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術伝流操体no.28 - (2016/08/16 (火) 15:47:22) のソース

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術伝流操体・操体で一通り治療 (1)ラク寝連続操体+座位で仕上げ

&size(24){&color(green){ラク寝連続操体+座位で仕上げ}}
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#contents
*1.はじめに
 先回までで、ラクな寝方からの操体、および、ラクな寝方か
らの連続操体を、指先での皮膚の操体も含め、説明しました。
今回からは、「操体で一通り治療篇」に入ります。

 操体で一通り治療するときには、ラクな寝方からの連続操体
が終わった後に、具体的には、操体の施術を終わりにする10分
位前になったら、座位になってもらい、仕上げに移ります。

 仕上げは、座位で重さの操体や胴体の大雑把な歪みの調整を
してから手の指揉みをします。

 つまり、40~50分かけて操体で一通り治療する手順は、以
下のようになります。

(1)ラクな寝方からの連続操体を終了10分前まで繰り返す

(2)座位からの重さの操体など

(3)座位で指揉み

 操体で一通り治療する場合に、ラクな寝方からの連続操体の
後に、仕上げとして座位での操体をするのには、理由がありま
す。殆どの人は、普段の生活で、昼間は座位や立位で活動して
いるからです。

 寝た姿勢でのバランス、つまり、背骨が重力に対して横向き
のときのバランスと、背骨が重力に対して垂直に立った座位や
立位でのバランスは、少し違うので、背骨が重力に対して立っ
た座位や立位での操体を治療の仕上げにした方が、普段の座位
や立位での活動のためには良いからです。

 具体的には、ラクな寝方からの連続操体だけで終わると、後
で眩暈を起こしたり熱が出たりする可能性が、少しですが、高
くなります。

 手の指揉みで終えるのは、近頃、按摩指圧や操体などの手技
療法を軽く行っただけでも、後で頭が痛くなったり熱が出たり
する人が増えているからです。

 この傾向は90年代後半から聞くようになり、ここ数年は、
かなり耳にします。仕上げで手の指揉みをしておくと、そうい
う可能性を減らせるので、取り入れています。

*2.ゆっくり座位になってもらう
 ラクな寝方の連続操体を終えることにしたら、しばらくラク
な姿勢で休んでもらいます。それから、ゆっくり、ゆーっくり
起きて座位になってもらいます。

 起き上がり方が速いようなら「ゆっくり」と声を掛けるのを
忘れないようにしてください。ラクな寝方からの連続操体を十
分した場合には速く動くのが辛くなる場合が多いのですが、受
け手の中には操者に言われたら速く動かなくっちゃと思い込ん
でいる人もいますので。

 無理して速く起きようとするとフラついたりすることがある
ので注意してください。

*3.座位での重さの操体など
 座位での大雑把なバランス調整をしていくのですが、ここで
は、重さの操体は欠かせません。直立2足歩行のヒトという動
物は、重力に対して背骨を立てた状態で普段の生活しているこ
とが多いからです。

 初めての人には重さの操体は分かりにくいので、胴体の4種
八方向の組み合わせのバランスを調整する操体をすることも多
いです。が、そういう場合にも、タワメの間がある程度決まっ
たら、どちらか体重を掛けやすい方の尻に少し余分に体重を掛
けるてもらうようにします。

**1)座位での重さの操体
 座位の姿勢(写真1)から、

「右前、右横、右後ろ、左前、左横、左後ろの6つの方向に体
重を試しに移してみてください。どっちに一番移しやすいです
か? なんとなくで構いませんから、体重を一番移しやすそう
な方向を選んでください」

と声を掛けて、方向を選んでもらいます。(写真2)。

&ref(DSCF0272.JPG)写真1

&ref(DSCF0273.JPG)写真2

 操者は体重を受け止められるよう、その正面に位置し、受け
手の肩や背中などを支えてから、「支えますから、体重を掛け
やすい方に少し余分に体重を掛けてください」と声を掛けます。
操者は体の正面で、体重を受け止めると疲れずに支えることが
できます(写真3)。

&ref(DSCF0275.JPG)写真3

 正中線、特に臍を体重の掛かってくる方向に向け、腰で支え
るようにします。

 「体重を戻したくなったら終わりにしてよいのですが、それ
まで、充分体重をこちらに掛けてください」と声を掛け、支え
続けます(写真4)。

&ref(DSCF0276.JPG)写真4

 受け手の重さが少し軽く感じられたら、終わりにして良い合
図なので、「体重を戻したくなったら終わりにしましょう」と
声を掛けて、体重を戻してもらいます。

**2)捻転・前後屈の組み合わせ
 操体に慣れていない人で、体重を移す、重さの操体が感覚的
に分かりにくい人の場合には、胴体の捻転や前後屈などと組み
合わせた方が分かりやすいようです。

 座位で頭の後ろで手を組んでもらいます(写真5)。

&ref(DSCF1591.JPG)写真5

 胴体を左右に側屈してもらい、「左と右、どちらの側屈がや
りやすいですか?何となくでも良いですから、イイ感じのする
方を選んでみてください」と、声を掛けて、イイ感じの方を選
んでもらいます(写真6)。

&ref(DSCF1592.JPG)写真6

 イイ感じの方に胴体を側屈したまま、その状態から、今度は
「前に曲げるのと後ろに反るのとどちらがイイ感じですか?何
となくで良いですから選んでみてください」と声を掛け、前後
屈のどちらかを選んで、その姿勢になってもらいます(写真7)。

&ref(DSCF1593.JPG)写真7

 そして、次に「その状態から、体を左右に捻ってみて、何と
なくイイ感じの方を選んでみてください」と声を掛けて、イイ
感じの姿勢になってもらいます(写真8)。

&ref(DSCF1594.JPG)写真8

 その状態から「左右のお尻のどちらに体重が掛けやすいです
か?支えていますから、掛けやすい方に体重を少し余分に掛け
てみてください」と声を掛けます。操者は体重の掛かってくる
方に移動し、体重を受け止めます(写真9)。

&ref(DSCF1595.JPG)写真9

 「体重を戻したくなったら終わりにしますが、それまで充分
に、体重を、こちらの方に掛けた状態を味わってください」と
声を掛け、イイ感じを充分に味わってもらいます。

 受け手が自分でスーッと体重を戻したら終わりにします。操
者に掛かる重さが軽くなっても戻らないようなら「体重を戻し
たくなったら、終わりにしても良いですよ」と、もう一度、声
を掛けると良いでしょう。

*4.座位で指揉み
 ラクな姿勢の座位になってもらい、手の指揉みをします。左
右どちらから始めてもいいですが、利き手でない側から始める
のが一般的かなと思います。

 利き手の方が凝っていることが多いので、利き手を後にした
方が満足してもらいやすいように思います。どちらの手も、小
指から始め拇指で終わります。これは、後で起こるかもしれな
い頭痛発熱などを防ぐには親指で終えた方が良いからです。

 指のツボで主に揉むのは、指と指の間の水掻き状の部分(八
邪)、八邪と甲に近い指関節の間、指関節の横側の皺の端の辺
り(節紋)、爪の根本(井穴)です(図1)。

&ref(yubinotubo.jpg)図1

**1)揉み方の細かい手順
 もう少し細かく書くと、指揉みは、小指と薬指の間の八邪
(写真10)から始め、八邪と小指側の甲に近い指関節の間
(写真11)、八邪と薬指側の甲に近い指関節の間(写真12)、 
小指の節紋(写真13)、小指の井穴(写真14)、薬指の節門
(写真15)、薬指の井穴の順で揉みます。

&ref(DSCF1565.JPG)写真10

&ref(DSCF1566.JPG)写真11

&ref(DSCF1567.JPG)写真12

&ref(DSCF1571.JPG)写真13

&ref(DSCF1572.JPG)写真14

&ref(DSCF1574.JPG)写真15

 節紋や井穴を揉むときは、指腹で揉むよりも指関節近くの硬
い部分で揉んだ方が少しの力で効果が上がりやすいです(写真
16)。

&ref(DSCF1568.JPG)写真16

 それから、薬指と中指の間に移ります。そして、同じ順番で
揉んでいき、拇指と示指の間の八邪(写真17)、示指の八邪と
節門の間(写真18)などを揉んでから、拇指の節紋、井穴で片
側を終えます(写真19、写真20)。

&ref(DSCF1563.JPG)写真17

&ref(DSCF1564.JPG)写真18

&ref(DSCF1569.JPG)写真19

&ref(DSCF1570.JPG)写真20

 反対側の手も小指側から拇指側に向けて同じように揉みます。

**2)具体的な揉み方
 具体的な揉み方については、図2を参照してください。

&ref(3byoushi.jpg)図2

 一揉みの中には、操体で言う「動診」「タワメ」「瞬間脱力」
が入っています。

 深く押しながらツボの芯を探していき(動診)、芯を上手く
捉(とら)えたら、ツボの芯に問いかけるような感じで、芯の
方向への力を強めにしてから、一瞬同じ状態で力を維持し(タ
ワメ)、次の瞬間に脱力する(瞬間脱力)という感じです。

 脱力するといっても、皮膚から手指を離しません。芯の方向
に強めにしていた力を抜いただけで、皮膚を押し筋肉は捉えて
います。

 手指を移動するのは瞬間脱力した後で、移動しながら、次の
ツボや痼りを探します。

 見付かったら、また、深く押しながらツボの芯を探す「動診」
をして、その方向に力を入れて「タワメ」、次に「瞬間脱力」
して…という感じで繰り返していきます。

 タワメのときの強さに強弱をつけて、弱弱強、弱弱強、弱弱
強の3拍子とかにすることが多いです。人によって2拍子から
5拍子の人もいるようです。

 弱弱の時は、比較的「動診」の要素が強く、その間に、しっ
かり、ツボの芯を見付けます。3拍子なら3回目の強の時に、
しっかりツボを捉えて「タワメ」、次の瞬間に大きめの「瞬間
脱力」をします。そして、強めの「瞬間脱力」を終えた後に、
手指を移動し、次のツボを探します。

 この「①動診、②タワメ、③瞬間脱力」を意識して練習する
と、揉むという技術を身に付けやすくなります。試してみてく
ださい。

*5.礼をして終わる
 指揉みを終えたら、「どうもありがとうございました」と、
深く一礼をします。

*6.おわりに
 礼をした後に、立ち上がって歩いていく様子も観察します。

 もし、歩いていく様子がぎこちないようだったら、立位での
操体(写真21,22)や、足踏みの左右差の解消や、歩行しな
がらの操体をして、立位や歩行のときのバランスを整えるよう
にします。立位や歩行しながらの操体は、後で解説します。

&ref(DSCF1596.JPG)写真21

&ref(DSCF1597.JPG)写真22

 また、座位での操体も今回説明した以外のものもありますの
で、それも後で解説します。

追記:2016.8.16ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
座位や立位などからの操体は、以下に書きました
 
[[術伝流操体no.41]]  座位で、重さ、3軸、腕上げ
[[術伝流操体no.42]]  座位の動きの操体
[[術伝流操体no.43]]  座位の対角からの操体
[[術伝流操体no.44]]  座位の皮膚の操体、髪の毛や耳の操体
[[術伝流操体no.45]]  四つん這いなどでの操体
[[術伝流操体no.46]]  立位から動きの操体
[[術伝流操体no.47]]  立位から皮膚の操体
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 それらの解説の前に、次回から2回、初めての人の操体で一
通り治療した例をあげます。

 比較的ドンドン姿勢を変えていく例と、余り姿勢が変わらな
い例です。それから、それぞれ、比較的敏感で、どんどん動い
ていく人と、姿勢が殆ど崩れていかない人への対処法を解説し
ていく予定です。


   つぎへ>>>[[術伝流操体no.29]]


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   >>>このページのトップヘ・・[[術伝流操体no.28]]

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 術伝流鍼灸操体講座は、実践面を重視しています。実際に症状が出て
いる方の治療を見たほうが勉強になります。そこで、講座で患者さん役
をしてくださる方を募集しています。

 くわしくは、[[術伝流のモデル]]をみてください。

 よろしくお願いします。

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よろしくおねがいします。

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