1
「そういえば今月って、たしかみゆきの誕生日だったわよね」
……お昼休み、いつもの4人でご飯を済ませ、お喋りに興じていると、ふと、かがみさんが思い出した
かのようにこう仰いました。
そうです。私、高良みゆき、今月25日に18歳になります。
「ゆきちゃんおめでとー」
「こらつかさ、まだ早いっての」
「みゆきさんって、私らの中で一番年下なんだよね。それなのにサ……」
こなたさんが私の胸の辺りをジッと見つめています。あの……何が仰りたいのかはなんとなく
分かるのですけど、その……あまり凝視されますと、私……
「はいはい、セクハラ止めい!」
困っていますと、かがみさんが声をかけてくださいました。
「去年は確か、部室でお祝いしたよネ」
記念日というものをとても大切にされる涼宮さんは、部員さんのお誕生日には必ず誕生会を企画
されます。場所は文芸部室か、あるいは長門さんのマンションでしたが……お料理や飲み物を
持ち寄ったり、余興をしたりと、随分楽しく過ごさせてもらいました。
「去年のみゆきの誕生会のときはさ、確か、鶴屋さんからすっごい料理の差し入れがあったっけ。
系列のホテルのシェフさんが作ったっていう……フランス料理のさ」
「さすが食欲魔人かがみん。食べ物のこととなると、1年前のことでも昨日のように覚えておいでで」
「誰が食欲魔人だゴルァ」
「私もあんなお料理を作れるようになりたいなぁ」
そうですね。去年は楽しかったですね。あの時はどうもありがとうございます。
でも今年は受験ですし、去年のようなことは流石に……お時間も手間もかかりますし。
「いやいや、まあ今は団活は休止中だけどサ。こういう祝い事はパーッとやるべきだヨ」
「今年も、こなたや私らの誕生日で、ささやかだけどみんなで誕生パーティしたしね」
でも……もう10月です、受験も近いですし。
「受験生って言っても、1日くらいどうってことはないわよ。キョン君も呼んでさ、25日にやらない?」
「25日って……ふんふん、日曜日だネ。キョンも予備校の授業ないだろうし、来られるでしょ」
「プレゼント用意しなくちゃね」
皆さん、ありがとうごさいます。こんな大切な時期に……
2
「……そうそう。話は変わるけどさ、夏休みの温泉旅行のアルバム焼いたよー」
そう言って、こなたは鞄から、CDの入った薄手のプラスチックケースを3枚取り出した。
「ほい、みゆきさん。かがみ、つかさ」
ありがと。で……この中にはあまり人様に見せられないのも入ってるのよね。お風呂のアレとか。
「あー、そのテの奴は1つのフォルダに纏めて、隠しフォルダにしてパスもかけといたヨ。一応」
「これってCD入れるところに入れれば、パソコンで見られるやつだよね、こなちゃん」
「そんな構えなくても、別に難しいことないヨ。分かんなかったらかがみに聞けばいいさ」
大丈夫よつかさ。で、パスワードは何よ。またメガネっ子なんたらとか、変なんじゃないでしょうね。
「変なとは聞き捨てならないネ。私たちの愛しい人の名前を、半角小文字で2回連呼するだけだよ!」
「……了解しました」
はいはい、kyonkyonね。
「お姉ちゃん、はんかくこもじって何?」
……なあつかさ、せっかくパソコン買って貰ったのに、おまえ、実はほとんど使ってないだろ。
学校の授業だけじゃ不十分よ。大学に入ったら嫌でも使う機会増えるんだから、ちゃんと
覚えなさいよ。
「私とななこ先生のデジカメ画像と動画を編集して創り上げた、泉こなた自慢の一品でさぁ。
ま、めいめい、夏の思い出をかみ締めてうっとりするなり、おかずにするなり、
楽しんでくれたまへ~。特に後者の目的推奨。きっとご期待に応えられる代物だヨ。
私も編集しながらハァハァしちゃったしね」
ハァハァって……で、キョン君にはもう渡したの。こなた。
「後で渡すヨ。流石に今ここではね……谷口あたりが目ざとく見つけて騒ぎそうだし」
キョン君はというと、同じ教室で、谷口君や他の男子となにやら、雑談に興じている。
そうね、それが賢明ね。
3
放課後。いつもの4人にキョンを加えての帰り道で、みゆきさん爆誕祭の話をする。
「おいこら、爆誕祭って、どこが爆発するんだよ」
「いや、みゆきさんの胸には2つの大きな爆弾が……」
「こなた、かがみ……さっきからみゆきが困ってるぞ、自重しろ……
で、25日の日曜……な? 場所はどこ……みゆきの家か。いいぜ、その日は予定もないし、ささやかながら
俺にも祝わせてくれ」
「ありがとうございます、キョン君」
いやいや良かったネみゆきさん。やっぱり王子様が来てくれなきゃ、寂しいですからねえ(・∀・)ニヤニヤ
なんてったって18歳の誕生日だからね。18禁解除だからネ、それ相応の演出って奴を……
「なに言ってんだ、アホこなたっ!」
かがみん、突っ込み厳しいっすよー。キョンもこんな暴力女嫌だよね……って、冗談だヨかがみん。
そだ。キョンにはまだ渡してなかったね。はいこれ。夏の旅行のヤツね。ポロリもあるよん。
そうそう、18禁だから、くれぐれも妹ちゃんには、見つからないよう気をつけてね。
見てるところもだけど、鉄の竿を握って扱いてハァハァ言ってる所もね。口聞いてくれなくなるヨ。
あと、動画もあるから、部屋にしっかり鍵かけてイヤホン使用推奨。キョンは男の子だからその辺は
よく弁えてるとは思うけど、かがみたちも気をつけてネ。その……結構音が凄いから。
「キョン君はそれ見ながら鉄棒握るの? その……握力のトレーニングとか?」
「いやつかさ……それはね……つまり……」
流石のかがみ様も、当のキョン本人が見ている前で口では説明できませんか。赤くなって可愛いねえ。
それにつかさはホントにウブだね。比喩表現だヨ。耳貸して、つまりさ……ゴニョゴニョ。
「え……ええっ……その、あの……私のを見ても、キョン君が満足してくれるかどうか……ううっ」
「あのですね……つかささん、少々、羞恥心のベクトルがずれてらっしゃる気が」
大丈夫だヨつかさ。キョン君、つかさに手でされて、ドバッと濃いの撒き散らしてたじゃん。
「いや、そのさ……俺はちゃんと、つかさのことを女の子だって意識してるぞ。心配するな。
けどな、頼むから本人のいる前で、声に出してそういうことを言わないでくれ、こなた」
はいはい、ま、からかうのはこのくらいにしておきましょうかネ。
それにしてもキョンもきちんと、おにゃのこをフォローするようになったね。お姉さんは嬉しいヨ。
4
どうもこの所、こなたたちとの会話が若干、あっち方面に傾いているな。
学校じゃつとめて自重しているみたいだが、そのうちポロリと、クラスの連中の前で決定的な
事柄を口走ってしまうかもしれん。注意しなきゃな。
「いやいや、私らはなんせ3年、ニブチンで朴念仁で
フラグクラッシャーのキョンに、放置プレイ
食らってたからネ。こういう会話に飢えているんですヨ」
……悪かったな。最後のフラグなんとかってのは意味がよく分からんが、とりあえず謝っておく。
「ま、夏休みのアレのお陰で、一気に距離は縮まったわね。残りタイムが少ないのは不満だけど」
「かがみん、諦めたらそこで試合終了だよ」
「諦めてないっつの!」
いや……目の前で女の子に、こう堂々と好意を示されるってのはなんか、こそばゆいモンだな。
なにせこれまでの人生で、そんなことなんぞ一度もなかったからなあ。
「えー、そうなの? キョン君って結構女の子にモテそうなのに」
ありがとなつかさ。でもそれはお前らの欲目だと思うぞ。
「キョンはさ、結構男らしくていい顔立ちなんだけど……仏頂面がデフォルトになってるのが
ちょっとマイナス点だネ」
そりゃ俺もちっとは自覚してるが、だからって古泉みたいにうさんくさいスマイル面を作ったり、
谷口みたいなアホ面を晒す気にはなれん。ま、俺の個性って事で理解してくれ。
だいたい、俺からしちゃ、お前たちにこれまで3年間、彼氏がいないって言う方がよほど不思議だが。
「どうも私、人見知りしてしまう性質で、ほとんど男の方とお付き合いがなかったもので……」
「ちょっとー、キョン君がそれを言うの! だいたい誰のせいでそうなったと思ってんのよ!
このニブチン! ジゴロ! いい加減にしないと、いつかホントにぶっ刺されるわよ!」
いや……実はもう刺されかけた事が一度あるんだがな。痴情のもつれが理由じゃないが。
「よくぞ言ったかがみん! つまり、キョンは私たちにいっぱいいっぱい借りがあるわけですヨ。
誰を彼女にするか結論出す前に、ツケは3年分の利子も合わせてちゃんと払って貰わないとネ」
「キョン君、借り過ぎは良くないと思うな。ご利用は計画的にだよ」
みゆき、俺は別に責めてるわけじゃないんで、そんな悲しそうな顔をするな。
かがみ、こなた……俺はこの通り、少しく反省しているので、まあお手柔らかに頼む。
あと最後につかさ……それはどこの消費者金融だ。くれぐれも利息制限法は遵守してくれよ。
「いやいや、何だかんだ言いながら、ちゃんと私らの言うことに律儀に突っ込んでくれるから
キョンは好きだヨ! 願わくばキョンの<禁則事項>も、はやく私に突っ……ぐぎゃっ!」
おいかがみ、今の一撃はちょっとヤバいんじゃないか。凄い音したぞ。
「いいのよこのくらいで……こなた、アンタ本当に終わってんな。
女の子なら少しは恥じらいを持ちなさいよ!」
やれやれだ。仲の良いことで。
「ま、キョン君の方から、何か私らを満足させてくれるような演出をしてくれれば、借金の返済も
早くなるかもしれないわよ」
いたずらっぽく俺の目を覗き込みながら、かがみがぽつんと呟く。うーん、俺も何か考えた方が
いいのだろうか。
5
「キョン君はこれから予備校の授業?」
「頑張って下さいねキョン君」
「ばいばーい、また明日ね」
今日は予備校の授業があるみたいで、駅前でキョン君とはお別れ。一緒に帰れなくてちょっと残念。
「ま、それにしてもサ……」
キョン君の背中を見送りながら、こなちゃんが言いました。
「ななこ先生とゆい姉さんには感謝すべきなんだろうネ。私らだけで旅行に行ったら、妙に意識して、
キョンと今みたいな関係には、なれなかっただろうしネ」
「一服盛られて、まんまと出し抜かれそうになったけど」
そう言って私の方を見るお姉ちゃん。あれは別に私がお願いしたことじゃないもん。睨まないでよ。
「でもまあ、その代償にキョンの童貞を、あの2人に持って行かれたのは何とも悔しいねえ」
「私らも共犯だから、訴えること出来ないしね。くそっ……あの淫行教師と不倫警官め。
いつか必ず成敗してやるんだから!」
「かがみんコワイヨー)」
そっか……キョン君、黒井先生と成実さんとは、最後までその……したんだよね。
「ま、その分経験値積んだだろうし、私ら4人のうちの勝者が晴れて貫通式を迎えた暁には、キョンに
しっかりリードして貰いますか」
「まあ、お互いに初めてでは、うまく行かないものなのでしょうし……」
こなちゃんもゆきちゃんも、少し元気がない。
みんな、私たちの戦いは、まだ始まったばかりだよ!
「ま、つかさの言う通りだネ。済んだことは仕方ないよ。私はキョンの彼女になる女!
キョンを手に入れるまでは決して死なん! ふはははは!」
「はいはい、またアニメか何かのネタでしょ。せいぜい頑張りなさいな」
「ふん、余裕を噛ましおってかがみん! キョンに振られて後で泣くなヨ」
……私たち4人は、今日も元気です。
6
……親父もお袋も妹ももう寝た。
部屋にばっちり鍵をかけ、イヤホンとティッシュも準備した。
机の上には参考書や予備校のテキストも広げてある。抜かりはない。
柄にもなく俺はドキドキしていた。こんな気持ちは、はじめてエロ本やAVを見たとき以来か。
なにせあの4人のあられもない姿が映し出されているブツだ。おかずにするのに若干、罪悪感がなくも
ないが、いまさら聖人君子を気取ったところでどうにもなるまい。
鞄からケースを取り出し、CD-ROMをパソコンのドライブに挿入する。
ドライブの機動音とともに、ファイルが開く。
さて……まずは前菜として、純粋に旅行の思い出を反芻することに致しますか。
目的地に着くまでの車内、部屋でくつろいでいる姿、卓球に興じている姿……いや、これぞ温泉旅行
ってヤツだな。これがSOS団の合宿だと、ハルヒがあれこれ張り切って落ち着く暇もないからな。
この旅行がまさか、俺とあの4人の仲を「進展」させる契機になるとは、思っても見なかった。
人間、時には自分や周囲の環境を変えるために、思い切った行動をとることも必要だ。ハルヒの
あれは正直極端すぎるが、人生における指針として、少しは見習うべきところもあるのかもしれん。
とまあ、ひとしきり賢者モードに浸ったところで、さっそく禁断の扉を開けて見ることにする。
隠しファイルを出して、パスワードは……kyonkyonか、konakonaにでもすりゃいいものを。
さあ、いざ行かん、男心を燃え上がらせる戦いの地へ!
7
「ちょ……お姉ちゃん」
「あいつ、いつの間に逆さ撮りなんてしてやがったの。全然気づかなかったわ」
私ちょっと足太いのかな。つかさのほど、はっきりとパンツが見えてない。
「あの、私O脚だから……」
……これを見る男の子はキョン君だけだし、下着を見られること自体は別にいいけど、盗撮じゃない。
もし汚れてたりしたらヤバかったわね。とりあえず、明日会ったら一発ぶちのめしてやる。
そして、続けて動画を見た私たちは、更なる衝撃で卒倒しそうになる。
「熱に浮かされて自覚なかったけど……私らってこんな凄いことしてたのか」
自分のしている行為を客観的立場から見直して見ると、印象はまったく違ったものになる。
「うう……恥ずかしいよう……お嫁にいけないよう」
もじもじして、目を覆いながらも、隙間からチラチラ画面を見ているつかさ。
そこに映し出された動画は、過激かつ生々しさ全開の代物だった。
キョン君とキスしながら、キョン君の股間の<禁則事項>を握って激しく動かしているこなた。
キョン君に乳首を吸われて、キョン君の頭をしっかり抱きしめながら泣きそうな声を出してるみゆき。
キョン君の顔の上に跨って、向けられたデジカメに「ちょっと気持ちいいかも」とうつろな目で
話しかけるつかさ。
そして……キョン君の<禁則事項>を唾液でベタベタにしながら根本まで咥えて、口の中に
吐き出された白いモノを、口を開けて見せている……私。何やってんだ。
そして口の中で唾液と混ぜてクチュクチュ音を立てながら、喉を鳴らして……いや、みなまで
言うのは勘弁してください。別に美味しいとか思ってないんだから! キョン君のだから!
その他、こなたがキョン君に逆さに釣り上げられて股間に顔を埋められていたり(私の体重だと
あれはきついか)、キョン君が泡まみれの黒井先生とゆいさんにサンドイッチにされていたり、
キョン君がずっと私の……乳首を舐めていたり(私が指を使っているところもばっちり撮られてた)、
みゆきが太腿でキョン君の<禁則事項>を挟んで擦って白いモノが飛んでいたりと……
よく覚えていること、記憶が曖昧なことが入り乱れているけど、これは確かに私らがキョン君と
したことなんだ。
旅行で心のタガが外れたとはいえ処女の私らが、よくもまあ男の子相手にここまでやったものだ。
好きな男の子相手に、女の子としてここまで捨て身になれたことには満足している。
でも、私ら4人の痴態、ちょっと度が過ぎてる……これ、他の人に見られたらかなりヤバいわね。
それに……こんなもの見たら、オナニーしなきゃ今晩眠れないじゃない。
もう1本の動画は、私らの着替えている様子が映ったもので、ブラやパンツや胸までしっかり見えて
て、これもすごい代物といえばそうなんだけど、最初の1本目の衝撃が強いせいか、
「ま、このくらいならいいか」と軽く流してしまった。みゆきってやっぱり胸大きいわね。
キョン君も今頃、悶々としているのかしら。
はあ……キョン君とまた、エッチなことしたいなあ。キョン君だってきっとしたいよね。
特に受験なんて、ストレス溜まるんだから息抜きは必要よね。エッチな意味でも。
5人でまた機会作れないかな。流石に家や学校で……ってのはヤバいだろうけど、ラブホとか。
家や学校でもキスやペッティングくらいは出来るだろうけど、やっぱり夏の時みたいに裸で
思いっきり戯れたいよね。舐めたり舐めてもらったり、咥えたり手でしてあげたりもらったり。
ふとつかさを見ると、目をあらぬ方向に向けて呆けている。っていうかいっちゃってないか?
姉妹揃ってなにしてんだろうな、私ら。
今夜は眠れそうにない。
8
やっぱり中に指入れると痛いや。
お姉ちゃんは「慣れるとすごくいい」って言ってたけど、慣れる以前の問題だよね、これは。
でも、キョン君のって結構大きいみたいだし、痛がってたらその……出来ないよね。
キョン君に舐めてもらった時、気持ちよかったな。指より舌の方が絶対柔らかいしね。
またやって欲しいなあ。でも、なんて言えばいいんだろ。
「キョン君、お願い……私の……舐めて」って、こんなこと言えますかー!
こういう時、何て言って誘ったらいいのか、エッチなゲームいっぱいやってる
こなちゃんなら知ってるかな?
9
いや、我ながら会心の出来映えだネ。
こうして見返して見ると、最初はなんか遠慮がちで、そのうちリラックスしてエキサイトしてきて、
最後のこの……顔面騎乗ルーレットじゃ、みんな本性剥き出し状態だネ。これなんてAV?
あ、ちなみにこの場面は編集してないよ。いずれかがみたちにも見せてあげようとは思ってるん
だけど、いま少し、編集者特権ってことで、私1人で堪能させてもらうよ。
……けどこれってななこ先生が取ってんだよね。いわゆるハメ撮り状態で、ところどころ
見切れているのがちょっと残念だヨ。
10
「……ハァ……ハァ」
立て続けに3発……こなたの奴、なんてものを作ってくれたんだ。そこいらのエロ本やAVなんぞ
足元にも及ばんぞ(自分が主演だしな)
しかし……あいつら4人相手に(年増2名は除く)これだけのことをした以上、俺も真剣に考えて、誰と
付き合うのか結論を出さなきゃならんな。
これで、「やっぱりお前らとは友達のままでいたい」とか、「おまえら4人とも俺の奴隷だ」なんて
言おうものなら、それこそ鬼畜ヤリチン野郎として、ナイフでバッサリ殺られても文句は言えない。
第一、男としても人間としても最低だ。ま、あの4人とこんなことしてる時点で、最低といわれても
仕方ないが。
思えば俺は今まで、この4人をその……性の対象として見ることに、罪悪感を感じていた。
気づかないうちに、俺は中学時代の失恋のトラウマにずっと囚われていたのかもしれない。
友人として付き合ってくれていた佐々木を、ある時から女として、性の対象としてみていたこと。
佐々木に感づかれて、やんわりと拒絶されてしまい、告白すら出来なかったこと。
恋愛に興味がない、ということは、佐々木と友人付き合いをはじめた当初から聞いてはいたが、俺は
しょせんは思春期の衒い、強がりだと、正直まともに取り合ってはいなかった。
佐々木を意識し出してからは、俺なら佐々木のそんな頑なな心を変えられるのではないかと自惚れて
いた。実際、俺は佐々木と親しく話が出来るほぼ唯一の男子(国木田もたまに世間話程度はしていた
みたいだが)だったし、佐々木が俺に対し、好意をもっていると思しき言動や行動をしているのを
何度か感じたのだ。
ま、今思えば勘違いだったのだろうが。
佐々木に告白できずに別れる羽目になったとき、俺はこう誓った。
これからはもう、イタい勘違いをするのはやめよう、と。
仮に佐々木が、恋愛に関してごく普通の感性をもった女の子だったとしても、俺が彼氏になれたという
保証はないのだ。佐々木は、贔屓目で見なくとも間違いなく可愛い。正直、カップルとして俺と
釣り合うとは思えない。きっと古泉張りの、かっこいい彼氏をゲット出来るだろう。
恋は盲目というが、まさにその通り。俺と佐々木の関係を、ごく客観的に分析すれば……
「生まれてこの方、女の子にモテたためしのない男が、たまたまちょっと変わった可愛い女の子と
運良く友達になれただけなのに、勘違いして一人で盛り上がり、挙句それを察した女の子から
やんわり釘を刺された」
というだけのことだ。
たから俺は、こなたたち4人と知り合って友達になったときも、「分相応」な付き合いで満足しようと
最初から決めていたのだ。
だが……4人とも俺のことが好きだと言ってくれた。
こういう場合、女として、性の対象として見ないことの方が、彼女たちに対する侮辱ではないのか。
俺は、自らの煩悩の代償をしっかりと支払って、こなたたちと向かい合わなくてはならない。
ということで……寝る前にもう一発抜いておこう!
最終更新:2010年04月25日 22:00