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操体症例問答no.5 - (2010/08/28 (土) 12:39:44) のソース

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#contents
*(1)はじめに
 遊風の操体掲示板にのせた操体症例4つめです。

 仙台のコーン先生がなさっている症例報告風に書いてみた例です。

*(2)操体あらマッサージ
**マッサージを頼まれたけど
 このあいだ、腰と膝が悪いという婆ちゃんにマッサージをたのまれ
たときの例を、コーン先生の操体ライブ風に書いてみました。

 そしたら、お茶を飲んでいる時間もふくめて、たかが40分から50分
くらいのことなのに、長くなってしまいました。

 私は、操体などをしているときには、自分の意識も半分くらいは、
とんでしまってボッとしていることがおおいので、思い出すのが大変
でした。

**実際には
私「おばあちゃん、どこがつらいの?」

婆「膝と腰だね」

 辛いのか、ちょっとぶっきらぼう。

私「左と右でちがいがある?」

婆「わしゃ、全部左、どこも左なんだよ」

私「片側の腰や膝が悪いときは、
  そっちを上にしてマッサージしたほうが
  されているときラクだと思うよ。
  ちょっと、横向きに寝てみて、ラクな格好をさがしてみよ」

 婆ちゃんは、もぞもぞと横になる。
うーん、動きはゆっくり、少しぎこちない、
これは、確かに悪そうだなと思う。

 婆ちゃんの後ろにまわって、

私「上になった足はもうすこし前のほうがラクじゃない?」

 と言いながら、
下になっている右足の膝の前に、左足の膝をおく。

婆「うーん、そうかな、そうみてえだな」

 腰の上になっている部分を左膝のほうへ押しながら

私「こうすると、もうすこし、いい感じかな?」

婆「うん、良さそう」

 ばあちゃんのおなかに息がはいったのを目でたしかめながら、
腰を押すのを手から立てた左膝に代える。

 この時点で、もう、横向き寝からの重さというか動きというかの操
体にはいっているわけです。

 これは、すでにおわかりのように、あお向き寝からの膝たおしの変
形版の操法になっています。

私「肩のほうはどうかな?」

 と言いながら、右手で上になっている左肩を動かしてみる。ほんの
すこし動かしただけで後ろ側にスーッと動いていく。左腰から左膝に
かけてと並行で、向きは逆、つまり、この婆ちゃんの体は、いま、ね
じれたがっているのがわかる。

 こういう場合には、このような姿勢になる場合が半分以上ですが、
肩も前のほうへ動かしたがる場合もあります。

 ほんのすこしの力では動かなくなったところで止めて、ふれている
部分の皮膚を、すこし、いままで動いて来た方向にずらす。

 ここまでで、3分くらいかな。

 おなかの息が深いのを目でたしかめたあと、チラッと顔を見ながら

私「こっちのほうがいいみたいだねぇ。これでいいかな?」

婆「うん、それいい」

私「じゃあ、ラクな姿勢になれたから、
  これからマッサージしていくけど、
  痛かったり、逆に、物足りなかったりしたら言ってね。
  合わせるから。
  あと、姿勢を変えたくなったら言ってね。
  同じ姿勢だと、つらくなることもあるから。」

私「それで、腰や膝が痛いときに、
  そういう痛いところからマッサージはじめるよりも
  足の指からはじめたほうがつらくないことがおおいから、
  足の指からやってみるね。
  腰や膝の痛いときは、
  足の小指やとなりの指にシコリが出ていることがおおいんだ」

 実際に、寝返りも打てないほどのぎっくり腰のときには、その人が
固まっている姿勢から施術するのはもちろんのこと、足の指もみから
はじめないと痛がって患部の腰にさわれないことすらあります。

 そう言いながら、腰を押す膝を右に代え、左手で婆ちゃんの左足の
小指の指裏の関節のとなりの指よりを押す。

 右手は肩のあたりの皮膚をズラす皮膚の操体をしたまま。腰を押す
膝を変えたのは、力をいれるほうに操者の体の正中腺をむけるため。

婆「イタた、ホントだ」

 となりの指の小指よりの指裏関節部も押す。

私「こっちも痛いでしょ」

婆「おー、ホントにイテェや」

私「ここの指と指のあいだも痛いことがおおいんだよね」

 と言いながら、指のあいだの水かき状の部分を押す。

婆「おー、いて、よくわかるね」

私「まぁ、このあたりは、
  腰や膝の悪い人は、たいてい痛いからね」

 と言い、痛い動きですこし姿勢が変わったのに対して、右膝や右手
に感じる圧を一定にするよう、加えている力を調節しながら、足指に
くわえた圧をよわめ、かるく、小指ととなりの指の裏や、あいだの水
かきを、しばらく、もむ。

私「小指ととなりの指をもむと、腰や膝の痛いのが軽くなるからね、
  自分でもやると良いよ」

 指裏がゆるんだころ、まだ、姿勢を変えたがっていないことを、右
手と右膝に受ける圧の変化で確認したあと、腰を押す膝を左に変え、
左手で、腰のあばら骨と骨盤のあいだをかるくマッサージしながら、
状態を調べていく

 このときに必要に応じて、肩の皮膚をズラす手を左手に変えて、右
手で腰をマッサージした可能性もあるが、操体をしているときは、こ
ちらの意識も半分ボッとしているので、よくおぼえていない。

 こういう場合には、骨盤に近い側の脊柱起立筋にシコリがあること
がおおい。見つかったシコリに手を当てて、骨盤に押しつけるような
圧力をかける。

 すこし強めにかけ、目をおなかから顔にうつして(痛さを確認する
とき以外はおなかを見ていることがおおい)

私「ここ痛いかな?」

婆「おー、そこそこ」

 さきほどと同じように、痛い動きですこし姿勢が変わったのに対し
て、左膝や肩に当てた手に感じる圧を一定にするよう、くわえている
力を調節しながら、腰にくわえた手の圧をすこし弱め、指圧というよ
りも、皮膚の操体の「沈」方向というか、奥のほうのシコっている筋
肉に対する重さの操体という感じで、圧を加えていく。

私「このシコリ大きめだね。
  ここは腰の悪い人のポイントだから、
  すこし時間かけるよ。」

 この方法は、指圧とちがって時間が長く、指圧は5から10秒です
が、1分以上は圧をかけます。

 シコリの状況に応じて、圧をかける方向や圧の強さを、刻々と変化
させていくところに特徴があります。

 橋本敬三先生から操体を習ったことのある増永静人先生の医王会に
経絡指圧を習いにいったときに、直接習ったお婆ちゃんの先生に、こ
の方法をやったら、

「とっても気持ちいいけど、貴方のは指圧じゃないね」

と言われてしまい、さすがプロだなと思いました。

 でも、普通の人、素人の人にはわからないし、「とっても気持ちい
い」そうなので、操体的には良いかなと思って、やっています。

 わかる人でもたいていは大丈夫です。

#「あんたのはちょっと変わってるね」

私「操体っていうのをいれてるんですよ。
  気持ちよくないですか。
  良くなければ普通のにしますから」

#「いや、気持ちいいから続けて」

という感じがほとんどです。

 指でも、手のひらでも、肘でも、膝でもできます。

 マッサージや按摩風な味付けをしたいときには、加える圧はそのま
まに、あてていないところをふります。

 肘をあてているときは、手首や指、指をあてているときには、手首
や肘をふると、受けている感じはマッサージや按摩のようになります。

 スポーツ・マッサージ系の強もみ好きの人から

#「ちょっと物足りねぇな」

と言われたら、肘の先をあてて体重をかけ、手首を早めにふります。

 腰痛のある人は、あと二つよくシコリが出るところがあるので、そ
こも見ていく。それは、腰骨と大転子をむすんだ線から、すこし後ろ
側のくぼみと、お尻中央。

私「ここはどうかな」

婆「痛いねぇ」

 おなかの息を見ながら、その二つのところにも一見指圧風・重さの
操体をしていく。

 そのあたりのシコリが、ある程度ゆるんだころ、まだ、姿勢を変え
たがっていないことを、左膝や腰にあてた手に受ける圧の変化で、確
認しながら、腰を押す膝を右に変え、

私「つぎは膝だけど、
  膝って、お皿の側が痛いように感じてても、
  ホントは裏側のほうが痛いことがおおいんだよ」

 と言いながら、膝裏のシコリをさぐる。親指よりにも小指よりにも
シコリをみつけ、

私「ほら、こことここが痛いでしょう」

婆「ホントにいてぇな」

私「そうするとね、
  ここのところから脹ら脛のほうまでずっと、
  痛いところがつながっていることがおおいんだ」

 と言いながら、そのスジというか、筋肉と筋肉のあいだのミゾを指
圧風に押しながらたどっていき、脹ら脛がおわる辺あたりのシコリを
押す。親指側と小指側のラインを二本、順にする。

私「ここも痛いでしょ」

婆「うー、いたた」

私「このあたりのシコリを取らないと
  膝の痛みって取れないことがおおいんだよ」

婆「そうけ、わしゃ膝の前ばっかりさすってたよ。
  それで、良くならなかったんだ」

私「後でやり方教えるからさ、自分でもやってみてよ」

 と言いながら、指圧風の皮膚操体をしばらく続ける。つまり、強さ
や方向をすこしづつ変化させながら圧を加え続ける。

 膝裏の2,3cm脹ら脛よりと脹ら脛のおわるあたりの、それぞれ親指
よりと小指よりの計4か所にする。

 ある程度ゆるんだころ、手のひらで大きく脹ら脛全体をつかんで、
膝のほうから足首のほうへ、ゆっくり、もんでいきながら、ゆるみ具
合を確認する。

 マッサージを依頼された場合には、このように、シコリをみつけた
り、ゆるみ具合を確認する手段として、いわゆるマッサージの手法を
使うことがおおいです。

 これに対して、操体をたのまれたときには、手や指を皮膚の上で、
かるくすべらすように動かしてさがすことがおおいです。

 また、指圧風操法を普通の皮膚の操体にします。体の状況によって
は、了解をえた上で、圧を強めにくわえることもありますし、片手で
皮膚操体、もう一方では指圧風という組み合わせもします。

 膝裏のシコリがゆるんだことを確認したのと、ほぼ同時に、右膝や
右手に受ける圧の変化で、婆ちゃんが姿勢を変えたがっていることを
確認し、また、おなかへの息のはいり具合が浅くなっていることも、
目で確かめながら、

私「だいぶ良くなったみたいだね。
  ちょっと確かめてみましょう。
  すぐじゃなくていいからさ、
  すこし休んで起きあがれそうだったら、
  ゆっくり起きあがって見て」

 横向きに寝た姿勢が決まってから、ここまでせいぜい15分くらい。

 婆ちゃんは、しばらく動かないでいてから、もぞもぞと動きはじめ
る。起きる動きがちょっと速いので、

私「ゆっくりね」

 つらそうな様子を見せずに立てたのを確認して、

私「じゃぁ、ゆっくり、いろいろ動いてみて。
  前に曲げるのはどうかな」

 婆ちゃんは、ゆっくり前に曲げていく。指先が足首あたりまでいく。

私「前は、それくらい曲がればいいか、後ろはどうかな」

 後ろにも曲げて

婆「できるね」

私「ほかはどうかな、
  体をねじったり、横に曲げたり、ゆっくりやってみて」

 一通りやってみて

婆「なんともない、みんなできる」

私「じゃあ、歩いてみて、ゆっくり」

 5歩ぐらい歩いてから

婆「なんともねぇだ、膝痛かったのに、
  歩くのがつらくて外に行けねぇから、来てもらったのに」

 と、うれしそう。はじめたころと声の調子がちがう。

私「正座はどうかな」

 ヒョイッと座って

婆「なんともねぇだ」

 つらい動きがあったら、立ち姿勢での動きの操体や、重さの操体、
それでもダメそうなら、もう一度寝てもらって、定番の操体なども、
ためそうと思っていたのだが・・・。

私「じゃ、いいのかな、肩とかは大丈夫」

 肩をまわしながら

婆「肩は、何ともねぇだ。
  うん、もう治ったみたいだから、もういいよ。
  ま、お茶でも飲んでって」

 スタスタサッサッと台所に消える。

 お茶をいただきながら、

婆「わしゃ、お風呂で、膝の上ばっかりさすってたよ。
  裏だったとわなぁ」

私「お風呂でさ、今度は、こうやって
  両手の親指で、膝の裏から脹ら脛にかけて、
  押していくといいよ。」

 と、やって見せる。真似しながら

婆「こうかな」

私「そのときさ、痛いところがあったら、押しながら
  首をどっちかに回してみると痛くなくなるから。
  いまも、すこし痛いところ残っているでしょう。
  ちょっと、やってみて」

婆「ここが痛いな、首を回すっと、
  こっちかな、あっこっちだ、
  ホントに痛みがすこし減るだ」

私「その痛みが減る格好をしばらく続けるといいんだよ。
  首を戻したくなるまで。
  場合によっては、
  首回すだけじゃなくて、
  上げたり下げたりするのが良いこともあるから、
  工夫してみて」

婆「ふーん、おもしろいね」

私「仙台のお医者さんがはじめたやり方でね、
  操体って言うんだ。
  すこし痛いぐらいの膝の痛みなら取れるからやってみて。
  あと、小指ととなの指をもむのもついでにやるといーよ。
  膝は、いま、痛くなくなったけど、
  家事したり無理したりすると、
  また、痛み出すかもしれない。
  ちょっと、痛くなったかなというときに
  お風呂でやるといいよ。
  それでも駄目なら電話して。」

婆「うん、やってみる。
  いいこと聞いただ。得したな。
  腰はどうするね」

私「腰は、おばあちゃんの場合は、
  はじめに横向きに寝た、あの姿勢で、
  手をこういうふうに伸ばしたら、
  いい感じがしたでしょう。
  あの格好をしてみるといいよ。
  姿勢を変えたくなるまで。
  腕を伸ばす方向がちがう場合もあるから、
  どっちにしたらいい感じになるか、いろいろ工夫してみて。」

 やってみせながら。

 マネしながら

婆「あ、これね、へー、
  それで腰痛くなくなるのかね」

私「すこし痛くなりかけたらやるといいよ。
  あんまり無理してためちゃうと、
  それだけじゃダメになるから。
  それに、小指やとなの指をもむのは、腰にもいいよ」

婆「やってみる、いいこと聞いただ」

 マッサージの依頼でいって、操体を教えて帰ってきたという、とて
もうまくいった例です。

 定番じゃないし、操体とは言えないかも知れない操法ですが、この
婆ちゃんの場合には、これが良いと思ったので、すすめました。

 その人が、すでにやっていることをすこし操体風に変えてみると、
実行してくださる可能性が高くなります。

 その人のそのときの体の状態にあった操体がみつからないときは、
立ち姿勢での重さの操体、とくに、テーブルぐらいの高さのものに手
をついてする中腰尻ふり運動を伝えることがおおいです。

 家のなかには、この高さのものがおおくて、どこででもやりやすい
し、直立2足歩行するヒトにとって基本的なバランス調整だと思うか
らです。

 この婆ちゃんのように、自分でやってみようという気のある人には
教えやすいです。

*(7)おわりに
 質問などは、「[[「術伝」掲示板>http://jutsuden.bbs.fc2.com/]]」のほうにおねがいします。


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*お知らせとお願い
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いる方の治療を見たほうが勉強になります。そこで、講座で患者さん役
をしてくださる方を募集しています。

 くわしくは、[[術伝流のモデル]]をみてください。

 よろしくお願いします。

**感想など
 感想などありましたら、[[「術伝」掲示板>http://jutsuden.bbs.fc2.com/]]に書いてください。

 また、「術伝」掲示板でも、旧掲示板「養生の杜」と同じように、
養生についての雑談や症例相談などもしていきたいと思っています。


 よろしくお願いします。

**間違いなど
 間違いなど見つけた方は、[[術伝事務局>jutsuden-jmkk@yahoogroups.jp]]あてにメールをください。

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