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術伝流操体no.27 - (2010/08/07 (土) 09:37:47) の編集履歴(バックアップ)


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術伝流操体 [2]ラクな寝方をすこし強調 (16) 指先で皮膚操体、横向き寝がラクなとき

指先で皮膚操体、横向き寝がラクなとき

(1) はじめに

 今回は、横向き寝のときの指先での皮膚操体について説明していきま
す。

 このときも、まずは、ラクな姿勢になってもらうことが必要です。

 いつもの通り、声をかけて、ラクな姿勢になってもらい、その姿勢が
横向き寝だったら、キュークツそうでないか観察します(写真1)。

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写真1

 キュークツそうなら、声をかけて、もう少しラクな姿勢を探してもら
います(写真2)。

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写真2

 それでも、まだキュークツそうなら、上になっている足の小指や第4
指の指裏を調べてツボが出ていたら、すこし痛くして逃げてもらい、指
裏が痛まない姿勢になってもらいます(写真3)。

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写真3

 横向き寝での指先の操体でよく使うツボは、基本的には、横向きで上
になっている部分に多いです。

 側頭部・側面部、首横側、真横の肋間(小陽経絡の肋間)、背骨のす
ぐ横(華陀経)上側、上側の脇腹(痞根、腰徹腹)、お尻の横側(環跳、
仙骨まわり、臀央)、足の横側(足徹腹、風市、下委陽、飛揚~外丘、
陽大鐘、足五里~陰包~下腿内側、大鐘)などです。

(2) 側頭部・側面部

 頭や顔の上をむいている側です。ツボの出やすいところは、仰向けや
うつぶせの場合と同じです。

 頭の場合には、正中線、目をとおり正中線に平行なライン、耳をとお
り正中線に直行するラインに多いです。そのあたりを中心に、さわって
みてペコペコ、ブヨブヨした感じのところを見つけます(写真4)。

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写真4

 顔の場合には、横側の髪の生え際、目と耳のあいだ、あごの付け根、
耳の前の小さなくぼみ、下あごの後ろよりにあるヘコみなどです
(写真5)。

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写真5

 頭のツボは、比較的ずれにくいので、指先でかるくずらしてから捻転
してみる感じがよいことが多いと思います。

 顔のツボは、額の横側、アゴの付け根、ほっぺたなどは、比較的大き
くズレやすいので、指先でずらすよりも四指でずらすほうがよい場合が
多いです。

 横側の髪の生え際、耳の前、下あごの後ろよりなどのツボは細かいの
で、指先で沈方向に張ってから捻転するのがよい場合が多いです。

 付け足しは、関連する、薬指・中指を反らしたりするのがよい場合が
多いです。

 ただ、受け手の後ろから操体したほうがよい場合が多く、とくに、丸
まり型の人の場合には、手を胸側においているせいもあって、手がとど
かないことが多く、そういうときは無理して付け加えなくてもよいでしょ
う。

 どちらの場合も、声をかけて足を動かしてもらう操体などを組み合わ
せることもできますが、横向き寝の場合は、ほかの寝方とくらべて、動
きたくない感じの人が多いので、あまり動きたくなさそうなら、しない
ほうがよいでしょう。

(3) 首横側

 上になっている側の後頭骨下縁(風池、完骨)、首の下額骨の付け根
より(下翳風)、横頸中央など(写真6)。

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写真6

 指先で沈方向に張ってから捻転が良いことが多いです。

 付け足しは、操者が受け手の後ろ側にいることが多いので、とくに、
丸まり型の場合には、受け手の手を組み合わせるのは難しくなります。

 たとえば、上半身の歪みに関係する上になっている脇腹の肋骨よりの
ツボ(痞根)を組み合わせたりします(写真7)。

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写真7

 声をかけて動きの操体も可能ですが、丸まり型の場合には、とくに、
動くことを好まれない場合が多いようです。

(4) 真横の肋間

 真ん中付近(大包)が多いですが、脇の下より(淵腋)、肋骨の下端
近くにも出ていることがあります。

 肋間でツボが浅いので、かるく沈してから捻転がよいです。

 付け足しは、手足の指に無理なく手がとどくことが少ないので、手が
届く範囲で、上になっている足の横側面のツボなど横向き寝で出やすい
ツボを探し、そこを押したり皮膚操体したりすることが多いです。

 くすぐったいと言ってイヤがる人の場合は、使いにくいです。

 そういう場合に、ほんの少しくすぐったいくらいにして逃げてもらう
とイイ感じのタワメの間にはいっていくことも多いのですが、受け手と
のやり取りが少し難しいかもしれません。

 初めての人の場合は、やらないことも多くなります。

(5) 背骨のすぐ横(上になっている側)

 背骨のすぐ横側(横突起間)には、華佗経とよばれる経絡が走ってい
るといわれていて、比較的古い歪みのときにツボが出やすいとされてい
ます。

 背骨のすぐ横の上になっている側に指をすべらせて、なんとなく変な
感じのところをさがして、押して痛いところを見つけます。

 とても古くて麻痺した感じで痛まない場合もありますが、はじめのう
ちは、そういうところは無理して使わなくてもよいと思います。

 ここも、ツボが細かくあまり皮膚がずれないことが多いので、かるく
沈してから捻転するのがよいでしょう。

 付け足しは、手がラクに動く範囲で選ぶと、たとえば、背骨の上側の
違う場所のツボを組み合わせたりします(写真8)。

写真8

(6) 上側の脇腹

 上側の脇腹では、脊柱起立筋のいちばん脇腹よりにツボが出ているこ
とが多く、中でも、いちばん肋骨より(痞根)、いちばん骨盤より(腰
徹腹)に多いです。

 横向き捻れ型のときには、痞根を背中側に、腰徹腹を腹側に四指でズ
ラすとイイ感じのことが多いです(写真9)。

写真9

 横向き丸まり型のときには、双方を腹側に、しかも、よせる、つまり
近づける感じで斜めにズラすとイイ感じのことが多いです(写真10)。

写真10

 付け足しは、両手をすでに使ってしまっていることが多いので、声を
かけて動いてもらいます。

 横向き捻れ型の場合には、上になっている足を膝のほうに少し動かし
てもらったり、背中側に伸ばしている手をより伸ばしてもらったりなど
の横向き捻れを強調するような動きを誘導できます。

 横向き丸まり型の場合には、上になっている足の膝を胴体のほうにあ
げてもらったり、アゴを胸に近づけてもらったりなどの横向き丸まりを
強調する動きを誘導できます。

 が、とくに、横向き丸まり型の場合には、あまり動きたくない感じの
人が多く、そういう場合は、控えたほうが良いでしょう。

(7) お尻の横側(上になっている側)

 お尻の上になっている側では、骨盤の上部と大転子の中ほどの後ろよ
りのヘコみ(環跳)、仙骨と蝶骨の関節部、仙骨孔(次寥など)、お尻
の中央で見た目にいちばん出っ張っていて押すといちばんヘコむところ
(臀央)などです。

 臀央と環跳は大きめなので四指の先でズラすのがイイ感じのことが多
く(写真11)、仙腸関節部や仙骨孔のツボは小さめなので中指などの先
で沈方向へずらし捻転するのがイイ感じのことが多いです。

写真11

 付け足しは、手が届く範囲で、上になっている足の横側(上側)に出
ているツボを組み合わせることが多いです(写真12)。

写真12

 もちろん、声をかけて動きの操体を誘導しても良いですが、とくに丸
まり型の場合は、動きたくない感じの人が多くなります。

(8) 足の横側

 足の横側では、足の付け根で腸脛靭帯の足裏側のヘコみ(足徹腹)、
大腿横側中央(風市)、膝裏H字状のヘコみの外よりで下腿より2,3cm
のところ(下委陽)、その延長で脹ら脛が終わったあたりのヘコみ(飛
揚~外丘)、アキレス腱と外くるぶしの間の踵の骨の上(陽大鐘)など
です。

 また、足が重なっていなければ、下になっている足の大腿部の中央ラ
イン(陰包など)、下腿の内側のライン(下陰谷、築賓)、内くるぶし
のまわりのツボ(大鐘、照海)も使えます。

 広い範囲で大きくヘコむ、大きめのツボは、四指でずらしたほうがイ
イ感じの場合が多く、狭い範囲で小さくヘコむ、小さめのツボは、押し
手広げや指先で沈+捻転がイイ感じのことが多いです(写真13)。

写真13

 付け足しは、経絡的に相関する指を反らしたり(写真14)、指の関節
部裏側横紋端のツボの指圧か「沈+捻転」の皮膚操体などをします。

写真14

 言葉で上半身の上になっている腕や首(頭、顔)を動かしてもらう操
体を誘導したりもできますが、動きたくなさそうな方にはしないほうが
よいでしょう。

(9) よく使うもの

 頭のほうから順に書いてきましたが、操体は下半身から整えていくの
が基本です。

 しかも、横向き寝の場合には、はじめによりラクな姿勢になってもらっ
たときに、上になっている足指が痛くない姿勢になってもらうと、下半
身の姿勢がほとんど決まってしまい、下半身を動かすことが少なくなっ
てしまいます。

 こういう場合には、次に、胴体の4種八方向や体重移動など、体の中
心のバランスをととのえていく操体をすると効果があがりやすいです。

 横向き寝の場合に、具体的に言えば、腰椎の4種8方向をすると、大
きく変化していくことが多いです。

 というわけで、腰椎部の4種8方向が効果が出やすく、よく使われま
す。

9.1.横向き捻れ型

 横向き捻れ型の場合には、脇腹の痞根・腰徹腹をそれぞれ反対側にズ
ラす操体です(写真15)。

写真15

 この場合、どちらかよくずれるほうをずらし、ずれないほうは外して、
手がラクにとどく範囲で、ずれるほうと関連する手足のツボと組み合わ
せたりするのもイイ感じが出やすいです。

 比較すると、腰骨よりの腰徹腹のほうがずれやすいことが多く、下腿
の下委陽~飛揚・外丘~陽大鐘、承筋~承山のツボと組み合わせると、
イイ感じのことが多いです。

 そして、動いてもらえそうなら、言葉で上になっている腕や首を動か
す操体をしてもらったりもします。

9.2. 横向き丸まり型

 横向き丸まり型の場合には、胴体が丸まりたいのを少し強調するもの
です。

 例えば、上になっている脇腹のツボを腹側に寄せ合うもの(写真16)、
肩甲間部と仙骨に出ているツボを互いに離すほうにずらすものなどです。

写真16

 ただ、そういう細かいものよりも、比較すると、腰と肩のあたりを手
のひらで包むようにして胴全体を大きくふんわりと丸めながら、すこし
お腹側に倒していく感じの操体(写真17)や、手のひらで肩甲間部と仙
骨のまわりの皮膚をふわーっと離すほうにずらしていく操体のほうを好
まれる人のほうが比較的多いので、指先での操体をしてイイ感じがあま
り増えないようなら中止して、手のひらを使う操体に切り替えたほうが
よいと思います。

写真17

(10) 横向き寝の特徴

 もちろん、仰向けやうつ伏せで書いてきたように、ラクな姿勢になっ
てもらい、そのラクな姿勢での大腿と上腕の向きから、ツボを予測して
もよいです。

 しかし、横向き寝の場合には、横向き捻れか、横向き丸まりかどちら
かがラクな姿勢なことが多く、(9)に書いたようなことをしていると、
うつ伏せか仰向けに姿勢が変わってしまうことが多いです。

 それで、うつ伏せや仰向けにくらべると、ほかのものを使うことが少
なくなります。

 このあいだ、左額関節症の人のときには、左頭部、左額から顔面など
の患部に出ているツボや皮膚のずれやすいところも使いながら、40分く
らい左上横向き寝の姿勢で皮膚操体を続けました。

 が、そういうことは比較的珍しく、せいぜい10〜20分くらいで別の
寝方になっていく方が多いです.

(11) おわりに

 これで、ラクな寝方からの操体を終えて、次回からは「III. 操体で一
通り治療する」に入ります。

 ラクな寝方からの操体が長くなってしまい、退屈されてしまった人
も多いと思いますが、臨床の場で操体を使いこなしていくためには、
このラクな寝方からの操体が基本になりますので、繰り返し練習して、
しっかり身につけてください。


   つぎへ>>>術伝流操体no.28



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