魔法少女 のぞみ - 邪気眼を持たぬものには分からぬ話 まとめ @ ウィキ

名前：万理那　希 / のぞみ・マギカ（Puella Magi Nozomi Magica）

能力（魔法・体質）

◆異形化

　希が『死にたくない』という願いでキーすけと契約した後、『不老不死』と共に彼女の身体に現れた魔法。
　肉体が傷ついたり、破損したりすると、その部分が異形の肉体に取って代わられる。
　この異形の部位はあらゆる時間軸からの影響を受けず、二度と傷つく事が無い、まさに“無敵の肉体”。

　しかし希はこの部位を忌み嫌っており、同時に彼女が魔法少女を「魔法そのものにされた少女」と形容する理由。
　希はこのせいで、不死であるにも関わらず、自身の身体が傷つけられる事を異常に恐れている。

　現時点で、左手と右脚が丸ごと異形のものにとって変わられているが、左手は自殺未遂で切り落としたもの、右脚は高所から落下した際に千切れたものである。
　後述の「オーバークロック」の最中でも、この部分だけは影響を受けないというアドバンテージも存在する。

◆『オーバークロック』
　自身の主観的時間を超加速させる魔法。
　希の感覚、肉体の速度などが、世界の時間に対して数百倍まで加速される。
　自分からは周囲の全てが止まっているかのような超スローに見え、逆に周囲からは希の姿は消えたように見える。

　しかし、あくまでも「とてつもない速度で動いているだけ」であり、自然界の法則は変わらず影響する。
　空気は抵抗により液体のように重くなり、また何かに軽くぶつかるだけでも双方に巨大なダメージが現れる。
　下手に走れば空気摩擦で身体が発火する恐れもある他、自分と同じほどの速度で動ける相手や、「時を止める」能力には対処が困難。

　更に、回避不可能な攻撃に対しては当然『詰み』があり、相手にタネが知られればかなり弱点の多い能力である。
　それ故、希は出来る限りこの能力を使わず、手の内を見せないまま戦う事を好む。
　使用時間に制限はないようだが、希本人の魔力消費・疲労がとても高く、連続使用は戦闘不能に繋がる。

　実はこのオーバークロックの能力は、彼女の『異形化』による魔法の弊害的なものであり、キーすけも知らない（はずである）。
　よって『異形の部位』の割合が多くなればなるほどにこの能力は強化されるはずであるが、彼女はそれを良しとしない。
　また、例外的に異形化した左手と右脚のみ、この時間軸の中においても影響を受けず、攻撃などに使用可能。

※ちなみに本来の意味での「オーバークロック (Overclocking)」とは、デジタル回路を“定格を上回るクロック周波数で動作させる”行為。
　消費電力や発熱の増加、信頼性・安定性の低下を受容しつつ、より高い処理能力を得るために行われるもの。
　その他の例では、モータースポーツにも見られる。例えば市販自動車のタイヤは少なくとも数年は良好な状態で使えるように設計されているが、競技用車両に用いるタイヤは「そのレースだけ」あるいは「想定した周回数分だけ」要求するスペックを維持できればよい、という考え方で作られている。
　試合に勝つことを主目的に行われるオーバークロックにおいては、『その試合で必要と想定された時間だけまともに動けばよい』という考えで、非常に極端なチューニングが施される。
　希の能力もまさにこれであり、自身への莫大な負荷と引き換えに、戦闘のアドバンテージを手にするものだといえる。　

種族：『義憤』の魔法少女
性別：女
年齢：？？？

一人称：私
二人称：（フルネーム）
三人称：（フルネーム）

口調：静かで冷たい
口癖：「私にそんな余裕は無いわ。」

好きなもの：話し合える相手、聞き分けのある相手
嫌いなもの：話し合えない相手、争い、キーすけ

容姿：133cm、33kg
　　　全身に縫い跡があり、皮膚の色も部分で違う。
　　　また、左手と右脚が人間のものではないものに取って代わられている。

装備

• 『罪の鍵穴』“クロノス”

　希が変身によって装備する事のできる鎧。
　見た目は奇妙な意匠のドレスである。左肩にピンタンブラーキーの鍵穴を模した装飾を持つ。
　白と黒のブロックチェックが多用されており、頭部と右肩以外は全て覆われている。露出度は魔法少女にしては少ない。
　特殊な防御力は持たないが、とても頑丈。
　またとある理由から、超高速の運動による摩擦に対してのみ、非常に高い耐性を持つ。

• 『罰の鍵穴』“ネメシス”

　希が変身によって装備する事のできる固有武装。
　本体はプロテクタのついた手袋だが、その本来の用途は内蔵されたナノワイヤーによる捕縛・切断。
　甲の部分にピンタンブラーキーの鍵穴を模した巻取り部を持ち、無尽蔵にワイヤーを吐き出す。ワイヤーは各指に一本ずつ、計５本が射出可。
　ワイヤーそのものは魔力の結晶であり、射出後ある程度の操作が可能。射程距離は最長１００メートル前後。

　また、指先から超音波を伝えて巻き付いた対象を切断する事もできる。
　希曰く、「ビルくらいなら豆腐と同じ感覚で」切断できるらしい。

• 『合鍵』

　蝶子の持つ「マスターキー」の“合鍵”。
　キーすけと契約する事により、願いを一つ叶えられ、同時にこの合鍵と魔法少女としての力を授かる。
　蝶子と同じように希もこれを胸に突き刺して使用。
　希のものは、長期的な使用により先端が変色している。　

戦術：可能であれば戦闘は避ける。どうしようも無い時は容赦しない。
職業：『義憤』の魔法少女

【変身】
　蝶子と同様、『合鍵』を胸に突き立てて使用し、変身する。

①『合鍵』を胸、心臓に突き刺す
↓
②それを捻り、『鍵』の魔力と自身の深層意識を解放する
↓
③足元から黒い影が沸き立ち、瞬間的に希の全身を包む
↓
④影の中で黒い物質が全身に撒き付き、縫い合わさるように服となる
↓
⑤変身を終えた姿で、影の中から歩いて現れる

　変身しても影から出る必要は無く、影が消えるまでの数秒間はその中から不意打ちする事も可能。

設定：

　数十年前、原因不明の皮膚病に侵され生死の境を彷徨っていた所をキーすけに目をつけられ、魔法少女として契約した。
　希はその時、キーすけに対して『死にたくない』という願いを訴え、そしてその結果、不老不死の怪物へと変えられる。

　勿論彼女は「病気を治して健康にして欲しい」というそれだけの意味で言ったのだが、完全にキーすけには別の意味で受け取られてしまった。
　或いはキーすけの事なので、真意を解っていながらこうしたようにも思えるが。
　希はこうして『合鍵』と魔法少女としての力を与えられる事になる。

　彼女が自分の異常に気付いたのは、最初は病院の精密検査であった。
　注射針を何度刺しても一向に血が抜けず、少し刺さった所ですぐに針が折れてしまうため、検査ができないという事態に陥る。
　これは針が刺さった部位が既に人間ではなくなっていたためだが、この時はまだその実感は無かった。

　決定的だったのは数年後、あれ以来全く変化しない自分の肉体に違和感を覚え始めた頃。
　誤って包丁を取り落とし、左手の小指の爪を丸ごと削いでしまった時、その部分が人間のものではない怪物に取って代わられた。
　初めのうちは理解できなかったものの、その後も怪我をする度に自分の身体が消えてゆく事に恐怖を覚え始め、ついにキーすけとの契約の真の内容を知る。

　その後、鉈を使い左手を切り落として自殺を図るが失敗。左手から先が異形と化す。
　更にビルの屋上から飛び降りたが、途中で突き出ていた鉄筋に右脚を切り落とされただけで終わり、結果的に右脚が異形と化しただけで終わる。

　やがて、自分が決して自ら死ねないと気付いた希は、再度キーすけと会い、この契約を取り消させる事を誓う。
　キーすけに与えられた魔法少女の力で。

　　　～～～～～～～～～～～～～～～～～～

　少女が願った、たったひとつの願い。
　それは『死にたくない』という、ただ純粋な祈りのはずだった。

　悪魔が彼女に与えたもの。
　それは『魔法少女』としての責務と、そして――ゆっくりと怪物にその身体を蝕まれてゆくだけの、“死ねない”肉体。
　死の淵で必死に生を望んだ少女は、その祈りのために、不死の怪物へと変えられた。
　そして彼女が自らの持つ呪われた力に気付いた時、運命は流れ始める。

「私は、私を取り戻す――。」

　死を享受しない事が罪であるならば――
　――これは、生を望んだ彼女の罪に対する罰なのだろうか？

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