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タワメの間の息 - (2010/08/20 (金) 06:43:08) の最新版との変更点
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操体もくもく・操体の自然則 (13) タワメの間の息
#contents
*1.はじめに
前回までは、操体にかかわる自然則のなかでも、「動」について、
操体をしながら思いついたことを書いてきました。
今回から「息」について書いて見たいと思います。
*2.タワメの間では、息が深くなる
今から20年以上前だったと思います。操体をしていてタワメの間が
長い人は、そのタワメの最中の息が深くなることに気が付きました。
パッストン系の瞬間脱力をしたあとに、脱力したまま休んでいると
きと同じような深い息をしたまま、ずっとタワメの間を続けているこ
とに気が付いたわけです。
そのご、操体をするたびに観察していると、タワメの間が長いとき
には、深さの程度の差はありますが、息が深くなる人がおおいことが
わかりました。
おなかで深い息をしている、つまり、自然に深い腹式呼吸になって
いることがわかりました。
すこしタワメの間がつづいても息が深くならないときは、動き出し
て、つぎのタワメの間の姿勢をさがすような感じで、ゆっくり動いて
いく人がおおかったです。
**自動運動は、タワメの間をさがすため
そんな経験を何度もしているうちに、私は、自然に動き続ける、い
わゆる「自動運動」というのは、その運動自体に体の歪みをとる効果
があることよりも、つぎのタワメの間をさがすために動いていること
のほうがおおいのではないかと考えるようになりました。
自動運動だけで終わってしまうときよりも、新しいタワメの間がみ
つかって、そのタワメの間のあいだじゅう、深い息を続けた人のほう
が満足度も高く、体の歪みや痛み・つらさがよくなることもおおかっ
たからです。
**息を深くなる姿勢をさがすことをキッカケに
それで、20年くらい前には、息が深くなる姿勢をさがすことをキッ
カケにして操体をするという、一人操体の方法を思いつき、練習して
いました。
そのときの自分の息を観察して、その息をするために体がどういう
動きをしているかを観察し、その動きをすこし大きくしていくという
やり方です。
そうすると、それに合わせて息が深くなっていきました。
***ラクな姿勢を強調したり、体重を移したりのほうが簡単
これは、これで、気持ちよかったのですが、このごろはあまりして
いません。
このごろは、自分が、いま、どんな姿勢がラクかなと、ちょっと姿勢
を変えてさがして、その姿勢をすこし強調したり、体重をすこし移した
りしたほうが、自然に息が深くなることがわかったからです。
呼吸にあわせて姿勢を変えていくよりも、そのほうが無理なく自然に
息が深くなり、気持ち良さも深く、私にとっては、めんどうがすくなく
て、簡単にできることもわかりました。
いまでは、操体や鍼灸をしたり、後輩にそれらを伝えたりという仕事
の合間にも、パソコンにむかったり、家事をしたり、電車にのったり、
歩っているときにも、ラクな姿勢を強調する一人操体をしてます。
つまり、いろいろなときに、そのときラクな姿勢をすこし強調したり、
体重を移しやすいほうに移したりして、息が深くなるのをまつという形
で、一人操体をしょっちゅうしています。
クセになっています。
*3.指圧・按摩、鍼灸でも息が深くなる
そのご、指圧・按摩や、鍼灸などでも、そのときしていることが効果
的なら、息が深くなることに気が付きました。
自己免疫力が活性化しているときに特徴的な息のようです。
**指圧でも、息が深くなる
指圧でも、押している時間を長くすると、タワメの間と同じように、
息が深くなります。
一押し5秒くらいだと深くなりませんが、受け手の体の状態にあった
ところを1分ちかく押し続けると、タワメの間と同じような深い息をし
だす人がおおいです。
ただし、5秒押しでも、リズミカルに続けると息が深くなることがし
ばしばあります。
5秒押しをくりかえすのが指圧と考えている人から見れば、1分も押
しつづける私の方法は、指圧ではないかもしれません。親指をあまり使
わず、肘から前腕、拳骨、指関節、膝などをおおく使いますし。
肘は、とくによく使いますが、受け手の体にあたる面積が、親指より
も広くて当たりがやわらかく、肩からの関節の数が少ないので、長いあ
いだ押してもぶれにくいようです。
つまり、肘指圧は、強さというか圧を一定にたもちやすいようです。
そのため、気持ち良さがとぎれることなく続くようで、受け手の息も
深くなりやすく、満足度も高いようです。
そういうわけで、操体的な視点で見れば、こういう、1分以上押し続
けるやり方でも良いのではないかと思い、実行しています。
***按摩でも息が深くなる
ゆっくりとした揉みをまぜてマッサージふうにすることもあります。
按摩ふう操体というか、そんな感じで、しているあいだは、受け手の
息がより深くなるように、圧し方、揉み方、リズム、力のいれ具合、力
をいれる方向などを、すこしずつ変えていきます。
片手で皮膚の操体、片手・片肘で按摩指圧というのも、よくします。
ゆっくりとなら、動きや重さの操体と組み合わせることもできます。
前にも書きましたが、シコりを押したり、はさんだりしながら動きや
重さの操体をするとタワメの間がみつけやすくなります。
そういう感じで按摩していると、受け手のそのときの体の状態にあっ
ていれば、やはり、自然に息が深くなります。
***鍼灸でも、息が深くなる
-それから
鍼灸でも、効果を上げている時には
息が深くなる事が多い事に気が付きました。
--片麻痺の方の指に硬く捻った灸をして
熱さを感じて逃げてもらうようなタイプの方法では、
息は深くならない場合も多いですが、
--ゆっくり暖めるようなお灸をしていく時や
ゆっくり時間を掛けて鍼を刺していく時には、
息は深くなる事が多いです。
--また、
熱さを感じて逃げる動作を誘導するようなお灸をした後、
息が深くなっている事もあります。
---パッストン系の瞬間脱力をした後のような感じで。
*タワメの間へ瞬間脱力で誘導 [#gfa7381f]
-また、
タワメの間に入りつつあるのだけれど、
巧く入れないでまごまごしている感じの時には、
伝え手のほうが軽くフッと瞬間脱力をすると、
受け手の方の息が深くなり、
それをきっかけにタワメの間に入っていく事もよくあります。
--この場合の瞬間脱力は極々僅かで
受け手の方には気づかれないくらいが良いのですが、
脱力する速さがゆっくりでは息は深くなりません。
---極々短くしかも出来るだけ速い瞬間脱力をする必要があります。
-いろいろ試してみたのですが、
伝え手の息というか、
お腹を利用するのが速い事がわかりました。
--息を吸いながら下腹を膨らませ下腹に力を入れていき、
大きく膨らんだらフッと一瞬下腹の力を抜きます。
---こうすると、
誘導、抵抗や支えを作っている手などで瞬間脱力するよりも
速く短い瞬間脱力ができます。
-同じくらいの速さの瞬間脱力としては、
他にアクビの時に「あーあーあ」と口を開けていき
フッと閉じる際の瞬間脱力がありますが、
此方のほうは、瞬間脱力が
うまく支えや抵抗、誘導を作っている手などに伝わりません。
--そのため、
受け手の方の体にも伝わりにくく、
受け手の方の深い息を誘導する時には使いにくくなります。
**アクビの終わりの口の閉じ方は、瞬間脱力の良い見本 [#o7792a10]
-余談になりますが、
このアクビの際の瞬間脱力は、
本当に瞬間脱力らしい瞬間脱力だなぁと思うので、
よく瞬間脱力の説明をする時に例に出します。
--脱力の速さも瞬間的な速さだし、
脱力している時間は本当に瞬間的な短さだし、
脱力した後に歯と歯がぶつかるような事はありません。
---歯と歯がぶつからないというのは、
この瞬間脱力が「急速反転運動」にはなっていない
という事だと思います。
-この二つがとても
瞬間脱力のポイントを表していて説明がしやすいからです。
--私は瞬間脱力は早くて短いのがポイントだと思っていますので。
***ふっくにゃぁ系脱力の「ふっ」は極小さな瞬間脱力 [#mbb213a2]
-誤解をされるといけないので、付け加えておきますが、
ふっくにゃぁ系の場合には、細かく言えば
「ふっ」の部分で大変短く大変早い瞬間脱力をしている
のだと考えています。
--その直後に深い息になり「ぽわわん」とした
タワメの間になることもありますし、
体全体の力が抜けた状態で
しばらく深い息を続ける事もあります。
**操体の気持ち良さを味わってもらうのが先 [#wf85c564]
-話を戻します。
伝え手のほうが瞬間脱力をするのは
操体は自力という考え方に反するのではないか
という意見もあるようです。
-私は
先ず受け手の方に操体の気持ち良さ、特に
タワメの間の気持ち良さや脱力した後の気持ち良さを
味わっていただくほうが先
だと思うので、
--タワメの間に入れないで
もぞもぞしている感じを受ける時には、
+++空いている手で動きを誘導したり、
手が届かない時には、声を掛けて、
患者さんに新しい動きを試してもらったりします。
+++それでももう少しだなと感じた時に
下腹を利用した瞬間脱力をします。
---すると、その直後から受け手の方の息が深くなり、
ぽわわんとしたタワメの間にはいっていく事が多いです。
-もう少なくとも10年以上こういうことをしているので、
今では半ば無意識に行っているようです。
--それに始めた頃も意識して行ったと言うよりも、
半ば無意識でやっていて
結果的に受け手の方の息が深くなって、
あ、こうすると良さそうと気づいたという感じです。
---いつ頃からやりはじめたのかはっきりしないのは、
その辺りに理由があります。
***自力の意味を考える [#r73e339a]
-操体で言う自力というのは、
伝え手の言うとおりの動きを受け手の方に行ってもらう
事なのかなという疑問があります。
-受け手の方に
受け手の方自身の体の状態をよく感じてもらい、
体が望んでいる事を理解して、
試しにやってみて
良い感じがしたり気持ち良さが出てきたら
味わっていただく
のが自力なのではないでしょうか?
--伝え手というのは、
その手伝いをする役割だと思います。
---体が感じている事や望んでいる事が解らなければ、
こうではありませんかとアドバイスをし、
そのために何処をどう動かすか解らなければ、
こういう動きやズラし(カワの操体の場合)はどうですか
とアドバイスしていく役目だと思います。
-この、操体で言う自力とは何かという点については、
いずれまた詳しく書きたいと思いますが、
今は、そういう気がするので、私自身は、
伝え手が瞬間脱力する事も操体に取り入れている
という事にしておきます。
*効果を出すには、息が深くなる事が必要 [#af179a56]
-また、話を戻します。
-私は今まで書いてきたような経験を積み重ねているうちに、
受け手の方の体が喜び、受け手の方が満足する、あるいは、
歪みが減って体が整う、もっと言えば、結果として
痛みや辛さが少なくなるためには、
息が深くなる事が必要なのではないか
というふうに考えるようになりました。
--前にも書いたと思いますが、これには、
子供がカゼを引いた時の状態を添い寝しながら観察した
事も関係しています。
**風邪で寝ている時に、深い息をしていた [#fabcd455]
-子供が小さい頃、外から帰ってきて
頭が痛い、カゼをひいたみたいだから寝たいと言うので、
作業を中断して布団を敷いて寝かせました。
-作業が一段落した30分くらい後で、
カワの操体でもできるかなと近づいたら、
タワメの間の息よりももっと深い息を既にしていたのです。
--小さい頃からの事を振り返ってみると、そう言えば、たいてい、
こういう風にカゼをひいて寝ている時は
息が深くなっていたなと思いました。
---しばらく、
呆然と深い息を続ける子供を眺めていました。
-このままでも何とかなりそうだなとも思いつつ、
カワの操体をすれば、もう少し楽にしてあげられるかなと、
背骨を辿ったり体を触ってみて、
ツボが出ている所にカワの操体をしました。
***達人の先生方の治療中の患者さんの息などを観察 [#fdc72131]
-なんとなく
息が深くなる事と効果が出て受け手の方が満足する事が
関係有りそうだなと気づいてから、
自分がカゼをひいた時などは、
息の変化を中心に体の症状の変化を観察し続けました。
-また、
操体を始め鍼灸・指圧按摩などの達人の先生方が
実演してくださったり、
治療を見学させてくださったりする度(たび)に、
受け手の方の息の深さを観察してきました。
--そんな事を15年近く続けてきて、
息が深くなれば、少なくとも80%以上の確率で、
効果が出て受け手の方が満足するというが解りました。
---息が深くなる事との相関関係が
他の事との相関関係よりも抜群に高かったのです。
--操体で言えばパッストン系のような
時間の短い素早い方法では直後に、
ふっくにゃぁ系のような
時間が長いユックリとした方法では最中に、
息が深くなる事が多かったです。
-それで、こういう、
橋本敬三・翁先生が東洋的物療と呼んだ方法では、
受け手の方の息が深くなるかどうかを判断基準にするのが、
他の事を判断基準にするよりも的確に、
その時の受け手の方の体にぴったり合った事が出来る
ように思っています。
**息が深くなるかどうかを判断基準に施術 [#zd0ec51f]
-それで、今、私は、
「タワメの間で息が深くなるかどうか」を判断基準にして
操体をしています。
-また、
操体を始め鍼灸按摩などを含めて、
後輩に伝えていく時には、
施術中には、
常に受け手の方のお腹を見て、息の深さを観察し、
息が深くなるように工夫をしなさいと勧めていますし、
工夫の仕方も伝えています。
--そして、
そういうやり方で伝えると上達が早いように思います。
---たぶん、
受け手の方の体のその時その場での状態や、
その時に受け手の方の体が望んでいる事に
適切に合わせていく事が出来るようになるからだと思います。
***息は、体の状態をリアルタイムに反映している [#x51c2ffa]
-受け手の方の体が望んでいる事は、
一つの操体操法の最中にも刻々と変わっていきます。
--それに一番早く同調する、
今の言葉で言うとシンクロするのが息のようです。
--それで、
息の深さを見ていると、
刻々と変化していく体の望みに最も合わせ易い
ように思います。
---他の判断基準では、即時即応、つまり、
リアルタイムに合わせていく事がうまく出来ないので、
「途中で気持ち良さが途切れてしまった」とか、
「気持ち良さが連続しなかった」と
言われる確率が高くなるように思います。
*8.おわりに
今回は、タワメの間で受け手の息の深さについて書きました。
次回は、一つの操体での受け手の息の変化していく様子や、息の自
然則として橋本先生が書き残している事の関係などを書いていきたい
と思います。
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*お知らせとお願い
**術伝流鍼灸操体講座で患者さん役を募集
術伝流鍼灸操体講座は、実践面を重視しています。実際に症状が出て
いる方の治療を見たほうが勉強になります。そこで、講座で患者さん役
をしてくださる方を募集しています。
くわしくは、[[術伝流のモデル]]をみてください。
よろしくお願いします。
**感想など
感想などありましたら、[[「術伝」掲示板>http://jutsuden.bbs.fc2.com/]]に書いてください。
また、「術伝」掲示板でも、旧掲示板「養生の杜」と同じように、養生に
ついての雑談や、症例相談などもしていきたいと思っています。
よろしくお願いします。
**間違いなど
間違いなど見つけた方は、[[術伝事務局>jutsuden-jmkk@yahoogroups.jp]]あてにメールをください。
よろしくお願いします。
**「術伝」症例相談用メーリングリストの参加者募集
「術伝」では症例相談用メーリングリスト( [[術伝ML(muchukand)>http://groups.yahoo.co.jp/group/muchukand/]])の
参加者を募集しています。
よろしくお願いします。
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操体もくもく・操体の自然則 (13) タワメの間の息
#contents
*1.はじめに
前回までは、操体にかかわる自然則のなかでも、「動」について、
操体をしながら思いついたことを書いてきました。
今回から「息」について書いて見たいと思います。
*2.タワメの間では、息が深くなる
今から20年以上前だったと思います。操体をしていてタワメの間が
長い人は、そのタワメの最中の息が深くなることに気が付きました。
パッストン系の瞬間脱力をしたあとに、脱力したまま休んでいると
きと同じような深い息をしたまま、ずっとタワメの間を続けているこ
とに気が付いたわけです。
そのご、操体をするたびに観察していると、タワメの間が長いとき
には、深さの程度の差はありますが、息が深くなる人がおおいことが
わかりました。
おなかで深い息をしている、つまり、自然に深い腹式呼吸になって
いることがわかりました。
すこしタワメの間がつづいても息が深くならないときは、動き出し
て、つぎのタワメの間の姿勢をさがすような感じで、ゆっくり動いて
いく人がおおかったです。
**自動運動は、タワメの間をさがすため
そんな経験を何度もしているうちに、私は、自然に動き続ける、い
わゆる「自動運動」というのは、その運動自体に体の歪みをとる効果
があることよりも、つぎのタワメの間をさがすために動いていること
のほうがおおいのではないかと考えるようになりました。
自動運動だけで終わってしまうときよりも、新しいタワメの間がみ
つかって、そのタワメの間のあいだじゅう、深い息を続けた人のほう
が満足度も高く、体の歪みや痛み・つらさがよくなることもおおかっ
たからです。
**息を深くなる姿勢をさがすことをキッカケに
それで、20年くらい前には、息が深くなる姿勢をさがすことをキッ
カケにして操体をするという、一人操体の方法を思いつき、練習して
いました。
そのときの自分の息を観察して、その息をするために体がどういう
動きをしているかを観察し、その動きをすこし大きくしていくという
やり方です。
そうすると、それに合わせて息が深くなっていきました。
***ラクな姿勢を強調したり、体重を移したりのほうが簡単
これは、これで、気持ちよかったのですが、このごろはあまりして
いません。
このごろは、自分が、いま、どんな姿勢がラクかなと、ちょっと姿勢
を変えてさがして、その姿勢をすこし強調したり、体重をすこし移した
りしたほうが、自然に息が深くなることがわかったからです。
呼吸にあわせて姿勢を変えていくよりも、そのほうが無理なく自然に
息が深くなり、気持ち良さも深く、私にとっては、めんどうがすくなく
て、簡単にできることもわかりました。
いまでは、操体や鍼灸をしたり、後輩にそれらを伝えたりという仕事
の合間にも、パソコンにむかったり、家事をしたり、電車にのったり、
歩っているときにも、ラクな姿勢を強調する一人操体をしてます。
つまり、いろいろなときに、そのときラクな姿勢をすこし強調したり、
体重を移しやすいほうに移したりして、息が深くなるのをまつという形
で、一人操体をしょっちゅうしています。
クセになっています。
*3.指圧・按摩、鍼灸でも息が深くなる
そのご、指圧・按摩や、鍼灸などでも、そのときしていることが効果
的なら、息が深くなることに気が付きました。
自己免疫力が活性化しているときに特徴的な息のようです。
**指圧でも、息が深くなる
指圧でも、押している時間を長くすると、タワメの間と同じように、
息が深くなります。
一押し5秒くらいだと深くなりませんが、受け手の体の状態にあった
ところを1分ちかく押し続けると、タワメの間と同じような深い息をし
だす人がおおいです。
ただし、5秒押しでも、リズミカルに続けると息が深くなることがし
ばしばあります。
5秒押しをくりかえすのが指圧と考えている人から見れば、1分も押
しつづける私の方法は、指圧ではないかもしれません。親指をあまり使
わず、肘から前腕、拳骨、指関節、膝などをおおく使いますし。
肘は、とくによく使いますが、受け手の体にあたる面積が、親指より
も広くて当たりがやわらかく、肩からの関節の数が少ないので、長いあ
いだ押してもぶれにくいようです。
つまり、肘指圧は、強さというか圧を一定にたもちやすいようです。
そのため、気持ち良さがとぎれることなく続くようで、受け手の息も
深くなりやすく、満足度も高いようです。
そういうわけで、操体的な視点で見れば、こういう、1分以上押し続
けるやり方でも良いのではないかと思い、実行しています。
**按摩でも息が深くなる
ゆっくりとした揉みをまぜてマッサージふうにすることもあります。
按摩ふう操体というか、そんな感じで、しているあいだは、受け手の
息がより深くなるように、圧し方、揉み方、リズム、力のいれ具合、力
をいれる方向などを、すこしずつ変えていきます。
片手で皮膚の操体、片手・片肘で按摩指圧というのも、よくします。
ゆっくりとなら、動きや重さの操体と組み合わせることもできます。
前にも書きましたが、シコりを押したり、はさんだりしながら動きや
重さの操体をするとタワメの間がみつけやすくなります。
そういう感じで按摩していると、受け手のそのときの体の状態にあっ
ていれば、やはり、自然に息が深くなります。
**鍼灸でも、息が深くなる
それから、鍼灸でも、効果を上げているときには、息が深くなること
がおおいことに気がつきました。
片麻痺の人の指にかたくひねった灸をして、熱さを感じて逃げてもら
うようなタイプの方法では、息は深くならないことがおおいですが、ゆっ
くりあたためるようなお灸をしていくときや、ゆっくり時間をかけて鍼
を刺していくときには、息は深くなることがおおいです。
また、熱さを感じて逃げる動作を誘導するようなお灸をしたあと、息
が深くなっていることもあります。パッストン系の瞬間脱力をしたあと
のような感じで。
*4.タワメの間へ瞬間脱力で誘導
また、タワメの間にはいりつつあるのだけれど、うまくはいれないで
まごまごしている感じのときには、伝え手のほうがかるくフッと瞬間脱
力をすると、そのとたんに、受け手の息が深くなり、それをキッカケに
タワメの間にはいっていくこともよくあります。
このときの瞬間脱力は、ごくごくわずかで、受け手には気づかれない
くらいがよいのですが、脱力する速さがゆっくりでは息は深くなりませ
ん。
ごくごく短く、しかも、できるだけ速い瞬間脱力をする必要がありま
す。
いろいろためしてみたのですが、伝え手の息というか、おなかを利用
するのが速いことがわかりました。
息をすいながら下腹をふくらませ下腹に力をいれていき、大きくふく
らんだら、フッと一瞬、下腹の力をぬきます。
こうすると、誘導・抵抗・支えを作っている手などで瞬間脱力するよ
りも、速く短い瞬間脱力ができます。
同じくらいの速さの瞬間脱力としては、アクビのときに「あーあーあ」
と口を開けていき、フッと閉じるときの瞬間脱力がありますが、こちら
のほうは、瞬間脱力がうまく支え・抵抗・誘導を作っている手などに伝
わりません。
そのため、受け手の体にも伝わりにくく、受け手の深い息を誘導する
ときには使いにくくなります。
**アクビの終わりの口の閉じ方は、瞬間脱力の良い見本
余談になりますが、このアクビのときの瞬間脱力は、本当に瞬間脱力
らしい瞬間脱力だなぁと思うので、瞬間脱力の説明をするときに、よく
例に出します。
脱力の速さも、瞬間的な速さだし、脱力している時間は、本当に瞬間
的な短さで、脱力した後に歯と歯がぶつかるようなことはありません。
歯と歯がぶつからないというのは、この瞬間脱力が「急速反転運動」
にはなっていないということだと思います。
この二つが、とても瞬間脱力のポイントをあらわしていて、説明がし
やすいです。
私は、瞬間脱力は早くて短いのがポイントだと思っていますので。
***ふっくにゃぁ系脱力の「ふっ」は、ごく小さな瞬間脱力
誤解をされるといけないので、付け加えておきますが、ふっくにゃぁ
系のときには、こまかく言えば、「ふっ」の部分で、すごく短くすご
く速い瞬間脱力をしているのだと考えています。
その直後に深い息になり「ぽわわん」としたタワメの間になること
もありますし、体全体の力がぬけた状態で、しばらく深い息をつづけ
ることもあります。
**操体の気持ち良さを味わってもらうのが先
話をもどします。
伝え手のほうが瞬間脱力をするのは、操体は自力という考え方に反
するのではないかという意見もあるようです。
私は、まず受け手に操体の気持ち良さ、とくに、タワメの間の気持
ち良さや、脱力したあとの気持ち良さを味わってもらうほうが先だと
思います。
それで、タワメの間にはいれないでもぞもぞしている感じをうける
ときには、あいている手で動きを誘導したり、手が届かないときには、
声をかけて、受け手に新しい動きをためしてもらったりします。
それでも、もうすこしだなと感じたときに、下腹を利用した瞬間脱
力をします。
すると、その直後から受け手の息が深くなり、ぽわわんとしたタワ
メの間にはいっていくことがおおいです。
もう、すくなくとも15年以上こういうことをしているので、いまで
は、なかば無意識にしているようです。
それに、はじめたころも意識してしていたというよりも、なかば無
意識でやっていて、結果的に受け手の息が深くなって、あ、こうする
と良さそうと気づいたという感じです。
いつごろからやりはじめたのかはっきりしないのは、そのあたりに
理由があります。
***自力の意味を考える
操体でいう自力というのは、伝え手の言うとおりの動きを、受け手
にしてもらうことなのかなという疑問があります。
受け手に、受け手自身の体の状態をよく感じてもらい、体がのぞん
でいることを理解して、ためしにやってみてイイ感じがしたり、気持
ち良さが出てきたら、味わってもらうのが、自力なのではないでしょ
うか?
伝え手というのは、その手伝いをする役割だと思います。
体が感じていることや希望していることがわからなければ、こうで
はありませんかとアドバイスをし、そのためにどこをどう動かすかが
わからなければ、こういう動きやズラしはどうですかとアドバイスし
ていく役目だと思います。
この、操体で言う自力とは何かという点については、いずれまた、
くわしく書きたいと思いますが、いまは、そういう気がするので、私
自身は、伝え手が瞬間脱力することも操体に取り入れているというこ
とにしておきます。
*5.効果を出すには、息が深くなることが必要
また、話をもどします。
私は、いままで書いてきたような経験をつみかさねているうちに、
受け手の体がよろこび、受け手が満足するためには、息が深くなるこ
とが必要なのではないかと、考えるようになりました。
受け手の体がよろこび、受け手が満足すれば、歪みがへって、体が
ととのう、もっといえば、結果として痛みやつらさがすくなくなるこ
とがおおいので、そういうためにも、息が深くなることが必要なので
はないかと思っています。
前にも書いたと思いますが、これには、子供がカゼを引いたときの
状態を添い寝しながら観察したことも関係しています。
**カゼで寝ているときに、深い息をしていた
子供が小さいころ、外から帰ってきて、頭が痛い、カゼをひいたみ
たいだから寝たいというので、作業を中断して布団をしいて寝かせま
した。
作業が一段落した30分くらいあとで、皮膚の操体でもできるかなと
ちかづいたら、タワメの間の息よりももっと深い息をすでにしていた
のです。
小さいころからのことをふりかえってみると、そういえば、たいて
い、こういうふうにカゼをひいて寝ているときは、息が深くなってい
たなと思いました。
しばらく、呆然と、深い息をつづける子供をながめていました。
このままでも何とかなりそうだなとも思いつつ、皮膚の操体をすれ
ば、もうすこしラクにしてあげられるかなと、背骨をたどったり体を
さわってみたりして、ツボが出ているところに皮膚の操体をしました。
***達人の先生方の治療中の患者さんの息などを観察
なんとなく、息が深くなることと、効果が出て受け手が満足するこ
とが、関係ありそうだなと気づいてから、自分がカゼをひいたときな
どは、息の変化を中心に、体の症状の変化を観察しつづけました。
また、操体をはじめ鍼灸・指圧按摩などの達人の先生方が実演して
くださったり、治療を見学させてくださったりするたびに、受け手の
息の深さを観察してきました。
そんなことを20年ちかく続けてきて、息が深くなれば、すくなくと
も80%以上の確率で、効果が出て受け手が満足するというがわかりま
した。
息が深くなることとの相関関係が、ほかのこととの相関関係よりも
抜群に高かったのです。
操体でいえばパッストン系のような時間の短い素早い方法では、そ
の直後に、息が深くなることがおおいです。
ふっくにゃぁ系のような時間が長いユックリとした方法では、その
最中に、息が深くなることがおおいです。
それで、こういう、橋本敬三先生が東洋的物療とよんだ方法では、
受け手の息が深くなるかどうかを判断基準にするのが、ほかのことを
判断基準にするよりも、的確に、そのときの受け手の体にぴったり合っ
たことができるように思っています。
**息が深くなるかどうかを判断基準に操体
それで、いま、私は、&bold(){タワメの間で息が深くなるかどうか}を判断
基準にして、操体をしています。
また、操体をはじめ鍼灸按摩などをふくめて、後輩に伝えていくと
きには、施術中には、つねに受け手のお腹を見て、息の深さを観察し、
息が深くなるように工夫をしなさいとすすめていますし、工夫の仕方
も伝えています。
そして、そういうやり方で伝えると、上達が早いように思います。
たぶん、受け手の体のそのときの状態や、そのときに受け手の体が
のぞんでいることに適切に合わせていくことができるようになるから
だと思います。
***息は、体の状態をリアルタイムに反映している
受け手の体がのぞんでいることは、一つの操体の最中にも刻々と変
わっていきます。
それにいちばん早く同調する、いまの言葉でいうとシンクロするの
が、息のようです。
それで、息の深さを見ていると、刻々と変化していく体ののぞみに
いちばん合わせやすいように思います。
ほかの判断基準では、即時即応、つまり、リアルタイムに合わせて
いくことがうまくできないので、「途中で気持ち良さが途切れてしまっ
た」とか、「気持ち良さが連続しなかった」とか言われる確率が高く
なるように思います。
*6.おわりに
今回は、タワメの間のあいだの受け手の息の深さについて書きまし
た。
次回は、一つの操体での受け手の息の変化していく様子や、息の自
然則として橋本先生が書き残している事の関係などを書いていきたい
と思います。(ちょっと遅れています、すみません)
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