「術伝流一本鍼no.20」の編集履歴(バックアップ)一覧はこちら

術伝流一本鍼no.20 - (2020/03/06 (金) 16:46:59) の1つ前との変更点

追加された行は緑色になります。

削除された行は赤色になります。

累積:&counter()___ 昨日:&counter(yesterday) ___今日:&counter(today) ------ &color(green){術伝流一本鍼no.20 (術伝流・先急の一本鍼・内科系編(2))} &bold(){&size(24){&color(green){表位の急性期、概要}}} ------ #contents *(1)はじめに  先回は、内科系急性期の1回目で大雑把なことを説明しまし た。今回から、より詳しく、表位、上焦、中焦、下焦に分けて 説明していきます。また、刺鍼法や施灸法についても細かく説 明していきます。 *(2)体の横輪切り分類  鍼灸の世界では、経絡という形で、体を、立ち姿勢で縦割り に分類してみることが多いです。比較すると、漢方の世界では、 立ち姿勢で横割りに分類する方が多くなります。鍼灸の世界で 言うと、臓腑論や兪募穴などに見られる体の分類の仕方です。  内科系を鍼灸で治療していく場合には、運動器系よりも、漢 方に近い見方、つまり、体を立ち姿勢で横輪切りに見る見方も 取り入れた方が分かりやすいことが多くなります。  具体的にいうと、体を以下の4つに分けます。 1.表位:肩甲骨・鎖骨から上 2.上焦:1.の下で横隔膜より上     (頭首の内部も含めることもある) 3.中焦:2.の下でヘソより上 4.下焦:3.の下側の胴体部分  細かく書くと、表位というのは、「表」という字が付いてい る位で、肩甲骨・鎖骨から上でも、表面に近い部分を指します。  こういう横切り分類と経絡の縦切り分類を組み合わせていく ことで、内科系の病変が理解しやすくなります。  特に、表位の場合は、陽明経と少陽経のものが多く、それに 太陽経が加わります。体の前側に主に症状の出る場合と、体の 横側に主に症状が出ることが多いということです。 *(3)表位の内科系急性症状  内科系の急性症状は、病を未病と発作に分けた場合には、発 作に分類される現象です。先回も書いたように、基本的に、腹 の邪毒・虚から頭に向かって邪気が衝き上げる「上衝」という 現象が見られます(図1)。  この様子は、ドブロクを作り冷蔵庫で保管した後に、温かい 所にしばらく出しておいてから栓を抜いたときの様子に、よく 似ています。 &ref(doburoku-hyoui.jpg)図1   ですから、頭に行く邪気を少なくすること、邪気に頭を衝か せないように体の外に引き出し、それに因って上衝を鎮(しず) めることが基本的な処置になります。  上焦、中焦、下焦に歪みが少ないときには、邪気はそのまま 表位に昇り表位の急性症状を引き起こします。  上焦、中焦、下焦いずれかに、歪み、邪毒があるときには、 歪みの有る所で急性症状を引き起こす(図2)ので、表位の症 状は(その分だけ)軽くなることが多いです。逆に言えば、表 位の症状が目立つときには、上焦、中焦、下焦の歪みは比較的 少ないことが多くなります。 &ref(naikakei-kyuusei2.jpg)図2  表位の急性症状の特徴は、すでに頭に邪気が上がっているの で、顔や頭はじめ、肩甲骨・鎖骨から上の表位に、熱や痛みを 始めとする色々な症状が出ていることです。 **1.表位陽明経の急性症状  邪気が陽明経を衝き上げれば、体の前側の症状が出ます。  前側の症状の例は、ニキビ、モノモライ、前頭部痛、カゼの 初期の前頭部発熱、真夏の老人の譫語(せんご)、疳の虫、口 唇ヘルペスなどです。  邪気が陽明を衝き上げるときは、体の左右差が余り無いこと が多いです。  この場合の慢性期の養生は、腹の邪毒、歪み、虚と、下半身 の冷えのを少なくすることです。 **2.表位少陽経の急性症状  邪気が少陽経を衝き上げれば、体の横側の症状が出ます。  横側の症状の例は、目眩(めまい)、耳鳴り、突発性難聴な どです。聴覚に関係する耳や、体の平衡に関係する三半規管が、 体の横側にあることに由来すると思われます。 >「小陽の病たる、口苦く、ノド乾き、目眩(くるめ)くなり」                        (傷寒論)  邪気が少陽を衝き上げるときは、体の左右差が大きい場合が 多いです。体の左右差が大きいため、邪気が真っ直ぐ上に向か わず、横にズレて上衝することになり、その結果として少陽経 病症になるようです。  言い換えれば、体の左右の歪みが大きいので、上焦した邪気 に左右差の歪みが影響されて、少陽経の症状が出やすいという ことかなと思います。  そのため、この場合は、応急処置で治まっても、体の左右差 を少なくしないと、再発することが多くなります。ですから、 慢性期の養生では、陽明経病症のときにした、腹の邪毒、歪み、 虚や下半身の冷えの改善に加えて、 左右差の改善を試みます。 **3.表位太陽経の急性症状  典型例は、葛根湯証系のように首や肩が強張(こわば)るカ ゼの、初期のものです。  この場合は、その表位後側の筋の過緊張によって、上衝を治 めにくくなっています。そのため、上衝を下ろす以外に、表位 後側の筋の過緊張を弛める必要があります。  ただし、カゼも咳も出るようになると、表位だけではなく上 焦の症状も混じってくるので、上焦の症状への対処も必要にな ります。 *(4)診察で経絡病症を区別するには  表位の急性症状の診察で、先ず見たいのは、どの経絡を、邪 気が衝き上げているかです。その目安になるのは、主に3つ、 症状、頭の熱さ、八邪の厚みです。  症状は、(3)に書いたことを参考にしてください。  頭の熱さは、先回も書きましたように、頭のハチマキをする 辺りの熱さを比べます。先ずは左右、次にその中で前横後ろを 比較します(図3、写真1)。 &ref(atama-keiraku3.jpg)図3 &ref(DSCF1432.jpg)写真1  八邪というのは、手の指の根元の水掻き状の部分のことです。 関係する経絡に異常があると、その部分の筋肉が、他よりも厚 くなります。この部分の筋肉が、機能性病変を起こし、過緊張 状態になっているためです。  拇指と示指で挟んで厚みや圧痛を調べます(写真2)。 &ref(DSCF1228.jpg)写真2  手を開いたときに指と指の感覚が狭かったり(写真3)、井 穴を押して異常を感じたり(写真4)、指を反らせてピリピリ ビリビリする感じがしたり(写真5)などでも判断できます。 &ref(DSCF0924.jpg)写真3 &ref(DSCF0926.jpg)写真4 &ref(DSCF0925.jpg)写真5  この辺りは、運動器編の「手足甲のツボで運動鍼」で詳しく 書きましたので、見直しておいてください。  この3つ、症状、頭の熱さ、指の異常が一致していればよい (写真6)のですが、一致していないときには、理由を考える ようにしてください。 &ref(DSCF1405.jpg)写真6  私は、基本的に、体の自然の状態を重視するという立場に立っ ています。そのため、3つが一致していないときには、指への 刺鍼では、指の状態を一番重視し、頭への散鍼では頭の状態を 一番重視します。  患者さんが訴える症状、あるいは、鍼灸師がその時に目標に している症状とは、別の症状や歪みが関係して、その症状の状 態と少し違う所にツボが出ていることは、よく有ります。その ため、指の状態を中心にして刺鍼施灸する所を決めても、目標 にしている症状が消えることが多いです。  まぁ、どうしても症状が消えない場合には、症状に合わせて、 刺鍼施灸する所を選ぶこともありますが。  また、カゼの初期などは、陽明と太陽の両方に異常がある場 合も多いです。特に、葛根湯証系のカゼの場合には、項(うな じ)に手平を入れて確かめても汗ばんでいないことが多く、肩 首はじめ、表位の後側の凝り、つまり、太陽経の異常と見るこ とができます。  いずれにしろ、1番目と2番目に異常な感じの経絡を選びま す。1番目の経絡に出ているツボへの刺鍼施灸から施術を始め ます。 *(5)表位は、陽経病症が多くなる  表位は、体の中では、陽位ですし、体の横輪切り4分類の中 では、上にあるので、他の3つ、つまり、上焦、中焦、下焦よ りも、陽位の要素が強くなります。  そこで、以下のように、手足陰経に引くことを省略すること が多くなるというか、しなくてもよい場合が多いです。繰り返 しになりますが、陰経というのは、体の内側、つまり陰位に関 係した経絡ですから。 1.診察 2.準備:上衝をおさめる   (1) 手甲に引く (3.手足に引く) (  (1) 手足陰経に引く) (  (2) 必要があれば、陽経にも引く) 4.陽に引く   (1) 熱かったら散鍼   (2) 陽側に出ているツボに引く 5.後始末:上衝をおさめる   (1) 頭の散鍼   (2) 手甲に引く  先に書いたように、準備では、診察で一番異常を感じた経絡 のツボを選んで施術をはじめ、後始末では二番目に異常を感じ た経絡のツボを選んで施術ということが多いです。  ただし、後始末のときに、指を調べて、診察のときと様子が 異なっていたら、後始末の時に観察した状態の方を重視し、そ のとき異常な経絡のツボを選んで施術します。  また、3.(1)の「手足陰経に引く」で、もし使うとすれば、列 缺だと思います。 >「頭項は列缺に尋ね」  列缺の使い方や、その後に必要ならばする3.(2)の「陽経に 引く」の使い方については、列缺を使うことの多い上焦の病の ときに説明します。というのも、列缺を使う必要があるなら、 表位のみの症状というよりも、上焦の症状も少し混じった状態 と考えた方が良いと思うからです。  例えば、カゼの初期と思って、手甲手指に刺鍼施灸しても症 状が治まらず、列缺に刺鍼したら症状が軽くなった場合には、 もう既に上焦にもカゼの症状が及んでいる状態と考え、施術を した方が良いと思います。 *(6)手陽末端で軽減したら終えてもよい  そういうわけで、表位の症例で、初期の場合や、軽い場合に は、手甲や指のツボの施術だけで、症状が消えてしまうことが 結構多いです。  そうした場合、私は、それ以上の施術はせずに様子を見ます。 軽くなったのに、手陰経などに施術すると、症状が再発するこ とも有るからです。  治まらなかったら、それ以降もしてみるという感じで、ご理 解いただければよいなと思っています。  また、少し丁寧にするなら 1.診察 2.準備:手甲手指のツボに引く 3.陽位:陽位の熱いところに散鍼 4.始末:頭の散鍼      手甲手指のツボに引く ということも多いです。  この辺りは、患者さんによって、あるいは、同じ患者さんで も時と場合によって、また、施術者の得手不得手や熟練度によっ ても異なってきますので、経験を積んで、判断力を磨いていっ てください。  次回は、表位の陽明経病症を中心に、カゼの初期など、それ に太陽経病症が少し混じったものも書きます。次々回に表位の 少陽経病症について書いていきます。   つぎへ>>>[[術伝流一本鍼no.21]] -----    >>>目次へ・・・・・・・・・[[術伝流一本鍼(あ)]]    >>>このページのトップヘ・・[[術伝流一本鍼no.20]]    >>>術伝HPトップへ ・・・・[[トップページ]] ----- 術伝HP内検索:上の@wikiメニューの「wiki内検索」 ----- ------ *お知らせとお願い **術伝流鍼灸操体講座で患者さん役を募集  術伝流鍼灸操体講座は、実践面を重視しています。実際に症状が出て いる方の治療を見たほうが勉強になります。そこで、講座で患者さん役 をしてくださる方を募集しています。  くわしくは、[[術伝流のモデル]]をみてください。  よろしくお願いします。 **感想など  感想などありましたら、術伝事務局までメールをください。 よろしくおねがいします。 術伝事務局メルアド :jutsuden-jmkkあまググどこ (この行は無視してください。akwba、laemfro、thgosewibe) (「あま」を「@」に、「ググ」を「googlegroups」に、) (「どこ」を「.com」に変えて送信してください。    ) (面倒をおかけし申し訳ありません。迷惑メール対策です) 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 ----    >>>術伝HPトップへ ・・・・[[トップページ]] ----
累積:&counter()___ 昨日:&counter(yesterday) ___今日:&counter(today) ------ &color(green){術伝流一本鍼no.20 (術伝流・先急の一本鍼・内科系編(2))} &bold(){&size(24){&color(green){表位の急性期、概要}}} ------ #contents *(1)はじめに  先回は、内科系急性期の1回目で大雑把なことを説明しまし た。今回から、より詳しく、表位、上焦、中焦、下焦に分けて 説明していきます。また、刺鍼法や施灸法についても細かく説 明していきます。 **表意の急性病症のツボは手首から先に出やすい  急性症状のツボが、手首足首から先に出やすいというのは、 運動器系の場合と同じです。  表位の場合は、手甲と手指甲側にツボが出ています。  鍼では手甲のツボを使います。手指への鍼は痛がられること が多いためです。  灸では、手指の甲側を使います。手甲よりも皮膚が破れるこ とが圧倒的に少ないからです。  カゼなどで、上焦にも症状が出ている場合は、手陰経の ツボ も使います。その場合には、手平は痛がられることが多いので、 前腕の手首近くのツボ(列缺、内関、陰郄)を使います。 *(2)体の横輪切り分類  鍼灸の世界では、経絡という形で、体を、立ち姿勢で縦割り に分類してみることが多いです。比較すると、漢方の世界では、 立ち姿勢で横割りに分類する方が多くなります。鍼灸の世界で 言うと、臓腑論や兪募穴などに見られる体の分類の仕方です。  内科系を鍼灸で治療していく場合には、運動器系よりも、漢 方に近い見方、つまり、体を立ち姿勢で横輪切りに見る見方も 取り入れた方が分かりやすいことが多くなります。  具体的にいうと、体を以下の4つに分けます。 1.表位:肩甲骨・鎖骨から上 2.上焦:1.の下で横隔膜より上     (頭首の内部も含めることもある) 3.中焦:2.の下でヘソより上 4.下焦:3.の下側の胴体部分  細かく書くと、表位というのは、「表」という字が付いてい る位で、肩甲骨・鎖骨から上でも、表面に近い部分を指します。  こういう横切り分類と経絡の縦切り分類を組み合わせていく ことで、内科系の病変が理解しやすくなります。  特に、表位の場合は、陽明経と少陽経のものが多く、それに 太陽経が加わります。体の前側に主に症状の出る場合と、体の 横側に主に症状が出ることが多いということです。 *(3)表位の内科系急性症状  内科系の急性症状は、病を未病と発作に分けた場合には、発 作に分類される現象です。先回も書いたように、基本的に、腹 の邪毒・虚から頭に向かって邪気が衝き上げる「上衝」という 現象が見られます(図1)。  この様子は、ドブロクを作り冷蔵庫で保管した後に、温かい 所にしばらく出しておいてから栓を抜いたときの様子に、よく 似ています。 &ref(doburoku-hyoui.jpg)図1   ですから、頭に行く邪気を少なくすること、邪気に頭を衝か せないように体の外に引き出し、それに因って上衝を鎮(しず) めることが基本的な処置になります。  上焦、中焦、下焦に歪みが少ないときには、邪気はそのまま 表位に昇り表位の急性症状を引き起こします。  上焦、中焦、下焦いずれかに、歪み、邪毒があるときには、 歪みの有る所で急性症状を引き起こす(図2)ので、表位の症 状は(その分だけ)軽くなることが多いです。逆に言えば、表 位の症状が目立つときには、上焦、中焦、下焦の歪みは比較的 少ないことが多くなります。 &ref(naikakei-kyuusei2.jpg)図2  表位の急性症状の特徴は、すでに頭に邪気が上がっているの で、顔や頭はじめ、肩甲骨・鎖骨から上の表位に、熱や痛みを 始めとする色々な症状が出ていることです。 **1.表位陽明経の急性症状  邪気が陽明経を衝き上げれば、体の前側の症状が出ます。  前側の症状の例は、ニキビ、モノモライ、前頭部痛、カゼの 初期の前頭部発熱、真夏の老人の譫語(せんご)、疳の虫、口 唇ヘルペスなどです。  邪気が陽明を衝き上げるときは、体の左右差が余り無いこと が多いです。  この場合の慢性期の養生は、腹の邪毒、歪み、虚と、下半身 の冷えのを少なくすることです。 **2.表位少陽経の急性症状  邪気が少陽経を衝き上げれば、体の横側の症状が出ます。  横側の症状の例は、目眩(めまい)、耳鳴り、突発性難聴な どです。聴覚に関係する耳や、体の平衡に関係する三半規管が、 体の横側にあることに由来すると思われます。 >「小陽の病たる、口苦く、ノド乾き、目眩(くるめ)くなり」                        (傷寒論)  邪気が少陽を衝き上げるときは、体の左右差が大きい場合が 多いです。体の左右差が大きいため、邪気が真っ直ぐ上に向か わず、横にズレて上衝することになり、その結果として少陽経 病症になるようです。  言い換えれば、体の左右の歪みが大きいので、上焦した邪気 に左右差の歪みが影響されて、少陽経の症状が出やすいという ことかなと思います。  そのため、この場合は、応急処置で治まっても、体の左右差 を少なくしないと、再発することが多くなります。ですから、 慢性期の養生では、陽明経病症のときにした、腹の邪毒、歪み、 虚や下半身の冷えの改善に加えて、 左右差の改善を試みます。 **3.表位太陽経の急性症状  典型例は、葛根湯証系のように首や肩が強張(こわば)るカ ゼの、初期のものです。  この場合は、その表位後側の筋の過緊張によって、上衝を治 めにくくなっています。そのため、上衝を下ろす以外に、表位 後側の筋の過緊張を弛める必要があります。  ただし、カゼも咳も出るようになると、表位だけではなく上 焦の症状も混じってくるので、上焦の症状への対処も必要にな ります。 *(4)診察で経絡病症を区別するには  表位の急性症状の診察で、先ず見たいのは、どの経絡を、邪 気が衝き上げているかです。その目安になるのは、主に3つ、 症状、頭の熱さ、八邪の厚みです。  症状は、(3)に書いたことを参考にしてください。  頭の熱さは、先回も書きましたように、頭のハチマキをする 辺りの熱さを比べます。先ずは左右、次にその中で前横後ろを 比較します(図3、写真1)。 &ref(atama-keiraku3.jpg)図3 &ref(DSCF1432.jpg)写真1  八邪というのは、手の指の根元の水掻き状の部分のことです。 関係する経絡に異常があると、その部分の筋肉が、他よりも厚 くなります。この部分の筋肉が、機能性病変を起こし、過緊張 状態になっているためです。  拇指と示指で挟んで厚みや圧痛を調べます(写真2)。 &ref(DSCF1228.jpg)写真2  手を開いたときに指と指の感覚が狭かったり(写真3)、井 穴を押して異常を感じたり(写真4)、指を反らせてピリピリ ビリビリする感じがしたり(写真5)などでも判断できます。 &ref(DSCF0924.jpg)写真3 &ref(DSCF0926.jpg)写真4 &ref(DSCF0925.jpg)写真5  この辺りは、運動器編の「手足甲のツボで運動鍼」で詳しく 書きましたので、見直しておいてください。  この3つ、症状、頭の熱さ、指の異常が一致していればよい (写真6)のですが、一致していないときには、理由を考える ようにしてください。 &ref(DSCF1405.jpg)写真6  私は、基本的に、体の自然の状態を重視するという立場に立っ ています。そのため、3つが一致していないときには、指への 刺鍼では、指の状態を一番重視し、頭への散鍼では頭の状態を 一番重視します。  患者さんが訴える症状、あるいは、鍼灸師がその時に目標に している症状とは、別の症状や歪みが関係して、その症状の状 態と少し違う所にツボが出ていることは、よく有ります。その ため、指の状態を中心にして刺鍼施灸する所を決めても、目標 にしている症状が消えることが多いです。  まぁ、どうしても症状が消えない場合には、症状に合わせて、 刺鍼施灸する所を選ぶこともありますが。  また、カゼの初期などは、陽明と太陽の両方に異常がある場 合も多いです。特に、葛根湯証系のカゼの場合には、項(うな じ)に手平を入れて確かめても汗ばんでいないことが多く、肩 首はじめ、表位の後側の凝り、つまり、太陽経の異常と見るこ とができます。  いずれにしろ、1番目と2番目に異常な感じの経絡を選びま す。1番目の経絡に出ているツボへの刺鍼施灸から施術を始め ます。 *(5)表位は、陽経病症が多くなる  表位は、体の中では、陽位ですし、体の横輪切り4分類の中 では、上にあるので、他の3つ、つまり、上焦、中焦、下焦よ りも、陽位の要素が強くなります。  そこで、以下のように、手足陰経に引くことを省略すること が多くなるというか、しなくてもよい場合が多いです。繰り返 しになりますが、陰経というのは、体の内側、つまり陰位に関 係した経絡ですから。 1.診察 2.準備:上衝をおさめる   (1) 手甲に引く (3.手足に引く) (  (1) 手足陰経に引く) (  (2) 必要があれば、陽経にも引く) 4.陽に引く   (1) 熱かったら散鍼   (2) 陽側に出ているツボに引く 5.後始末:上衝をおさめる   (1) 頭の散鍼   (2) 手甲に引く  先に書いたように、準備では、診察で一番異常を感じた経絡 のツボを選んで施術をはじめ、後始末では二番目に異常を感じ た経絡のツボを選んで施術ということが多いです。  ただし、後始末のときに、指を調べて、診察のときと様子が 異なっていたら、後始末の時に観察した状態の方を重視し、そ のとき異常な経絡のツボを選んで施術します。  また、3.(1)の「手足陰経に引く」で、もし使うとすれば、列 缺だと思います。 >「頭項は列缺に尋ね」  列缺の使い方や、その後に必要ならばする3.(2)の「陽経に 引く」の使い方については、列缺を使うことの多い上焦の病の ときに説明します。というのも、列缺を使う必要があるなら、 表位のみの症状というよりも、上焦の症状も少し混じった状態 と考えた方が良いと思うからです。  例えば、カゼの初期と思って、手甲手指に刺鍼施灸しても症 状が治まらず、列缺に刺鍼したら症状が軽くなった場合には、 もう既に上焦にもカゼの症状が及んでいる状態と考え、施術を した方が良いと思います。 *(6)手陽末端で軽減したら終えてもよい  そういうわけで、表位の症例で、初期の場合や、軽い場合に は、手甲や指のツボの施術だけで、症状が消えてしまうことが 結構多いです。  そうした場合、私は、それ以上の施術はせずに様子を見ます。 軽くなったのに、手陰経などに施術すると、症状が再発するこ とも有るからです。  治まらなかったら、それ以降もしてみるという感じで、ご理 解いただければよいなと思っています。  また、少し丁寧にするなら 1.診察 2.準備:手甲手指のツボに引く 3.陽位:陽位の熱いところに散鍼 4.始末:頭の散鍼      手甲手指のツボに引く ということも多いです。  この辺りは、患者さんによって、あるいは、同じ患者さんで も時と場合によって、また、施術者の得手不得手や熟練度によっ ても異なってきますので、経験を積んで、判断力を磨いていっ てください。  次回は、表位の陽明経病症を中心に、カゼの初期など、それ に太陽経病症が少し混じったものも書きます。次々回に表位の 少陽経病症について書いていきます。   つぎへ>>>[[術伝流一本鍼no.21]] -----    >>>目次へ・・・・・・・・・[[術伝流一本鍼(あ)]]    >>>このページのトップヘ・・[[術伝流一本鍼no.20]]    >>>術伝HPトップへ ・・・・[[トップページ]] ----- 術伝HP内検索:上の@wikiメニューの「wiki内検索」 ----- ------ *お知らせとお願い **術伝流鍼灸操体講座で患者さん役を募集  術伝流鍼灸操体講座は、実践面を重視しています。実際に症状が出て いる方の治療を見たほうが勉強になります。そこで、講座で患者さん役 をしてくださる方を募集しています。  くわしくは、[[術伝流のモデル]]をみてください。  よろしくお願いします。 **感想など  感想などありましたら、術伝事務局までメールをください。 よろしくおねがいします。 術伝事務局メルアド :jutsuden-jmkkあまググどこ (この行は無視してください。akwba、laemfro、thgosewibe) (「あま」を「@」に、「ググ」を「googlegroups」に、) (「どこ」を「.com」に変えて送信してください。    ) (面倒をおかけし申し訳ありません。迷惑メール対策です) 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 ----    >>>術伝HPトップへ ・・・・[[トップページ]] ----

表示オプション

横に並べて表示:
変化行の前後のみ表示: