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術伝流一本鍼no.5 - (2015/06/04 (木) 08:16:52) の1つ前との変更点

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累積:&counter()___ 昨日:&counter(yesterday) ___今日:&counter(today) ------ &color(green){術伝流一本鍼no.5 (術伝流・先急の一本鍼・運動器編(5))} &bold(){&size(24){&color(green){腰の可動域制限に動作鍼}}} ------ #contents *はじめに  先回解説した「腰痛の基本刺鍼」をしたあとに立ち上がってもらい腰 の動作を確認したときに動作制限が残っていた場合には、今回解説する 動作鍼をして関節可動域を改善します。  動作鍼は、一鍼するたびに関節可動域を確実に改善できる技法なので、 臨床でよく使います。また、基本的にどの関節でも同じなので、身に付 ければ初めて臨床の場で出合う動作制限にも対処可能です。繰り返し練 習し、しっかり身に付けてください。 *(1)動作鍼の基本(図1) &ref(f1hari05#01.jpg)  動作鍼は、1回の治療全体のなかでは、基本的な刺鍼が終わってから、 仕上げの末端への引き鍼とのあいだにすることが多いです。  手足の甲への引き鍼のあとすぐに動作鍼をするときには、後始末とし て動作鍼終了後にもう一度手足の甲に引き鍼して仕上げます。引き鍼や 基本刺鍼については、いままでのno.2~no.4を見直してください。  動作鍼そのものの手順は、まず、やりにくい動作を痛む手前まで、つ まり、可動域制限のある動作を痛まない範囲でできるだけ大きく動作し てもらいます。  その姿勢で動作の軌跡が描く面と皮膚表面とが交差するライン上にツ ボが出ます。このラインは、その動作をするときにもっとも伸びるライ ンと縮むライン、つまり、もっとも伸びようとする筋肉ともっとも縮も うとする筋肉のラインです。  そのライン上でいちばんヘコんだところにツボが出ています。多くの 場合には、その動作でもっとも伸ばそうとしている筋肉のもっとも伸ば そうとしている部分にツボが出ます。  ツボの奥は硬く過緊張の状態になっているので、伸ばそうとしても伸 びないので、その表面の皮膚が奥に引っ張られて皮膚表面がヘコんでし まうようです。  伸びようとしている側よりも頻度は少ないですが、縮もうとしている 側のもっとも縮もうとしているところにもツボが出ることがあります。  そのツボに、その姿勢のままで鍼をします。刺鍼したあと、いったん 姿勢をもとに戻して、できれば逆向きのやりやすい動作をすこししてか ら、やりにくかった動作をもう一度してもらいます。  すると、前よりすこし余分に動けます。つまり、関節可動域がすこし 広がります。しかし多くの場合、まだ動作制限が残っています。  新しく痛まない範囲でラクに動けるようになった限界の姿勢、つまり、 新しい痛む手前の姿勢から、また、先ほどのもっとも伸びようとしてい るライン上でいちばんヘコんだところを探すとツボが出ています。  動かしている関節を基準にすると、新しいツボは前のツボよりも遠く に出ます。  そのツボにその姿勢でまた刺鍼します。そして、また、いったん姿勢 をもとに戻してから、同じ動作をしてもらうと、また少し余分に動くよ うになります。  新しく余分に動いた姿勢、新しいラクに動ける限界の姿勢で、もっと も伸びようとしているライン上にツボを探してまた刺鍼してということ を、日常生活に不便がない程度に動けるようになるまで繰り返します。  動作鍼をすると、一鍼するごとに関節可動域がすこしずつ広がってい きますし、患者さんにもそのことを実感してもらえます。  この動作鍼は、操体の動診を応用したもので、ほかになさっている方 もいるかもしれませんが、少なくとも文献などでは見たことがありませ ん。関節可動域制限に対して確実に効果があげられる刺法ですので、こ の機会に身に付けてください。 *(2)腰痛の動作鍼  腰痛の場合の可動域制限は、おもに二通り、体を捻る左右捻転と、前 に曲げる前屈の制限が多いです。  基本的な刺鍼を終えたあとに動作鍼をして、そのあと外踝(そとくる ぶし)あたりのツボへ引き鍼して後始末します。  腰痛の動作鍼は、基本的に立ち姿勢でします。立つのがおぼつかない ようなら、ラクな寝方で横になってもらい、基本刺鍼などして改善し、 立てるようになってから動作鍼に移るのが基本です。 **1.腰の左右捻転の動作鍼  体を左右に捻る動作が制限されると、左右どちらかに振り向きにくく なります。「こっちはいいんだけど、こっちに向けないんです。」とい う表現をされる方が多いです。  体を左右に捻る動作の場合には、腰椎3番付近がいちばん動くようで す。そのため、動作の軌跡と皮膚表面との交差するラインは、立ち姿勢 では、腰椎3番の高さで床と平行な線になります。  はじめに左右にラクに捻れる範囲でねじってもらい左右差を確認して おきます(写真1、2)。 &ref(p1hari05h#01.jpg)写真1 &ref(p1hari05h#02.jpg)写真2  ラクに捻れる範囲で捻ってもらうと、そのライン上でヘコんだところ が見えます(写真3)。捻ろうとしているほうと反対側、つまり、伸び ようとしている側に出ることが多いです。 &ref(p1hari05h#03.jpg)写真3  ラクに捻れる範囲で捻った状態の姿勢でそのツボに刺鍼します(写真 4)。このときほかの人にその状態を維持するように支えてもらったり、 患者さんに柱などにつかまってもらうと、患者さんも鍼師もラクです。 &ref(p1hari05h#04.jpg)写真4  それから、いったんゆっくりとやりやすかった反対側を向いてもらっ てから、もう一度やりにくかった方向に捻っていきます。さきほどより もすこし余分に捻れるようになります。まだ制限があったら、またツボ を探し、動作鍼を繰り返します(写真5)。 &ref(p1hari05h#05.jpg)写真5  捻る動作の場合には2回ほど繰り返せば、日常生活に不便のない程度 になることが多いです(写真6)。 &ref(p1hari05h#06.jpg)写真6  腰椎3番の高さで脊柱起立筋のいちばん外側に最後のツボが出ること が多いです(写真7)。 &ref(p1hari05h#07.jpg)写真7  やりやすかったほうよりもよく捻れるようになってしまうことも多い です。この場合に、また反対側をよりよくしようとするとやりにくさが 復活するので、しないほうが無難です。  ふだんの生活で負担がかかる側がやりにくくなるので、やりにくかっ たほうがよくなっているくらいのほうが効果が長持ちすることが多いで す。患者さんにも説明して了解してもらいましょう。 **2.腰の前屈の動作鍼  前に曲げる動作ができない方は、「顔が洗えない」という表現をされ る方が多いです。  この前曲げの動作の場合には、動作の基準は腰椎5番付近になるよう です。  そのため、動作の軌跡と皮膚表面との交差するライン、つまり、前屈 の姿勢でもっとも伸びようとしているラインは、腰の痛む側で、背中側 では脊柱起立筋のいちばん高いところ、つまり、足の太陽の1行線あた りになります。  尻や足裏のほうでも、基本的に、腰の痛む側の足の太陽のライン、つ まり足裏では中央のライン上になります。  また、前曲げの動作制限の場合には、ツボは上下両方向、つまり、背 中側と尻・足裏側の両方に出ます。どちらも伸びないと前屈できないか らです。  それで、少ししか前曲げができないときには、痛む側の背中の肋骨の 下側あたりと尻中央あたりにポイントとなるツボが出ます(写真8)。 &ref(p1hari05h#08.jpg)写真8  その2か所をその姿勢で刺鍼してゆるめます(写真9)。 &ref(p1hari05h#09.jpg)写真9  このときテーブルなどに手をついてもらい安定させた状態で刺鍼した ほうが患者さんも鍼師もラクです。  いったん腰をかるく反らせてから、ゆっくり前に曲げていくと前より 少し余分に曲がるようになります。そして、ポイントとなるツボは、足 の付け根から大腿裏にかけてと、肩甲骨の下端と肋骨下端のあいだに移 動します(写真10)。 &ref(p1hari05h#10.jpg)写真10  また、そこをゆるめると、もう少し前に曲がるようになり、ポイント は大腿の中央あたりに移ります(写真11)。 &ref(p1hari05h#11.jpg)写真11  この場合には、背中側にはツボは出ないことが多いです(ここまで前 屈すると、背中はそれ以上曲がらないことが多いので)。  また、そこをゆるめる(写真12)と、もう少し前に曲がるようになり、 ポイントは膝裏あたりに移ります。 &ref(p1hari05h#12.jpg)写真12  膝裏のツボをゆるめ(写真13)、いったん反ってから(写真14)前屈 すると、指先が足首近くまで届くくらいはラクに前屈できるようになり ます。 &ref(p1hari05h#13.jpg)写真13 &ref(p1hari05h#14.jpg)写真14  若くて元気な人なら必要ないかもしれませんが、刺鍼中にふらつく可 能性もあるので、ツボを見つけた姿勢を保つために、他の人に支えても らったり、机や椅子などに手をついてもらったりした方が無難と思いま す(写真15,16,17)。 &ref(.jpg)写真15 &ref(.jpg)写真16 &ref(.jpg)写真17  前屈してどこまで曲がるかと、足裏のツボが出る位置の関係は、人に よって少しずつ違ってきますが、たくさん前屈できるようになればなる ほどだんだん足首のほうに近づいていくという点は共通ですので、腰椎 5番に近いほうから足首に向かって足裏中央のラインを探し、ヘコんだ ところを見つけるようにしてください。  手首が膝下までラクに届けば普通の日常動作に制限はなくなるので、 多くの場合は、その時点で終えて仕上げに移ることが多いですが、患者 さんの仕事などによってはさらなる改善が必要な場合もあります。  仕上げは、座位で患側の外踝の近く丘墟などに引き鍼をします。 **3.腰のそのほかの動作鍼  頻度は少ないですが、横向きの側屈がしにくい患者さんもいます。こ の場合には、伸びる側の体の側面、つまり、足少陽ラインにツボが並び ます。この場合の起点は、腰椎2番付近のようで、前屈と同じように上 下両側にツボが出ることが多いです。  やはり、曲げられるようになるほど、ツボが起点から遠ざかります。  また、捻り、前屈、横曲げが組合わさった動作ができない人もいます。 上下の動きが加わることもあります。  その場合は少し複雑になりますが、やはり、その動きでいちばん伸び ようとしているラインを見つけ、腰に近いほうからたどっていくと、ヘ コんでいて、押すと痛いところが見つかります。  その姿勢でそこのツボに刺鍼すると、可動域が広がります。いったん 姿勢を戻してからチェックし、まだ日常生活に不便な程度の動作制限が 残っていたら、また動作鍼を繰り返して改善していきます。 **4.歩ける程度の動作制限は引き鍼と動作鍼だけでも改善可能  初めから立って動ける程度の腰痛で、できない動作が一つだけなら、 足の甲への引き鍼と動作鍼だけで改善することも可能です。  座位で足の甲4~5間に引き鍼したあと、立位でできない動作をラクに できる範囲で動いてもらい、痛くなる手前の姿勢、ラクに動けるギリギ リの姿勢で動作鍼をします。  一度で駄目なら2,3回繰り返します。  可動域制限がなくなったら、座位になっていただき、丘墟あたりにツ ボを探し引き鍼して仕上げます。  丘墟あたりにツボが出ていない場合やていねいに刺鍼したいときには、 飛揚・外丘付近に刺鍼したあと陽大鐘に引き鍼して終えます。このあた りについては前回を見直して理解するようにしてください。 *おわりに  簡単ですが、これで腰痛の応急処置を終え、次回からは、肩まわりの 辛さの応急処置に移ります。    つぎへ>>>[[術伝流一本鍼no.6]] -----    >>>目次へ・・・・・・・・・[[術伝流一本鍼(あ)]]    >>>このページのトップヘ・・[[術伝流一本鍼no.5]]    >>>術伝HPトップへ ・・・・[[トップページ]] ----- 術伝HP内検索:上の@wikiメニューの「wiki内検索」 ----- ------ *お知らせとお願い **術伝流鍼灸操体講座で患者さん役を募集  術伝流鍼灸操体講座は、実践面を重視しています。実際に症状が出て いる方の治療を見たほうが勉強になります。そこで、講座で患者さん役 をしてくださる方を募集しています。  くわしくは、[[術伝流のモデル]]をみてください。  よろしくお願いします。 **感想など  感想などありましたら、[[「術伝」掲示板>http://jutsuden.bbs.fc2.com/]]に書いてください。  また、「術伝」掲示板でも、旧掲示板「養生の杜」と同じように、 養生についての雑談や症例相談などもしていきたいと思っています。  よろしくお願いします。 **間違いなど  間違いなど見つけた方は、[[術伝事務局>jutsuden-jmkk@yahoogroups.jp]]あてにメールをください。  よろしくお願いします。 **「術伝」症例相談用メーリングリストの参加者募集  「術伝」では症例相談用メーリングリスト( [[術伝ML(muchukand)>http://groups.yahoo.co.jp/group/muchukand/]])の 参加者を募集しています。  よろしくお願いします。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 ----    >>>術伝HPトップへ ・・・・[[トップページ]] ----
累積:&counter()___ 昨日:&counter(yesterday) ___今日:&counter(today) ------ &color(green){術伝流一本鍼no.5 (術伝流・先急の一本鍼・運動器編(5))} &bold(){&size(24){&color(green){腰の可動域制限に動作鍼}}} ------ #contents *はじめに  先回解説した「腰痛の基本刺鍼」をしたあとに立ち上がってもらい腰 の動作を確認したときに動作制限が残っていた場合には、今回解説する 動作鍼をして関節可動域を改善します。  動作鍼は、一鍼するたびに関節可動域を確実に改善できる技法なので、 臨床でよく使います。また、基本的にどの関節でも同じなので、身に付 ければ初めて臨床の場で出合う動作制限にも対処可能です。繰り返し練 習し、しっかり身に付けてください。 *(1)動作鍼の基本(図1) &ref(f1hari05#01.jpg)  動作鍼は、1回の治療全体のなかでは、基本的な刺鍼が終わってから、 仕上げの末端への引き鍼とのあいだにすることが多いです。  手足の甲への引き鍼のあとすぐに動作鍼をするときには、後始末とし て動作鍼終了後にもう一度手足の甲に引き鍼して仕上げます。引き鍼や 基本刺鍼については、いままでのno.2~no.4を見直してください。  動作鍼そのものの手順は、まず、やりにくい動作を痛む手前まで、つ まり、可動域制限のある動作を痛まない範囲でできるだけ大きく動作し てもらいます。  その姿勢で動作の軌跡が描く面と皮膚表面とが交差するライン上にツ ボが出ます。このラインは、その動作をするときにもっとも伸びるライ ンと縮むライン、つまり、もっとも伸びようとする筋肉ともっとも縮も うとする筋肉のラインです。  そのライン上でいちばんヘコんだところにツボが出ています。多くの 場合には、その動作でもっとも伸ばそうとしている筋肉のもっとも伸ば そうとしている部分にツボが出ます。  ツボの奥は硬く過緊張の状態になっているので、伸ばそうとしても伸 びないので、その表面の皮膚が奥に引っ張られて皮膚表面がヘコんでし まうようです。  伸びようとしている側よりも頻度は少ないですが、縮もうとしている 側のもっとも縮もうとしているところにもツボが出ることがあります。  そのツボに、その姿勢のままで鍼をします。刺鍼したあと、いったん 姿勢をもとに戻して、できれば逆向きのやりやすい動作をすこししてか ら、やりにくかった動作をもう一度してもらいます。  すると、前よりすこし余分に動けます。つまり、関節可動域がすこし 広がります。しかし多くの場合、まだ動作制限が残っています。  新しく痛まない範囲でラクに動けるようになった限界の姿勢、つまり、 新しい痛む手前の姿勢から、また、先ほどのもっとも伸びようとしてい るライン上でいちばんヘコんだところを探すとツボが出ています。  動かしている関節を基準にすると、新しいツボは前のツボよりも遠く に出ます。  そのツボにその姿勢でまた刺鍼します。そして、また、いったん姿勢 をもとに戻してから、同じ動作をしてもらうと、また少し余分に動くよ うになります。  新しく余分に動いた姿勢、新しいラクに動ける限界の姿勢で、もっと も伸びようとしているライン上にツボを探してまた刺鍼してということ を、日常生活に不便がない程度に動けるようになるまで繰り返します。  動作鍼をすると、一鍼するごとに関節可動域がすこしずつ広がってい きますし、患者さんにもそのことを実感してもらえます。  この動作鍼は、操体の動診を応用したもので、ほかになさっている方 もいるかもしれませんが、少なくとも文献などでは見たことがありませ ん。関節可動域制限に対して確実に効果があげられる刺法ですので、こ の機会に身に付けてください。 *(2)腰痛の動作鍼  腰痛の場合の可動域制限は、おもに二通り、体を捻る左右捻転と、前 に曲げる前屈の制限が多いです。  基本的な刺鍼を終えたあとに動作鍼をして、そのあと外踝(そとくる ぶし)あたりのツボへ引き鍼して後始末します。  腰痛の動作鍼は、基本的に立ち姿勢でします。立つのがおぼつかない ようなら、ラクな寝方で横になってもらい、基本刺鍼などして改善し、 立てるようになってから動作鍼に移るのが基本です。 **1.腰の左右捻転の動作鍼  体を左右に捻る動作が制限されると、左右どちらかに振り向きにくく なります。「こっちはいいんだけど、こっちに向けないんです。」とい う表現をされる方が多いです。  体を左右に捻る動作の場合には、腰椎3番付近がいちばん動くようで す。そのため、動作の軌跡と皮膚表面との交差するラインは、立ち姿勢 では、腰椎3番の高さで床と平行な線になります。  はじめに左右にラクに捻れる範囲でねじってもらい左右差を確認して おきます(写真1、2)。 &ref(p1hari05h#01.jpg)写真1 &ref(p1hari05h#02.jpg)写真2  ラクに捻れる範囲で捻ってもらうと、そのライン上でヘコんだところ が見えます(写真3)。捻ろうとしているほうと反対側、つまり、伸び ようとしている側に出ることが多いです。 &ref(p1hari05h#03.jpg)写真3  ラクに捻れる範囲で捻った状態の姿勢でそのツボに刺鍼します(写真 4)。このときほかの人にその状態を維持するように支えてもらったり、 患者さんに柱などにつかまってもらうと、患者さんも鍼師もラクです。 &ref(p1hari05h#04.jpg)写真4  それから、いったんゆっくりとやりやすかった反対側を向いてもらっ てから、もう一度やりにくかった方向に捻っていきます。さきほどより もすこし余分に捻れるようになります。まだ制限があったら、またツボ を探し、動作鍼を繰り返します(写真5)。 &ref(p1hari05h#05.jpg)写真5  捻る動作の場合には2回ほど繰り返せば、日常生活に不便のない程度 になることが多いです(写真6)。 &ref(p1hari05h#06.jpg)写真6  腰椎3番の高さで脊柱起立筋のいちばん外側に最後のツボが出ること が多いです(写真7)。 &ref(p1hari05h#07.jpg)写真7  やりやすかったほうよりもよく捻れるようになってしまうことも多い です。この場合に、また反対側をよりよくしようとするとやりにくさが 復活するので、しないほうが無難です。  ふだんの生活で負担がかかる側がやりにくくなるので、やりにくかっ たほうがよくなっているくらいのほうが効果が長持ちすることが多いで す。患者さんにも説明して了解してもらいましょう。 **2.腰の前屈の動作鍼  前に曲げる動作ができない方は、「顔が洗えない」という表現をされ る方が多いです。  この前曲げの動作の場合には、動作の基準は腰椎5番付近になるよう です。  そのため、動作の軌跡と皮膚表面との交差するライン、つまり、前屈 の姿勢でもっとも伸びようとしているラインは、腰の痛む側で、背中側 では脊柱起立筋のいちばん高いところ、つまり、足の太陽の1行線あた りになります。  尻や足裏のほうでも、基本的に、腰の痛む側の足の太陽のライン、つ まり足裏では中央のライン上になります。  また、前曲げの動作制限の場合には、ツボは上下両方向、つまり、背 中側と尻・足裏側の両方に出ます。どちらも伸びないと前屈できないか らです。  それで、少ししか前曲げができないときには、痛む側の背中の肋骨の 下側あたりと尻中央あたりにポイントとなるツボが出ます(写真8)。 &ref(p1hari05h#08.jpg)写真8  その2か所をその姿勢で刺鍼してゆるめます(写真9)。 &ref(p1hari05h#09.jpg)写真9  このときテーブルなどに手をついてもらい安定させた状態で刺鍼した ほうが患者さんも鍼師もラクです。  いったん腰をかるく反らせてから、ゆっくり前に曲げていくと前より 少し余分に曲がるようになります。そして、ポイントとなるツボは、足 の付け根から大腿裏にかけてと、肩甲骨の下端と肋骨下端のあいだに移 動します(写真10)。 &ref(p1hari05h#10.jpg)写真10  また、そこをゆるめると、もう少し前に曲がるようになり、ポイント は大腿の中央あたりに移ります(写真11)。 &ref(p1hari05h#11.jpg)写真11  この場合には、背中側にはツボは出ないことが多いです(ここまで前 屈すると、背中はそれ以上曲がらないことが多いので)。  また、そこをゆるめる(写真12)と、もう少し前に曲がるようになり、 ポイントは膝裏あたりに移ります。 &ref(p1hari05h#12.jpg)写真12  膝裏のツボをゆるめ(写真13)、いったん反ってから(写真14)前屈 すると、指先が足首近くまで届くくらいはラクに前屈できるようになり ます。 &ref(p1hari05h#13.jpg)写真13 &ref(p1hari05h#14.jpg)写真14  若くて元気な人なら必要ないかもしれませんが、刺鍼中にふらつく可 能性もあるので、ツボを見つけた姿勢を保つために、他の人に支えても らったり、机や椅子などに手をついてもらったりした方が無難と思いま す(写真15,16,17)。 &ref(DSCF2042.jpg)写真15 &ref(DSCF2043.jpg)写真16 &ref(DSCF2059.jpg)写真17  前屈してどこまで曲がるかと、足裏のツボが出る位置の関係は、人に よって少しずつ違ってきますが、たくさん前屈できるようになればなる ほどだんだん足首のほうに近づいていくという点は共通ですので、腰椎 5番に近いほうから足首に向かって足裏中央のラインを探し、ヘコんだ ところを見つけるようにしてください。  手首が膝下までラクに届けば普通の日常動作に制限はなくなるので、 多くの場合は、その時点で終えて仕上げに移ることが多いですが、患者 さんの仕事などによってはさらなる改善が必要な場合もあります。  仕上げは、座位で患側の外踝の近く丘墟などに引き鍼をします。 **3.腰のそのほかの動作鍼  頻度は少ないですが、横向きの側屈がしにくい患者さんもいます。こ の場合には、伸びる側の体の側面、つまり、足少陽ラインにツボが並び ます。この場合の起点は、腰椎2番付近のようで、前屈と同じように上 下両側にツボが出ることが多いです。  やはり、曲げられるようになるほど、ツボが起点から遠ざかります。  また、捻り、前屈、横曲げが組合わさった動作ができない人もいます。 上下の動きが加わることもあります。  その場合は少し複雑になりますが、やはり、その動きでいちばん伸び ようとしているラインを見つけ、腰に近いほうからたどっていくと、ヘ コんでいて、押すと痛いところが見つかります。  その姿勢でそこのツボに刺鍼すると、可動域が広がります。いったん 姿勢を戻してからチェックし、まだ日常生活に不便な程度の動作制限が 残っていたら、また動作鍼を繰り返して改善していきます。 **4.歩ける程度の動作制限は引き鍼と動作鍼だけでも改善可能  初めから立って動ける程度の腰痛で、できない動作が一つだけなら、 足の甲への引き鍼と動作鍼だけで改善することも可能です。  座位で足の甲4~5間に引き鍼したあと、立位でできない動作をラクに できる範囲で動いてもらい、痛くなる手前の姿勢、ラクに動けるギリギ リの姿勢で動作鍼をします。  一度で駄目なら2,3回繰り返します。  可動域制限がなくなったら、座位になっていただき、丘墟あたりにツ ボを探し引き鍼して仕上げます。  丘墟あたりにツボが出ていない場合やていねいに刺鍼したいときには、 飛揚・外丘付近に刺鍼したあと陽大鐘に引き鍼して終えます。このあた りについては前回を見直して理解するようにしてください。 *おわりに  簡単ですが、これで腰痛の応急処置を終え、次回からは、肩まわりの 辛さの応急処置に移ります。    つぎへ>>>[[術伝流一本鍼no.6]] -----    >>>目次へ・・・・・・・・・[[術伝流一本鍼(あ)]]    >>>このページのトップヘ・・[[術伝流一本鍼no.5]]    >>>術伝HPトップへ ・・・・[[トップページ]] ----- 術伝HP内検索:上の@wikiメニューの「wiki内検索」 ----- ------ *お知らせとお願い **術伝流鍼灸操体講座で患者さん役を募集  術伝流鍼灸操体講座は、実践面を重視しています。実際に症状が出て いる方の治療を見たほうが勉強になります。そこで、講座で患者さん役 をしてくださる方を募集しています。  くわしくは、[[術伝流のモデル]]をみてください。  よろしくお願いします。 **感想など  感想などありましたら、[[「術伝」掲示板>http://jutsuden.bbs.fc2.com/]]に書いてください。  また、「術伝」掲示板でも、旧掲示板「養生の杜」と同じように、 養生についての雑談や症例相談などもしていきたいと思っています。  よろしくお願いします。 **間違いなど  間違いなど見つけた方は、[[術伝事務局>jutsuden-jmkk@yahoogroups.jp]]あてにメールをください。  よろしくお願いします。 **「術伝」症例相談用メーリングリストの参加者募集  「術伝」では症例相談用メーリングリスト( [[術伝ML(muchukand)>http://groups.yahoo.co.jp/group/muchukand/]])の 参加者を募集しています。  よろしくお願いします。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 ----    >>>術伝HPトップへ ・・・・[[トップページ]] ----

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