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術伝流一本鍼no.60 - (2016/02/27 (土) 14:20:10) の編集履歴(バックアップ)


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術伝流一本鍼no.60 (術伝流・養生の一本鍼・応用編(12))

花粉症で辛い

1.はじめに

 花粉症が酷くて、疲れて「やる気が起きない」という人。花粉
症だと、鼻の付け根の周りが重く淀んだ感じになるので、そのせ
いで「やる気が起きない」ということなのかなと思いました。

 春は、新陳代謝の衰える冬に溜まった老廃物を出す季節です。
が、この頃は、汗吐下和を始めとする通常の手段で排泄しきらな
いことも多くなっているようです。そういう時に、皮膚や粘膜か
ら出そうとして、目の周りが痒くなったり、鼻水が出たりします。

 昔から七草やヨモギ餅という習慣があるのも、そういう物を食
べると、老廃物を汗吐下和の形で出しやすいからです。

 と言っても、季節は、新暦よりも旧暦との相関関係が高いです。
毎年違いますが、だいたい節分くらいが旧暦の元旦です。ですか
ら、新暦1月下旬から、春の葉や芽の野菜を沢山食べるとよいで
す。

 しかし、3.11以後は、東北関東の放射性物質汚染地で採取され
た自生の山菜は、高汚染が報告されていますので、避けた方が良
いでしょう。西日本の、菜の花、カブやラディッシュの葉などの
春野菜が良いと思います。

 また、呼吸器系のアレルギーという面もあるようで、呼吸が深
くなるような施術をしていくと、症状が改善することが多いよう
に、経験から思います。

2.実際にしたこと

2.1. 方針

 1回目は、応急処置として、鼻が通り、目の周りの痒みが消え、
頭、特に前頭部がスッキリすることを目指しました。前頭部がスッ
キリすれば、「やる気が起きない」状態の改善もできると思いま
したので。

 そのため、座位で、表位~上焦の急性期の手順で、患部の器官
である鼻に関連するツボ、呼吸器系に関連するツボなどを組み合
わせていきました。

 この辺りは、今まで書いてきた以下の項目を参考にしてくださ
い。

(1)術伝流一本鍼no.20 表位の急性期 概要

(2)術伝流一本鍼no.21 表位陽明経の急性期

(3)術伝流一本鍼no.24 上焦の急性期

(4)術伝流一本鍼no.59 初めて診る病に出合ったら

2.2. 施術

 先ずは、手甲への引き鍼。症状の左右差を聞いたら、左右差は
無いということでした。鼻の位置から体の前側の陽明が関係して
いるだろうと予測し、左右の合谷を比較してみました。

 左側の方が悪い感じがしたので、患者さんにも確認し、左合谷
に引き鍼をしました(写真1)。「手足に引く」です。手甲に引
くときは、鼻などの患部を見ながら、刺鍼します。瞬きなどの変
化が目安になりますので。

写真1

 次は、花粉症など鼻水対策に良く使われる印堂(写真2)、上
星(写真3)を調べたら、ツボが出ていたので、順番に刺鍼し置
鍼しました。こういう頭蓋骨上のツボに置鍼するときは、弾入し
た後に鍼を寝かせ、頭蓋骨と指で押手を作って横刺にしてから置
鍼します。

写真2

写真3


 次は、症状の出ている器官である鼻の、しかも、鼻水が出やす
い上部の真後ろの後頭部にツボを探し、「陽に引く」感じで刺鍼
しました(写真4)。この刺鍼で、「鼻が通った」そうです。

写真4

 次は、後頚部。頭や顔など首から上の症状のときには、首にツ
ボが出ていることが多いです。首は、血行の関係からは、症状の
出ている顔や頭の少し中枢よりに相当するからかなと思います。

 しかも、頭頂に近い方は頚椎2番の方、顎に近い方は頚椎7番の
方に出やすいです。鼻の付け根だと3番辺りが多いです。

 その辺りを調べて、出ていたツボに刺鍼しました(写真5)。
「効く~」という声が患者さんから出ました。

写真5

 真後ろや首のツボを使って改善するのは、目の病と同じです。
術伝流一本鍼no.52「 応用(4)目はれやかに」に書きまし
たので、興味があったら読んでみてください。

 呼吸器系のアレルギー疾患の人や、呼吸の浅い人では、胸椎3
番辺りの利き手側華佗経にツボが出ていることが多いです。調べ
たら、ツボが出ていたので、刺鍼しました(写真6)。

写真6

 同じように、呼吸器系のアレルギー疾患の人や、呼吸の浅い人
にツボが出ていることが多い肩貞を調べたら、ツボが出ていまし
た。ここは、ツボの芯のシコリが肩甲骨と肋骨の間にあるので、
肩甲骨の裏側に当てるように刺鍼しました(写真7)。

写真7

 刺鍼したら、邪気が沢山出てきました。そしたら、周りで見て
いた人達が咳込んでいました。

 左の方が軽かったのですが、左にもツボが出ていたので、軽く
刺鍼しました(写真8)。

写真8

 呼吸器系の慢性期のツボの出方は、術伝流一本鍼no.46
「病証(5)上焦の病」に書きました。

 この時点で、症状の変化を聞いたら、「鼻は完全に通った。目
がスッキリ見える感じ。痒みもなくなった」とのことでした。周
りで見ていた人たちからも、「柔和な表情になった」「目覚めた
感じ」という声が出ました。それで、これで治療を終え、仕上げ
に入ることにしました。

 印堂と上星に置鍼していた鍼を抜き、右合谷に引き鍼しました
(写真9)。

写真9

2.3. 治療の後で養生法

 治療の後、春野菜などの食養の話を伝えました。

 また、上星の周辺の髪の毛を引っ張ることで鼻の症状の改善す
ることもあるので、それも伝えました(写真10)。

写真10

3.おわりに

 こんな感じで、今まで書いてきたことを組み合わせて、普段の
治療をしています。

追記(1)2016.2.27ーーーーー
 症状が繰り返すようなら、体に溜まっている水毒の量が多いと
見立てて、水毒を減らす「中焦の慢性期の養生」の視点からの診
察治療もすると思います。

 あと関係しそうなのは、呼吸系アレルギーの慢性期の視点から
「上焦の養生」、皮膚アレルギーの視点から「皮膚」の関係、
「軽くても治り難い病」という視点から「少陽の病」かなと思い
ます。

(1)術伝流一本鍼no.47  病証(6)中焦の病
(2)術伝流一本鍼no.46  病証(5)上焦の病
(3)術伝流一本鍼no.53  応用(5)皮膚つややかに
(4)術伝流一本鍼no.45  病証(4)少陽の病

 また、術伝流鍼灸指南書の以下のページも参照してくださ
い。

中焦の病:p78、p79
上焦の病:p76、p77
皮膚  :p96、p97
少陽の病:p74、p75

追記(2)2016.2.27ーーーーー
 冬に冷房を使わなくなって丸3年、その間は、冬に鼻水が沢山
出ました。そしたら、今年は、花粉が飛ぶ季節になっても、眉の
辺りが痒みが出ることはありませんでした。

 節分の頃に眉の辺りが痒くなったら春の七草系の芽物葉物を食
べることにしていて、すると、痒みが消えていました。その程度
の花粉症でした。

 暖房で冬に鼻水で老廃物などを出さないのも花粉症の原因の一
つかもしれないなと思いました。この頃は、秋の花粉症もあるそ
うで、冷房で夏に汗をかかないことも関係しているかも。

 また、白砂糖や精製塩のような高度精製物や、化学調味料や添
加物のような化学合成物を少なくするのも良さそうに思います。


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