『夢と現実 ポーカーフェイス』

夢と現実のかがみ視点です。



 あなたは、親友と想い人が重なったらどうしますか?

 友人のためにも、自ら手を引くのか
 それとも、正々堂々と友人と勝負をするか
 ただ、友情よりも愛情を選ぶか

 私には好きな人がいる
 けど、友人に私と同じ人を好きになった人もいる
 最初は推測でしかなかった
 その推測を確信へ変えるため、私はある行動に出た

「その友人に私の好きな人を打ち明ける」
 これはある種の賭けだった
 上手くいけばお互い良い関係を保ったまま勝負が出来る
 しかし、失敗すればその友人との関係もギクシャクしてしまう
 後者だけが心配で、仕方がなかった


「ねぇこなた。相談したい事があるんだけど……ちょっといいかな?」
 最初は無難に、そう尋ねた
 こなたはと言うと少し悩んだ後
「ゴメン、今日ちょっと見たいアニメがあるからサ。また今度にしてくれない?」と言った
 恐らくこれは嘘だろう
 根拠と言うのかどうかはわからないが、最近はこなたはアニメやゲームの話を一切日常の会話に持ち出してこない
 それだけでなく、時々考え事をしていたり、ボーっとする事も多い
「ダメ、今日じゃないとダメなのよ。……お願い」
 と、事が大きいことをアピールするように言うと、こなたは渋々了解してくれた
 私は、つかさとみゆきを先に帰し、部室でこなたと二人きりになった

「実は、相談したい事があってね」
 静かな部室で私はそういった
「相談事?かがみが私に相談なんて珍しいネ」
 どんな悩みなの?と糸目の少女は言う
 もうここまで来た以上、言うしかない
「その何というか……恋の悩みって言うか」
「恋っ!?」
 糸目が見開き、こなたはいきなり大声を出す
 そりゃ驚くのも無理はない、私は今まで恋愛の事など一度も語ったことは無いのだから
「ホホゥ、とうとうかがみにもこの時期が来たわけですな」
 再び目が糸目になり、口に手をやりニヤニヤとこなたは笑う
 その笑いは、少し作り笑いのように見える
「なっ、いいじゃない。人並みに恋ぐらいしたって」
 私はそう言って髪の毛を指に巻きつける
 私のこの行動は主に恥ずかしかったりする時に出る癖なのだが、自分でもそのことを重々承知してるため、いつでもその癖を出す事ができる
 そういった所も「ポーカーフェイス」には必要なのかもしれない

「それで、何で私に恋愛の相談なんかしたの?」
 本当はお互い好きな人が同じですよ、と言いたくて相談をした
 ただ、それを言う事はまだ出来ない。多分、これからも
「アンタ、いっつもギャルゲとかそういったのやってるでしょ?だから、そういうの詳しいかなって……」
 と適当に嘘をついた
 きっとギャルゲも最近はやってないのだろう
 恋愛とは、そんなものだから
 そして、話は本題へと入っていく

「で、相手は誰なんだい?」
 アンタもよく知ってる人よ
 そう言葉を発するとこなたは次々と人物を挙げていった
 古泉君、谷口君、国木田君にセバスチャン
 後半三人はこなたのクラスの人だろう。残念ながら私とは面識がない
 それよりも、未だに彼の名前が出てこない
 私がこなたの言った人物を全て否定し、彼であることをほのめかせると、こなたの糸目が少し見開く
 この時、私の推測は確信へと変わっていった


 先に言っておいた方がいいと思うので言っておく
 これからの会話は私の演技である。こなたを動揺させるために演技させてもらった。少しこなたには悪い気がするけれど

 こなたが彼の名前を言った瞬間、私は顔を赤くさせる
 するとこなたは少し動揺した感じで質問攻めをしてくる
「古泉くんの方がかっこいいんじゃない?」
「私には、キョン君のほうがかっこよく見えるのよ」
 まあ、これは事実だけどね
「何でキョンキョンの事好きになったの?」
「それは、キョン君は優しい所あるし、人の感情の機微に敏感なところとか……」
 これも事実
「で、でもさ。キョンキョン鈍感だしサ、攻略は難しいと思うヨ?」
 こなたは明らかな動揺を見せてくれる
 これだともうからかうのはやめておいた方がいいのだろう
 からかう?違うか。逃げてるだけなのかもしれない
 こなたとの関係が悪くなるのが嫌で、自分が彼の事好きなのを隠して私は傍観する立場に回る
 逃げてるだけでしかない
 逃げる償いに、私がこなたにしてあげる事はあるだろうか
 いや、一つだけある

 私は演技を終える
 フゥ、とため息をつき、さっきまでとは打って変わった表情で「……やっぱりね」と言った
「え?やっぱりって……どういうこと?」
 やはりまだこなたはこの状況を飲み込めていないらしい
 さて、核心へと入っていきますか
「そのまんまよ。 アンタ、キョン君のこと好きでしょ?」
「えっ、いや。そんなことは」
 核心へ入っていくとこなたはさらに動揺する
「もう隠したって無駄よ。薄々感づいてたけど、やっぱりそうだったのね。さっきの反応でよく分かったわ」
「何で分かったの?」
「まずはキョン君がアンタの事をこなたって呼んでからよ。あの時は理由に納得したけどね」
 初めに疑いだした部分を言う。確かに、泉と古泉は似てるから分かりにくいって言うのは本当っぽかったけどね
「それだけだったらわからないんじゃ……」
 こなたはまだ理由に納得いっていないらしい
 私は次に推測する要素となった彼女の鞄についている物を指差す
「そのキーホルダー。キョン君に貰ったんでしょ?」
「え?なんでわかったの?」
 やっぱり、こなたは黙っておきたかったらしい
 ケド、鈍感な彼にはそんなもの通用しませんよ。釘でも打っとかないと、彼は簡単に口を滑らせるからね
「それだけじゃないわ。アンタ最近私にアニメとか、そういった話しないでずっとうわついていたでしょ。だから、ピンと来たのよ」
 そして最後の推測要素を言った
 それでもどうやらこなたは認めたくないらしい
 自分の気持ちに、正直になるのも大事なのよ

 そう言うとこなたは少し間を持った後に渋々と認めた
「分かったよ、認めるヨ。キョンキョンの事は好きだけど、それを知ってどうするのサ」
 私の気持ちはもう決まっている
 私は心からの笑みを浮かべこなたに言った
「さっきのも嘘だから安心しなさい。私はアンタを応援してるわよ」
 そう述べるとこなたは安心した表情を見せた
 私の彼への気持ちが偽りと分かったからだろうか
 残念ながら、偽りではないけれど
 けど私はこの感情を押し殺すしかない
 こなたはポーカーフェイスを気取っていたみたいだけど、ポーカーフェイス勝負は私の勝ちのようね
 私は、こなたを応援する事だけを考えよう。それが、私がこなたに対してできる唯一の事だから

 とはいっても、お互い恋愛経験値は低いから、私も余り助言は出来ないけどね






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最終更新:2008年09月22日 21:26
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