アットウィキロゴ

邪気眼を持たぬものには分からぬ話 まとめ @ ウィキ

最終更新:

jyakiganmatome

- view
メンバー限定 登録/ログイン

ジュルノ=ジュバァーナ・Ⅷ

 ――初めての単独任務は、まだたった8歳の頃だった。
 今思い出せば、信じられない。
 たった8歳の少年が、銃を持った何十人もの大人達がいる施設を壊滅させたのだ。
 病院みたいなとこだったな、確か。
 母体が、ある孤児院と同じの研究施設だ。

 拳銃と小太刀だけで何十人も――。
 映画にでもなっていたとしたら、酷く奇妙というか、違和感というか……あまりにも「ありえない」。

 目標の地下。
 途中に入った部屋が、何だかわからない機械で一杯で、任務中とは思いながらも脚をとめ、好奇心でいろいろ観て回った。

 データを受信し続けてるファクシミリ装置がある。
 それを観て、オレは違和感を感じた。
 今襲撃をうけてる最中なのに、何処から何を送っているんだろう? と。

 近づいて、受信している内容を確認する。
 レントゲン写真とドイツ語の文章。
 ほとんど読めなかったけど、直感的に理解した。
 人間のデータだ。
 人間を使った実験の。
 今も施設内で何かやっている。
 そうそう止められないような、重要な実験を。

 その後は片端からドアを壊して荒らし回った。
 その実験を知りたかった。


 ――途中、炎の少年魔術師との戦闘があったけど、此処では割愛。――


 一番奥の部屋が実験室だった。
 オレは他でそうしたように、実験室を制圧した。
 リヴォルバーで撃って、射って、打って。
 小太刀で斬って、突いて、薙いで。

 無菌ビニール室の手術台には、オレと同い年くらいの女の子が全裸で鎖に縛られ、眠っていた。
 任務完了後、オレは父上に報告をし、少女を家の自室に連れ帰った。

  「大変だと思うが、1人でか」

 「はい」

  「どうしてもか」

 「はい」

  「何故?」

 「連れ出したのはオレだから。
  ……だから、オレが最後まで“せきにんをもって”助けたい」

 父上は優しく頷き、「欲しいものがあれば云え」と協力的な言葉をくれた。


兄妹・Ⅷ

 翌日。

 「ねえ、名前は?」

  「……」

 「オレはジュルノ」

  「……」

 「食べないの?
  おなかへってない?」

  「……」

 「寒いの?
  毛布持ってくる」

 「……」

 少女は無言で毛布を受け取る。
 ……耳が聞こえないのだろうか、などと思っていた。

 「そうだ!
  お風呂に入んなよ、寒いんでしょ?」

 「もう一時間も湯船につかって、動けない? 疲れてる?」

  「……」

 「オレが洗ってあげるよ」

  「……」

 「どうすれば、君と話せるのかな」

  「……」

 「いいよ、もうッ!
  オレ勝手に喋るからね!」

 好きなテレビ番組やら、アイスクリームやら、動物の事やら、小学校のおかしな獣人の話……。
 やはり少女は言葉を発さなかったが、風呂を上がってからも、とりとめもないことを延延と話した。

 3日後、下校中に寄り道をして、女の子のために赤いヘアピンを買った。

 「ほら、これあげるよ」

  「……」

 「まだ動けないの?
  つけてあげる、じっとしてて」

 少女の髪の左側を、それで留めてやる。
 似合っていると思ったから、鏡の前に連れて行って、

 「赤いの、いやだった?
  可愛いよ」

  「……」

 「名前さ、ほんとは知ってるんだ。
  でも、教えてくれるまで、呼びたくないッ」

  「……」


兄妹・Ⅷ+Ⅵ/ⅩⅡ

 「……もう、半年たったね。
  もうスズムシもないてる」

  「……」

 「君も背が伸びたし、髪だって。
  何か……云ってよ。まだ声も知らないんだよ?」

  「……」

 「ねえ、オレ達、もう『家族』だろ」

  「……!」

 「『家族』なのに名前を知らないなんて、おかしいじゃない。
  ……ねえ、名前は?
  オレはジュルノ」

  「……ヮ」

 「え!」

  「……ワタ、シは、コダマ」


 半年喋らなかったからなのだと思う。
 それはまともな発声じゃなかった。


 「ねえ、コダマ、今日の夜はさ、父さんに内緒で起きてよう。
  ずっとお話してよう」

  「…………う、ん……」

 「あれ?
  泣いてるの?」

  「――?」

 コダマは、顔の涙を指ですくい取って眺める。

 「何、泣いてるの?
  どっか痛いのか?」

  「わから、ない」

 「痛くないの。
  何が悲しいの?」

 オレは涙に濡れたコダマの手を取る。

 「わか……ら……うっ!
  う、うあっ! ……うあああっ! あああぁ……!」

 コダマの涙は止まない。


星樹 樹神・ⅩⅦ

  「――ねえ、名前は?」
  「――オレはジュルノ」

 ――、
 ――――、
 ――――――。

 「ワタシは……コダマ……」

 ベッドの上で、そう寝言を放つ。

  「知ってるよ、ずっと前からな」

 「……」

 その声に反応するように、柔らかい微笑みを浮かべる。

  「……あ、……寝言か」

 枕元にかけて洋書を読んでいたジュルノが、
 樹神の寝顔に目をやり、布団をかけ直してやる。

 「……ジュル、ノ……兄上……」

  「心配するな、どこにも行きやしないよ。
   ずっと傍にいる。
   ……行くもんかよ」

 「……」

 幸せそうにすやすやと眠りこける。
最近更新されたスレッド
ウィキ募集バナー