い てください」という感じの声掛けのほうがいい場合もありますので、いろいろ工夫して みてください。  姿勢を大きく変えたくなるか止めたくなるまで続け、終わった後はしばらく休んでい ただきます。 **2)両手小指を手のひら側に  横向き寝の姿勢から両手を合わせ、両手の小指がどちらも手のひら側に回るような手 首捻転をします。 つまり、両手の小指側を合わせた部分を中心にして両方の親指側が手の甲の側に回るよ うな手首捻転をして、だんだん手の甲同士が合わさっていくような動きをしてみます (写真20)。 &ref(22.jpg,nolink);写真20  イイ感じがしたら、操者はその状態が維持できるように両方の手のひらを受け手の両 方の手のひらに重ねて、ほんの少し押しつけ合うようにします(写真21)。 &ref(23.jpg,nolink);写真21  イイ感じを増やすには、やはり、首だけでなく足も動かすよう声をかけてみるとよい です。足首を背屈しながら膝を胸に近づけてくることが多いように思います。  姿勢を大きく変えたくなるか止めたくなるまで続け、終わった後はしばらく休んでも らいます。 *4.おわりに  横向き寝からの動きの操体の基本的なものを紹介しました。次回は、横向き寝からの 皮膚の操体と重さの操体です。 >>>つぎへ>>>術伝流操体no.20
------ &color(green){術伝流操体no.19}&size(24){&color(green){ 横向き寝で、動きの操体}} ------ (2)楽な寝方を少し強調 篇  その6 横向き寝で、動きの操体 #contents *1.はじめに  今回からは、横向き寝の操体です。まずは、動きの操体から。体の調子が悪くなると 横向きに寝るのがラクな人が増えていきます。横向き寝からの操体は、橋本敬三先生の 本にはあまり出てきませんが、現在では頻繁に使うので、しっかり覚えてください。  横向き寝の場合に、まずはじめに観察するのは膝の曲げ伸ばしです。膝を曲げたほう がラクな人が多いです。はじめは、横向きに寝ながら足を重ねて真っ直ぐ伸ばしている 人もいます(写真1)が、声をかけて膝を曲げた状態と真っ直ぐな状態を比較してもら うと曲げたほうがラクなことに気づく人が多いです。 #image(p操体あ0808#01.jpg)写真1 しかも、膝を重ねているよりも膝をズラしてどちらの膝も床に着いている状態がラクな 人がいちばん多いです。 *2.横向き膝曲げで、動きの操体  横向き膝曲げの姿勢がラクな場合に、つぎに観察するのは、上になっている側の足の 膝が下になっている側の膝よりも前に出ている(写真2)か、後ろ側(写真3)かです。 &ref(2.jpg,nolink);写真2 &ref(3.jpg,nolink);写真3 比較すると、前に出ているほうがラクな人が多いです。 **1)上の足の膝が前なら  上側の膝が前の場合には、上の腰を畳のほうに動かしていくのが気持ちよい場合が多 くなります。膝と腰の位置関係によって少しずつ違いが出てくるので、まず膝の位置が いちばんラクな位置になっているか確認する必要があります。  上になっている足の小指の4指側か、4指の小指側の指裏関節部の端を少し痛くする と、膝を動かして逃げます(写真4)。 &ref(4.jpg,nolink);写真4 痛みがいちばん減ったところがラクな膝の位置になることが多いです。 ***Ⅰ)上側の大腿に注目する  上になっている足の膝の位置が決まったら、つぎに大腿に注目します。ラクな寝方が 決まった場合、体がそのときに変えたがっているところは、大腿の延長線上か平行な線 上、大転子を通り大腿と直行する線上にあることが多くなります。  そして、大腿の延長線上や平行な線上に胴体があるか、大転子を通り大腿と直交する 線上に胴体があるかによって決まってくることが多いです。3つすべて試して、気持ち 良さが感じられるか、腹の息が深くなるか確かめてもよいのですが、横向き寝の場合に は、圧倒的に、大腿と平行な線上にある場合が多くなります。  具体的に動きとして言えば、尻を膝のほうに動かすときに、気持ち良さが感じられた り、腹の息が深くなることが多いです。 &bold(){(i)尻の上側を膝のほうに動かす}  大転子や腰骨の背中側(蝶骨の後側上端)のあたりに手のひらをおいて、手が滑らな いように、膝のほうにゆっくり動かしていきます(写真5)。軽い力で動く範囲で。 &ref(5.jpg,nolink);写真5 &bold(){・イイ感じを増やして止めたくなるまで続ける}  気持ち良さが感じられるか、腹に息が深く入ったか確認し、膝のほうへ動かそうとす る力を加え続けます。  言葉の通じる人には声をかけて、操者の手が触れていないところ、たとえば、首を左 右どちらに回すと気持ち良さが増えるか聞いて、気持ち良さが深くなるように首を動か してもらいます。触れていない手足も気持ち良さが深くなるような格好を探してもらい ます。わずらわしくない範囲で。  受け手が姿勢を少しずつ変えていくのに合わせて、ちょうどよく釣り合ったタワメの 間になるように、操者も加えている力の入れ方、力を入れる方向や強さなどを少しずつ 変えながら支え続けます。  受け手が大きく姿勢を変えたくなるか、息が浅くなったり、気持ち良さが感じられな くなるまで続けます。  言葉が通じない人の場合には、引き込まれるように感じられるときは続けてほしいと いうサインで、押し返すように感じられるときには終わりにしてほしいサインです。  しばらくラクな姿勢で休んでもらいます。 &bold(){(ii)腕や首の動きを加える}  今度は操者の両手を使ってみます。片方の手は「ⅰ)尻の上側を膝のほうに動かす」で 説明したように、尻を膝のほうに動かします。もう一方の手をどこに置くかです。目を 付けるのは、肩をはじめ上半身です。  横向き寝で膝を曲げた姿勢がラクで尻を大腿に動かすと気持ちよい場合には、上半身 のラクな動きはおもに二通りになります。肩のあたりも胸のほうに動かしたほうがよい 場合と、反対に背中のほうに動かしたほうがよい場合です。比較すると、背中側に動か したほうがよい場合がやや多くなります。  肩を背中側に動かしたほうがよい場合には、体全体を腰椎を境に捻る動きになります。 腕を背中側にして大腿と平行に伸ばす(写真6)か、肩から大腿と直行する線上に伸ば す(写真7)かそのどちらかがよい場合が多いです。 &ref(7.jpg,nolink);写真6 &ref(6.jpg,nolink);写真7 しかし、たまに胴体側面延長線上に伸ばしたいという人もいます(写真8)。こういう 人は体を捻りたいというよりも体の横側を伸ばしたいのだろうと思います。 &ref(9.jpg,nolink);写真8  肩を前に動かすのがラクな場合には、体全体を少し前屈させながら上になっている側 を畳や布団に近づけていく動きになります(写真9)。 &ref(10.jpg,nolink);写真9 &bold(){・胴体が捻れる場合}  胴体が捻れていくのがよい場合には、空いている手のひらで肩を包み込むようにして 滑らないようにし、ゆっくり動きやすいほうに動かします。軽い力で動く範囲で。  腕を大腿と平行に伸ばしている場合には、その手をその方向に伸ばすようにする動き がよいことが多くなります(写真6)。 &ref(7.jpg,nolink);写真6  腕を大腿と直行するほうに伸ばしている場合には、小指側が手のひら側に回るような 手首捻転がよいことが多くなります(写真7)。 &ref(6.jpg,nolink);写真7  イイ感じを増やす方法は、片手で膝のほうに動かした場合とほぼ同じですが、受け手 が動かせるのはおもに首になります。  姿勢を大きく変えたくなるか止めたくなるまで続け、終わった後はしばらく休んでい ただきます。この場合には、仰向けになって休みたがる人が多いです。 &bold(){・胴体が前屈する場合}  胴体がやや前屈しながら上側が畳や布団に近づいていく場合には、空いている手のひ らの下部を肩と肩甲骨の境目あたりに置き、手のひらで肩関節を包み込んで滑らないよ うにし、ゆっくり動きやすいほうに動かします(写真9)。 &ref(10.jpg,nolink);写真9  軽い力で動く範囲で。この場合には、肩は胴体をやや前屈させるようにしながら畳や 布団に近づけていく動きがよいことが多いです。また、それに合わせて、尻に加えてい る力も体全体をやや前屈させる方向に向きを変えたほうがよいことが多いです。両手で 加えている力が合わさって、体全体に円を描くような感じになりながら、布団や畳に近 づけていきます(写真10)。 &ref(12.jpg,nolink);写真10  イイ感じを増やす方法は、今までほぼ同じですが、首を胸に近づける感じで少し動か すのがイイ感じなことが多いようです。  姿勢を大きく変えたくなるか止めたくなるまで続け、終わった後はしばらく休んでい ただきます。この場合には、うつ伏せになって休みたがる人が多いです。 ***Ⅱ)足首の動きをきっかけに  横向き寝・膝曲げ・上膝前の姿勢からの動きの操体は、尻を膝のほうに動かす操体を 気持ちよいという人が圧倒的ですが、中には足首の動きをきっかけにするのがよいとい う人もいます。  言葉の通じる人には声をかけて、どちらの足首に意識がいきやすいか、どちらの足首 の状態が気になるか、どちらの足首の状態を感じやすいかなど聞いて、どちらにするか 選びます。上になっている足首を選ぶ人が多いです。  決めた足首を左右どちらかに捻転してみることをきっかけにします。上側の足を選ん だ場合は親指を支点に踵を持ち上げてあげる(写真11)のがよいことが多いです。 &ref(13.jpg,nolink);写真11  下側の足を選んだ場合は、親指側を甲の側に回しながら足全体を伸ばす(写真12) という動きがよいという人が比較的多いです。後者の動きは基本的な連動とは違ってい て興味深いです。 &ref(14.jpg,nolink);写真12  イイ感じを増やす方法は、ほぼ同じですが、足首をキッカケにしているので、首以外 に両手や反対側の足も動かせます。  姿勢を大きく変えたくなるか止めたくなるまで続け、終わった後はしばらく休んでい ただきます。 ***Ⅲ)膝曲げや、足首背屈から  いままで説明した以外でも、たとえば、爪先上げ、つまり足首を背屈(写真13)を きっかけにしたり、上になっている膝の曲げを深くしながら胸のほうに近づける(写真 14)ことをきっかけにしたりするのがよい場合もあります。後者の場合には、足首の 背屈を付け加えるとイイ感じが増えることが多いです。 &ref(16.jpg,nolink);写真13 &ref(15.jpg,nolink);写真14  いままで書いてきた動きでイイ感じが少ないときに試してみてください。実際のやり 方は、いままでのを参考に工夫してみてください。 **2)下の足の膝が前なら  下の足の膝が前の場合(写真15)には、上になっている膝や大腿を尻のほうに動か す(写真16)動きがよいことが多くなります。 &ref(17.jpg,nolink);写真15 &ref(18.jpg,nolink);写真16  そして、操体していくとわりと早くに姿勢が変わります。仰向けになるか、反対側を 下にした横向き寝の場合が多いです。本来はそういう姿勢のほうがラクな人が何らかの 理由で最初の姿勢がラクに思ってしまったという場合が多いようです。  もちろんそうでなく、この姿勢が本当にラクな場合もあると思います。そういうとき には、いままで説明したやり方を参考に操体してみてください。 **3)膝と膝が重なっていたら  横向き・膝曲げの寝方でも、膝と膝が重なっている(写真17)姿勢がラクな場合に は、お尻を動かすことをきっかけにするよりも、膝同士をくっつけ合う動きが気持ちよ い場合が多いようです。 &ref(19.jpg,nolink);写真17  受け手が言葉の通じる人なら、もちろん声をかけて膝を押しつけ合ってもらい、その 動きを体全体に伝えてもらうという方法もできます。 ***Ⅰ)膝の内側同士を押し合う  ここでは、疲れて自分であまり動きたくない人や言葉の通じない人を相手にどうする かと説明していきます。  操者の片方の手のひらを下になっている膝に当て、もう一方の手のひらを上になって いる膝の上に乗せます。そして、膝同士が痛くない範囲で押し合うように両手のひらを 寄せていきます(写真18)。 &ref(20.jpg,nolink);写真18  イイ感じを増やす方法には、この場合は、押し合っている膝を脇の下のほうに動かし たり、足首を背屈したり、首を臍を見るように前屈したりする連動がうまれる可能性が 多いようです。  ですから、操体になれてなくて連動がわからない人の場合には、「膝が胸のほうに動 きやすくないですか? 足首は反りやすそうに見えますが。おへそをみると気持ち良さ が増えませんか?」とか声をかけてみるのもよいと思います。  姿勢を大きく変えたくなるか止めたくなるまで続け、終わった後はしばらく休んでい ただきます。 *3.横向き寝で手の動きをきっかけに  横向き寝では足など下半身をきっかけにしたほうがイイ感じのすることが多いですが、 手の動きをきっかけにすることもできます。いろいろあると思いますが、代表例を説明 します。 **1)手のひらを合わせて  横向き寝でラクな格好で寝た姿勢から、両手のひらを合わせます。合わせた手のひら をまずどちらかに捻転します。  イイ感じがするでしょうか? しない場合には、ほかの動き(関節運動の4種8方向 の中から)も試して、いちばんイイ感じのする動きを選び、操者はその動きが元に戻ら ないようにほんの少し強調して支えます(写真19)。 &ref(21.jpg,nolink);写真19  イイ感じを増やすには、首だけでなく足も動かすよう声をかけてみるとよいです。ま た、一つ一つ動かしてもらうよりも「気持ち良さが深くなる姿勢を探してゆっくり動い てください」という感じの声掛けのほうがいい場合もありますので、いろいろ工夫して みてください。  姿勢を大きく変えたくなるか止めたくなるまで続け、終わった後はしばらく休んでい ただきます。 **2)両手小指を手のひら側に  横向き寝の姿勢から両手を合わせ、両手の小指がどちらも手のひら側に回るような手 首捻転をします。 つまり、両手の小指側を合わせた部分を中心にして両方の親指側が手の甲の側に回るよ うな手首捻転をして、だんだん手の甲同士が合わさっていくような動きをしてみます (写真20)。 &ref(22.jpg,nolink);写真20  イイ感じがしたら、操者はその状態が維持できるように両方の手のひらを受け手の両 方の手のひらに重ねて、ほんの少し押しつけ合うようにします(写真21)。 &ref(23.jpg,nolink);写真21  イイ感じを増やすには、やはり、首だけでなく足も動かすよう声をかけてみるとよい です。足首を背屈しながら膝を胸に近づけてくることが多いように思います。  姿勢を大きく変えたくなるか止めたくなるまで続け、終わった後はしばらく休んでも らいます。 *4.おわりに  横向き寝からの動きの操体の基本的なものを紹介しました。次回は、横向き寝からの 皮膚の操体と重さの操体です。 >>>つぎへ>>>術伝流操体no.20

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