柊かがみの崩壊・前編

あっちを向いてもこっちを向いても桜が咲いている
我先にと自分の事を主張するかのように私の歩いている道を覆う
私達は新しい年を迎えた。今日はクラス発表。今年はこなた達と一緒になれるかな
それともちろんキョン君と・・ハルヒもいれといてあげるわ

ハルヒ「何よこれ、1年の時とほとんど顔ぶれ同じじゃない」

2年5組の教室に入るといきなりハルヒが声をあげた。その通りだわ
全然変化ない、キョン君もハルヒも谷口他もいる・・もちろんこなた達はいない
何でよーもっとシャッフルしてくれてもいいじゃない

キョン「また同じクラスだな」
かがみ「あ、キョン君。そうだねーでもキョン君と一緒で・・嬉しいな」
キョン「お、俺も嬉しいぞ。・・というか何でそんなに汗かいてるんだ?」
かがみ「え?」

やだ、私なんでこんな汗かいてんのよ。しかも何かちょっと息苦しい

ハルヒ「な~に朝からいちゃついてんのよ」
かがみ「い、いちゃついてなんかいないわよ!」
ハルヒ「ふ~ん・・なにあんた、色っぽい顔して気持ち悪いわね」
キョン「そうだぞ、風邪でもひいたか?」
かがみ「そうかも・・でもたいした事無いわよ」
ハルヒ「そうね、こんな凶暴女によってくウイルスなんていないわよ」
かがみ「あんたにだけは言われたくないわ!」

ほら、息苦しいのも治ってきたし大丈夫よ。これからこのクラスで1年やっていくのね
またキョン君とハルヒがいるから変な事件に巻き込まれるかも・・ま、それはそれで
楽しいんだけどね~。・・・でもまさかあんな事になるなんて予想はできなかった。

こなた「かがみんはまた違うクラスだねー」
かがみ「ただでさえあんた達と会う機会多いんだから、クラスぐらい違うほうがいいわよ」
つかさ「でもまたこなちゃんとゆきちゃんと同じクラスで嬉しいな」
みゆき「そうですね。またお世話になります」
こなた「こちらこそー。でもこうも同じだと逆につまんないような」
かがみ「じゃあみんなとバラバラの方がよかったの?」
こなた「そうじゃないんだけどさー。こう、教室に入ったら無口でクールなイケメンとぶつかったり
    未来から来た転校生が現れたりとかさー」
かがみ「どっかで聞いたような展開ばかりね。そんなの起こるわけ無いじゃない」
こなた「そうなんだよー実際起こったらあせるんだよね」

帰り道私達はそんな何気ないいつも通りの会話をしていた。新しい年に入ったけど
みんなとの関係は何一つ変わってない。変わらないで。ずっと・・これからも・・

次の日の朝。私はいつも通りの坂を上り、学校に向かっていた。重い
足がすごく重い。何で?いつもならこんな坂悠々と登るじゃない。それに息が・・
胸が苦しい。まるでフルマラソンしたあとみたいに。風邪?にしてはおかしい・・

キョン「ようかがみ」
かがみ「はぁ・・はぁ・・キョン・・くん」
キョン「!?どうしたかがみ、顔真っ青だぞ」
かがみ「なんか・・すごい息が、胸が苦しいの・・」
キョン「おいおい、今日は休んだ方がいいんじゃないか」
かがみ「そうね・・そうした方が・・いい・かも」
キョン「ああそれじゃ送ってくよ」
かがみ「あり・・が・・」
キョン「かがみ?おいかがみ!」

気がつくと。私はまた病院のベッドで寝ていた・

みき「起きた?かがみ」
かがみ「お母さん・・私どうしたの?」
みき「学校に行く途中あなた倒れてね、側にいた男の子が救急車よんでくれたの」
かがみ「キョン君・・じゃあキョン君は?」
みき「変な名前の子ね。その子なら今学校よ。しばらくいてくれたんだけどね。」
かがみ「そうなんだ・・で私何で倒れたの?貧血?」
みき「・・・」
かがみ「お母さん?」

 ・・・なんで、なんでなの?なんで私なの?私が何したっていうの?
これからしたい事もいっぱいあるのよ。もう進路だって決めてるんだから
弁護士になるの。難しいかもしれないけど、たくさん勉強して・・勉強して・・

こなた「かがみん!」
ハルヒ「かがみ!」
キョン「かがみ!」

しばらく私はボーッとしていた。そしたらみんながお見舞いに来てくれた。
こなた・つかさ・みゆき・ハルヒ・朝比奈さん・長門さん・古泉君・キョン君
一気に人が増えた。みんなどこかに行ってなくて少し安心した。

こなた「かがみんどうしたの?大丈夫?」
ハルヒ「急に倒れるなんてビックリするじゃない。本当は学校なんかサボって来たかったわ」
つかさ「だ、大丈夫だよね?何ともないよね?」
キョン「すごい青ざめてたけど何だったんだ?貧血か何かならいいが」
かがみ「私ね・・病気なんだって」
キョン「どんなだ」

かがみ「特発性拡張型心筋症」

みんなぽかんとしてた。そうよね、私も知らなかったものこんな病気・・

かがみ「この病気はまだ原因不明な病気で心室の収縮が悪くなって心臓が拡張しちゃうんだって
    心不全、重い不整脈。脳梗塞まで引き起こす可能性があって、これっていう対処薬もないの
    それに私の心臓はもうかなり負担がかかってて・・」

こなた「嘘、嘘だよねかがみん?かがみんがそんな・・ダメだよかがみん!」
つかさ「お姉ちゃん、本気で言ってるの?いや、いやあ!」
みゆき「本当なんですか・・」
ハルヒ「ふじゃけんじゃないわよ!」
かがみ「・・ハルヒ」
ハルヒ「なんであんたがそんな・・許さないわよ!勝手にしん・・・」

その場がシーンとなった。ハルヒはその言葉をいいかけてやめた。ぎゅっと唇をかみしめて
そんな中キョン君は何故か普通な顔をしていた。

ハルヒ「とにかく絶対治しなさいよ!また明日もくるからね」

そういうとハルヒは出て行った。こなたとつかさ、みゆきさんもつられて・・
団長のいないSOS団だけが残った。

キョン「まあ何だかがみ、大丈夫だ」
かがみ「え?」
キョン「こっちには何だって出来ちゃうスーパーマンがいる。なぁ長門!何とかなるんだろ?」
長門「・・できない」
キョン「は?・・何でだ。病気を治すぐらいお前にとっちゃ朝飯前だろ」
長門「彼女に降りかかっている悪性情報が多すぎる。取り除くことは不可能」
キョン「・・どういうことだ?」
古泉「そうですね、あなたもご存じの通り彼女は元々この世界の人間じゃありません。
   当然負荷が彼女にかかっていたわけです。それに加えて涼宮ハルヒの情報改竄能力。
   それを彼女は受け止めていた。それによるひずみ・・とでも言えばいいでしょうか」
キョン「・・じゃあかがみはどうなるんだ」
古泉「このままですと・・死にます」

死ぬ・・私が・・この病気のことを聞いたとき覚悟はしてたけど、こうはっきり言われるとね
その時ものスゴイ音がした。キョン君が古泉君の胸ぐらを掴んで壁に押しつけてた

キョン「よくも、よくもそんな事がいえるな!しかも本人の前で。何考えてやがる!」
かがみ「キョン君やめて!」
古泉「く、では嘘でも教えて励ませといいたいんですか」
キョン「だからって言い方があるっつってんだ!・・そうだ朝比奈さん。過去に戻してください」
みくる「へ?」
キョン「過去にもどってかがみが病気にかかる前に対処するとか」
みくる「それは、出来ません。このことはもう・・規定事項なんです。かがみちゃんは・・」
キョン「じゃあ、じゃあどうしろっていうんだ!!」

私は朝比奈さん(大)の事を思い出してた。そう、そういう意味だったのね・・

キョン「まて、じゃあハルヒはどうなんだ!あいつはかがみが死ぬなんて事望んじゃいない
    あいつが望むならかがみの病気だって治るんじゃないのか」
古泉「言ったはずです。柊かがみは涼宮ハルヒの能力を相殺する。いくら彼女が望んでも
   柊かがみにだけはその能力は発揮されない。皮肉な事です」
キョン「な・・じゃあ本当に打つ手がないっていうのか・・」

キョン君はその場に座り込んだ。キョン君がこんなに落ち込むのを初めてみた
私のために・・他人事みたいに聞いてたけど私の事なのよね。私は・・死ぬのね・・
でもそんな実感ないよ。だって昨日まで普通に生活してたじゃない。それがいきなり・・

キョン「かがみ。大丈夫だ!俺が絶対なんとかする。」
かがみ「キョン君・・」
キョン「絶対何か手はあるはずなんだ。だから諦めるなよ」
かがみ「ありがとう。キョン君」

そういってキョン君達は出て行った。そのあとお姉ちゃん達が来た。つかさも・・
みんな、泣いていた

その日から私は病気の深刻さを実感するの。β-遮断薬っていう薬を投与されたんだけど
昼は副作用がすごくて、吐き気がしたり、のたうち回るような激痛が走った。
夜は病気の影響で息がくるしくなって何度も起きて、ろくに睡眠をとれなかった・・
次の日も、また次の日もそんな日が続いた。毎日SOS団とこなた達は来てくれたけど
日に日に私の顔をみて、暗い顔をするようになっていた・・キョン君も。

かがみ「もういや、もうこんなの耐えられない!」

病気がもう大分進行していたある日の事。私はついに言ってしまった。

かがみ「こんなに苦しいなら私・・もう死んでも・・」
ハルヒ「バカー!そんな事お願いだから言わないでよ!」

ハルヒに頬を叩かれた。ハルヒは真剣な顔して私にそう言った。ゴメン・・そうよね
うん、私諦めないよ。絶対・・絶対またみんなと学校に行くのよ!
 ・・でもその日は訪れた。ある曇りがかった日の事だった。

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最終更新:2007年12月10日 00:35
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