アットウィキロゴ

涼宮■ハルヒの誕生

part16-549さんの作品です。


つまらない生活。つまらない人生。私はずっとそう感じてきた。何をやっても平凡。そんな日々に飽き飽きしている。
でも、それが変わる日がやってきた。キョンに出会った時から私の生活は一変したんだ。

SOS団を作って有希やみくるちゃんや古泉くんと一緒に馬鹿をやる毎日。それがどうしようもなく楽しかった。その切欠を作ってくれたのが他ならないキョン。
今の私があるのは彼のお陰だと思っている。喧嘩とかもするけどそれはキョンが私の事を想ってくれているのだと分かっていた。
だって私達は相思相愛だもの。キスだって(夢の中だけど)したし。

そして今日は日ごろの感謝も込めて彼に愛妻弁当を作ってきてあげた。絶対に喜ぶに決まってるわ。

「キョン!」

「すまん。ちょっと用事があるんだ」

それだけいうとキョンは足早に教室から出て行ってしまった。
なによ・・・朝早くから頑張って作ってあげたのに・・・・・・そうだ、キョンてば照れてるんだわ。それならしょうがないわね。
まったく、照れ屋さんなんだから。将来結婚した時は大変ね。なんて想いながら仕方なくお弁当は私が食べる事にした。

今は昼休みだけどみんな食堂や中庭なんかに移動して食べているから教室にはそんなに人は多くない。だから話し声なんかは聞きたくなくても勝手に耳に入ってきてしまう。

「なんでキョンなんかに――――――」

前の席で昼食を取っている谷口と国木田の話し声が聞こえてきた。キョンの話をしているみたい。
ちょっと気になったから聞き耳を立ててみた。やっぱり旦那の事はしっかりと把握しておかなきゃいけないわね。

「でもほんとに意外だったね」

「俺的美的ランキングAAA+に分類されるあの高良みゆきだぞ!」

なんでキョンの話に女の名前がが出てくるのかしら・・・
嫌な予感がした。私の中の何かが聞いちゃいけないと警告を鳴らす。
でもここまで聞いたからには後には戻れない。意識を集中して二人の話を聞く。

「勉強が出来て美人で性格も良い上に巨乳だぜ!」

「まさに理想の彼女だね、キョンが羨ましいよ」

え――――――――――――今なんて言ったのかしら?

「ったく世の中不公平だな。顔も学力もそんなに変わんないのにキョンにだけあんな可愛い彼女が出来るなんて」

目の前が真っ暗になった。
キョンに・・・彼女が出来た・・・・・・?
性質の悪い冗談かしら?私を騙すために谷口が吐いた嘘?
でも四月はとっくに終わっているわ。まったくもって笑えないジョーク。
でも・・・・・・・・・万が一、億が一それが本当なら?
そ、そんな筈無いわ!
だってポニーテールにした時は、初めて「ハルヒ」って呼んでくれてすごく褒めてくれたし・・・・・・
機関紙作りで押し倒しちゃった時は真っ赤になってたし・・・
そして・・・そして――――――――――あの夢でキョンは私の唇を奪ったのよ!
キョンに私以外の彼女が出来るなんて事が現実である筈が無い!ある筈が無いのよ!





放課後になった。
SOS団のみんなには今日は休みだと言って私はあの話の真偽を確かめる為にキョンの後を尾行する。
絶対にありえないとは思うけど・・・でも確かめずにはいられない。
キョンは教室から出るとそのまま昇降口に向かった。
なんだ結局一人で帰るんだ。と思って安心していたら――――――――――――

「キョンさん」

「すまん、待たせたな」

同じ学年の女子がキョンの靴箱の前で待っていた。私は愕然とする。
まさか本当に彼女が居るなんて・・・いや待って、今日だけ一緒に帰る約束をしただけかもしれないわ。
キョンは誰にでも優しいから強く迫られたら断れないのよね。そうだわ、そうに違いない!
まったくあの女、私のキョンを誑かすなんて死刑だわ!
キョンもキョンよ、私が居るのに他の女と一緒に帰るなんて。今度の不思議探索の時は奢らせてやるんだから!

二人は並んで歩き出した。会話の内容までは聞き取れなかったけど和気藹々と話しているみたいだ。
なによ!あんなに楽しそうにして!私の時はいつも仏頂面なのに・・・・・・あ、もしかして私と喋る時はいつも緊張しているからあんな顔になるのね。
キョンってば可愛い所もあるのね。

「ここまでだな」

「はい・・・・・・」

どうやらここで別れるみたいね。
ようやくこの勘に触る尾行も終わり。そうだわ、明日はキョンと一緒に帰ろう。
今日の事もとっちめてやら無いといけないしね。
いくら私が寛容だからと言っても浮気は絶対に許さないんだから!

「そんなに寂しそうな顔するなよ」

「でも・・・今度はいつ一緒に帰れるか分かりませんし」

「・・・・・ごめんな。SOS団がなけりゃいつでも一緒に帰れるんだが」

――――何を言ってるのキョン?
SOS団は私達にとって命の次に大切な所じゃない!あの時・・・あの夢でみんなと一緒にSOS団を続けていきたいって言ったのは貴方でしょ!

呆然とする私を尻目に二人の距離はどんどんと近づいていった。
な、何をする気なの!

「我が儘言ってごめんなさい、でも・・・・・・私不安なんです。私よりSOS団の方を選んでしまうんじゃないかって!」

貴女は何を言っているの?キョンがSOS団を選ぶのは当たり前じゃない!
これ以上くだらない戯言を言うのは止めて!まるで三流の喜劇を見ている気分だわ!

「みゆき」

「・・・・・・ん」



ねえキョン





――――――アナタハイッタイナニヲシテイルノ?

――――――――――――ナンデソノオンナトクチビルガカサナッテイルノカシラ?





「愛している。だから俺を信じてくれ」

「キョンさん・・・」

分からない、分からナイ、分かラナイ、分カラナイ、ワカラナイ。
なんで?なぜ?どうして?
そんな女がキョンと抱きしめあっているの?
なんでそこに居るのが私じゃないの?

何もかもが分からなくなって私はそこから逃げ出した。





それから何も覚えていない。
気が付いたら自分の部屋のベッドに横たわっていた。
時計を見るともう夜の十時を回っている。あれから四時間ぐらい経ってるのね。
なんだか性質の悪い夢を見ていた気分だわ・・・・・・でもあの女とキョンの唇が合わさる所が――――――

バンッ!

あれ?なんでキョンの写真が入っている写真立てが割れたのかしら?

バリンッ!

あれ?あれ?なんで粉々になっていくのかしら?

ドンッ!

あれ?あれ?あれ?なんで私の手が真っ赤に染まっているのかしら?

ああ・・・そうね。私はあの女を消したくて仕方が無いんだわ。あれを消した後にキョンを慰めれば私を見てくれる様になるわ。
そうよ、あの女が居なくなればいいんだわ。居なくなれば・・・・イナクナレバ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・





今日は久しぶりにキョンさんと一緒に帰る事が出来ました。
普段はSOS団の活動で忙しい彼ですが、今日はお休みだったようで一緒に帰った後も家に来てお茶を飲んでいってくれました。
といっても私が強引に誘ったんですけどね。
私は勉強や友人の話、キョンさんはSOS団の活動の事などを話してくれました。彼と一緒に居ると不思議と心が落ち着きます。これが好きという気持ちなんでしょうか。

などと思いながら私は自室へと戻りました。
戻る途中で小指を階段の角でぶつけてしまい少し痛い思いをしています。普段からボーッとしていますが、キョンさんの事を考えるとそれに拍車が掛かってしまいました。
もっとしっかりしないと。キョンさんに相応しい人になる為に頑張らなくては・・・・・・

「あれ?」

部屋に入ると机の上にポツンと一つだけ見慣れないビデオテープが置かれていました。
こんな物を置いた覚えはないのですが・・・少し気になったので見てみる事にします。
ビデオデッキに挿入するとテレビの画面が一面真っ白に染まりました。
まだ電源も点けていなかったのに・・・・・・訝しげに思いながらもリモコンを使い操作しようとしましたがまったく反応がありません。

故障かな?と思ったとき急に画面が切り替わって――――――――――――

古びた井戸らしき物が画面に映りました。

なんだか不気味な光景です。今にもお化けが出そうな雰囲気で少し怖くなってきました。
止めようと思ってリモコンを何度も操作しますがうんともすんともいいません。
すると再び画面が動き始め井戸の中から何かが出てくるみたいです。
よく見るとそれは女の人の様でした。長い前髪のせいでその表情は伺い知る事は出来ませんが、明らかに纏っている雰囲気が異常です。
さらにボロ切れた白い服がそれに拍車をかけています。
女の人は徐々に画面に近づいて来て



――――――遂には画面の外へと這い出てきた。



あまりの恐怖に私は腰を抜かしてしまい、身体中震えて声すらも出せなくなっています。

キョンさん!助けて!!

心の中で叫びますがキョンさんはおろか誰も助けにはきてくれません。
一歩、また一歩と私の傍に近づいてくる女の人。




―――――――――そして、私の目の前で止まりその長い前髪を掻き揚げた。




「あ、あ・・・なた・・・・・・は・・・・・・・・・すず―――――――いやぁぁぁぁあああぁあぁぁぁぁぁあぁぁぁぁあぁぁぁぁぁぁあぁぁぁあ」







次の日、気だるさを感じていたけど学校に向かった。
正直今はキョンに会いたく無い。でも学校を休む気にもなれなかった。

重い身体を引きずりながら教室に着くとみんなが一斉に私の方を向いた。
何よ、私は客寄せパンダじゃないのよ。
全員をひと睨みして自分の席へ着こうとする、だけどその前に一人の女子生徒が私に話しかけてきた。

「あの・・・大丈夫・・・?」

そんなに酷い顔をしているのかしら。あからさまに心配している。
でも今の私にはイラつく材料にしかならない。

「大丈夫だから、どいてくれる?」

「う、うん」

急いで自分の席へと向かった。
前にあるキョンの席にはまだ荷物が置かれていなくて、キョンも同様に来ていないみたいだ。
運が良かったと思う。こんな顔を見られたく無い。

朝のHRが始まる時間になっても結局キョンは来なかった。
そして担任の岡部が入ってきてHRが始まる。
出欠確認を取ったところキョンは休みらしい。理由は岡部の口から直接聞かされた。

「少し残念な知らせがある。隣のクラスの高良みゆきだが、昨日急死した」

クラス全体からざわめきが起こる。

「○○(キョンの名前)はその件に関して警察に呼ばれているから今日は欠席だ」

みんな悲痛な面持ちのまま下を向いてしまった。
だけど私は違う。
思い切り笑いたい気分だ。あの女が、あの女が死んだ!キョンを誑かし私に深い傷を負わせたあの雌ブタが!
笑いを堪えるのに必死で下を向く。みんなにはそれが雌ブタの死を悲しんでいるように見えたらしい。



岡部はそれ以上何も言わずにHRを切り上げてさっさと出て行ってしまった。
それと同時に私は教室を飛び出して屋上に向かった。あそこなら誰も居ない。

「ふふふふふふ・・・あはははははははははははははははははははは!」

屋上に到着して、遂に堪えきれなくなって大声で笑い声を上げた。
なんて、なんて愉快な気分なんだろう!これでキョンは、キョンは私のモノになるんだわ!

「あはははははははははははははははははははははははははははは!」

私の笑い声は尽きる事無く学校中に響き渡った。
それでも私は笑い続ける。

――――――それを見つめるもう一人の私に気付かないまま

貞ハルヒ「・・・・・・・・・」

涼宮ハルヒの誕生

END







タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
最終更新:2007年08月19日 20:52
ツールボックス

下から選んでください:

新しいページを作成する
ヘルプ / FAQ もご覧ください。