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術伝流一本鍼no.3 - (2015/06/09 (火) 12:49:54) のソース

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&color(green){術伝流一本鍼no.3 (術伝流・先急の一本鍼・運動器編(3))}
&bold(){&size(24){&color(green){手足の甲のツボで運動鍼}}}
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#contents
*(1)はじめに
 今回から実際に運動器系の先急、つまり、運動器系の応急処置
に入ります。

 段階を踏んで一つずつ説明していきますので、一つずつ理解し
技術を身に付けていってください。

*(2)手足の甲のツボで運動鍼 
 鍼による応急処置の基本原則は「遠くに強く引く」ことです
(図1)。

&ref(f1hari03#01.jpg)図1

 痛みが強ければ強いほど、遠くに強く引きます。患部近くは、
軽く浅く刺すのが基本です。

 これは先回も説明したように、症状が出ている所で蠢(うごめ)
いている邪気を、手足の陽経の末端近くに鍼することで、刺鍼し
た方に誘導し、手足の末端から体の外に引き出すためです。

 患部近くは散鍼ていどに留めることもあります。

 痛みが強い時に、遠くに強く引かずに、局所に強く深刺しする
と症状を悪化させてしまうこともあるので、注意してください。
邪気は刺鍼した方に動く性質があり、患部近くに強く刺すと、患
部近くに邪気が集まってしまうからとされています。

 症状が頭や胴の場合には、手足の甲の陽経側に引くのが基本で
す。鍼が刺しやすくて、末端に近いのが、手足の甲だからです。
この刺鍼は、応急処置をする場合に、準備・後始末として最初と
最後に必ずするようにしています。

 今回は、この刺鍼をしながら患者さんに動いてもらう、いわゆ
る運動鍼を練習します。

 運動鍼は、肩首の症状に特に有効です。手甲に刺鍼しても動き
やすいからです。

 腰の場合には、動かしづらい時もありますから、そういう場合
には無理をせずに、ラクな寝方で足甲に刺鍼した後、立ち上がれ
るようなら立ち上がってもらい、の甲に刺鍼しながら腰を動かし
てもらってもよいです。

**(1) 手の甲のツボで運動鍼 
 肩胛骨,鎖骨から上の、肩,首,顔,頭などの症状は、手甲のツボに
刺鍼して動いてもらいます。

 先ず、患者さん役の人に症状をよく話してもらい、目で見たり
手で患部を触ったりして、先回もしたように患部の場所が左右×
前横後ろの6つの中から何処に分類できるか決めます(写真1)。

&ref(p1hari03#01.jpg)写真1

 患部の左右で手の左右を選び、患部が前よりなら手甲の親指側、
後ろよりなら手甲の小指側を探すのが基本です。

 位置関係は、だいたい、鼻,目頭,前歯なら1~2間、瞳〜目尻,奥
歯なら2~3間、目尻〜耳なら3~4間、後頭部,後頚部なら4~5間
です。

 しかし、隣りに出ることもあるので、井穴(写真2)や水掻き
(写真3)を摘んだり、甲の骨間や指関節の手の平側の横紋の端
(写真4)を押したりして確認します。

&ref(p1hari03#02.jpg)写真2

&ref(p1hari03#03.jpg)写真3

&ref(p1hari03#04.jpg)写真4

 水掻きというのは、指の付け根と指の付け根との間の部分です。

 甲の骨間の狭い所や、摘んだり押したりして痛い所が狙い目で
す。

 また、手を軽く開いてみて、見た目に指と指の間が狭い部分
(写真5)があったり、あるいは、指を反らせる(写真6)とピ
リピリビリビリする感じが強い所なども狙い目です。

&ref(p1hari03#05.jpg)写真5

&ref(p1hari03#06.jpg)写真6

 だいたい見当がついたら、指を横にして水掻きから手首に向け
て動かして凹んだ所を押してみます(写真7)。痛かったら、そ
こがツボです。

&ref(p1hari03#07.jpg)写真7

 手甲の骨間は狭いので、指先を縦に動かしたら骨間に入らない
のでツボを探せません。ここでいう「横」とは爪の表面に平行な
方向で、「縦」というのは、指を折り曲げる方向です。

 深谷伊三郎先生は、「指を細く使う」のがツボ探しのコツと書
かれています。横に動かす方が指を細く使えることが分かるでしょ
う。

 2つあったら、イヤな感じや痛みの強い方を選びます。

 そのツボに痛がられないように刺鍼していきます(写真8)。

&ref(p1hari03#08.jpg)写真8

 瞬(まばた)きが出てきたり、腹の息が深くなるなどしたり、
患者さん役が何か感じたりしたら、その深さで、鍼を旋撚したり
横ゆらししたりしながら、患者さん役に、辛くないラクな範囲で
肩、首、頭を動かしてもらいます(写真9)。

&ref(p1hari03#09.jpg)写真9

 動作制限があったら、その動作をラクにできる範囲で繰り返し
てもらいます。気持ちよい動きを探す感じで動いてもらうと、上
手くいきやすいです。だんだんラクに動かせる範囲が大きくなっ
たら、改善している証拠です。

 腕を上げたり回したりがしにくいという動作制限の場合には、
刺鍼した所が痛まないように、無理のない範囲でゆっくり静かに
動かしたり戻したりする必要があります。

 場合によっては、術者の押し手や刺し手を離した方がいいこと
もあります。抜鍼する時には、また押し手をつくり、除抜します
が。

 刺し終わったら、先ず、刺鍼した所の凹み、ベタベタ、色、痛
さ、奥の堅さなどが変化しているか確かめます。次に、患部の痛
みや動作制限などの変化を確認します。

**(2) 足の甲のツボで運動鍼
 腰など下半身の症状は、の甲のツボで応急処置をします。

 先ず、患者さん役に症状をよく話してもらい、動作制限のある
動作をラクにできる範囲でしてもらったり(写真10)、目で見た
り、手で患部を触ったりして、患部の場所が左右×前横後ろの6
つのうちの何処に分類できるか決めます。

&ref(p1hari03#10.jpg)写真10

 その患部が上になるように寝てもらう(写真11)と、患者さん
も寝ているのがラクだし、ツボ探しや刺鍼もラクにできることが
多いです。

&ref(p1hari03#11.jpg)写真11

 患部を上にする寝方と患者さんがラクに感じる寝方が違う場合
には、ラクな寝方の方を優先します。

 その姿勢で足甲のツボを探していきます。うつ伏せの場合には
膝を曲げてもらうと探しやすいです。

 腹など前なら2~3間、横(や冷え)なら3~4間、腰など後ろな
ら4~5間が原則です。が、隣に出ることもあるので、手の場合と
同じように、甲や指まわりを見て触って調べます。

 足の場合には、指の足裏側の関節部の横紋の端(写真12)が
ツボ探しの狙い目です。

&ref(p1hari03#12.jpg)写真12

 そこに小さいけれど押すと大変痛いシコリができていたら、
その延長線上の甲にツボが出ていることが多いです(写真13)。

&ref(p1hari03#13.jpg)写真13

 2,3カ所あったら、一番違和感の強い所、痛い所を選びます。

 そのツボに刺鍼していき、反応があったら、患者さんに腰を動
かしてもらうのですが、肩首と違って動かしづらそうだったら、
無理せずに術者が刺し手を離して動かしてもよいし、動かすのを
止めてもよいです。

 また、アゴを胸に近づけたり逆に首を反らしたりを、ゆっくり
繰り返してもらったり、首や手首を左右に捻転したり戻したりを
ゆっくり繰り返してもらうのもよいです。

 前屈後屈の制限がある場合には、アゴを胸に近づけたり、首を
反らせたりを繰り返すと効果が出やすいです。また、腰の左右捻
転制限があった場合には、首や手首の左右捻転を繰り返す(写真
14)と効果が出やすいです。

&ref(p1hari03#14.jpg)写真14

 そういう動きは、背骨を伝わって、腰の動きに連動しているか
らです。

 刺鍼した後、刺した所と患部の確認をし、その後に動作制限の
改善具合を確かめます(写真15)。

&ref(p1hari03#15.jpg)写真15

**(3) 手の甲のツボで腰の運動鍼
 腰などの動作制限でも、立って動ける程度のものなら、立ち姿
勢で、手甲の4~5間に刺鍼しながら動いてもらう運動鍼や、後谿
に浅刺しての運動鍼もできます。

 先ず、動作制限のある動作を無理のない範囲で確かめてもらい
ます(写真16)。

&ref(p1hari03#16.jpg)写真16

 左右どちら側が制限になっているかで、左右どちらの手に刺鍼
するか選びます。

 手甲4~5間に刺鍼し、反応があったら、動作制限のある動作を
ゆっくり無理のない範囲で繰り返してもらいます。

 左右捻転制限なら、ゆっくり無理のない範囲で、腰を捻ったり
戻したりします。

 前屈制限なら、ゆっくり無理のない範囲で前屈したり戻したり
(余裕があれば天井を見たり)を繰り返します(写真17,18)。

&ref(p1hari03#17.jpg)写真17

&ref(p1hari03#18.jpg)写真18

 (2)で運動鍼ができなかった場合で立ち上がって調べたら動作制
限が残っていた時などに試みてみるとよいと思います。

 制限のある動作を、辛くないラクな範囲で、気持ちよさを探し
ながら繰り返してもらうのがコツです。

 この時に足甲4~5間を使わないのは、立位では足甲は緊張して
いるので、緩みにくく、響きが腰に伝わりにくいからです。

*(3)おわりに
 運動鍼は、運動器系の症状の時には、必ずと言って良いほど、
よく使います。繰り返し練習して、しっかり身に付くけてくださ
い。


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