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術伝流操体no.37 - (2016/09/16 (金) 14:25:40) のソース

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術伝流操体 【3】操体で一通り治療 [2]ラクになれない人への対処 
(5) 対処法5.クスグり操法

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#contents
*(1)はじめに
 先回は、ラクな寝方を強調するという手段でない操体の技術
として、揺らし操法を説明しました。続いて、今回は、クスグ
り操法です。

 橋本先生の本には、赤ん坊や小さな子供向けの操法として書
かれていますが、現在では大人でも有効な人が結構沢山います。

 橋本先生の本には、正座して膝と膝の間を空け、その間に仰
向けの赤ん坊の頭を置き、軽く膝で挟むようにして、両手を伸
ばし、脇腹をクスグるという方法が書かれています。

 赤ん坊や小さな子供の軽い病は、これだけ1~2か月続ける
だけで治ってしまうと紹介されています。

 「無意識の動きは、全て、体の歪みを元に戻す」

そうです。

 また、こういう格好でするのは、クスグられると暴れるので、
顔を叩かれたり、蹴ったりされないようにという意味があると
聞きました。

 脇腹の部分は、胴体の前後屈、左右捻転、左右側屈の動作の
中心です。動きやすくするためか、背骨以外の骨が付いていま
せん。

 色々ある、クスグったい所から、脇腹が選ばれたのは、胴体
の動きの中心になる部分に近いので、胴体の大きな歪みが調整
されやすいからだと思います。

 特に、赤ちゃんの場合には、まだ立てずに寝ていることが多
いので、この部分に歪みが出やすいということだと思います。

*(2)次男の肺の状態が良くなった
 私の次男は、23週626gで生まれた超未熟児で、生まれてか
ら6カ月入院して、酸素ボンベを付けて帰宅しました。

 病院で、抱かれるというのは痛い治療をされることと思って
しまったせいなのか、初めは、親に抱かれるのも手を突っ張っ
て拒む状態でした。そのため何もできませんでした。

 3カ月程して抱けば笑うようになったので、このクスグり操
法をしてみました。しかし、脇腹をクスグっても全然反応しま
せんでした。

 何とか成らないかなと思い、全身をクスグってみたら、たっ
た1か所、胸の腕近くの凹みだけ反応しました。それで、風呂
に入れるときやオムツを替えるときなど、暇を見て、そこをク
スグっていました。

 そしたら、2ヶ月位後の検診での胸の断層撮影で、肺の影が
すっかり消え、酸素ボンベを外しても良いことになりました。

 後で、鍼灸学校で、そこが「肺の募穴」と言う、腹側では、
肺に一番効果的な所だと習いました。そのとき「温故知新」と
いう橋本先生の言葉を思い出し、ツボ探しや経絡にのめり込む
切っ掛けになりました。

 「肺に後遺症が残るのは覚悟してください」と主治医に言わ
れていたのに、高校生を卒業した時点では、肺の後遺症は、殆
ど見られません。

 そのため、このクスグり操法には、非常に感謝しています。

 ただ、まぁ、脇腹だけでなく、クスグったがる所を探してク
スグる方が良いという経験もさせてもらった感じです。

*(3)クスグる前の姿勢
 クスグるのも、ラクな姿勢になってもらってからの方が、気
持ち良さは出やすいと思います。

 が、ここではラクな姿勢になれない人への対処法の一つとし
て、クスグり操法を紹介していることもあり、仰向けかうつ伏
せの状態から始める方法を紹介します。

 ただし、仰向けやうつ伏せの中で、選べるのなら,ラクな姿
勢になってもらう方が良いと思います。キヲツケに近い格好で
も、クスグれば、崩れて行きますが。

 クスグろうとする所が布団に付いていては、クスグれません
から、その時には寝方を変えてもらう必要があります。当然の
ことですが。

 脇腹や足の裏をクスグるときなどを始め、逃げやすいせいか、
仰向けの方が良いと言う人が多いように思います(写真1)。

&ref(DSCF0688.JPG)写真1

*(4)クスグったそうな所を選ぶ
 多くの人がクスグったがるのは、足裏、膝裏、脇腹、脇の下
などです。ただし、受け手の症状や歪みに関係して、思わぬ所
をクスグったがることもあるので、よく探してみましょう。

 赤ん坊などでは、指と指の間(指の股?)をクスグったがる
ことが多いです。でも、ここは指でクスグるのは難しいです。
使い古しの書道の小筆やブロアブラシなどでクスグると丁度良
いようです。

 また、指は経絡の末端なので、指の股の何処を一番クスグっ
たがるかで、経絡的に何処が調子悪いか分かることが多いです。
また、そこをクスグっていれば、経絡的な歪みを整えることも
可能です。

 ある臓器が悪いときなどは、その横輪切りの皮膚表面が候補
になります。つまり、臓器を通り立ち姿勢で床に平行な面と、
皮膚の交わる所辺りにも、クスグったい所が出ることが多いよ
うです。

 その辺りは、鍼灸の世界では、愈穴募穴として昔から知られ
ています。また、デルマトームの反映という見方も可能と思い
ます。

 私の次男が酸素ボンベを付けていたときにクスグったがった
胸の腕近くも、横輪切り相関の典型例だと思います。肺の中心
からは少し外れていますが、肺の有る場所の中では、腹側で筋
肉の一番厚い所です。

 こういう筋肉の厚い所は、横輪切りから少し外れてもツボが
出ていることがあります。ツボを探すときに頭の隅に思い浮か
べるようにしてください。

*(5)拇指と示指を合わせてくすぐる
 操体では、拇指と示指で輪を作り、二つの指先を合わせた部
分でクスグる(写真2)と良いとされています。クスグる指先
が安定するからだと思います。

&ref(DSCF0687.JPG)写真2

 もちろん、先に書いたように、筆などでも良いです。指の股
など、服の上からでなく肌を直接クスグる場合には、大人でも
筆がイイ感じのことも多いです(写真3)。

&ref(DSCF0695.JPG)写真3

*(6)少し逃げる程度にクスグる
 クスグる程度は、少しクスグったがる程度です。嫌な感じに
なってしまうのは、やり過ぎです。この辺りの丁度良さは、初
めのうちは、難しいかも知れません。

 受け手と相談しながら、決めてください。受け手が赤ん坊な
ど相談しにくいようなら、受け手の様子を確かめながら、適度
になるよう工夫してください。

*(7)クスグったさから逃げて、動いてもらう
 クスグったさから逃げるようにジタバタ動いてもらいます。
と言っても、大きく逃げてクスグれなくなるのは、逃げ過ぎで
す。逃げ方も、少し逃げてクスグったさが減るような姿勢を見
付けられるように逃げることが丁度良いです。

 ですが、受け手に逃げ方を工夫させるのではなく、操者の側
が、受け手の逃げ方が適度になるように工夫してクスグりましょ
う。赤ん坊などの場合には、特にそういう工夫が必要です。

 適度にクスグると(写真4)、余りクスグったくない姿勢が
見付かることがあります(写真5)。

&ref(DSCF0691.JPG)写真4

&ref(DSCF0692.JPG)写真5

 そういう場合には、その姿勢をラクな姿勢として、その姿勢
を強調する操体を探していきます(写真6)。

&ref(DSCF0690.JPG)写真6

 また、クスグったさが続いている場合でも、しばらくクスグ
り続けていると、クスグったさが消えることも多いです。そう
いう場合には、次にクスグったがる所へ移ります(写真7)。

&ref(DSCF0693.JPG)写真7

*(8)終わり方と仕上げ方
 嫌な感じがしたり、クスグったい所が見付からなくなったら
終えます。その時に姿勢が仰向け大の字で無ければ(写真8)、
その姿勢を強調する操体をしていきます(写真9)。

&ref(DSCF0698.JPG)写真8

&ref(DSCF0699.JPG)写真9

 そして、時間終了5~10分位前になったら、仕上げに移りま
す。座位の重さの操体(写真10)をしてから、座位で手の指揉
み(写真11)をします。

&ref(DSCF0700.JPG)写真10

&ref(DSCF0701.JPG)写真11

 赤ん坊の場合には、寝たまま軽く手の指揉みをすれば良いで
しょう(写真12)。

&ref(DSCF0085.JPG)写真12

 また、新生児などの場合には、指揉みよりも、手指の股を筆
で指先方向に撫で下ろす程度の刺激の方が良いかもしれません。

 このとき、手首の方に向かって撫で上げると興奮しやすくな
るので、しない方が良いとされています。特に、疳(カン)の
強い子にするときには、気付けてください。

*(9)おわりに
 初めの方にも書きましたが、クスグり操法は簡単ですが、続
けると色々な症状が改善してゆく技術です。習慣にできると効
果が出やすくなります。様々な工夫をして習慣にできるように
してみてください。

 習慣にすると良いのは、クスグり操法に限らず、色々な操体、
様々な養生法に言えることだと思います。逆に言えば、養生法
は習慣にして始めて効果が出るということかなと思います。


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