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&color(green){術伝流一本鍼no.41 (術伝流・養生の一本鍼・病証編(1))}
&bold(){&size(24){&color(green){未病と発作、経絡、気血水}}}
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#contents
*(1)はじめに
先回のおわりに書いたように、上衝が症状の原因のこともおおく、
慢性期の養生では、腹の邪毒や虚の改善が必要です。そのため、東洋
医学的な病証の把握も大切になってきます。とくに、内科系の養生を
していくときには、重要です。
そこで、今回は、東洋医学的な病証について、私の見方を大雑把に
解説していきます。と言っても、難しいことは言いません。東洋医学
的な病証で、もっとも基本的と私が思う3つのことをとりあげます。
「未病と発作」、「経絡病証」、「気血水病証」の3つです。
「内科系にも応用(術伝流一本鍼no.19)」や、「術伝流は、腹診
中心(術伝流一本鍼no.27)」にも、書いてきたこともありますが、
もう一度まとめて説明しておきます。
一つ目の「未病と発作」は、病の慢性期と急性期を見ています。
二つ目の「経絡病証」は、体を縦切りに見ています。立ち姿勢で体
を前・横・後ろに3分類するのが基本で、前・横・後ろ×内外×手足
で12経絡になります。体の外側を中心にした病気によく当てはま
ります。
三つ目の「気血水病証」は、体を横輪切りに見ています。立ち姿勢
の頭首胴で、肩胛骨・鎖骨から上が「表位」、その下で横隔膜までが
「上焦」、その下で臍までが「中焦」、臍から下が「下焦」です。体
の内側に関係する病気によく当てはまります。
*(2)未病と発作(図1)
&ref(mibyou-to-hossa1110.jpg)図1
東洋医学的な病証の見方として、慢性期は未病、急性期は発作とい
うのが、まずは基本になります。
未病というのは、病が動いていない状態のことです。動いていない
から、症状は、あまりはっきりとは出ていません。が、体に歪みはあ
りますし、瘀血や水毒もあり、そこからすこしずつ邪気がもれている
のが普通です。
瘀血や水毒などが沈静化していて、そこから出ている邪気の量も少
ないので、症状が顕在化しないわけです。
体の恒常性維持機能がはたらいていて、歪んだなりになんとかバラ
ンスを保っている状態です。
そういう未病の体に、耐えきれないストレスがかかると、体は邪毒
を取りいれ増やし、発作的な急性症状の状態になります。また、体は、
未病の状態よりも、生命力はすこし落ちた状態になります。
発作的な急性症状になったときに、安静にしていたり適切な治療を
受けると、体から邪毒が排出されます。そして、体は、元の未病の状
態よりもすこし生命力が高い状態でバランスします。
発作的急性症状になったときに、また、ストレスがかかったり、誤
治を受けたりすると、体は、邪毒を取り入れ増やします。そのため、
症状が消えても、元の未病の状態よりもすこし生命力が低い状態で、
体はバランスしてしまいます。
こういう未病と発作が、いつも繰り返されていると考えるのが、基
本の見方だと思っています。
*(3)経絡病証(図2)
&ref(keiraku-byoushou1110.jpg)図2
経絡病証は、体を縦切りに見ています。つまり、直立2足歩行する
ヒトの体にかかる重力負荷を分担していることを反映した分け方です。
立姿勢での重力線の方向である縦に連携する筋肉同士で、重力負荷を
分担し合っているということです。
立ち姿勢でのヒトの姿を、前から見たとき、横から見たとき、後ろ
から見たとき、その3つのときに見えやすい部分に分けたということ
です。これに、体の内外の区別(2)と、手足の区別(2)を組み合
わせると、12経絡( 3×2×2 )になります。
大雑把には、足という2本の丸太の内側同士がくっついて胴体がで
きていると考えるとよいでしょう。ですから、体の内側も、大雑把に、
前、中〜横、後ろ、この3つに分けられます。
つまり、内側で前側が、太陰の担当分野です。内側で中〜横が、厥
陰の担当です。内側で後ろ側を、少陰が担当しています。
そのため、腹筋のすぐ下にある胃腸は、内・前の足太陰の範囲にな
ります。また、腹膜後器官で背中側から手術する腎臓が、内・後ろの
足少陰になることも分かりやすいと思います。そして、子宮は、体の
中央にあるので、内・中〜横の足厥陰に属することになります。
ですから、体の横輪切りの解剖図を見れば、だいたいどの経絡が担
当するか見当をつけることができます。
たとえば、目の奥の病、網膜剥離や近視乱視が足厥陰(内・横〜中)
に関係するのも、目の高さの横切り解剖図で、網膜や近視乱視に関係
する目を動かす筋肉が内側の中ほどにあるからだと思います。
また、頭のてっぺんの頭痛が厥陰の頭痛とされるのも、内側の真ん
中、つまり、鉛筆で言えば芯にあたるところが頭に出たらどうなるか
考えれば、納得しやすいと思います。
下腿から下の足陰経は、前・横・後ろの対応がすこし違っています。
が、説明していると長くなるので、以下を読んでください。 下腿陰経
で経絡が交差するのも直立2足歩行と関係があります。そのため、下記
を読めば、重力不可と経絡の関係がより分かりやすくなると思います。
[[経絡の交差と2足歩行>http://www26.atwiki.jp/jutsuden/pages/127.html" http://www26.atwiki.jp/jutsuden/pages/127.html]]
この経絡病証は、体幹部、つまり、頭・首・胴の症状を手足に引く
ときに、よく使われる関係です。
*(4) 気血水病証(図3)
&ref(kiketsusui-byoushou1110.jpg)図3
気血水病証では、体を横輪切りに見ています。つまり、肩甲・鎖骨
から上を表位、その下から横隔膜までを上焦、横隔膜から臍までを中
焦、臍から下の胴体部分を下焦と分けています。
未病のときには、表位や上焦は邪気がおおく、中焦は水毒がおおく、
下焦は悪血がおおいとされます。気は軽く、血は重く、水はその中間
なので、病が動かない未病のときには、より重いものが下になってい
るのかなと思いました。
どぶろくをつくって冷蔵庫に静かに放置しておくと、上からガス、
清酒、そして、底のほうには澱(おり)がたまるのとよく似ていると
思います。
発作のときには、腹の邪毒から頭にむかって邪気が突き上げる上衝
という現象が起きます。腹の水毒や瘀血が悪化、つまり、菌やウイル
スが増殖した状態になり、そこから発生した邪気が頭を衝くそうです。
腐った水、つまり菌などが繁殖した水からメタンガスがわくような
ものかなと考えるとわかりやすかったです。
放置したどぶろくをあたたかいところにしばらく出しておき、すこ
し揺すってから栓を開けると泡とともに吹き出します。上衝という現
象は、どぶろくが吹き出す様子にも似ているような気がしています。
それで、私は、未病のときに静かに3つに分かれ、発作のときの上
衝する現象を「どぶろくモデル」と呼んでいます。
また、この病証は、寝た姿勢での重力負荷分担に関係しています。
寝た姿勢では、重力不可は、体の横輪切り方向にかかるからです。
そして、この気血水病証は、頭首胴の症状をその背中側に引く、
つまり、陽に引くのによく使われる関係です。
*(5)大雑把につかもう
病証については、まずは今回解説したくらいのことを大雑把に把握
することが大切です。臨床の場では、大雑把な分類を思い浮かべるほ
うが、細かなことを考えるよりも役に立ちます。
目の前の方が、だいたい大雑把に分類するとどういう状態かつかむ
勘を養い、そのつかんだことに合わせてツボや手順、技法を選んでい
くが大事です。こまかな知識を覚えるよりも、大雑把な分類から判断
できる勘をみがいていきましょう。
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術伝流鍼灸操体講座は、実践面を重視しています。実際に症状が出て
いる方の治療を見たほうが勉強になります。そこで、講座で患者さん役
をしてくださる方を募集しています。
くわしくは、[[術伝流のモデル]]をみてください。
よろしくお願いします。
**感想など
感想などありましたら、[[「術伝」掲示板>http://jutsuden.bbs.fc2.com/]]に書いてください。
また、「術伝」掲示板でも、旧掲示板「養生の杜」と同じように、
養生についての雑談や症例相談などもしていきたいと思っています。
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