------ 術伝流操体・操体で一通り治療 (5)あまり動かない人の例2. &size(24){&color(green){あまり動かない人の例1.}} ------ #contents *1.はじめに 操体で一通り治療した例で、あまり動かない人の例の2つ目です。 *2.横向き丸まり型から仰向け **2.1.1.ラクな姿勢は、横向き丸まり型 「ラクな姿勢で寝てみてください。仰向けでも、うつ伏せでも、横向 きでもかまいません。横向きの場合は、どちらを上にした寝方でも良い です。いま、いちばんラクな感じのする寝方で寝てみてください」と声 をかけたら、右を下にした横向き寝になりました(写真1)。 &ref(DSCF0281.JPG)写真1 この人は、現在0歳児を育てているそうなので、右手を使うために、 いつも左手で赤ちゃんを抱いていて、左半身が疲れている可能性がある なと思いました。 いつものとおり、かるく足裏の指もみをして、足指裏が痛くなくなる まで、膝を曲げて逃げてもらいました(写真2)。 &ref(DSCF0283.JPG)写真2 これで、この寝方では、下半身は、ほぼラクな感じになったかなと思っ たので、「上になっている左手は、背中に回すのと、胸の前に持ってく るのと、どちらがイイ感じですか?」と伝えて、試してもらったら (写真3)、胸の前のほうがイイ感じとのことでした。 &ref(DSCF0284.JPG)写真3 横向き丸まり型かなと思いながら、腕を置く位置や手首の捻り具合な どを加減して、よりラクな、よりイイ感じをさがしてもらい、それを皮 膚操体ですこし強調したりしました(写真4)。 &ref(DSCF0285.JPG)写真4 それから、その横向き丸まり型をすこし強調するために、膝の曲げ具 合をすこし深くしながら、左肩甲骨の皮膚をずらすように支援してみた ら(写真5)、イイ感じということでしたので、その支援を続けました。 &ref(DSCF0286.JPG)写真5 しばらくしてから、すこし押し返してくるような感じを受けたので、 「姿勢を変えたくなったら、変えてもいいですよ」と言ったら、ゆっく りと、仰向けになっていきました。 **2.2.仰向け膝曲げ倒しから右側面伸ばし 仰向けになった姿勢をよく見たら、右足がすこし外に開いていました (写真6)。 &ref(DSCF0287.JPG)写真6 それ以外には、首を左に傾けているのも目立ちましたが、操体は、基 本的に、下半身のほうから整えていくのが原則なので、左足をきっかけ にしてみることにしました。 そこで、試しに、膝を曲げて倒して、曲げ具合がどのくらいがいいか 比較してもらいました。くわしく書くと、右足の踵が、左足の、足首く らい、膝くらい、大腿中ほどくらいの3つの位置にくるような姿勢をく らべてもらいました。 そしたら、右足の踵(かかと)が左足に膝くらいの位置がイイ感じと のことでした(写真7)。 &ref(DSCF0288.JPG)写真7 そして、そこまで、足を曲げてもらったら、首を傾けている感じは、 少なくなりました。 こういう姿勢のときには、上になっている右大腿内側を伸ばすことを キッカケにするとよいことが多いので、試して見ると、やはり、イイ感 じということでした。そのまま、右大腿内側を伸ばすことにつながるよ うに、皮膚をずらし続けました(写真8)。 &ref(DSCF0289.JPG)写真8 そして、イイ感じを付け足していこうと姿勢を見たら、右肩から右 腕がキュークツそうに、つまり、そのあたりの筋肉が緊張しているよう に見えたので、「右腕が、まだ、キュークツそうですね。いろいろ動か して、ラクな格好をさがしてください」と伝えたら、右手を頭のほうに 伸ばすのがイイ気持ちということでした(写真9)。 &ref(DSCF0290.JPG)写真9 その姿勢を見てみると、もっと右半身を伸ばしたそうな感じを受けた ので、右半身を伸ばすことにつながるように、腕の皮膚をかるくズラし てみたら(写真10)、案の定、イイ感じが増え、右半身が伸びる感じが 気持ちよいとのことでした。 &ref(DSCF0292.JPG)写真10 支えるのに操者の両手を使ってしまいましたが、首が、まだ、なんと なくキュークツそう、つまり、首に緊張が残っていそうに見えました。 そこで、「首がキュークツじゃないですか? 右を向いたり、左を向 いたりすると、どっちかで、もっとイイ感じになりませんか?」と聞い たら、右を向いたほうがいいということでしたので、ラクな範囲で右を 向いたままにしてもらいました(写真11)。 &ref(DSCF0293.JPG)写真11 「だいたいイイ感じの姿勢になれたと思うので、このイイ感じの姿勢 を十分に味わってください。イイ感じが消えたり、十分に味わえたと思っ たら、終わりにしてもいいですよ」と声をかけておきました。 しばらくして、仰向け大の字に近い姿勢になっていきました。だいぶ 体全体が緩んだ感じがしたので、感じを聞いてみたら、本人もじゅうぶ んラクになった感じがするということでした。 それで、仕上げに移ることにしました。 **2.3.座位で、3軸+重さ、指もみ ゆっくりと座位の姿勢になってもらいました。 そして、頭の後ろで手を組んでもらい、左右捻転、左右側屈、前後屈 という、いわゆる胴体の3軸を順に試して、それぞれ比較してイイ感じ のほうを選んでもらいました(写真12、13、14)。 &ref(DSCF0294.JPG)写真12 &ref(DSCF0295.JPG)写真13 &ref(DSCF0296.JPG)写真14 イイ感じのほうを3つ組み合わせてもらってから、体重をどちらに移 しやすいか試してもらい、いちばんイイ感じのほうに体重も移してもら いました。 そして、十分に体重が移せるように、受け手の肘を手のひらで支えま した(写真15)。 &ref(DSCF0297.JPG)写真15 「支えていますから、体重をかけたいだけ、こちらにかけてください」 と伝えたら、かなり体重をかけてきました(写真16)。 &ref(DSCF0299.JPG)写真16 そのあと、手の指もみをしました(写真17、18)。 &ref(DSCF0301.JPG)写真17 &ref(DSCF0302.JPG)写真18 *3.おわりに ふりかえってみると、この人の場合は、おもに二つの操体で、おおざっ ぱに体が整ってしまったことになります。 操体を受けるのは、ほとんど初めてということでしたが、体に対する 感受性がすぐれている感じを受けました。そのため、いまの自分の体が イイ感じになる姿勢や動きがなんとなくつかめ、少ない操体で、体が整っ ていったように思います。 ただし、比較すると、こういう人は少なく、初めのうちは、ラクな寝 方やイイ感じの姿勢や動きが分からない人のほうが多いです。 そこで、次回からは、ラクな寝方やイイ感じの姿勢がわからないで、 キュークツそうなのに仰向け大の字に近い格好で寝ている人を、どうい うふうに誘導してラクな寝方でイイ感じの姿勢になってもらうか、その やりかたを挙げていきたいと思います。 そして、そのあと、逆に、イイ感じを求めて、どんどん動いていって しまう人を追っていく、しかも、イイ感じが消えないように追っていく 方法を挙げていく予定です。 つぎへ>>>[[術伝流操体no.31]] ------ *お知らせとお願い **術伝流鍼灸操体講座で患者さん役を募集 術伝流鍼灸操体講座は、実践面を重視しています。実際に症状が出て いる方の治療を見たほうが勉強になります。そこで、講座で患者さん役 をしてくださる方を募集しています。 くわしくは、[[術伝流のモデル]]をみてください。 症例を少しずつ増やして、ゆくゆくは深谷先生の「お灸で病気を治し た話」の写真入り版のような感じにしていきたいと思っています。 よろしくお願いします。 **感想など 感想などありましたら、[[「術伝」掲示板>http://jutsuden.bbs.fc2.com/]]に書いてください。 また、「術伝」掲示板でも、旧掲示板「養生の杜」と同じように、 養生についての雑談や症例相談などもしていきたいと思っています。 よろしくお願いします。 **間違いなど 間違いなど見つけた方は、[[術伝事務局>jutsuden-jmkk@yahoogroups.jp]]あてにメールをください。 よろしくお願いします。 **「術伝」症例相談用メーリングリストの参加者募集 「術伝」では症例相談用メーリングリスト( [[術伝ML(muchukand)>http://groups.yahoo.co.jp/group/muchukand/]])の 参加者を募集しています。 よろしくお願いします。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜