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術伝流一本鍼no.42 - (2016/07/13 (水) 07:59:42) のソース

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&color(green){術伝流一本鍼no.42 (術伝流・養生の一本鍼・病証編(1))}

&bold(){&size(24){&color(green){未病と発作、経絡、気血水}}}
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#contents
*(1)はじめに
 先回の終わりに書いたように、上衝が症状の原因のことも多
く、慢性期の養生では、腹の邪毒や虚の改善が必要です。その
ため、東洋医学的な病証の把握も大切になってきます。特に、
内科系の養生をしていくときには、重要です。

 そこで、今回は、東洋医学的な病証について、私の見方を大
雑把に解説していきます。と言っても、難しいことは言いませ
ん。東洋医学的な病証で、最も基本的と私が思う3つのことを
取り上げます。「未病と発作」、「経絡病証」、「気血水病証」
の3つです。

 「内科系にも応用([[術伝流一本鍼no.19]])」や、「術伝
流は、腹診中心([[術伝流一本鍼no.27]])」にも、書いてき
たこともありますが、もう一度まとめて説明しておきます。

 一つ目の「未病と発作」は、病の慢性期と急性期を見ていま
す。

 二つ目の「経絡病証」は、体を縦切りに見ています。立位で
体を前・横・後ろに3分類するのが基本で、前・横・後ろ×内
外×手足で12経絡になります。体の外側を中心にした病気に
良く当てはまります。

 三つ目の「気血水病証」は、体を横輪切りに見ています。立
位の頭首胴で、肩胛骨・鎖骨から上が「表位」、その下で横隔
膜までが「上焦」、横隔膜から臍までが「中焦」、臍から下の
胴体部分が「下焦」です。体の内側に関係する病気に良く当て
はまります。

*(2)未病と発作
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 東洋医学的な病証の見方として、慢性期は未病、急性期は発
作と言うのが、先ずは基本になります。

 未病というのは、病が動いていない状態のことです。動いて
いないから、症状は、余り明確には出ていません。が、体に歪
みは有りますし、瘀血や水毒も有り、そこから少しずつ邪気が
漏れているのが普通です。

 瘀血や水毒などが沈静化していて、そこから出ている邪気の
量も少ないので、症状が顕在化しないわけです。

 体の恒常性維持機能が働いていて、歪んだなりに何とかバラ
ンスを保っている状態です。

 そういう未病の体に、耐えきれないストレスが掛かると、体
は邪毒を取り入れ増やし、発作的な急性症状の状態になります。
また、体は、未病の状態よりも、生命力は少し落ちた状態にな
ります。

 発作的な急性症状になったときに、安静にしていたり適切な
治療を受けると、体から邪毒が排出されます。そして、体は、
元の未病の状態よりも少し生命力が高い状態でバランスします。

 発作的急性症状になったときに、また、ストレスが掛かった
り、誤治を受けたりすると、体は、邪毒を取り入れ増やします。
そのため、症状が消えても、元の未病の状態よりも少し生命力
が低い状態で、体はバランスしてしまいます。

 こういう未病と発作が、いつも繰り返されていると考えるの
が、基本の見方だと思っています。

*(3)経絡病証

&ref(keiraku-byoushou1110.jpg)

 経絡病証は、体を縦切りに見ています。つまり、直立2足歩
行するヒトの体に掛かる重力負荷を分担していることを反映し
た分け方です。立位での重力線の方向である縦に連携する筋肉
同士で、重力負荷を分担し合っているということです。

 立ち姿勢でのヒトの姿を、「前」から見たとき、「横」から
見たとき、「後ろ」から見たとき、その3つのときに見えやす
い部分に分けたということです。

 これに、体の内外の区別(2)と、手足の区別(2)を組み
合わせると、12経絡(3×2×2)になります。

 大雑把には、足という2本の丸太の内側同士が合わさって胴
体ができていると考えるとよいでしょう。ですから、体の内側
も、大雑把に、「前」、「中〜横」、「後ろ」、この3つに分
けられます。

 つまり、「内側」で「前側」が、「太陰」の担当分野です。
「内側」で「中〜横」が、「厥陰」の担当です。「内側」で
「後ろ側」を、「少陰」が担当しています。

 そのため、腹筋の直ぐ下にある胃腸は、内・前の足太陰の範
囲になります。また、腹膜後器官で背中側から手術する腎臓が、
内・後ろの足少陰になることも分かりやすいと思います。そし
て、子宮は、体の中央にあるので、内・中〜横の足厥陰に属す
ることになります。

 ですから、体の横輪切りの解剖図を見れば、だいたい、どの
経絡が担当するか見当を付けることができます。

 例えば、目の奥の病、網膜剥離や近視乱視が足厥陰に関係す
るのも、目の高さの横切り解剖図で、網膜や近視乱視に関係す
る目を動かす筋肉が内側の中ほど(内・横〜中)にあるからだ
と思います。

 また、頭のてっぺん、頭頂部の頭痛が厥陰の頭痛とされるの
も、内側の真ん中、つまり、鉛筆で言えば芯に当たる所が頭に
出たらどうなるか考えれば、納得しやすいと思います。

 下腿から下の足陰経は、前・横・後ろの対応が少し違ってい
ます。が、説明していると長くなるので、以下を読んでくださ
い。下腿陰経で経絡が交差するのも直立2足歩行と関係があり
ます。そのため、下記を読めば、重力不可と経絡の関係がより
分かりやすくなると思います。

[[経絡の交差と2足歩行>http://www26.atwiki.jp/jutsuden/pages/127.html" http://www26.atwiki.jp/jutsuden/pages/127.html]]

 この経絡病証は、体幹部、つまり、頭・首・胴の症状を手足
に引くときに、よく使われる関係です。

*(4) 気血水病証

&ref(kiketsusui-byoushou1110.jpg)

 気血水病証では、体を横輪切りに見ています。つまり、肩甲・
鎖骨から上を表位、その下から横隔膜までを上焦、横隔膜から
臍までを中焦、臍から下の胴体部分を下焦と分けています。

 未病のときには、表位や上焦は邪気が多く、中焦は水毒が多
く、下焦は瘀血が多いとされます。気は軽く、血は重く、水は
その中間なので、病が動かない未病のときには、より重いもの
が下になっているのかなと思いました。

 濁醪(どぶろく)を作って冷蔵庫に静かに放置しておくと、
上からガス、その下に清酒、そして、底の方には澱(おり)が
貯まるのと似ていると思います。

 発作のときには、腹の邪毒から頭に向かって邪気が突き上げ
る上衝という現象が起きます。腹の水毒や瘀血が悪化、つまり、
菌やウイルスが増殖したり、老廃物や化学合成物の残骸が増加
した状態になり、そこから発生した邪気が頭を衝くそうです。

 腐った水、つまり菌などが繁殖した水からメタンガスが湧く
ようなものかなと考えると分かりやすかったです。

 放置した濁醪を暖かい所に暫く出しておき、少し揺すってか
ら栓を開けると泡と共に吹き出します。上衝という現象は、濁
醪が吹き出す様子にも似ているような気がしています。

 それで、私は、未病のときには気血水が静かに3つに分かれ、
発作のときに混ざって上衝する現象を「濁醪モデル」と呼んで
います。

 また、この病証は、寝た姿勢での重力負荷分担に関係してい
ます。寝た姿勢では、重力不可は、体の横輪切り方向に掛かる
からです。

 そして、この気血水病証は、頭首胴の症状をその背中側に引
く、つまり、陽に引くのによく使われる関係です。

*(5)大雑把に掴(つか)もう
 病証については、先ずは今回解説した位のことを大雑把に把
握することが大切です。臨床の場では、大雑把な分類を思い浮
かべる方が、細かなことを考えるよりも役に立ちます。

 目の前の人が、だいたい大雑把に分類すると、どういう状態
か把握する勘を養い、その把握したことに合わせてツボや手順、
技法を選んでいくが大事です。細かな知識を覚えるよりも、大
雑把な分類から判断できる勘を磨いていきましょう。


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 くわしくは、[[術伝流のモデル]]をみてください。

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