「術伝流操体no.37」の編集履歴(バックアップ)一覧に戻る

術伝流操体no.37 - (2010/08/21 (土) 14:14:47) のソース

累積:&counter()___ 昨日:&counter(yesterday) ___今日:&counter(today) 
------
術伝流操体 【3】操体で一通り治療 [2]ラクになれない人への対処 
(5) 対処法5.くすぐり操法

&size(24){&color(green){くすぐり操法}}
------
#contents
*(1)はじめに
 先回は、ラクな寝方を強調するという手段でない操体の技術として、
ゆらし操法を説明しました。続いて、今回は、くすぐり操法です。

 橋本先生の本には、赤ちゃんや小さな子供むけの操法として書かれて
いますが、現在では大人でも有効な人がけっこうたくさんいます。

 橋本先生の本には、正座して膝と膝のあいだをあけ、そのあいだに仰
向けの赤ちゃんの頭をおき、かるく膝ではさむようにして、両手を伸ば
し、脇腹をくすぐるという方法が書かれています。

 赤ちゃんや小さな子供のかるい病は、これだけ1~2か月続けるだけ
で治ってしまうと紹介されています。

 「無意識の動きは、すべて、体の歪みを元に戻す」

そうです。

 また、こういう格好でするのは、くすぐられるとあばれるので、顔を
たたかれたり、けったりされないようにという意味があると聞きました。

 脇腹のある部分は、胴体の前後屈、左右捻転、左右側屈の中心になる
ところです。動きやすくするためか、背骨以外の骨がついていません。

 いろいろある、くすぐったいところから、脇腹が選ばれたのは、胴体
の動きの中心になる部分に近いので、胴体の大きな歪みが調整されやす
いからだと思います。

 とくに、赤ちゃんの場合には、まだ立てずに寝ていることがおおいの
で、この部分に歪みが出やすいということかなとも思います。

*(2)次男の肺の状態がよくなった
 私の次男は、23週626gで生まれた超未熟児で、生まれてから6カ月入
院して、酸素ボンベをつけて帰宅しました。

 病院で、抱かれるというのは痛い治療をされるということと思ってし
まったせいなのか、はじめは、親に抱かれるのも手をつっぱってこばむ
状態でした。そのため何もできませんでした。

 3カ月ほどして抱けば笑うようになったので、このくすぐり操法をし
てみました。しかし、脇腹をくすぐっても全然反応しませんでした。

 なんとかならないかなと思い、全身をくすぐってみたら、たった1か
所、胸の腕よりのヘコみへのくすぐりにだけ反応しました。それで、お
風呂にいれるときやおしめをかえるときなど、暇を見て、そこをくすぐっ
ていました。

 そしたら、2か月ぐらいでレントゲンでの肺の影がすっかり消えて、
酸素ボンベを外してもよいことになりました。

 のちに、鍼灸学校で、そこが「肺の募穴」という、おなか側では、い
ちばん肺に効くところだと習いました。そのとき「温故知新」という橋
本先生の言葉を思い出し、ツボ探しや経絡にのめり込むきっかけになり
ました。

 肺に後遺症がのこるのは覚悟してくださいと主治医に言われていたの
に、高校生を卒業した現在では、肺の後遺症は、ほとんど見られません。

 そのため、このくすぐり操法には、非常に感謝しています。

 ただ、まぁ、脇腹だけでなく、くすぐったがるところを探してくすぐ
るほうがよいという経験もさせてもらったという感じです。

*(3)くすぐる前の姿勢
 くすぐるのも、ラクな姿勢になってもらってからのほうが、気持ちよ
さは出やすいと思います。

 が、ここではラクな姿勢になれない人への対処法の一つとしても、く
すぐり操法を紹介していることもあり、あお向けかうつ伏せになっても
らった状態からはじめる方法を紹介します。

 ただし、仰向けやうつ伏せのなかで、選べるのなら,ラクな姿勢になっ
てもらうほうがよいと思います。キヲツケに近い格好でも、くすぐれば、
くずれていきますが。

 くすぐろうとするところが布団についていては、くすぐれませんから、
そのときには寝方を変えてもらう必要があります。当然のことですが。

 脇腹や足の裏をくすぐるときなどをはじめ、逃げやすいせいか、あお
向けのほうがイイという人がおおいように思います(写真1)。

&ref(DSCF0688.JPG)写真1

*(4)くすぐったそうなところをえらぶ
 多くの人がくすぐったがるのは、足裏、膝裏、脇腹、脇の下などです。
ただし、受け手の症状や歪みに関係して、思わぬところをくすぐったが
ることもあるので、よく探してみましょう。

 赤ちゃんなどでは、指と指のあいだ(指の股?)をくすぐったがるこ
とがおおいです。でも、ここは指でくすぐるのは難しいです。使い古し
の書道の小筆やブロアブラシなどでくすぐるとちょうどうよいようです。

 また、指は経絡の末端なので、指の股のどこをいちばんくすぐったが
るかで、経絡的にどこが調子悪いかわかることが多いです。また、そこ
をくすぐっていれば、経絡的な歪みを整えることも可能です。

 ある臓器が悪いときなどは、その横輪切りの皮膚表面が候補になりま
す。つまり、臓器を通り立ち姿勢で床に平行な面と、皮膚の交わるとこ
ろあたりにも、くすぐったいところが出ることが多いようです。

 そのあたりは、鍼灸の世界では、愈穴募穴として昔から知られていま
すし、デルマトームの反映という見方もできると思います。

 私の次男が酸素ボンベをつけていたときにくすぐったがった胸の腕よ
りも、横輪切り相関の典型例だと思います。肺の中心からはすこし外れ
ていますが、肺のあるところでは、お腹側でいちばん筋肉の厚いところ
です。

 こういう筋肉の厚いところは、横輪切りからすこし外れてもツボが出
ていることがあります。ツボを探すときに頭のすみに思い浮かべるよう
にしてください。

*(5)親指と人指し指を合わせてくすぐる
 操体では、親指と人差し指で輪を作り、二つの指先を合わせた部分で
くすぐる(写真2)とよいとされています。くすぐる指先が安定するか
らだと思います。

&ref(DSCF0687.JPG)写真2

 もちろん、先に書いたように、筆などでもよいです。指の股など、服
の上からでなく肌を直接くすぐる場合には、大人でも筆がイイ感じのこ
ともおおいです(写真3)。

&ref(DSCF0695.JPG)写真3

*(6)すこし逃げる程度にくすぐる
 くすぐる程度は、すこしくすぐったがる程度です。イヤな感じになっ
てしまうのはやりすぎです。このあたりのちょうどよさは、はじめのう
ちは、難しいかも知れません。

 受け手と相談しながら、決めていってください。受け手が赤ちゃんな
ど相談しにくいようなら、受け手の様子を確かめながら適度になるよう
工夫してください。

*(7)くすぐったさから逃げて動いてもらう
 くすぐったさから逃げるようにジタバタ動いてもらいます。といって
も、大きく逃げてくすぐれなくなるのは、逃げすぎです。逃げ方もすこ
し逃げてくすぐったさが減るような姿勢をみつけられるように逃げるこ
とがちょうどよいのです。

 ですが、受け手に逃げ方を工夫させるのではなく、操者の側が、受け
手の逃げ方が適度になるように工夫してくすぐりましょう。赤ちゃんな
どの場合には、とくにそういう工夫が必要です。

 適度にくすぐると(写真4)、あまりくすぐったくない姿勢がみつか
ることがあります(写真5)。

&ref(DSCF0691.JPG)写真4

&ref(DSCF0692.JPG)写真5

 そういう場合には、その姿勢をラクな姿勢として、その姿勢を強調す
る操体を探していきます(写真6)。

&ref(DSCF0690.JPG)写真6

 また、くすぐったさが続いている場合でも、しばらくくすぐりつづけ
ていると、くすぐったさが消えることもおおいです。そういう場合には、
つぎにくすぐったがるところへ移ります(写真7)。

&ref(DSCF0693.JPG)写真7

*(8)終わり方と仕上げ方
 イヤな感じがしたり、くすぐったいところがみつからなくなったら終
えます。そのときに姿勢が仰向け大の字でなければ(写真8)、その姿
勢を強調する操体をしていきます(写真9)。

&ref(DSCF0698.JPG)写真8

&ref(DSCF0699.JPG)写真9

 そして時間終了5~10分ぐらい前になったら、仕上げに移ります。座
位の重さの操体(写真10)をしてから、座位で手の指揉み(写真11)を
します。

&ref(DSCF0700.JPG)写真10

&ref(DSCF0701.JPG)写真11

 赤ちゃんの場合には、寝たまま軽く手の指揉みをすればよいでしょう
(写真12)。

&ref(DSCF0085.JPG)写真12

 また、新生児などの場合には、指もみよりも、手指の股を筆で指先方
向になでおろすくらいの刺激のほうがよいかもしれません。

 このとき、手首のほうにむかってなであげると興奮しやすいのでしな
いほうがよいとされます。とくに、疳(カン)の強い子にするときには
気をつけてください。

*(9)おわりに
 はじめのほうにも書きましたが、くすぐり操法は簡単ですが、続ける
といろいろな症状が改善してゆく技術です。習慣にできると効果が出や
すくなります。いろいろ工夫して習慣にできるようにしてみてください。

 習慣にするとよいのは、くすぐり操法にかぎらず、いろいろな操体、
いろいろな養生法にいえることだと思います。逆にいえば、養生法とい
うのは習慣にしてはじめて効果が出るということかなと思います。


   つぎへ>>>[[術伝流操体no.38]]


-----
   >>>目次へ・・・・・・・・・[[術伝流操体(あ)]]

   >>>このページのトップヘ・・[[術伝流操体no.37]]

   >>>術伝HPトップへ  ・・・・[[トップページ]]
-----
術伝HP内検索:上の@wikiメニューの「wiki内検索」
-----
-----
*お知らせとお願い
**術伝流鍼灸操体講座で患者さん役を募集
 術伝流鍼灸操体講座は、実践面を重視しています。実際に症状が出て
いる方の治療を見たほうが勉強になります。そこで、講座で患者さん役
をしてくださる方を募集しています。

 くわしくは、[[術伝流のモデル]]をみてください。

 よろしくお願いします。

**感想など
 感想などありましたら、[[「術伝」掲示板>http://jutsuden.bbs.fc2.com/]]に書いてください。

 また、「術伝」掲示板でも、旧掲示板「養生の杜」と同じように、
養生についての雑談や症例相談などもしていきたいと思っています。


 よろしくお願いします。

**間違いなど
 間違いなど見つけた方は、[[術伝事務局>jutsuden-jmkk@yahoogroups.jp]]あてにメールをください。

 よろしくお願いします。

**「術伝」症例相談用メーリングリストの参加者募集
 「術伝」では症例相談用メーリングリスト( [[術伝ML(muchukand)>http://groups.yahoo.co.jp/group/muchukand/]])の
参加者を募集しています。

 よろしくお願いします。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
----
   >>>術伝HPトップへ  ・・・・[[トップページ]]
----