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術伝流操体no.33 - (2010/08/21 (土) 14:11:47) の編集履歴(バックアップ)


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術伝流操体 【3】操体で一通り治療
[2]ラクになれない人への対処 (1) 対処法1.末端をラクに

末端をラクに

1.はじめに

 先回までで、操体で一通り治療する手順を説明し、その例を4つ出し
ました。ラクな寝方からの連続操体をして、そのあと、仕上げとして、
座位での重さの操体などして手の指もみをするという手順です。

 その方法がうまくいくためには、受け手にラクな寝方になってもらう
必要があります。しかし、ラクな寝方になってくださいと言われてもよ
くわからない人がいます。

 また、体が歪んでいるので違う寝方がラクなはずなのに仰向け大の字
に近い格好で寝るのがラクだという人もいます。

 今回から、そういうラクな寝方になれない人への対処法を書いていき
ます。今回は、その1回目で、おもに、末端をキッカケにすることを書
きます。

 ところで、ヒトは地球という星の上で重力の影響の元で暮らしている
ので、ラクな姿勢というのは重力の影響を受けてもラクということが関
係しているように思います。

 立った姿勢では、背骨を重力線の方向にしていますが、寝た姿勢では
背骨を重力線に直角にしています。

 畳などにつけた面が、重力の影響、つまり、体の重さを引き受けるこ
とになるということです。痛みやコリがある側を畳につけないほうがラ
クな可能性が高いということを頭に入れておいてください。

2.だらしない格好になってもらう

 仙台の今昭宏先生のように、そういう人には、

「できるだけ不真面目なダラしない格好で寝てみてください。
 みなさんは普段の生活できちんとしたマジメな格好をしすぎて疲れて
 いることが多いので、そういう疲れをとるために操体するので、操体
 するときには、できるだけ一見ダラシがない、不マジメに見える格好
 のほうが疲れが取れやすいんですよ」

というと、本来のラクな寝方になる人もいます。

「ダラシがない格好がイヤだったら、赤ちゃんがのんびりキゲンよく
 しているときの格好でもいいんですが」

といってもよいです。

 でも、それでもどう見てもキュークツそうな寝方で寝ている人もいま
す(写真1)。

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写真1

 今回は、そういうラクな寝方になれない人に、どうしたらすこしでも
ラクな寝方に近い状態になってもらえるかという話です。

3.末端をキッカケに

3.1.足の指もみをして逃げてもらう

 今までも書いてきたように、こういうときに、まずはじめによくする
のが足の指揉みです。

 足の指裏関節部のシコリをすこし痛くして逃げてもらい、その痛みが
へる姿勢を探してもらうと、その姿勢がラクな寝方に近くなることがお
おいです。

 足の指裏のシコリの特徴は、手の場合が指裏のシワの両端にあったの
にくらべると、両端だけでなくてシワの中ほどにもあることです。足の
指裏関節部のシワの部分をいろいろな角度でさわって、いちばん痛い部
分をみつけ、すこし痛くして逃げてもらってください。

 どの足指をもむかは、10本の足指をかるく押して調べてみて、いち
ばんシコリが大きそうな指をえらびます(写真2)。

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写真2

 また、受け手の状態がわかっている場合には、そこから足指を予測す
ることもできます。腰痛など背中側がつらいときには、4指、小指。腹
など前側がつらいときには親指、2指など。

 そうして選んだ指をすこし痛くして逃げてもらいます(写真3)。

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写真3

 どこまで逃げていいかわからない人の場合は、いくつか例をあげて選
んでもらうとよいと思います(写真4、5)。

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写真4

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写真5

痛くする程度など、ちょっとしたコツ

 あまり痛くしすぎるとどう逃げても痛くて、痛みがへる格好がわから
ないなんていうことにもなるので、押す力を加減してちょうどよく逃げ
られるよう工夫してください。 

 足の指裏を痛くしても、あまり逃げないで、充分ラクな姿勢になった
と思えないときには、その足の指裏と経絡的に関係するツボを探して、
そこを強めに押してすこし痛くして逃げてもらって、ラクな姿勢になっ
てもらうこともします。

 足甲や足首まわり、膝裏から脹ら脛などに出ているツボがよく使われ
ます。

 この場合には、胴体などのツボはあまり使いません。なれないうちに
胴体などのツボを痛くすると、逃げずに体全体を硬くして耐えてしまう
こともあり、そうすると体をユルませにくくなってしまうからです。

3.2.五首などをラクにしてもらう

 足指は体の末端です。操体はふだん立った姿勢で重力負荷を受ける下
半身から整えるのを原則にしているので、ラクな姿勢を見つけるときに
も、体の末端のなかでは足の指をまずはじめに痛くしました。

 そのつぎとしては、体の末端の残りの部分を動かしてもらいよりラク
な姿勢になってもらいます。

 残りの末端というと、膝、足首、手首、首、目です。首、両手首、両
足首を合わせて五首と言います。

 末端としては首というより頭なんですが、頭自体は首の筋肉を使って
動かしています。首の筋肉を動かしてもらうときには、顔をどっちに向
けるとラクかという聞き方をすることがおおいので、顔ということもで
きます。

顔をラクなほうに向けてもらう

 ためしに顔を左右に向けてもらい(写真6、7)、ラクな感じのほう
を選んでもらいます。

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写真6

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写真7

 ていねいに言葉で誘導するなら、

「首の向きはどうですか?
 左右に捻転してどちらがよいか、畳を見たり天井をみたり、おヘソを
 みたり、あるいはアゴを反らしたりしてみて、よりイイ感じの向きを
 みつけてください」

とか声をかけます。が、人によっては、いろいろ試してみるのがイヤな
人もいるので、そういう人には、

「右を見るのと、左を見るのと、ごちらがイイ感じですか?」

くらいにしておきます。

 目でどちらを見るのがイイ感じかどうかという問いかけもできますが、じっくりイイ感じを味わいたいときには目はつぶるほうがよいこともお
おく、そういう場合には、顔をどちらに向けるかのほうがやってもらい
やすいです。

 そのあと、はじめの足の位置などがラクな場所が変わる場合もあり、
そういう場合には、よりラクな位置に変えてもらいます(写真8)。

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写真8

 また、反対側の足も、底屈背屈などを試してもらい(写真9)、いい
ほうを選んでもらいます(写真10)。

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写真9

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写真10

 先に反対側の足首を動かしてもよいのですが、この人の場合には、首
のほうがキュークツそうに見えたので、首のほうから先にラクな位置を
探してもらいました。    

 右足は底屈したほうがいいということでしたが、こういう場合には、
右足は伸ばしたがっている可能性が高くなります。

手をラクにしてもらう

 次は、五首のうち残っている手です。

 ていねいに声かけする場合には、

「手はそこでイイですか?
 もうすこしラクにならないか、いろいろ動かしてみてください。
 手のひらも畳に向けるのと天井に向けるのを試してみてイイ感じのほ
 うを選んでください」

くらいかなと思います。

 手の場合には、指先が頭のほうを向いているか、足のほうを向いてい
るかで、手首を捻転した場合などの体への連動が逆になる場合がおおい
し、指先が左右どちらを向いているかでも違うし、自分に向いているか
逆かでまた違うので、事前に可能性を列挙しておくよりも、その場で、
いま指先が向いているほうだとどうなるか考えたほうが早いです。

 ですから、足首や首が決まってから手首を決めるほうが簡単に決まり
やすいです。

 それに、足と首をさきに決めたほうが、中心である背骨がラクな位置
に決まりやすいということも関係していると思います。足の次に手を決
めた場合には、首をラクにした場合には中心である背骨がラクな感じが
変わるので、それにともなって手のラクな感じが変わりやすいというこ
とです。

 この人の場合のように、仰向けの姿勢で、手のひらが両方とも畳につ
いている場合は(写真11、12)、腕と胸のあいだの筋肉が緊張してい
る場合がおおいです。

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写真11

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写真12

 それを解消するには、その部分を縮める操体をしていけばよいので
すが、ここでは今の時点でのラクな姿勢を決めていくため、そういう
ことはしませんでした。

4.こまかな注意点

 こまかく書くと、それぞれの関節の4種八方向、つまり、左右捻転、
左右側屈、前後屈のいわゆる3軸と伸縮です。

 手首や首や左右捻転が中心です。

足首の背屈・底屈から取りやすい姿勢

 足首は、いわゆる爪先上げ、つまり反らし(背屈)が多く、小指か親
指かどちらを中心に反らすかで捻転が入ります。

 足首背屈の場合には、膝も曲げたい場合が多くなり、仰向けなら膝抱
え込み(写真13)や膝曲げ倒し(写真14)、横向きなら膝抱え込み(写
真15)、うつ伏せならカエル足(写真16)がラクなことが多くなります。

写真13

写真14

写真15

写真16

 仰向けの場合には、足首を背屈しながら膝を曲げたくない場合もあり、
こういうときは足裏を伸ばす(写真17)のがラクなことが多いです。

写真17

 足首を伸ばす、つまり底屈がイイという人もいます。

 足先の親指側を足裏側に回したがっているか、小指側を回したがって
いるかもポイントの一つです。親指側を足裏に回す底屈がイイときには
足を伸ばしたほうがラク、とくに前側を伸ばした(写真18)ほうがラク
なときが多いです。

写真18

 小指側を足裏に回す底屈がイイときには、膝をすこし曲げた姿勢
(写真19)がイイ場合が多いです。

写真19

膝の位置、曲げ方など

 末端とは言えないかも知れないけれど、操体では、膝の位置も重要で
す。

 膝は曲げと倒しがいい場合が多いですが、倒しは、正確にいうと膝関
節の動きではなくて股関節の動きです。

 曲げでは、どのくらい深く曲げたいか、曲げるとラクかがポイントで
す。

 とくに膝を倒した状態で曲げたいときには踵が反対側の足のどのあた
りに来るかのがラクかで、体が治したい経絡が予測可能です。踵が反対
側の足首なら足太陰、膝なら厥陰、大腿奥なら少陰です(写真20、21、22)。それぞれそういう格好で上を向きやすい経絡です。

写真21

写真21

写真22

 膝を倒さずに曲げるのがラクなときには、仰向けやうつ伏せでは、い
わゆる膝立ての姿勢(写真23、24 )がラクな場合が多くなります。

写真23

写真24

関節の伸縮

 関節の伸縮というのは、関節自体が伸びるか縮むかです。

 操体の場合には、関節押し込みという操法があり、縮めるほうを使う
場合がおおいです。まわりの筋肉が緊張して硬くなっていて関節が縮ん
だ状態になっているのでそれを強調するのかなと思います。

 足首や手首の捻挫のときなどによく使われますが、ラクな姿勢を見つ
けるときにはあまり使われません。受け手に質問してもわからないこと
がおおいせいだと思います。

どれからしていくか?

 手、肘、足、膝、股関節、首の全ての関節の4種8方向をぜんぶ試し
てみればラクな姿勢になりやすいとは思いますが、いちいち試している
と時間がたくさん必用です。

 ラクな姿勢になってもらい、その姿勢から操体することが目的なんで、
必要なところを見分けることが大切になります。

 前にも書いたように、手は指先の向いている方向で違ってくるので、
非常に多くのバリエーションがあります。そのため、首か足首を先に決
めたほうが良い場合が多いです。

 普通の人は、 普段は、 立ったり座ったりという、背骨を立てた状態
で生活しています。そのため、その土台となる足首から決めたほうが早
ラクな姿勢になる可能性が高いです。

 そして、これも繰り返しになりますが、つぎには、首を決めるほうが、
中心である背骨が決まるせいか、手を決めたあとに首や足を決めなおす
ことが少なくなります。

 また、動かす、つまり、変える必要なところというのは、ラクでない
ところです。ラクでないところは、キュークツそうに見えるところなん
ですね。はじめはなかなかわからないかもしれませんが。

 うまくなってくると、受け手がキュークツそうな感じのところがわか
るようになるので、そこを動かしてもイイですよと声をかけるだけで、
動いてもらえるようになります。

 そうすると、そばで見ていると、操者に催眠術をかけられて、受け手
が操者の言葉にしたがって動いているように思ってしまいがちです。

 しかし、実際には、受け手もキュークツに感じているところを動かし
てもいいと言われるので、動いているだけのことがおおいです。

 キュークツそうなところはどこかなということを受け手の体を観るた
びによく観察するようにしていくと、だんだんわかるようになっていき
ます。

5.おわりに

 今回は、ラクな寝方がわからない人への対処法の1回目で、末端から
決めていく方法を説明しました。
 次回は、中心を決める方法です。

   つぎへ>>>術伝流操体no.34



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