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ツボと経絡の観方 - (2017/07/21 (金) 19:43:10) の1つ前との変更点

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累積:&counter()___ 昨日:&counter(yesterday) ___今日:&counter(today) ------ &color(green){体は自然、ツボと筋肉、経絡と重力} &bold(){&size(24){&color(green){ツボと経絡の観方}}}&bold(){&size(15){&color(green){}}} ------ #contents *はじめに  「ツボと経絡の観方」、言い換えれば、術伝では、ツボや経絡 をどう観ているかを説明します。  基本的には、「人は動物、体は自然」で、「ツボは、筋肉の機 能性病変」、「経絡は、重力負荷の分担」と思います。  「ツボは、筋肉の機能性病変」ですが、恒久的なものではなく、 一時的なものです。一時的なものだから、鍼灸で改善できるわけ です。  「経絡は、重力負荷の分担」、特に「正経十二経は、立位での 重力負荷の分担」と考えると、基本的には、経絡が立位で縦方向 に走っているのが理解しやすいと思います。  「正経十二経は、立位での重力負荷の分担」ということは、操 体の橋本敬三先生が昭和13年に発表された「力学的医学の構想」 に出てきます。 「経絡…は相関連している体の内外を走る作用力線の通路…」 「運動力線に対して重力線は重大な役割をするのであるから、  …縦の線である経が主となるものと思われる。」 (『生体の歪みを正す』橋本敬三論想集,創元社p46) *ツボは、筋肉の一時的機能性病変  私は、経験上、ツボを以下のようにイメージしています。 &ref(ksf-tubo-no-katachi.jpg)  筋肉というのは、自在に伸縮できることが特徴ですね。生理学 的には、自在に緊張と弛緩できるという表現の方が良いのかもし れません。ヒトは動物で、動く時には、筋肉を緊張させる(拮抗 筋は弛緩させる)ことによって、動作していますね。  筋肉を使い過ぎると、疲れて過緊張したままに弛緩できない部 分ができます。これがいわゆる痼りです。そして、それ以上使い 過ぎると、もっと疲れて、過弛緩したまま緊張できない部分がで きます。これがいわゆる虚の凝りです。  ツボというのは、皮膚に近い部分の筋肉が過弛緩、奥の底の方 の筋肉が過緊張というのが、基本的な形のように思います。もち ろん、痼りが2,3ある場合や、痼り代わりに筋張りがある場合な どの変化形もありますが。  ですから、皮膚に近い方は、フニャフニャしていて、押すと凹 み、皮膚の下に穴が空いているような感じがします。昔の人が、 「穴」とか「ツボ」とか呼んだわけだなぁと思います。  そして、古いツボほど過弛緩の部分が長いというか、深い所ま で過弛緩で、底の痼りは非常に硬くなるように思います。病を改 善するには、古い虚したツボを見付けることがポイントの1つと 思います。  それに対し、「スポーツマッサージなどで、その日の疲れを取 る」には、実のツボ(表層筋の痼り)を目標にする方が向いてい ます。鍼灸などで病を改善することと、その日の疲れを取ること との違いに注意してください。  この辺り、詳しくは以下に書きました。 [[歪みは筋肉に記憶される]]  明治鍼灸大学時代の伊藤和憲先生のTPの異常活動電位の研究で 「トリガーポイントに成った筋肉は常時活動電位を発生している」 というのがありますね。  …筋肉は常時活動電位を発生…つまり緊張し続けている…これ が過緊張ということの実態なんでしょうね。ツボの底のカチカチ の部分は、必要も無い時も常時活動電位を出し続けている(緊張 し続けている=過緊張)ですね。 *経絡は、筋肉の負荷分担システム  ツボは「筋肉の一時的機能性病変」と考えると分かりやすいと 書いてきました。それを踏まえて上で、「ツボとツボの相関関係」 の1つである経絡などは、基本的には、筋肉同士の負荷分担シス テム(かばい合い)と考えると分かりやすいように思っています。  つまり、ヒトという動物の体に掛かる負荷をかばい合う仕組み という視点で観ると、経絡などの「ツボとツボとの相関関係」が 理解しやすいと思います。  そして、負荷の主なものは、2つかなと考えています。1つ目 は重力、2つ目は症状。詳しく言うと、2つ目は、症状を緩和す る時の姿勢に由来するように思います。 **正経十二経は、立位での重力負荷分担、縦方向が基本 &ref(ksf-tate-soukan.jpg)  ヒトは、動物学的には「直立2足歩行するサル」です。ですか ら、「重力が、基本的な負荷」になります。私は、そのため「経 絡は、立位で縦方向が主」、つまり、「正経十二経は、立位で縦 方向が基本」と観ています。  ついでに「なぜ正経は12か」と言うと、「前・横・後ろで3」、 「手足で2」、「陰陽で2」なので、3×2×2=12ですね。  ここで注意したいのは、「前・横・後ろ」の位置関係が、下腿 の陰経では異なっている点です。これにも、ヒトの直立2足歩行 が関係していると思います。詳しくは、「[[経絡の交差と2足歩行]]」 を読んでみてください。  ツボ同士の相関関係という視点で見ると、立位での重力負荷分 担に由来する「縦切り相関」と思います。 **兪募穴は、「臥位での重力負荷分担」「症状時の姿勢」 ***兪募穴は、「臥位での重力負荷分担」が関係する?  これに対して、兪穴、募穴などは、寝た姿勢での重力負荷の分 担と考えると分かりやすかったです。 &ref(ksf-yokowagiri.jpg) ***兪募穴は、「症状時の姿勢」と関係する?  また、別の視点からは、基本的には、症状が出た時に取る姿勢 との関連も深いように思います。症状が出た時の姿勢で、最も緊 張(縮む)する部分と、最も弛緩する(伸びる)部分に、ツボが 出やすいように思います。  例えば、咳の時の姿勢で、最も縮むのは、「胸の最も腕より (中府あたり)」と「胸骨の中央付近(膻中)」ですね。最も伸 びるのは、「肩甲間部上半分(肺兪など)」と「肩甲骨外端上部 (肩貞)」ですね。  そして、喘息発作の時の姿勢は、場所は咳の場合と同じですが、 伸縮は逆になっているように思います。  腹痛の時は、どうでしょう。消化器系が痛む時に取る姿勢では、 縮むのは「痛む臓器の腹側筋肉」、伸びるのは「痛む臓器の背側 筋肉(胃の六つ灸)」ですね。  生理痛など生殖器系に由来する痛みの時に取る姿勢では、原因 の臓器が足寄りにあるので、腹側も背側も消化器系より少し足寄 りになりますね。 ***いずれにしても、横輪切り相関  寝た姿勢での重力負荷分担、症状時の姿勢の2つの視点を説明 しました。いずれにしても、ツボの相関関係という視点から大雑 把に言えば、立位座位での「横輪切り相関」と言えると思います。  そして、咳をする時の姿勢にも重力不可は関係しているように 思います。立位座位などで倒れないで咳を上手にするために姿勢 が決まってくるように思います。  ですから、腹が痛くて寝る時には、横向き寝が多いですね。 「痛い部分を縮める姿勢」と「寝ること」を両立させるためだと 思います。 **その他、色々な相関関係  ツボ同士の相関関係の主な2つについて書いてきました。立位 での重力負荷分担に由来する「縦切り相関」、寝た姿勢での重力 負荷分担や症状時の姿勢に由来する「横輪切り相関」の2つです。 この2つ他にも、色々な相関関係があります。  詳しくは、「体は自然、臨床は対話」の「動作負荷の分担原則」 の以下の項目を読んでみてください。 「[[横輪切りの原則]]」 「[[縦切りの原則:十四経]]」 「[[足の経絡は全身に関係]]」 「[[背中と脚裏の負荷分担]]」 「[[経絡の交差と2足歩行]]」 「[[左右・前後・上下・対角の相関関係]]」 「[[動作時に連動する筋肉内]]」 *ツボの出方の12の自然則  また、「[[鍼術覚書]]」の「[[ツボ]]」には、「ツボの出方の12の 自然則」を書きました。  この12個の自然則をよく理解すると、患者さんの訴えを聞い たり、体を目で見て手で触って確かめたりしたことと、この12 の自然則を照らし合わせると、ツボの出ている辺りを予測でき ます。しっかり理解してください。  また、[[体は自然、臨床は対話]]の「ツボの出方、探し方」 も参考にしてください。 [[ツボの出やすい所]] [[ツボの近くの状態、ツボの探し方]] [[姿勢や動作でツボを探す]] [[ツボから先の血行や神経伝達の障害]] [[ツボの出方の自然則]] *鍼灸操体、ツボ、経絡とは、要するに   要するに、以下と思います。 1.ツボは、筋肉の機能性病変 2.鍼灸操体は、経絡などツボ同士の相関関係を利用して、   「筋肉の機能性病変を改善」することを手始めに、   「体の歪み、血流、神経伝達などを改善」することに因り、   痛み辛さ症状を改善している *おわりに  ご理解いただけましたか。私は、こんなふうにツボと経絡を観 ています。こういうふうに観ると、ツボや経絡は、現代医学と余 り矛盾しないように思うのですが、いかがでしょう。  伊藤和憲先生は、明治鍼灸大学時代に、ツボの底の硬く痼りに なった部分の筋肉が常時活動電位を発している状態にあることを 研究発表されていますし。 **腹診のためにも、「筋の一時的機能性病変」の研究が必要!?  ただし、「筋肉の一時的機能性病変」という考え方自体は、現 代医学の世界では、未だ一般的でないように思います。その考え 方が一般化するかどうかで、鍼灸操体按摩指圧などの研究が進む かどうかが決まってくるように思います。  また、「筋肉の一時的機能性病変」ということを前提にすると、 漢方の腹診における「心下痞硬」の「痞硬」、「臍下不仁」の 「不仁」の現代医学的定義も、明確になるように思います。 「痞硬」は「筋肉の過緊張型一時的機能性病変」、 「不仁」は「筋肉の過弛緩型一時的機能性病変」と思いますので。  そういう意味で、鍼灸だけでなく漢方の研究の発展のためにも、 「筋肉の一時的機能性病変」についての研究が進むと良いなと思っ ています。  研究者の皆さん、よろしくおねがいします。 **操体を学ぶと、経絡を実感しやすい  また、操体を学ぶと、経絡を実感しやすいと思います。知識と して経絡を知っている人でも、経絡を実感している人は案外少な いように思います。手足への鍼灸で頭首胴(体幹部)の治療経験 を沢山することでも、だんだん実感できます。が、操体を学ぶと 違う視点で、経絡を実感することができます。  例えば、経絡が重力不可分担と関係していることは、立ち姿勢 での「重さの操体」を身に付けると実感しやすいです。  また、頭首胴(体幹部)の症状と手足のツボとの関係は、患部 と関連する手足に出ているツボの両方に手指を置くと分かりやす いです。つまり、頭首胴(体幹部)の症状の出ている辺りに片方 の手指を置きながら、もう片方の手指で手足に出ているツボに皮 膚操体や指圧をしていると、手足のツボの変化に応じて、頭首胴 体の手指を置いている場所の状態も変化していることが観察でき ます。  逆に言うと、皮膚操体などをする時には、患部の近くの皮膚表 面に手指を当て、もう片方の手指で関連する経絡に出ているツボ を順に試しに皮膚操体や指圧してみて、患部の反応が良い所を見 付けてから、本格的な操体や指圧をしていくと、効果が出やすい です。  また、鍼灸をする場合も、同じように、初めに、患部の近くと、 関連する経絡上のツボの候補の両方に、手指を置き、患部近くの 反応が良いツボを選ぶと、鍼灸の効果も出やすいです。 −−−−−− ***間中喜雄先生や増永静人先生と操体 追記:20160105ーーーーーーーーーー  鍼灸や経絡に詳しく『医家のため鍼術入門講座』など鍼灸の実 践書も出している間中喜雄先生が操体のことを「橋本式経筋療法」 と呼んでいたことをご存知ですか? 経絡には経筋以外の要素も あるとは思いますが、経絡を実感するには操体を学ぶことが近道 と思います。  また、経絡指圧の増永静人先生は、操体を橋本敬三先生から学 んだ後に、経絡伸展法や経絡体操を考案されています。これも、 「操体を学ぶと、経絡を実感しやすい」ということに繋がるよう に思います。もちろん、操体を学ぶ以前から構想はあったと思い ますが。 ーーーーー ***NHKスペシャル 腰痛・治療革命〜見えてきた痛みのメカニズム 追記:2017.1.2 NHKスペシャル 腰痛・治療革命〜見えてきた痛みのメカニズム http://www.nhk.or.jp/kenko/nspyotsu/a01.html  ようやく、ここまで来たか〜と言う感じです。 ただ、まぁ、操体の橋本敬三先生のレベルまでは、あと何年か かりますかね。 1.腰痛など運動器系の痛みは、筋肉の機能性病変が原因 2.痛む方向と逆の逆モーションバック運動を基本に、イイ感 じの方向に動くと改善する 2.については、詳しくは、以下を見てください。 「腰の動作制限を改善する」→[[術伝流操体no.3]]  筋肉の機能性病変は、鍼灸など伝統医学の世界では、ツボや経 絡として昔から利用されてきました。 ーーーーー -----    >>>術伝流鍼灸操体講座へ・・[[術伝流鍼灸操体講座]]    >>>このページのトップヘ・・[[ツボと経絡の観方]]    >>>術伝HPトップへ ・・・・[[トップページ]] ----- 術伝HP内検索:上の@wikiメニューの「wiki内検索」 ----- ----- *お知らせとお願い **術伝流鍼灸操体講座で患者さん役を募集  術伝流鍼灸操体講座は、実践面を重視しています。実際に症状が出て いる方の治療を見たほうが勉強になります。そこで、講座で患者さん役 をしてくださる方を募集しています。  くわしくは、[[術伝流のモデル]]をみてください。  よろしくお願いします。 **感想・間違いなど  感想などあったり、間違いなど見つけた方は、[[術伝事務局>jutsuden-jmkk@googlegroups.com]]あてにメールをください。  よろしくお願いします。 **「術伝」症例相談用メーリングリストの参加者募集  「術伝」では症例相談用メーリングリストの参加者を募集しています。 参加希望の方は、[[術伝事務局>jutsuden-jmkk@googlegroups.com]]あてにメールをください。  よろしくお願いします。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 ----    >>>術伝HPトップへ ・・・・[[トップページ]] ----
累積:&counter()___ 昨日:&counter(yesterday) ___今日:&counter(today) ------ &color(green){体は自然、ツボと筋肉、経絡と重力} &bold(){&size(24){&color(green){ツボと経絡の観方}}}&bold(){&size(15){&color(green){}}} ------ #contents *はじめに  「ツボと経絡の観方」、言い換えれば、術伝では、ツボや経絡 をどう観ているかを説明します。  基本的には、「人は動物、体は自然」で、「ツボは、筋肉の機 能性病変」、「経絡は、重力負荷の分担」と思います。  「ツボは、筋肉の機能性病変」ですが、恒久的なものではなく、 一時的なものです。一時的なものだから、鍼灸で改善できるわけ です。  「経絡は、重力負荷の分担」、特に「正経十二経は、立位での 重力負荷の分担」と考えると、基本的には、経絡が立位で縦方向 に走っているのが理解しやすいと思います。  「正経十二経は、立位での重力負荷の分担」ということは、操 体の橋本敬三先生が昭和13年に発表された「力学的医学の構想」 に出てきます。 「経絡…は相関連している体の内外を走る作用力線の通路…」 「運動力線に対して重力線は重大な役割をするのであるから、  …縦の線である経が主となるものと思われる。」 (『生体の歪みを正す』橋本敬三論想集,創元社p46) *ツボは、筋肉の一時的機能性病変  私は、経験上、ツボを以下のようにイメージしています。 &ref(ksf-tubo-no-katachi.jpg)  筋肉というのは、自在に伸縮できることが特徴ですね。生理学 的には、自在に緊張と弛緩できるという表現の方が良いのかもし れません。ヒトは動物で、動く時には、筋肉を緊張させる(拮抗 筋は弛緩させる)ことによって、動作していますね。  筋肉を使い過ぎると、疲れて過緊張したままに弛緩できない部 分ができます。これがいわゆる痼りです。そして、それ以上使い 過ぎると、もっと疲れて、過弛緩したまま緊張できない部分がで きます。これがいわゆる虚の凝りです。  ツボというのは、皮膚に近い部分の筋肉が過弛緩、奥の底の方 の筋肉が過緊張というのが、基本的な形のように思います。もち ろん、痼りが2,3ある場合や、痼り代わりに筋張りがある場合な どの変化形もありますが。  ですから、皮膚に近い方は、フニャフニャしていて、押すと凹 み、皮膚の下に穴が空いているような感じがします。昔の人が、 「穴」とか「ツボ」とか呼んだわけだなぁと思います。  そして、古いツボほど過弛緩の部分が長いというか、深い所ま で過弛緩で、底の痼りは非常に硬くなるように思います。病を改 善するには、古い虚したツボを見付けることがポイントの1つと 思います。  それに対し、「スポーツマッサージなどで、その日の疲れを取 る」には、実のツボ(表層筋の痼り)を目標にする方が向いてい ます。鍼灸などで病を改善することと、その日の疲れを取ること との違いに注意してください。  この辺り、詳しくは以下に書きました。 [[歪みは筋肉に記憶される]]  明治鍼灸大学時代の伊藤和憲先生のTPの異常活動電位の研究で 「トリガーポイントに成った筋肉は常時活動電位を発生している」 というのがありますね。  …TPに成った筋肉は常時活動電位を発生…つまり緊張し続けて いる…これが過緊張ということの実態なんでしょうね。ツボの底 のカチカチの部分は、必要も無い時も常時活動電位を出し続けて いる(緊張し続けている=過緊張)ですね。 *経絡は、筋肉の負荷分担システム  ツボは「筋肉の一時的機能性病変」と考えると分かりやすいと 書いてきました。それを踏まえて上で、「ツボとツボの相関関係」 の1つである経絡などは、基本的には、筋肉同士の負荷分担シス テム(かばい合い)と考えると分かりやすいように思っています。  つまり、ヒトという動物の体に掛かる負荷をかばい合う仕組み という視点で観ると、経絡などの「ツボとツボとの相関関係」が 理解しやすいと思います。  そして、負荷の主なものは、2つかなと考えています。1つ目 は重力、2つ目は症状。詳しく言うと、2つ目は、症状を緩和す る時の姿勢に由来するように思います。 **正経十二経は、立位での重力負荷分担、縦方向が基本 &ref(ksf-tate-soukan.jpg)  ヒトは、動物学的には「直立2足歩行するサル」です。ですか ら、「重力が、基本的な負荷」になります。私は、そのため「経 絡は、立位で縦方向が主」、つまり、「正経十二経は、立位で縦 方向が基本」と観ています。  ついでに「なぜ正経は12か」と言うと、「前・横・後ろで3」、 「手足で2」、「陰陽で2」なので、3×2×2=12ですね。  ここで注意したいのは、「前・横・後ろ」の位置関係が、下腿 の陰経では異なっている点です。これにも、ヒトの直立2足歩行 が関係していると思います。詳しくは、「[[経絡の交差と2足歩行]]」 を読んでみてください。  ツボ同士の相関関係という視点で見ると、立位での重力負荷分 担に由来する「縦切り相関」と思います。 **兪募穴は、「臥位での重力負荷分担」「症状時の姿勢」 ***兪募穴は、「臥位での重力負荷分担」が関係する?  これに対して、兪穴、募穴などは、寝た姿勢での重力負荷の分 担と考えると分かりやすかったです。 &ref(ksf-yokowagiri.jpg) ***兪募穴は、「症状時の姿勢」と関係する?  また、別の視点からは、基本的には、症状が出た時に取る姿勢 との関連も深いように思います。症状が出た時の姿勢で、最も緊 張(縮む)する部分と、最も弛緩する(伸びる)部分に、ツボが 出やすいように思います。  例えば、咳の時の姿勢で、最も縮むのは、「胸の最も腕より (中府あたり)」と「胸骨の中央付近(膻中)」ですね。最も伸 びるのは、「肩甲間部上半分(肺兪など)」と「肩甲骨外端上部 (肩貞)」ですね。  そして、喘息発作の時の姿勢は、場所は咳の場合と同じですが、 伸縮は逆になっているように思います。  腹痛の時は、どうでしょう。消化器系が痛む時に取る姿勢では、 縮むのは「痛む臓器の腹側筋肉」、伸びるのは「痛む臓器の背側 筋肉(胃の六つ灸)」ですね。  生理痛など生殖器系に由来する痛みの時に取る姿勢では、原因 の臓器が足寄りにあるので、腹側も背側も消化器系より少し足寄 りになりますね。 ***いずれにしても、横輪切り相関  寝た姿勢での重力負荷分担、症状時の姿勢の2つの視点を説明 しました。いずれにしても、ツボの相関関係という視点から大雑 把に言えば、立位座位での「横輪切り相関」と言えると思います。  そして、咳をする時の姿勢にも重力不可は関係しているように 思います。立位座位などで倒れないで咳を上手にするために姿勢 が決まってくるように思います。  ですから、腹が痛くて寝る時には、横向き寝が多いですね。 「痛い部分を縮める姿勢」と「寝ること」を両立させるためだと 思います。 **その他、色々な相関関係  ツボ同士の相関関係の主な2つについて書いてきました。立位 での重力負荷分担に由来する「縦切り相関」、寝た姿勢での重力 負荷分担や症状時の姿勢に由来する「横輪切り相関」の2つです。 この2つ他にも、色々な相関関係があります。  詳しくは、「体は自然、臨床は対話」の「動作負荷の分担原則」 の以下の項目を読んでみてください。 「[[横輪切りの原則]]」 「[[縦切りの原則:十四経]]」 「[[足の経絡は全身に関係]]」 「[[背中と脚裏の負荷分担]]」 「[[経絡の交差と2足歩行]]」 「[[左右・前後・上下・対角の相関関係]]」 「[[動作時に連動する筋肉内]]」 *ツボの出方の12の自然則  また、「[[鍼術覚書]]」の「[[ツボ]]」には、「ツボの出方の12の 自然則」を書きました。  この12個の自然則をよく理解すると、患者さんの訴えを聞い たり、体を目で見て手で触って確かめたりしたことと、この12 の自然則を照らし合わせると、ツボの出ている辺りを予測でき ます。しっかり理解してください。  また、[[体は自然、臨床は対話]]の「ツボの出方、探し方」 も参考にしてください。 [[ツボの出やすい所]] [[ツボの近くの状態、ツボの探し方]] [[姿勢や動作でツボを探す]] [[ツボから先の血行や神経伝達の障害]] [[ツボの出方の自然則]] *鍼灸操体、ツボ、経絡とは、要するに   要するに、以下と思います。 1.ツボは、筋肉の機能性病変 2.鍼灸操体は、経絡などツボ同士の相関関係を利用して、   「筋肉の機能性病変を改善」することを手始めに、   「体の歪み、血流、神経伝達などを改善」することに因り、   痛み辛さ症状を改善している *おわりに  ご理解いただけましたか。私は、こんなふうにツボと経絡を観 ています。こういうふうに観ると、ツボや経絡は、現代医学と余 り矛盾しないように思うのですが、いかがでしょう。  伊藤和憲先生は、明治鍼灸大学時代に、ツボの底の硬く痼りに なった部分の筋肉が常時活動電位を発している状態にあることを 研究発表されていますし。 **腹診のためにも、「筋の一時的機能性病変」の研究が必要!?  ただし、「筋肉の一時的機能性病変」という考え方自体は、現 代医学の世界では、未だ一般的でないように思います。その考え 方が一般化するかどうかで、鍼灸操体按摩指圧などの研究が進む かどうかが決まってくるように思います。  また、「筋肉の一時的機能性病変」ということを前提にすると、 漢方の腹診における「心下痞硬」の「痞硬」、「臍下不仁」の 「不仁」の現代医学的定義も、明確になるように思います。 「痞硬」は「筋肉の過緊張型一時的機能性病変」、 「不仁」は「筋肉の過弛緩型一時的機能性病変」と思いますので。  そういう意味で、鍼灸だけでなく漢方の研究の発展のためにも、 「筋肉の一時的機能性病変」についての研究が進むと良いなと思っ ています。  研究者の皆さん、よろしくおねがいします。 **操体を学ぶと、経絡を実感しやすい  また、操体を学ぶと、経絡を実感しやすいと思います。知識と して経絡を知っている人でも、経絡を実感している人は案外少な いように思います。手足への鍼灸で頭首胴(体幹部)の治療経験 を沢山することでも、だんだん実感できます。が、操体を学ぶと 違う視点で、経絡を実感することができます。  例えば、経絡が重力不可分担と関係していることは、立ち姿勢 での「重さの操体」を身に付けると実感しやすいです。  また、頭首胴(体幹部)の症状と手足のツボとの関係は、患部 と関連する手足に出ているツボの両方に手指を置くと分かりやす いです。つまり、頭首胴(体幹部)の症状の出ている辺りに片方 の手指を置きながら、もう片方の手指で手足に出ているツボに皮 膚操体や指圧をしていると、手足のツボの変化に応じて、頭首胴 体の手指を置いている場所の状態も変化していることが観察でき ます。  逆に言うと、皮膚操体などをする時には、患部の近くの皮膚表 面に手指を当て、もう片方の手指で関連する経絡に出ているツボ を順に試しに皮膚操体や指圧してみて、患部の反応が良い所を見 付けてから、本格的な操体や指圧をしていくと、効果が出やすい です。  また、鍼灸をする場合も、同じように、初めに、患部の近くと、 関連する経絡上のツボの候補の両方に、手指を置き、患部近くの 反応が良いツボを選ぶと、鍼灸の効果も出やすいです。 −−−−−− ***間中喜雄先生や増永静人先生と操体 追記:20160105ーーーーーーーーーー  鍼灸や経絡に詳しく『医家のため鍼術入門講座』など鍼灸の実 践書も出している間中喜雄先生が操体のことを「橋本式経筋療法」 と呼んでいたことをご存知ですか? 経絡には経筋以外の要素も あるとは思いますが、経絡を実感するには操体を学ぶことが近道 と思います。  また、経絡指圧の増永静人先生は、操体を橋本敬三先生から学 んだ後に、経絡伸展法や経絡体操を考案されています。これも、 「操体を学ぶと、経絡を実感しやすい」ということに繋がるよう に思います。もちろん、操体を学ぶ以前から構想はあったと思い ますが。 ーーーーー ***NHKスペシャル 腰痛・治療革命〜見えてきた痛みのメカニズム 追記:2017.1.2 NHKスペシャル 腰痛・治療革命〜見えてきた痛みのメカニズム http://www.nhk.or.jp/kenko/nspyotsu/a01.html  ようやく、ここまで来たか〜と言う感じです。 ただ、まぁ、操体の橋本敬三先生のレベルまでは、あと何年か かりますかね。 1.腰痛など運動器系の痛みは、筋肉の機能性病変が原因 2.痛む方向と逆の逆モーションバック運動を基本に、イイ感 じの方向に動くと改善する 2.については、詳しくは、以下を見てください。 「腰の動作制限を改善する」→[[術伝流操体no.3]]  筋肉の機能性病変は、鍼灸など伝統医学の世界では、ツボや経 絡として昔から利用されてきました。 ーーーーー -----    >>>術伝流鍼灸操体講座へ・・[[術伝流鍼灸操体講座]]    >>>このページのトップヘ・・[[ツボと経絡の観方]]    >>>術伝HPトップへ ・・・・[[トップページ]] ----- 術伝HP内検索:上の@wikiメニューの「wiki内検索」 ----- ----- *お知らせとお願い **術伝流鍼灸操体講座で患者さん役を募集  術伝流鍼灸操体講座は、実践面を重視しています。実際に症状が出て いる方の治療を見たほうが勉強になります。そこで、講座で患者さん役 をしてくださる方を募集しています。  くわしくは、[[術伝流のモデル]]をみてください。  よろしくお願いします。 **感想・間違いなど  感想などあったり、間違いなど見つけた方は、[[術伝事務局>jutsuden-jmkk@googlegroups.com]]あてにメールをください。  よろしくお願いします。 **「術伝」症例相談用メーリングリストの参加者募集  「術伝」では症例相談用メーリングリストの参加者を募集しています。 参加希望の方は、[[術伝事務局>jutsuden-jmkk@googlegroups.com]]あてにメールをください。  よろしくお願いします。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 ----    >>>術伝HPトップへ ・・・・[[トップページ]] ----

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