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ツボと経絡の観方 - (2018/08/10 (金) 16:08:30) の1つ前との変更点
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累積:&counter()___ 昨日:&counter(yesterday) ___今日:&counter(today)
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&color(green){体は自然、ツボと筋肉、経絡と重力}
&bold(){&size(24){&color(green){ツボと経絡の観方}}}&bold(){&size(15){&color(green){}}}
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#contents
*はじめに
「ツボと経絡の観方」、言い換えれば、術伝では、ツボ
や経絡をどう観ているかを説明します。
基本的には、「人は動物、体は自然」で、「ツボは、筋
肉の機能性病変」、「経絡は、重力負荷の分担」と思いま
す。
「ツボは、筋肉の機能性病変(機能性疾患:機能異常の
状態)」です。が、恒久的なものではなく、一時的なもの
(一時的な機能異常の状態)です。一時的なものだから、
鍼灸で改善できるわけです。
「経絡は、重力負荷の分担」、特に「正経十二経は、立
位での重力負荷の分担」と考えると、基本的には、経絡が
立位で縦方向に走っているのが理解しやすいと思います。
「正経十二経は、立位での重力負荷の分担」ということ
は、操体の橋本敬三先生が昭和13年に発表された「力学的
医学の構想」に出てきます。
「経絡…は相関連している体の内外を走る作用力線の通路…」
「運動力線に対して重力線は重大な役割をするのであるか
ら、…縦の線である経が主となるものと思われる。」
(『生体の歪みを正す』橋本敬三論想集,創元社p46)
*ツボは、筋肉の一時的機能性病変
私は、経験上、ツボを以下のようにイメージしています。
&ref(ksf-tubo-no-katachi.jpg)
筋肉というのは、自在に伸縮できることが特徴ですね。
生理学的には、自在に緊張と弛緩できるという表現の方が
良いのかもしれません。ヒトは動物で、動く時には、筋肉
を緊張させる(拮抗筋は弛緩させる)ことによって、動作
していますね。
筋肉を使い過ぎると、疲れて過緊張したままに弛緩でき
ない部分ができます。これがいわゆる痼りです。そして、
それ以上使い過ぎると、もっと疲れて、過弛緩したまま緊
張できない部分ができます。これがいわゆる虚の凝りです。
ツボというのは、皮膚に近い部分の筋肉が過弛緩、奥の
底の方の筋肉が過緊張というのが、基本的な形のように思
います。もちろん、痼りが2,3ある場合や、痼り代わりに
筋張りがある場合などの変化形もありますが。
ですから、皮膚に近い方は、フニャフニャしていて、押
すと凹み、皮膚の下に穴が空いているような感じがします。
昔の人が、「穴」とか「ツボ」とか呼んだわけだなぁと思
います。
そして、古いツボほど過弛緩の部分が長いというか、深
い所まで過弛緩で、底の痼りは非常に硬くなるように思い
ます。病を改善するには、古い虚したツボを見付けること
がポイントの1つと思います。
それに対し、「スポーツマッサージなどで、その日の疲
れを取る」には、実のツボ(表層筋の痼り)を目標にする
方が向いています。鍼灸などで病を改善することと、その
日の疲れを取ることとの違いに注意してください。
この辺り、詳しくは以下に書きました。
[[歪みは筋肉に記憶される]]
明治鍼灸大学時代の伊藤和憲先生のTPの異常活動電位の
研究で「トリガーポイントに成った筋肉は常時活動電位を
発生している」というのがありますね。
…TPに成った筋肉は常時活動電位を発生…つまり緊張し
続けている…これが過緊張ということの実態なんでしょう
ね。ツボの底のカチカチの部分は、必要も無い時も常時活
動電位を出し続けている(緊張し続けている=過緊張)で
すね。
ーーー 追記:2018.6.26 ーーーーーーーーーーーーー
ツボに成った筋肉を改善するというのは、筋肉の一時的
機能性病変(機能性疾患:一時的機能異常の状態)を改善
するということです。消化器(呼吸器、神経)の一時的機
能異常(機能性疾患)を改善するのが消化器(呼吸器、神
経)内科と呼ぶ現代(西洋)医学に倣えば、鍼灸操体指圧
などの東洋的物療は、「筋肉内科」と言うことに成りそう
だなと思います。
ーーー 追記:2018.6.26 終 ーーーーーーーーーーー
*経絡は、筋肉の負荷分担システム
ツボは「筋肉の一時的機能性病変」と考えると分かりや
すいと書いてきました。それを踏まえて上で、「ツボとツ
ボの相関関係」の1つである経絡などは、基本的には、筋
肉同士の負荷分担システム(かばい合い)と考えると分か
りやすいように思っています。
つまり、ヒトという動物の体に掛かる負荷をかばい合う
仕組みという視点で観ると、経絡などの「ツボとツボとの
相関関係」が理解しやすいと思います。
そして、負荷の主なものは、2つかなと考えています。
1つ目は重力、2つ目は症状。詳しく言うと、2つ目は、
症状を緩和する時の姿勢に由来するように思います。
**正経十二経は、立位での重力負荷分担、縦方向が基本
&ref(ksf-tate-soukan.jpg)
ヒトは、動物学的には「直立2足歩行するサル」です。
ですから、「重力が、基本的な負荷」になります。私は、
そのため「経絡は、立位で縦方向が主」、つまり、「正経
十二経は、立位で縦方向が基本」と観ています。
ついでに「なぜ正経は12か」と言うと、「前・横・後
ろで3」、「手足で2」、「陰陽で2」なので、3×2×2
=12ですね。
ここで注意したいのは、「前・横・後ろ」の位置関係が、
下腿の陰経では異なっている点です。これにも、ヒトの直
立2足歩行が関係していると思います。詳しくは、
「[[経絡の交差と2足歩行]]」を読んでみてください。
ツボ同士の相関関係という視点で見ると、立位での重力
負荷分担に由来する「縦切り相関」と思います。
**兪募穴は、「臥位での重力負荷分担」「症状時の姿勢」
***兪募穴は、「臥位での重力負荷分担」が関係する?
これに対して、兪穴、募穴などは、寝た姿勢での重力負
荷の分担と考えると分かりやすかったです。
&ref(ksf-yokowagiri.jpg)
***兪募穴は、「症状時の姿勢」と関係する?
また、別の視点からは、基本的には、症状が出た時に取
る姿勢との関連も深いように思います。症状が出た時の姿
勢で、最も緊張(縮む)する部分と、最も弛緩する(伸び
る)部分に、ツボが出やすいように思います。
例えば、咳の時の姿勢で、最も縮むのは、「胸の最も腕
より(中府あたり)」と「胸骨の中央付近(膻中)」です
ね。最も伸びるのは、「肩甲間部上半分(肺兪など)」と
「肩甲骨外端上部(肩貞)」ですね。
そして、喘息発作の時の姿勢は、場所は咳の場合と同じ
ですが、伸縮は逆になっているように思います。
腹痛の時は、どうでしょう。消化器系が痛む時に取る姿
勢では、縮むのは「痛む臓器の腹側筋肉」、伸びるのは
「痛む臓器の背側筋肉(胃の六つ灸)」ですね。
生理痛など生殖器系に由来する痛みの時に取る姿勢では、
原因の臓器が足寄りにあるので、腹側も背側も消化器系よ
り少し足寄りになりますね。
***いずれにしても、横輪切り相関
寝た姿勢での重力負荷分担、症状時の姿勢の2つの視点
を説明しました。いずれにしても、ツボの相関関係という
視点から大雑把に言えば、立位座位での「横輪切り相関」
と言えると思います。
そして、咳をする時の姿勢にも重力不可は関係している
ように思います。立位座位などで倒れないで咳を上手にす
るために姿勢が決まってくるように思います。
ですから、腹が痛くて寝る時には、横向き寝が多いです
ね。「痛い部分を縮める姿勢」と「寝ること」を両立させ
るためだと思います。
**その他、色々な相関関係
ツボ同士の相関関係の主な2つについて書いてきました。
立位での重力負荷分担に由来する「縦切り相関」、寝た姿
勢での重力負荷分担や症状時の姿勢に由来する「横輪切り
相関」の2つです。この2つ他にも、色々な相関関係があ
ります。
詳しくは、「体は自然、臨床は対話」の「動作負荷の分
担原則」の以下の項目を読んでみてください。
「[[横輪切りの原則]]」
「[[縦切りの原則:十四経]]」
「[[足の経絡は全身に関係]]」
「[[背中と脚裏の負荷分担]]」
「[[経絡の交差と2足歩行]]」
「[[左右・前後・上下・対角の相関関係]]」
「[[動作時に連動する筋肉内]]」
*ツボの出方の12の自然則
また、「[[鍼術覚書]]」の「[[ツボ]]」には、「ツボの
出方の12の自然則」を書きました。
1.ツボは、歪んだ体の負荷分担システム
2.主な負荷は、重力
3.立位での重力負荷分担が十四経
4.臥位での重力負荷分担が愈募穴
5.動作時連動筋肉内にツボが出やすい
6.大きなツボは筋肉の厚い所に
7.ツボの上の皮膚表面は、凹んでいる
8.ツボ末梢側の血行、神経伝達の阻害
9.動作制限の直前で伸びる筋にツボ
10.内蔵の機能的関係からツボを予測
11.ツボは古くなると横にズレる
12.古い病のツボは体の境目に出やすい
(詳しくは>>>[[ツボ]]、[[ツボの出方の自然則]])
この12個の自然則をよく理解すると、患者さんの訴え
を聞いたり、体を目で見て手で触って確かめたりしたこ
とと、この12の自然則を照らし合わせると、ツボの出て
いる辺りを予測できます。しっかり理解してください。
また、[[体は自然、臨床は対話]]の「ツボの出方、探し
方」も参考にしてください。
[[ツボの出やすい所]]
[[ツボの近くの状態、ツボの探し方]]
[[姿勢や動作でツボを探す]]
[[ツボから先の血行や神経伝達の障害]]
[[ツボの出方の自然則]]
*鍼灸操体、ツボ、経絡とは、要するに
要するに、以下と思います。
1.ツボは、筋肉の機能性病変
2.鍼灸操体は、経絡などツボ同士の相関関係を利用して、
「筋肉の機能性病変を改善」することを手始めに、
「体の歪み、血流、神経伝達などを改善」することに
因り、痛み辛さ症状を改善している
*おわりに
ご理解いただけましたか。私は、こんなふうにツボと経
絡を観ています。こういうふうに観ると、ツボや経絡は、
現代医学と余り矛盾しないように思うのですが、いかがで
しょう。
伊藤和憲先生は、明治鍼灸大学時代に、ツボの底の硬く
痼りになった部分の筋肉が常時活動電位を発している状態
にあることを研究発表されていますし。
**腹診のためにも、「筋の一時的機能性病変」の研究が必要
ただし、「筋肉の一時的機能性病変」という考え方自体
は、現代医学の世界では、未だ一般的でないように思いま
す。その考え方が一般化するかどうかで、鍼灸操体按摩指
圧などの研究が進むかどうかが決まってくるように思いま
す。
また、「筋肉の一時的機能性病変」ということを前提に
すると、漢方の腹診における「心下痞硬」の「痞硬」、
「臍下不仁」の「不仁」の現代医学的定義も、明確になる
ように思います。
「痞硬」は「筋肉の過緊張型一時的機能性病変」、
「不仁」は「筋肉の過弛緩型一時的機能性病変」
と思いますので。
そういう意味で、鍼灸だけでなく漢方の研究の発展のた
めにも、「筋肉の一時的機能性病変」についての研究が進
むと良いなと思っています。
研究者の皆さん、よろしくおねがいします。
**操体を学ぶと、経絡を実感しやすい
また、操体を学ぶと、経絡を実感しやすいと思います。
知識として経絡を知っている人でも、経絡を実感している
人は案外少ないように思います。手足への鍼灸で頭首胴
(体幹部)の治療経験を沢山することでも、だんだん実感
できます。が、操体を学ぶと違う視点で、経絡を実感する
ことができます。
例えば、経絡が重力不可分担と関係していることは、立
ち姿勢での「重さの操体」を身に付けると実感しやすいで
す。
また、頭首胴(体幹部)の症状と手足のツボとの関係は、
患部と関連する手足に出ているツボの両方に手指を置くと
分かりやすいです。
つまり、頭首胴(体幹部)の症状の出ている辺りに片方
の手指を置きながら、もう片方の手指で手足に出ているツ
ボに皮膚操体や指圧をしていると、手足のツボの変化に応
じて、頭首胴体の手指を置いている場所の状態も変化して
いることが観察できます。
逆に言うと、皮膚操体などをする時には、患部の近くの
皮膚表面に手指を当て、もう片方の手指で関連する経絡に
出ているツボを順に試しに皮膚操体や指圧してみて、患部
の反応が良い所を見付けてから、本格的な操体や指圧をし
ていくと、効果が出やすいです。
また、鍼灸をする場合も、同じように、初めに、患部の
近くと、関連する経絡上のツボの候補の両方に、手指を置
き、患部近くの反応が良いツボを選ぶと、鍼灸の効果も出
やすいです。
−−−−−−
***間中喜雄先生や増永静人先生と操体
追記:20160105ーーーーーーーーーー
鍼灸や経絡に詳しく『医家のため鍼術入門講座』など鍼
灸の実践書も出している間中喜雄先生が操体のことを「橋
本式経筋療法」と呼んでいたことをご存知ですか? 経絡
には経筋以外の要素もあるとは思いますが、経絡を実感す
るには操体を学ぶことが近道と思います。
また、経絡指圧の増永静人先生は、操体を橋本敬三先生
から学んだ後に、経絡伸展法や経絡体操を考案されていま
す。これも、「操体を学ぶと、経絡を実感しやすい」とい
うことに繋がるように思います。もちろん、操体を学ぶ以
前から構想はあったと思いますが。
ーーーーー
***NHKスペシャル 腰痛・治療革命〜見えてきた痛みのメカニズム
追記:2017.1.2
NHKスペシャル 腰痛・治療革命〜見えてきた痛みのメカニズム
http://www.nhk.or.jp/kenko/nspyotsu/a01.html
ようやく、ここまで来たか〜と言う感じです。
ただ、まぁ、操体の橋本敬三先生のレベルまでは、あと何
年かかりますかね。
1.腰痛など運動器系の痛みは、筋肉の機能性病変が原因
2.痛む方向と逆の逆モーションバック運動を基本に、イ
イ感じの方向に動くと改善する
2.については、詳しくは、以下を見てください。
「腰の動作制限を改善する」→[[術伝流操体no.3]]
筋肉の機能性病変は、鍼灸など伝統医学の世界では、ツ
ボや経絡として昔から利用されてきました。
ーーーーー
-----
>>>術伝流鍼灸操体講座へ・・[[術伝流鍼灸操体講座]]
>>>このページのトップヘ・・[[ツボと経絡の観方]]
>>>術伝HPトップへ ・・・・[[トップページ]]
-----
術伝HP内検索:上の@wikiメニューの「wiki内検索」
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*お知らせとお願い
**術伝流鍼灸操体講座で患者さん役を募集
術伝流鍼灸操体講座は、実践面を重視しています。実際に症状が出て
いる方の治療を見たほうが勉強になります。そこで、講座で患者さん役
をしてくださる方を募集しています。
くわしくは、[[術伝流のモデル]]をみてください。
よろしくお願いします。
**感想・間違いなど
感想などあったり、間違いなど見つけた方は、[[術伝事務局>jutsuden-jmkk@googlegroups.com]]あてにメールをください。
よろしくお願いします。
**「術伝」症例相談用メーリングリストの参加者募集
「術伝」では症例相談用メーリングリストの参加者を募集しています。
参加希望の方は、[[術伝事務局>jutsuden-jmkk@googlegroups.com]]あてにメールをください。
よろしくお願いします。
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&color(green){体は自然、ツボと筋肉、経絡と重力}
&bold(){&size(24){&color(green){ツボと経絡の観方}}}&bold(){&size(15){&color(green){}}}
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#contents
*はじめに
「ツボと経絡の観方」、言い換えれば、術伝では、ツボ
や経絡をどう観ているかを説明します。
基本的には、「人は動物、体は自然」で、「ツボは、筋
肉の機能性病変」、「経絡は、重力負荷の分担」と思いま
す。
「ツボは、筋肉の機能性病変(機能性疾患:機能異常の
状態)」です。が、恒久的なものではなく、一時的なもの
(一時的な機能異常の状態)です。一時的なものだから、
鍼灸で改善できるわけです。
「経絡は、重力負荷の分担」、特に「正経十二経は、立
位での重力負荷の分担」と考えると、基本的には、経絡が
立位で縦方向に走っているのが理解しやすいと思います。
「正経十二経は、立位での重力負荷の分担」ということ
は、操体の橋本敬三先生が昭和13年に発表された「力学的
医学の構想」に出てきます。
「経絡…は相関連している体の内外を走る作用力線の通路…」
「運動力線に対して重力線は重大な役割をするのであるか
ら、…縦の線である経が主となるものと思われる。」
(『生体の歪みを正す』橋本敬三論想集,創元社p46)
*ツボは、筋肉の一時的機能性病変
私は、経験上、ツボを以下のようにイメージしています。
&ref(ksf-tubo-no-katachi.jpg)
筋肉というのは、自在に伸縮できることが特徴ですね。
生理学的には、自在に緊張と弛緩できるという表現の方が
良いのかもしれません。ヒトは動物で、動く時には、筋肉
を緊張させる(拮抗筋は弛緩させる)ことによって、動作
していますね。
筋肉を使い過ぎると、疲れて過緊張したままに弛緩でき
ない部分ができます。これがいわゆる痼りです。そして、
それ以上使い過ぎると、もっと疲れて、過弛緩したまま緊
張できない部分ができます。これがいわゆる虚の凝りです。
ツボというのは、皮膚に近い部分の筋肉が過弛緩、奥の
底の方の筋肉が過緊張というのが、基本的な形のように思
います。もちろん、痼りが2,3ある場合や、痼り代わりに
筋張りがある場合などの変化形もありますが。
ですから、皮膚に近い方は、フニャフニャしていて、押
すと凹み、皮膚の下に穴が空いているような感じがします。
昔の人が、「穴」とか「ツボ」とか呼んだわけだなぁと思
います。
そして、古いツボほど過弛緩の部分が長いというか、深
い所まで過弛緩で、底の痼りは非常に硬くなるように思い
ます。病を改善するには、古い虚したツボを見付けること
がポイントの1つと思います。
それに対し、「スポーツマッサージなどで、その日の疲
れを取る」には、実のツボ(表層筋の痼り)を目標にする
方が向いています。鍼灸などで病を改善することと、その
日の疲れを取ることとの違いに注意してください。
この辺り、詳しくは以下に書きました。
[[歪みは筋肉に記憶される]]
明治鍼灸大学時代の伊藤和憲先生のTPの異常活動電位の
研究で「トリガーポイントに成った筋肉は常時活動電位を
発生している」というのがありますね。
…TPに成った筋肉は常時活動電位を発生…つまり緊張し
続けている…これが過緊張ということの実態なんでしょう
ね。ツボの底のカチカチの部分は、必要も無い時も常時活
動電位を出し続けている(緊張し続けている=過緊張)で
すね。
ーーー 追記:2018.6.26 ーーーーーーーーーーーーー
ツボに成った筋肉を改善するというのは、筋肉の一時的
機能性病変(機能性疾患:一時的機能異常の状態)を改善
するということです。消化器(呼吸器、神経)の一時的機
能異常(機能性疾患)を改善するのが消化器(呼吸器、神
経)内科と呼ぶ現代(西洋)医学に倣えば、鍼灸操体指圧
などの東洋的物療は、「筋肉内科」と言うことに成りそう
だなと思います。
ーーー 追記:2018.6.26 終 ーーーーーーーーーーー
*経絡は、筋肉の負荷分担システム
ツボは「筋肉の一時的機能性病変」と考えると分かりや
すいと書いてきました。それを踏まえて上で、「ツボとツ
ボの相関関係」の1つである経絡などは、基本的には、筋
肉同士の負荷分担システム(かばい合い)と考えると分か
りやすいように思っています。
つまり、ヒトという動物の体に掛かる負荷をかばい合う
仕組みという視点で観ると、経絡などの「ツボとツボとの
相関関係」が理解しやすいと思います。
そして、負荷の主なものは、2つかなと考えています。
1つ目は重力、2つ目は症状。詳しく言うと、2つ目は、
症状を緩和する時の姿勢に由来するように思います。
**正経十二経は、立位での重力負荷分担、縦方向が基本
&ref(ksf-tate-soukan.jpg)
ヒトは、動物学的には「直立2足歩行するサル」です。
ですから、「重力が、基本的な負荷」になります。私は、
そのため「経絡は、立位で縦方向が主」、つまり、「正経
十二経は、立位で縦方向が基本」と観ています。
ついでに「なぜ正経は12か」と言うと、「前・横・後
ろで3」、「手足で2」、「陰陽で2」なので、3×2×2
=12ですね。
ここで注意したいのは、「前・横・後ろ」の位置関係が、
下腿の陰経では異なっている点です。これにも、ヒトの直
立2足歩行が関係していると思います。詳しくは、
「[[経絡の交差と2足歩行]]」を読んでみてください。
ツボ同士の相関関係という視点で見ると、立位での重力
負荷分担に由来する「縦切り相関」と思います。
**兪募穴は、「臥位での重力負荷分担」「症状時の姿勢」
***兪募穴は、「臥位での重力負荷分担」が関係する?
これに対して、兪穴、募穴などは、寝た姿勢での重力負
荷の分担と考えると分かりやすかったです。
&ref(ksf-yokowagiri.jpg)
***兪募穴は、「症状時の姿勢」と関係する?
また、別の視点からは、基本的には、症状が出た時に取
る姿勢との関連も深いように思います。症状が出た時の姿
勢で、最も緊張(縮む)する部分と、最も弛緩する(伸び
る)部分に、ツボが出やすいように思います。
例えば、咳の時の姿勢で、最も縮むのは、「胸の最も腕
より(中府あたり)」と「胸骨の中央付近(膻中)」です
ね。最も伸びるのは、「肩甲間部上半分(肺兪など)」と
「肩甲骨外端上部(肩貞)」ですね。
そして、喘息発作の時の姿勢は、場所は咳の場合と同じ
ですが、伸縮は逆になっているように思います。
腹痛の時は、どうでしょう。消化器系が痛む時に取る姿
勢では、縮むのは「痛む臓器の腹側筋肉」、伸びるのは
「痛む臓器の背側筋肉(胃の六つ灸)」ですね。
生理痛など生殖器系に由来する痛みの時に取る姿勢では、
原因の臓器が足寄りにあるので、腹側も背側も消化器系よ
り少し足寄りになりますね。
***いずれにしても、横輪切り相関
寝た姿勢での重力負荷分担、症状時の姿勢の2つの視点
を説明しました。いずれにしても、ツボの相関関係という
視点から大雑把に言えば、立位座位での「横輪切り相関」
と言えると思います。
そして、咳をする時の姿勢にも重力不可は関係している
ように思います。立位座位などで倒れないで咳を上手にす
るために姿勢が決まってくるように思います。
ですから、腹が痛くて寝る時には、横向き寝が多いです
ね。「痛い部分を縮める姿勢」と「寝ること」を両立させ
るためだと思います。
**その他、色々な相関関係
ツボ同士の相関関係の主な2つについて書いてきました。
立位での重力負荷分担に由来する「縦切り相関」、寝た姿
勢での重力負荷分担や症状時の姿勢に由来する「横輪切り
相関」の2つです。この2つ他にも、色々な相関関係があ
ります。
詳しくは、「体は自然、臨床は対話」の「動作負荷の分
担原則」の以下の項目を読んでみてください。
「[[横輪切りの原則]]」
「[[縦切りの原則:十四経]]」
「[[足の経絡は全身に関係]]」
「[[背中と脚裏の負荷分担]]」
「[[経絡の交差と2足歩行]]」
「[[左右・前後・上下・対角の相関関係]]」
「[[動作時に連動する筋肉内]]」
*ツボの出方の12の自然則
また、「[[鍼術覚書]]」の「[[ツボ]]」には、「ツボの
出方の12の自然則」を書きました。
1.ツボは、歪んだ体の負荷分担システム
2.主な負荷は、重力
3.立位での重力負荷分担が十四経
4.臥位での重力負荷分担が愈募穴
5.動作時連動筋肉内にツボが出やすい
6.大きなツボは筋肉の厚い所に
7.ツボの上の皮膚表面は、凹んでいる
8.ツボ末梢側の血行、神経伝達の阻害
9.動作制限の直前で伸びる筋にツボ
10.内蔵の機能的関係からツボを予測
11.ツボは古くなると横にズレる
12.古い病のツボは体の境目に出やすい
(詳しくは>>>[[ツボ]]、[[ツボの出方の自然則]])
この12個の自然則をよく理解すると、患者さんの訴え
を聞いたり、体を目で見て手で触って確かめたりしたこ
とと、この12の自然則を照らし合わせると、ツボの出て
いる辺りを予測できます。しっかり理解してください。
また、[[体は自然、臨床は対話]]の「ツボの出方、探し
方」も参考にしてください。
[[ツボの出やすい所]]
[[ツボの近くの状態、ツボの探し方]]
[[姿勢や動作でツボを探す]]
[[ツボから先の血行や神経伝達の障害]]
[[ツボの出方の自然則]]
*鍼灸操体、ツボ、経絡とは、要するに
要するに、以下と思います。
1.ツボは、筋肉の機能性病変
2.鍼灸操体は、経絡などツボ同士の相関関係を利用して、
「筋肉の機能性病変を改善」することを手始めに、
「体の歪み、血流、神経伝達などを改善」することに
因り、痛み辛さ症状を改善している
*おわりに
ご理解いただけましたか。私は、こんなふうにツボと経
絡を観ています。こういうふうに観ると、ツボや経絡は、
現代医学と余り矛盾しないように思うのですが、いかがで
しょう。
また、江戸時代の鍼灸書とも余り矛盾しないように思い
ます。
伊藤和憲先生は、明治鍼灸大学時代に、ツボの底の硬く
痼りになった部分の筋肉が常時活動電位を発している状態
にあることを研究発表されていますし。
おそらくは、ツボの底のシコリの異常活動電位は、江戸
期鍼灸書に書かれた邪気の一つでしょう。
**腹診のためにも、「筋の一時的機能性病変」の研究が必要
ただし、「筋肉の一時的機能性病変」という考え方自体
は、現代医学の世界では、未だ一般的でないように思いま
す。その考え方が一般化するかどうかで、鍼灸操体按摩指
圧などの研究が進むかどうかが決まってくるように思いま
す。
また、「筋肉の一時的機能性病変」ということを前提に
すると、漢方の腹診における「心下痞硬」の「痞硬」、
「臍下不仁」の「不仁」の現代医学的定義も、明確になる
ように思います。
「痞硬」は「筋肉の過緊張型一時的機能性病変」、
「不仁」は「筋肉の過弛緩型一時的機能性病変」
と思いますので。
そういう意味で、鍼灸だけでなく漢方の研究の発展のた
めにも、「筋肉の一時的機能性病変」についての研究が進
むと良いなと思っています。
研究者の皆さん、よろしくおねがいします。
**操体を学ぶと、経絡を実感しやすい
また、操体を学ぶと、経絡を実感しやすいと思います。
知識として経絡を知っている人でも、経絡を実感している
人は案外少ないように思います。手足への鍼灸で頭首胴
(体幹部)の治療経験を沢山することでも、だんだん実感
できます。が、操体を学ぶと違う視点で、経絡を実感する
ことができます。
例えば、経絡が重力不可分担と関係していることは、立
ち姿勢での「重さの操体」を身に付けると実感しやすいで
す。
また、頭首胴(体幹部)の症状と手足のツボとの関係は、
患部と関連する手足に出ているツボの両方に手指を置くと
分かりやすいです。
つまり、頭首胴(体幹部)の症状の出ている辺りに片方
の手指を置きながら、もう片方の手指で手足に出ているツ
ボに皮膚操体や指圧をしていると、手足のツボの変化に応
じて、頭首胴体の手指を置いている場所の状態も変化して
いることが観察できます。
逆に言うと、皮膚操体などをする時には、患部の近くの
皮膚表面に手指を当て、もう片方の手指で関連する経絡に
出ているツボを順に試しに皮膚操体や指圧してみて、患部
の反応が良い所を見付けてから、本格的な操体や指圧をし
ていくと、効果が出やすいです。
また、鍼灸をする場合も、同じように、初めに、患部の
近くと、関連する経絡上のツボの候補の両方に、手指を置
き、患部近くの反応が良いツボを選ぶと、鍼灸の効果も出
やすいです。
−−−−−−
***間中喜雄先生や増永静人先生と操体
追記:20160105ーーーーーーーーーー
鍼灸や経絡に詳しく『医家のため鍼術入門講座』など鍼
灸の実践書も出している間中喜雄先生が操体のことを「橋
本式経筋療法」と呼んでいたことをご存知ですか? 経絡
には経筋以外の要素もあるとは思いますが、経絡を実感す
るには操体を学ぶことが近道と思います。
また、経絡指圧の増永静人先生は、操体を橋本敬三先生
から学んだ後に、経絡伸展法や経絡体操を考案されていま
す。これも、「操体を学ぶと、経絡を実感しやすい」とい
うことに繋がるように思います。もちろん、操体を学ぶ以
前から構想はあったと思いますが。
ーーーーー
***NHKスペシャル 腰痛・治療革命〜見えてきた痛みのメカニズム
追記:2017.1.2
NHKスペシャル 腰痛・治療革命〜見えてきた痛みのメカニズム
http://www.nhk.or.jp/kenko/nspyotsu/a01.html
ようやく、ここまで来たか〜と言う感じです。
ただ、まぁ、操体の橋本敬三先生のレベルまでは、あと何
年かかりますかね。
1.腰痛など運動器系の痛みは、筋肉の機能性病変が原因
2.痛む方向と逆の逆モーションバック運動を基本に、イ
イ感じの方向に動くと改善する
2.については、詳しくは、以下を見てください。
「腰の動作制限を改善する」→[[術伝流操体no.3]]
筋肉の機能性病変は、鍼灸など伝統医学の世界では、ツ
ボや経絡として昔から利用されてきました。
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いる方の治療を見たほうが勉強になります。そこで、講座で患者さん役
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